11/28 (金)更新
就労ビザの種類を完全解説!目的別にわかる16種の特徴と取得方法
日本で働きたい外国人にとって、まず知っておきたいのが**「就労ビザの種類」です。
ひと口に「就労ビザ」といっても、実際には職種や業務内容によって16種類以上の在留資格**が存在し、それぞれ取得条件や手続きが異なります。
たとえば、エンジニアや翻訳業務などの専門職には「技術・人文知識・国際業務」
介護分野には「介護ビザ」
現場作業や製造業などには「特定技能」**など、活動内容に合わせて最適なビザを選ぶ必要があります。
さらに、申請の流れ・審査期間・更新方法・企業側が注意すべき雇用ルールも複雑で、誤った手続きは不許可や在留資格の取消リスクにつながることもあります。
本記事では、以下を体系的に解説します。
- 就労ビザと在留資格の基本的な違い
- 全16種類の就労ビザの特徴と対象職種
- 申請・更新・企業雇用時の注意点
- 今後の制度トレンドや最新動向
この記事を読めば、自分(または企業)のケースに合う就労ビザの種類と正しい手続き方法が明確にわかるはずです。
就労ビザの仕組みを正しく理解し、スムーズな就労・雇用につなげましょう。
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就労ビザとは?在留資格との違いを理解しよう

「就労ビザ」という言葉はよく耳にしますが、正確には日本で働くための在留資格の一つを指します。
つまり、「就労ビザ=仕事を目的に滞在するための資格」であり、職種や業務内容ごとに細かく区分された制度です。
ただし、実際には“ビザ”と“在留資格”は同じ意味ではなく、混同されやすい用語のひとつです。
ここではまず、両者の違いと「就労ビザ」が何を意味するのかを明確にしておきましょう。
ビザ(査証)と在留資格の違い
ビザ(査証)とは、外国人が日本に入国する際に「この人の入国を認めてもよい」と日本大使館・領事館が与える入国許可証のようなものです。
一方、在留資格は、日本に入国後に「どんな活動ができるか」を定めた滞在中の身分と活動のルールです。
簡単に言えば、
- ビザ(査証)=日本に入るための鍵
- 在留資格=日本に滞在して働くための許可内容
という違いがあります。
そのため、「ビザを取れば働ける」というわけではなく、どの在留資格を持つかによって就労の可否や範囲が決まるのです。
なぜ「就労ビザ=在留資格」と呼ばれるのか
一般的に「就労ビザ」という言葉は、“就労が認められる在留資格”の総称として使われています。
つまり、法的には「就労ビザ」というビザの種類は存在せず、
正確には「就労を目的とした在留資格(例:技術・人文知識・国際業務など)」を指しています。
たとえば、
- 技術系の仕事 → 「技術・人文知識・国際業務」
- 介護職 → 「介護」
- 経営者・管理職 → 「経営・管理」
このように、職種・業務内容ごとに対応する在留資格が異なるため、目的に合った種類を選ぶことが重要です。
就労ビザの対象となる活動と目的
日本の就労ビザは、専門的な知識や技能を持つ外国人の就労を認める制度です。
単純労働ではなく、一定の学歴・職歴・資格などの要件を満たす人が対象となります。
主な目的は次の通りです。
- 専門人材の受け入れを通じた国際的な経済発展
- 外国人労働者の適正な就労と権利保護
- 企業の国際競争力強化・労働力不足の解消
これにより、日本は多様な在留資格を設け、業務内容やスキルレベルに応じて適切なビザを発給しています。
まとめ:就労ビザは「働くための在留資格」の総称
就労ビザは、単なる入国許可ではなく日本で働くための法的地位を示すものです。
ビザ(査証)は入国時の許可、在留資格は滞在中の活動範囲――この2つを区別して理解することで、
自分に合った正しい手続きを選ぶことができます。
つまり、「就労ビザ」という言葉は、仕事を目的とした複数の在留資格をまとめた呼び名であることを覚えておきましょう。
就労ビザの種類一覧と特徴

日本には数多くの就労ビザがあり、職種や業務内容によって16種類以上に分類されます。
この章では、代表的な就労ビザの種類を目的別に整理し、それぞれの特徴や対象となる業務をわかりやすく紹介します。
「どのビザを取得すれば働けるのか」「自分の仕事がどの資格に該当するのか」を確認する際の参考にしてください。
技術・人文知識・国際業務
日本の就労ビザの中でも最も発給数が多いカテゴリーです。
主に、**ホワイトカラー職(専門・事務・技術系)**を対象としており、大学卒業レベルの知識や専門スキルが求められます。
【該当職種の例】
- 技術:エンジニア、プログラマー、システム開発者
- 人文知識:経理、人事、マーケティング、企画職
- 国際業務:翻訳・通訳、貿易、外国語教育、海外営業
幅広い業界で活用されるビザであり、外国人正社員の採用では最も一般的な在留資格です。
特定技能(1号・2号)
特定産業分野における人手不足解消を目的に、2019年に新設された比較的新しい在留資格です。
- 特定技能1号:飲食、介護、製造、建設など12分野で就労可能(最長5年)
- 特定技能2号:熟練レベルの技能を有する人材が対象(在留期間の上限なし)
1号は「一定の技能レベル」、2号は「高度な技能」と位置づけられており、技能実習からのステップアップが可能な点も特徴です。
技能実習
発展途上国への技能移転を目的とした制度で、教育・訓練的な性格を持つ在留資格です。
建設・農業・食品製造など、実務を通じて技能を習得する外国人が対象です。
ただし、あくまで「技能の習得」が目的であり、労働力確保を主目的とすることは認められていません。
そのため、労働条件や監理体制の適正化が厳しく求められる点が他のビザと異なります。
介護
2017年に創設された、介護職に特化した就労ビザです。
介護福祉士の資格を有する外国人が対象で、介護施設や訪問介護事業所での勤務が可能です。
特定技能1号(介護分野)との違いは、「国家資格としての介護福祉士」であるかどうかにあります。
企業内転勤
外国企業の日本支店やグループ企業に転勤する人向けの在留資格です。
申請者本人が同一企業内での異動であることが条件となります。
専門性・実務経験が求められる点は「技術・人文知識・国際業務」と共通しています。
経営・管理
外国人が日本で会社を設立・運営する場合に必要なビザです。
出資額・事業計画・事務所の確保などが審査され、実質的な経営者・管理者であることが要件です。
企業経営者・スタートアップ経営者・支店長などが対象となります。
技能
職人的な熟練技能を有する外国人が対象のビザです。
料理人(日本料理・フランス料理など)、パイロット、自動車整備士、宝石加工職人など、
経験と資格に裏付けられた技能職が該当します。
興行
俳優・歌手・モデル・スポーツ選手など、エンターテインメント・芸能活動に従事する人向けのビザです。
活動内容に応じて契約書・出演実績などが求められ、在留期間は比較的短期(3か月〜1年)が一般的です。
教授・教育・研究・医療など専門職系ビザ
大学教授、研究者、医師、弁護士、会計士など、高度専門職・公的資格を必要とする職業に対して発給されます。
学歴・職歴・免許などの要件が明確に定められており、専門性と社会的責任を伴う職種が中心です。
その他の就労可能な在留資格(報道・宗教・法律・芸術など)
上記に分類されない就労資格として、報道・宗教活動・法律・芸術など特殊分野も認められています。
例として、外国メディア記者、宗教関係者、芸術家、外国法弁護士などが該当します。
これらは国際交流や文化活動の推進を目的としており、高い専門性・信用が求められる職種です。
まとめ:就労ビザの種類は「目的と職種」で決まる
就労ビザは、活動内容・学歴・技能などによって細かく分かれています。
自分の仕事の性質に最も近い在留資格を選ぶことが、許可取得の第一歩です。
また、同じ「働くビザ」でも制度目的が異なるため、誤った種類で申請すると不許可になるリスクがあります。
就労ビザを理解するうえでは、「どんな仕事がどの資格に対応するのか」を明確に把握しておくことが重要です。
就労ビザの申請方法と取得の流れ

日本で働く外国人が就労ビザを取得するには、目的に応じた在留資格を選び、適切な申請手続きを行うことが必須です。
申請の方法には大きく分けて「新規申請」と「在留資格の変更」の2種類があります。
それぞれの流れと必要書類、そして不許可になりやすいポイントを理解しておくことで、スムーズな許可取得につながります。
新規申請(在留資格認定証明書交付申請)の手順
海外から新たに日本で働く外国人を受け入れる場合、まず必要となるのが**「在留資格認定証明書(COE)」**です。
これは日本の入管庁が発行するもので、「この外国人は就労目的で入国して問題ない」と証明する書類です。
申請の流れは以下の通りです。
- 受入企業(日本側)が申請人に代わって入管に申請
→ 提出先:出入国在留管理局(地方入管) - 審査・証明書交付(通常1〜3か月)
- 証明書を外国人本人に送付
- 外国人本人が母国の日本大使館または領事館でビザ(査証)を申請
- 査証発給後に日本へ入国・在留カードを受け取る
この「認定証明書」がないと、ビザ申請そのものが進まないため、雇用前に企業側が責任を持って申請することが重要です。
在留資格変更許可申請の手順
すでに日本に滞在している外国人が、留学生や家族滞在などから就労可能な在留資格へ切り替える場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。
流れは次の通りです。
- 雇用契約を結び、就労内容を明確化
- 変更申請書と必要書類を入管へ提出
- 審査(約1〜2か月)後、結果通知を受け取る
- 許可された場合、新しい在留カードを受け取る
留学生が卒業後に日本企業へ就職するケースや、家族滞在ビザから就労資格へ切り替えるケースがこれに該当します。
なお、申請中に在留期限が迫っている場合は、必ず「特例期間」の確認と延長手続きを忘れないようにしましょう。
申請時に必要な書類とポイント
申請内容により多少異なりますが、代表的な提出書類は以下の通りです。
| 書類名 | 提出者 | 内容・注意点 |
| 在留資格認定証明書交付申請書 | 企業・本人 | 最新様式を使用し、誤字脱字に注意 |
| 雇用契約書または内定通知書 | 企業 | 契約条件・職務内容を明記する |
| 会社概要書・登記事項証明書 | 企業 | 会社の実態を証明する資料 |
| 履歴書・卒業証明書 | 本人 | 専門知識・学歴の裏付けとして必要 |
| 事業計画書(経営・管理など) | 企業 | 活動内容の整合性を確認するために提出 |
特に、業務内容と在留資格の整合性が最重要です。
「仕事内容が資格の範囲外」と判断されると不許可になるリスクがあるため、職務内容を具体的に記載することが求められます。
不許可になりやすいケース(虚偽・オーバーワーク・業務内容の不一致)
就労ビザの不許可事例は以下のようなケースが多く見られます。
- 書類の虚偽申請(実際の業務内容と異なる職務を申請)
- オーバーワーク(在留資格で許可されていない業務に従事)
- 資格要件を満たしていない(学歴・実務経験・技能証明不足)
- 雇用先の安定性が低い(新設企業・資本金不足など)
これらはすべて**「活動内容が在留資格に該当しない」**と判断される原因です。
不許可を避けるためには、書類の整合性・正確性・雇用実態の証明が不可欠です。
まとめ:正しい申請ルートと書類管理が成功の鍵
就労ビザの取得には、「目的に合った資格の選定」「正確な書類作成」「入管手続きの順守」が欠かせません。
企業が申請代行する場合も、雇用契約と業務内容の整合性を丁寧に確認することで、不許可リスクを最小限にできます。
正しいプロセスを踏めば、ビザ申請は決して難しい手続きではありません。
審査期間・有効期間・更新方法

就労ビザを取得したあとも、審査期間・在留期間・更新時期の管理が非常に重要です。
有効期限を過ぎてしまうと不法滞在扱いになる可能性があり、企業にとっても重大な管理責任が生じます。
ここでは、就労ビザの審査から更新までの流れをわかりやすく整理します。
就労ビザの審査期間の目安
審査期間は在留資格の種類や申請状況によって異なりますが、一般的な目安は次の通りです。
| 手続き内容 | 審査期間の目安 |
| 在留資格認定証明書交付申請(新規) | 約1〜3か月 |
| 在留資格変更許可申請 | 約1〜2か月 |
| 在留期間更新許可申請 | 約2週間〜1か月 |
ただし、提出書類の不備や審査の混雑状況によっては、数か月かかる場合もあるため、早めの申請が基本です。
在留期間と更新時期の注意点
就労ビザの在留期間は1年・3年・5年などが一般的です。
更新手続きは、在留期限の3か月前から可能であり、更新を怠ると在留資格が失効します。
特に注意すべき点:
- 在留カードの有効期限は常に確認
- 転職・職務変更がある場合は「在留資格変更」が必要
- 会社が倒産・休職した場合も入管への届出義務がある
期限切れを防ぐため、企業と本人の双方で在留管理スケジュールを共有することが大切です。
更新手続きの流れと必要書類
更新の流れは以下の通りです。
- 更新許可申請書を提出(期限3か月前から受付)
- 入管による審査(1〜4週間)
- 結果通知書の受領 → 新しい在留カードを受け取る
主な提出書類は以下です。
- 更新許可申請書
- 雇用契約書または在職証明書
- 納税証明書・住民税課税証明書
- 会社の登記簿謄本・決算書類(企業側)
なお、在留資格の範囲を超える業務や企業変更がある場合は、更新ではなく「資格変更」扱いになる点に注意しましょう。
まとめ:更新期限と在留内容の管理が信頼の証
就労ビザは一度取得して終わりではなく、定期的な更新と適正な在留活動の維持が求められます。
更新を確実に行うことは、外国人本人の信用にも、受け入れ企業の信頼にも直結します。
「期限管理」「職務変更の報告」「適正な就労」――この3つを守ることが、長期的な在留と雇用安定の鍵です。
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就労ビザを持つ外国人を雇用する際の注意点

就労ビザを取得している外国人を雇用する際、企業は入管法で定められたルールを厳守する必要があります。
日本人と同じ条件で雇用できるわけではなく、給与・業務内容・就労期間などの取り扱いを誤ると、不許可・在留資格の取消といったリスクが生じます。
ここでは、企業が知っておくべき主要な注意点を4つに分けて解説します。
日本人と同等以上の給与水準を設定する
就労ビザの審査では、日本人と同等以上の処遇が与えられているかが重視されます。
同じ職務内容・経験年数で比較して、外国人だけが低賃金となっている場合は、「不適正雇用」とみなされる可能性があります。
特に次のような点をチェックしましょう。
- 給与・手当・福利厚生を日本人社員と同レベルに設定しているか
- 雇用契約書に明確な報酬条件を記載しているか
- 年次昇給・賞与制度に外国人も含まれているか
入管庁は「雇用の安定性・公平性」を重視するため、形式的な契約ではなく実態重視の判断が行われます。
在留資格で認められた業務以外に従事させない
就労ビザは、業務内容によって認められる範囲が明確に定められています。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許可されているのは、専門知識を要するホワイトカラー職であり、単純労働(清掃・工場ライン作業など)は対象外です。
もし、許可範囲外の業務を行わせた場合は、
- 外国人本人が「不法就労」扱い
- 企業側が「不法就労助長罪」で罰則対象
となるおそれがあります。
職務内容に変更がある場合は、**「在留資格変更」または「資格外活動許可」**を申請し、入管庁の許可を得てから実施するようにしましょう。
3カ月以上就労実態がない場合の資格取消リスク
就労ビザを持っていても、3カ月以上継続して働いていない場合、入管法第22条の4により「在留資格取消」の対象となります。
これは、無職・長期休職・放置など、就労実態が確認できないケースが該当します。
企業側の対応ポイント:
- 退職・休職した場合は**14日以内に「所属機関に関する届出」**を提出
- 新しい勤務先が決まった場合も、速やかに変更届を提出
- 監理団体や支援機関が関与している場合は、必ず情報共有する
この届出を怠ると、本人だけでなく企業も指導対象となるため注意が必要です。
アルバイト・副業雇用の可否と条件
原則として、就労ビザを持つ外国人は本来の業務以外で働くことはできません。
副業やアルバイトを行う場合は、**「資格外活動許可」**を取得する必要があります。
ただし、次の条件を満たす場合に限り許可されることがあります。
- 本業の支障にならない範囲(週28時間以内が目安)
- 活動内容が法令に反しないこと
- 雇用主と契約内容が明確であること
特に企業が副業を認める際は、入管庁への許可確認と書面管理が重要です。
まとめ:法令遵守と情報管理が雇用リスクを防ぐ
外国人雇用では、給与の公平性・業務内容の適正化・就労実態の管理が不可欠です。
「知らなかった」では済まされない入管法違反も多いため、雇用前の資格確認と継続的な報告体制の整備を徹底しましょう。
適切な対応を行えば、外国人の安定就労と企業の信頼向上の双方を実現できます。
就労ビザ以外でも働ける在留資格とは

すべての外国人が「就労ビザ」を必要とするわけではありません。
中には、在留資格そのものに就労制限がないケースや、特例的に働ける資格も存在します。
ここでは、就労ビザ以外で働くことができる代表的な在留資格を紹介します。
永住者・定住者・日本人の配偶者などの資格
以下の在留資格は、**活動制限がなく自由に就労できる「無制限型」**です。
| 在留資格 | 就労制限 | 主な対象 |
| 永住者 | なし | 日本で永住許可を得た外国人 |
| 定住者 | なし | 日本で長期間生活基盤を持つ者(例:日系人など) |
| 日本人の配偶者等 | なし | 日本人と結婚している外国人 |
| 永住者の配偶者等 | なし | 永住者の配偶者・子供など |
これらの資格を持つ人は、職種・業種・雇用形態の制限なく働けるため、転職や副業も自由です。
ただし、永住・定住の審査基準は厳しく、素行・納税・年収などの要件を満たす必要があります。
「特定活動」ビザによる就労可能ケース
「特定活動」とは、**個別に定められた活動(法務大臣が指定する特例活動)**に基づく在留資格です。
この中には、就労が認められるケースもあります。
代表的な例:
- 大学卒業後の就職活動中にアルバイト可能な「特定活動(就職活動)」
- 高度専門職として一定条件下で働ける「特定活動(高度専門職)」
- ワーキングホリデー制度を利用する「特定活動(ワーホリ)」
つまり、「特定活動」は一律ではなく、活動内容により就労可否が異なる点が特徴です。
「資格外活動許可」による制限付き就労
本来働くことを目的としていない在留資格でも、入管庁の「資格外活動許可」を受けることで一部就労が可能です。
たとえば、留学生や家族滞在者がアルバイトをする場合が該当します。
【主な条件】
- 週28時間以内(長期休暇中は週40時間まで可)
- 学業・本来の活動に支障を与えないこと
- 許可証をパスポートまたは在留カードに添付していること
許可を超える就労を行うと「不法就労」とみなされるため、勤務時間の管理は企業側も責任を持つ必要があります。
まとめ:在留資格ごとの「就労可能範囲」を正しく理解する
就労ビザ以外でも働ける資格はありますが、その範囲や条件は資格ごとに大きく異なります。
雇用前には、在留カードの**資格欄と「就労制限の有無」**を必ず確認しましょう。
企業側が在留資格の理解を深めることで、法令遵守と適正な雇用管理の両立が可能になります。
上陸許可基準適合性と審査の考え方

就労ビザを取得する際、単に必要書類を揃えるだけでは許可されません。
審査では、**「上陸許可基準適合性(じょうりくきょかきじゅんてきごうせい)」**という明確な基準に基づき、申請者がその条件を満たしているかどうかが判断されます。
これは、外国人が日本に入国して適正に活動できるかを評価するための仕組みであり、特に就労ビザでは最も重要な審査項目です。
「上陸許可基準」とは何か
「上陸許可基準」とは、入管法第7条第1項第2号に基づく法的審査基準で、
「申請者が在留資格の要件を満たしているか」を判断するためのルールです。
具体的には以下のような要素が審査対象となります。
- 学歴・経歴・資格の有無(職種に対して十分な専門性があるか)
- 雇用先企業の実体・事業継続性(架空企業でないか)
- 報酬・雇用条件が日本人と同等以上か
- 活動内容が在留資格の範囲に合致しているか
これらを満たしていない場合、たとえ書類が整っていても許可は下りません。
つまり、「上陸許可基準」とは、**“入国前の信頼性チェック”**の役割を担っているのです。
厳格な審査が求められるビザの特徴
上陸許可基準の適用はすべての就労ビザに共通しますが、特に次の在留資格では審査が厳格です。
| 在留資格 | 審査ポイント | 備考 |
| 経営・管理 | 事業計画・出資額・オフィス実体 | 虚偽事業やペーパーカンパニーを防ぐため |
| 技術・人文知識・国際業務 | 学歴・業務内容の一致 | 学歴不一致・単純作業従事は不許可要因 |
| 技能実習 | 監理団体・実習計画の適正性 | 受入企業の法令違反履歴も影響 |
| 特定技能 | 分野試験・日本語能力 | 技能試験・JLPTの有無で審査結果が変動 |
入管庁はこれらの要素を総合的に判断し、**「実体があるか」「適正に働けるか」**を厳しくチェックします。
就労ビザ別の基準適用例
いくつかの主要ビザについて、上陸許可基準がどのように適用されるかを見てみましょう。
- 技術・人文知識・国際業務
→ 大学卒業(または同等の実務経験10年以上)+業務内容の整合性が必須。 - 経営・管理
→ 500万円以上の出資、または常勤職員2名以上が要件。オフィスの実在性も確認。 - 特定技能
→ 技能評価試験・日本語試験(JLPT N4以上)などの資格証明が必要。 - 介護
→ 国家資格「介護福祉士」取得済みであることが条件。
このように、上陸許可基準は在留資格ごとに異なり、専門性・雇用実態・資格要件の3点を中心に判断されます。
まとめ:上陸許可基準は「信頼性の証明」
上陸許可基準適合性とは、外国人本人と雇用企業の双方が適正であることを証明する制度です。
学歴や技能だけでなく、企業の健全性や活動の実態も評価対象になります。
許可率を上げるには、根拠資料を正確に整備し、入管の求める信頼性を立証することが最も重要です。
就労ビザを活用する企業の採用ステップ

外国人を採用する企業にとって、就労ビザの取得・管理は採用プロセスの中でも重要な要素です。
採用時のミスや遅れは、入国スケジュールや雇用契約の開始日に大きな影響を与えることもあります。
ここでは、企業が押さえておくべき採用から入国までの具体的な流れと、スムーズな手続きのポイントを整理します。
外国人を採用する際の流れ(求人〜入国まで)
外国人採用の基本的なステップは以下の通りです。
- 求人募集・採用内定
→ 職務内容・勤務地・報酬などを明確化。 - 在留資格の確認・選定
→ 職種に対応する在留資格(例:技術・人文知識・特定技能など)を決定。 - 在留資格認定証明書(COE)の申請
→ 企業が入管に申請。審査期間は約1〜3か月。 - COE交付後、外国人本人に送付
→ 本人が現地の日本大使館・領事館でビザ申請。 - 査証発給→入国→在留カード受領
→ 入国後、企業での就労を正式に開始。
この流れを理解しておくことで、採用スケジュールを計画的に立てることができます。
入管手続きと在外日本公館の連携
就労ビザの発給には、**国内の出入国在留管理庁と、海外の日本大使館・領事館(在外公館)**が連携して審査を行います。
つまり、企業が国内で提出した情報が、現地の在外公館で確認される仕組みです。
このため、
- 書類内容に不整合がないこと(翻訳・契約内容など)
- 外国人本人への連絡体制を確保しておくこと
- 大使館の面接・質問に備えたサポート体制を構築すること
が重要です。
在外公館でのビザ発給がスムーズに行われるよう、企業・支援機関・本人の三者連携を意識しましょう。
人材会社・マッチングイベントなどの活用方法
企業が外国人材を確保する手段は多様化しています。
代表的なルートは以下の通りです。
| 採用経路 | 特徴 | 活用のポイント |
| 登録支援機関・監理団体 | 特定技能・技能実習の支援が得意 | 制度理解と書類整備をサポート |
| 人材紹介会社 | 技術・国際業務系に強い | 即戦力人材の紹介が中心 |
| ハローワーク/自治体支援 | 無料で求人公開可能 | 中小企業の外国人採用にも対応 |
| マッチングイベント | 対面・オンラインで採用可能 | 即面談・採用決定につながりやすい |
特に「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」などでは、専門人材のマッチングイベントが全国で開催されており、入管庁・自治体・支援機関の協力を得ながら採用を進める企業が増えています。
まとめ:計画的な採用と入管連携でミスのない就労開始を
外国人の就労ビザ申請は、企業が主導して行う場面が多く、入管庁・大使館・支援機関との連携が成功の鍵です。
採用から入国までの流れを理解し、早めに申請準備を始めることで、就労開始をスムーズに進められます。
**「制度理解」「正確な書類」「連携体制」**の3点を意識すれば、外国人雇用のトラブルを未然に防ぐことができます。
最新トレンドから見る就労ビザの変化と今後の方向性

日本の就労ビザ制度は、ここ数年で大きな変化を迎えています。
デジタル申請の導入・人手不足分野への拡大・特定技能制度の改正など、政府の外国人労働政策は「量」から「質」へと転換しつつあります。
2025年以降も、企業に求められる対応や制度の方向性はますます複雑化する見込みです。
この章では、最新トレンドと今後の展望を3つの観点から解説します。
デジタル化・オンライン申請の拡大で手続きが効率化
これまで、就労ビザの申請は紙ベースが中心で、入管庁への直接来庁や郵送が必須でした。
しかし近年、行政のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進により、オンライン手続きの対象が急速に拡大しています。
主な変化は以下の通りです。
- **「在留申請オンラインシステム」**により、在留資格変更・更新・認定申請が電子化
- 企業アカウント(登録済機関)があれば、24時間いつでもオンライン申請可能
- 申請状況のオンライン照会・電子交付通知なども順次実装中
- 支援機関・行政書士による代理申請のデジタル化対応も進行
これにより、申請にかかる時間やコストが大幅削減され、遠方企業・多拠点企業でも一元管理が可能になりました。
さらに、在外日本公館(大使館・領事館)とのデータ連携も整備され、
ビザ審査から入国後の在留管理まで一気通貫でオンライン化する方向へ進んでいます。
今後は、AIによる申請書チェックや不備通知機能も導入される予定で、
「入管手続き=煩雑」のイメージが大きく変わる時代が到来しつつあります。
人手不足分野を支える特定技能・高度人材ビザの増加傾向
日本の深刻な人手不足を背景に、特定技能ビザと高度人材ビザの発給数は年々増加しています。
特定技能制度(1号・2号)では、対象分野が拡大し、建設・製造・介護に加え、
外食・自動車整備・宿泊なども含めた合計12分野での就労が可能になりました。
特に「特定技能2号」への移行が制度的に容易になり、
長期就労・家族帯同が可能な外国人の受け入れ枠が拡大しています。
一方で、高度専門職ビザでは、
- 年収・学歴・実務経験をポイント制で評価
- 在留期間の優遇(最短1年で永住申請可能)
- 家族の就労許可や家事支援人の帯同も認められる
などの優遇措置が設けられ、国際的な人材争奪戦の中で「選ばれる国」としての競争力強化を狙っています。
この動きにより、今後の外国人雇用は「技能実習→特定技能→高度人材」といったキャリアアップ型の在留構造が主流になっていくと見られます。
2025年以降に注目される制度改正と企業への影響
2025年以降、就労ビザ制度にはさらにいくつかの注目すべき改正が予定されています。
- 技能実習制度の廃止と「育成就労制度」への移行
→ 技能実習の問題点を改善し、実質的に永続的就労を見据えた制度へ転換予定。 - 特定技能2号の対象分野拡大
→ 製造・運輸・建設分野などで、熟練労働者の長期定着を促進。 - デジタル庁・外務省による「電子在留証明」導入
→ 在留カード情報をクラウド化し、企業・自治体間での本人確認がオンライン化。 - 企業のコンプライアンス評価制度(仮称)
→ 外国人雇用の適正性を企業単位で評価し、「信頼企業」には審査簡略化特典を付与。
これらの制度変更により、企業には以下のような影響が想定されます。
- 手続きの簡素化による採用スピードの向上
- コンプライアンス体制を整える企業ほど入管審査で優遇される可能性
- 外国人社員のキャリア形成支援が採用競争力のカギになる
つまり、今後の就労ビザ制度は「受け入れの自由化」と「管理の厳格化」が同時に進む時代へ移行していくのです。
まとめ:外国人雇用は「制度対応+人材育成」が新たな常識に
就労ビザ制度の最新トレンドは、デジタル化・制度統合・高度人材の活用という3つの軸で進化しています。
これまでのように「申請できれば終わり」ではなく、企業が制度変化を理解し、継続的に対応する体制が求められます。
企業側は、
- オンライン申請への早期対応
- 特定技能・育成就労制度への理解深化
- コンプライアンスを意識した雇用・管理体制の構築
を意識することで、今後の改正にも柔軟に対応できるでしょう。
**「雇う」から「育てる」へ――**外国人雇用は新たなステージへと進んでいます。
まとめ:就労ビザの正しい理解と制度対応が円滑な採用・就労への近道

就労ビザは、外国人が日本で働くための在留資格の総称であり、その内容は職種や活動目的によって多岐にわたります。
技術系・技能系・経営系・介護系など、16種類以上のビザが存在し、それぞれに必要な条件・審査基準・更新手続きが異なります。
本記事で解説したポイントを整理すると、次のようになります。
| 重要ポイント | 内容 |
| 就労ビザとは何か | 「働くための在留資格」であり、査証(ビザ)とは異なる制度。 |
| 主なビザの種類 | 技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習、経営・管理、介護など。 |
| 申請手続きの流れ | 新規申請・変更申請・更新の3パターンを理解することが重要。 |
| 企業が注意すべき点 | 日本人と同等の処遇・業務範囲の遵守・3カ月以上の就労確認が必須。 |
| 審査・更新の基準 | 上陸許可基準適合性の確認が許可率を左右する。 |
| 最新動向 | DX化によるオンライン申請・特定技能制度の拡充・育成就労制度への移行など。 |
このように、就労ビザ制度は単なる行政手続きではなく、日本社会の人材戦略と密接に関係する仕組みです。
企業が外国人材を受け入れる際は、制度理解と法令遵守を徹底し、長期的な雇用・育成の視点で対応することが求められます。
また、外国人本人にとっても、自分のビザがどの業務まで許可されているのかを把握し、更新や転職時のリスクを避ける意識が大切です。
今後は、デジタル化・高度人材・人手不足分野へのシフトが進み、就労ビザのあり方も変化していきます。
法改正や制度更新の情報を常に確認し、「雇う側・働く側」双方が安心できる環境づくりを目指しましょう。
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