
05/16 (金)更新
在留資格の更新方法をわかりやすく解説!必要書類・流れ・注意点まで
日本で働く・学ぶ・生活する外国人にとって、「在留資格の更新」は避けて通れない大切な手続きです。
しかし、「期限はいつまで?」「何の書類が必要?」「転職したけどこのままで大丈夫?」といった疑問や不安を抱えている人も少なくありません。
実際、更新申請のタイミングや書類の不備によって“不許可”になるケースもあるため、正しい知識を持つことは非常に重要です。
また、企業側も外国人従業員の在留管理を怠ると、雇用リスクや法的トラブルに発展する可能性があります。
この記事では、
- 在留資格と在留期間の違い
- 更新が必要になるタイミングや条件
- 実際の手続きの流れや必要書類
- 転職・業務変更に関わる注意点
- 不許可や期限切れなどのリスク回避法
- 企業が知っておくべき管理対応
- 専門家への相談メリット
- 実際のトラブル事例から学べる防止策
など、在留資格更新に関わる情報をわかりやすく網羅的に解説します。
更新手続きをスムーズに進めるための知識を、この1記事でしっかり身につけましょう。
在留資格と在留期間の違いとは?
在留資格の更新手続きを正しく行うには、まず「在留資格」と「在留期間」の違いを正確に理解することが重要です。
似ている言葉ですが、意味も役割も異なるため混同してしまうと、更新のタイミングを誤ったり、不要な手続きをしてしまうリスクがあります。
ここでは、それぞれの定義と役割、そして意外と見落とされがちな「在留カードの有効期限」との関係について解説していきます。
在留「資格」と在留「期間」はどう違う?
「在留資格」とは、日本で外国人が合法的に滞在し活動するために必要な「活動の種類」を定めたものです。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「留学」「家族滞在」などがこれに当たります。
この資格があることで、日本で働いたり、勉強したり、家族と一緒に暮らしたりといった活動が法的に認められます。
一方、「在留期間」は、その在留資格を持って日本に滞在できる期間(期限)を意味します。
多くの場合、3か月~5年の間で付与され、在留カードの表面にも明記されています。
つまり、在留資格は「何ができるか」、在留期間は「いつまでそれができるか」を示すものです。
この2つを正しく区別しておかないと、たとえば**「在留資格はあるけど期間は過ぎている」という状態になり、オーバーステイ扱いとなってしまう可能性もある**のです。
カードの有効期限と資格期限のズレに注意
在留カードには、上記の「在留期間満了日」とは別に、「カード自体の有効期限」も設定されています。
これは16歳以上の外国人に発行されるカードに記載されており、通常は在留期間と一致していますが、再入国や在留資格変更後の更新などにより、ズレが生じることがあります。
たとえば、在留資格の延長手続きを行ったあとに、新しい在留期間は認められているにもかかわらず、古いカードの期限で更新手続きを怠ってしまうケースが発生しています。
このような場合、カードが失効していると身分証明書として機能しないだけでなく、会社や行政手続きでのトラブルにつながることもあるため、非常に注意が必要です。
特に企業で外国人社員を雇用している場合、「在留資格の有効期限だけでなく、カードの期限管理もセットで行う」ことが法的リスクを回避するうえで重要なポイントとなります。
- 制度を正しく理解することがトラブル回避の第一歩
在留資格と在留期間は、それぞれ「活動の内容」と「滞在可能な期間」を示す異なる制度です。
また、在留カードには別途有効期限が設定されるため、常に3つの「期限」を正確に把握しておくことが、手続きの遅延や不許可リスクを防ぐカギとなります。
制度の仕組みを正しく理解し、日ごろから期限を意識すること。
これが、スムーズな在留管理と更新手続きを実現するための第一歩です。
在留資格の更新が必要なタイミングと条件
在留資格を保有する外国人にとって、更新のタイミングを見誤ることは重大な問題につながります。
更新の申請はいつから可能なのか?転職時には更新か変更か?など、状況に応じた判断が求められるからです。
この章では、更新が必要になるタイミングと条件を明確にし、不許可リスクを避けるために知っておくべきポイントを整理します。
在留期限が近づいたときにすべきこと
在留資格には「在留期間」が設定されており、その満了日が近づくと更新手続きが必要になります。
一般的に、更新申請は在留期限の3か月前から受け付けられます。余裕をもって手続きを進めることが重要です。
申請が遅れて期限を過ぎてしまうと、オーバーステイとなり、退去強制や今後の再入国禁止といった厳しい処分を受ける可能性があります。
特に年末年始や引っ越しシーズンなど、入管窓口が混雑する時期は手続きの遅延が起きやすいため、1~2か月前には準備を開始するのが理想的です。
企業が外国人を雇用している場合は、従業員本人任せにせず、管理表やアラート機能を用いた期限管理体制の構築が不可欠です。
在留期間更新許可申請とは?
「在留期間更新許可申請」とは、現在の在留資格を維持したまま、在留できる期間(有効期限)の延長を求める手続きです。
この申請は、以下のようなケースで行います。
- 同じ会社・同じ職種で継続して働く場合(例:「技術・人文知識・国際業務」→同資格のまま延長)
- 配偶者ビザや留学ビザなど、生活環境が変わっていない場合
申請には、本人確認書類のほか、雇用先からの在職証明書・源泉徴収票、納税証明書などが求められます。
「生活の安定性」や「収入状況」も審査対象となるため、書類の正確性や提出タイミングに注意が必要です。
なお、変更が必要な状況(転職・業務変更など)ではこの手続きは適用されません。その場合は「在留資格変更許可申請」が必要です。
転職時・職務変更時は「在留資格変更」が必要になるケースも
現在の在留資格に基づいて働いている人が、転職や職務内容の大幅な変更をする場合は、「在留資格変更許可申請」が必要になります。
たとえば、
- 「通訳・翻訳」の職種で在留していた人が、ITエンジニア職に転職した場合
- 留学ビザから就職により就労ビザに切り替える場合
このように、活動内容が現在の資格の範囲外に出る場合は“更新”ではなく“変更”扱いになるのです。
見落としがちなのが、「職種は近いが企業が大きく異なる場合」や、「雇用形態が正社員から業務委託に変わった」ケースなど。
少しでも変更がある場合は、事前に入管に確認したうえで適切な申請を行うことが大切です。
また、変更せずに働き続けると不法就労とみなされる可能性があるため、企業側も積極的な確認とサポートが求められます。
- 「更新」と「変更」は混同せずに判断を
在留資格の管理は、本人だけでなく受け入れ企業にとっても重要な責任です。
「更新」と「変更」は似て非なる手続きであり、それぞれのタイミング・条件を正しく理解することで、無用なトラブルを防ぐことができます。
特に転職や業務内容の変更が関わる場合は、「更新で済むか」「変更が必要か」を早めに確認し、
申請スケジュールと書類準備をセットで進めることが成功のカギとなるでしょう。
在留期間更新許可申請の基本的な流れ
在留資格の種類にかかわらず、日本に引き続き滞在を希望する外国人は、「在留期間更新許可申請」を行う必要があります。
この申請は、期限内に正確な書類をそろえて行わなければ、審査に通らないこともあります。
特に就労系ビザの場合は、会社の協力や収入証明、税の支払い状況なども審査対象となるため、準備不足のまま申請に臨むのは危険です。
ここでは、在留期間更新の基本的な流れとともに、必要書類、申請場所、スケジュール、費用の4つの重要ポイントを整理して解説します。
申請に必要な書類一覧
在留期間更新許可申請に必要な書類は、在留資格の種類や個人の状況によって一部異なりますが、共通して必要になる主なものは以下のとおりです。
- 在留期間更新許可申請書(指定書式)
- パスポート(原本)および在留カード
- 顔写真(縦4cm×横3cm、申請前3か月以内に撮影)
- 雇用証明書(就労ビザの場合)
- 直近の源泉徴収票または給与明細
- 住民税の課税証明書および納税証明書
- 事業主からの活動内容説明書(希望する場合)
家族滞在ビザなど、在職証明が不要な資格では、学校の在籍証明書や家族の扶養証明書などが必要となります。
提出漏れや不備があると再提出を求められる可能性があるため、チェックリストで事前に確認することが重要です。
更新の申請先と方法(窓口/オンライン)
在留期間の更新申請は、基本的に本人が居住地を管轄する地方出入国在留管理局(入管)で行います。
本人が行けない場合は、在留カードの裏面に「申請取次」の承認がある行政書士・弁護士・所属機関担当者などが代理で申請できます。
また、現在はオンライン申請(出入国在留管理庁の在留申請オンラインシステム)にも対応しています。
オンライン申請の対象資格や機能には制限がありますが、書類の提出や審査進捗の確認ができるため、忙しい方や遠方の方には便利です。
ただし、オンラインでの申請が完了しても、最終的に在留カードの受け取りは窓口での本人確認が必要です。
申請期限と審査期間の目安
在留期間更新の申請は、在留期間満了の3か月前から可能です。
「ギリギリでも間に合う」と思って先延ばしにする人がいますが、申請後の審査には平均で2週間~1か月以上かかることが多く、混雑期や不備があればさらに時間がかかることもあります。
申請が完了していれば、審査中に在留期間が満了しても特例期間として引き続き在留できます(最大2か月間)。
ただし、この間に不備が発覚すると不許可の可能性もあるため、早めの申請がベストです。
企業側も、従業員の在留期限まで最低でも1か月の猶予を確保できるよう、定期的な管理を徹底する必要があります。
更新費用・手数料はいくらかかる?
在留期間の更新には、手数料として4,000円の収入印紙代が必要です。
この金額は全国共通で、申請時ではなく、許可が下りた際の在留カード受け取り時に支払います。
費用負担は、一般的には本人が負担しますが、企業によっては福利厚生の一環として会社負担にするケースもあります。
また、行政書士などに代理申請を依頼する場合は、別途3万〜8万円程度の報酬がかかるのが一般的です。
- 更新申請の成否は「事前準備」が9割
在留期間更新は、「書類さえ出せばすぐ通る」という単純なものではありません。
必要な書類を揃えること、適切な時期に申請すること、正しい場所で手続きを行うこと。
これらの条件を満たして初めて、スムーズな更新が実現します。
早めの準備と確実な対応を心がけることで、在留継続の不安やトラブルを未然に防ぎましょう。
就労ビザ更新時の具体的な対応パターン
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)を持つ外国人が日本で働き続けるには、在留資格の更新または変更が必要です。
ただし、更新申請が「そのまま認められるケース」と、「内容の変更があるため資格変更が必要なケース」では、必要な手続きが大きく異なります。
特に転職をした場合、在留資格の条件から外れていないか、証明書類は揃っているかなどが問われるため、企業側の対応も重要です。
この章では、よくある4つのケース別に、どのような手続きが必要かを具体的に解説します。
転職なし(同職種・同企業)の場合
もっともシンプルなパターンが「前回と同じ会社・同じ職種で引き続き就労している」ケースです。
この場合、在留資格の種類に変更はなく、在留期間の延長(更新)申請だけで済みます。
申請時には、以下のような書類を提出する必要があります。
- 雇用主からの在職証明書
- 直近の給与明細または源泉徴収票
- 住民税の課税・納税証明書
このケースでは、活動内容や身分に変化がないため、更新の許可が下りやすいとされています。
ただし、収入が極端に減っていたり、税金の滞納があると審査に影響することがあるので注意が必要です。
転職ありで就労資格証明書がある場合
転職をしても、「就労資格証明書」を取得済みであれば、原則として在留資格の更新が可能です。
この証明書は、転職後の職務内容が現在の在留資格に合致していることを、入管が事前に確認・証明する書類です。
取得済みであれば、更新申請時にこの証明書を添付することで、職務内容の整合性が既に確認されているため審査がスムーズになります。
企業側としては、転職した従業員に対して「就労資格証明書を申請してもらう」ことを事前に促しておくと安心です。
転職ありで証明書が未取得の場合
問題が起きやすいのがこのケースです。
転職したものの、就労資格証明書を取得しておらず、更新申請の時期が来てしまったという場合は、審査で職務内容の正当性を1から説明しなければなりません。
入管側は、「新しい会社の職種・業務内容が在留資格と合致しているか」を重点的に審査します。
そのため、以下のような書類が必要となります。
- 新しい雇用契約書や業務内容を詳述した書類
- 会社概要(パンフレットや登記簿など)
- 新しい雇用主からの業務説明書
万が一、職種が在留資格の対象外だった場合、不許可となる可能性もあります。
早めに就労資格証明書を取得しておくことが、更新成功のカギです。
業種変更などで「資格変更」が必要な場合
現在の在留資格の活動内容から明らかに外れる職種へ転職した場合、更新ではなく「在留資格変更許可申請」が必要です。
たとえば、以前は貿易事務(国際業務)をしていた方が、ITエンジニア職に就いたケースでは、「技術」の要件に該当するかを審査する必要があります。
この場合の手続きでは、「新しい職務内容が新たな資格の要件に合致しているか」が審査されます。
新規申請に近い感覚で、必要書類も多く、審査にも時間がかかる傾向があります。
注意点としては、職種が合っていても、会社の体制や安定性に不安があると不許可になるケースもあるということです。
業種変更を伴う転職は、必ず入管や専門家に事前相談をしてから動くようにしましょう。
- ケースに応じた正しい手続きが更新成功のカギ
就労ビザの更新には、本人の状況や職場の変化によって複数の対応パターンがあります。
「そのまま更新できるのか」「証明書が必要なのか」「資格変更が必要なのか」をしっかり見極めたうえで、適切な申請を行うことが重要です。
また、企業側も従業員の異動・転職情報を把握し、証明書の取得や在留資格の適合性を早めに確認・支援することが、雇用リスクを避けるうえで不可欠です。
更新申請の審査における注意点
在留資格の更新申請は、単なる「延長手続き」ではなく、入国管理局による再審査の場でもあります。
「今後も日本で在留を継続してよいかどうか」が審査されるため、過去の生活状況や雇用実態、収入、税金の支払い状況などが細かくチェックされます。
ここでは、審査において特に注意すべきポイントを整理し、不許可にならないための対策と万が一の対処法をわかりやすく解説します。
審査のポイントと不許可になりやすいケース
在留期間更新の審査で重視されるポイントは、以下の3つに大別されます。
① 正当な在留活動を継続しているか(例:雇用契約の継続、学業の出席率など)
② 安定した生活基盤があるか(収入・扶養関係・居住先など)
③ 納税・法令遵守に問題がないか(税金滞納、交通違反、逮捕歴など)
これらの項目に不備があると、更新は不許可となる場合があります。
特に多いのが以下のようなケースです。
- 雇用契約が一時的に切れている、または実質的に就労していない
- 年収が前年より大きく下がっている
- 住民税や健康保険料の未納がある
- 虚偽申請や書類の不備があった
- 配偶者ビザの場合、別居状態が長期化している
書類を出して終わり、ではなく、「書類の中身」と「生活実態」が一致しているかが問われることを意識しておきましょう。
審査中に在留期間が切れた場合の対処法
更新申請を在留期限内に行っていれば、「特例期間」として最長2か月間は合法的に滞在を続けられます。
この間は、通常どおり仕事・学業・生活が可能で、在留カードの裏面に「在留期間更新申請中」のスタンプが押されます。
ただし、特例期間中に審査結果が「不許可」となった場合、即時の出国準備期間に入ることになるため、
審査中も生活・就労状況に不安要素がないか見直しておくべきです。
また、更新を提出した証明書類(受付票や申請控え)は必ず保管し、必要時に提示できるようにしておきましょう。
更新申請を忘れて有効期限切れになった場合
もっとも避けたいのが、更新を忘れて在留期間を過ぎてしまうケースです。
1日でも期限を越えると「オーバーステイ(不法残留)」となり、状況によっては退去強制の対象となります。
万が一、期限を過ぎてしまった場合には、速やかに入管へ出向き、「出国準備期間の付与」などの措置を求める必要があります。
事情によっては一定の猶予が与えられることもありますが、再入国禁止などのペナルティを受ける可能性もあるため、非常にリスクが高い対応です。
そのため、企業・本人ともに、更新期限は常に意識し、最低でも1か月前には行動を起こすことが鉄則です。
配偶者ビザや家族滞在ビザの更新で注意すべき点
就労ビザとは異なり、配偶者ビザ(日本人の配偶者等)や家族滞在ビザの場合、審査では「扶養関係」「家族としての実態」「経済的な安定」が主に見られます。
たとえば、以下のような状況は審査に不利に働くことがあります。
- 配偶者と長期別居している(理由を説明する必要あり)
- 扶養者の収入が不安定または著しく低い
- 夫婦関係が破綻していると疑われる申請内容
このような場合には、写真・メッセージ・生活の実態を説明する補足資料などが有効です。
家族滞在の場合は、扶養者の収入証明と住民税の納税状況が厳しく審査されることにも注意が必要です。
- 審査は「過去の実績」と「現在の信頼」が見られている
更新申請の審査では、ただ期限内に書類を出せば良いというわけではありません。
審査官は「この人物がこれからも日本に滞在するにふさわしいか」を判断しています。
そのため、
- 雇用や生活の安定性
- 収入と納税の状況
- 日本での実績や社会的信頼
といった「日々の積み重ね」が審査の結果に大きく影響します。
期限を守るのは当然として、自分自身(または雇用している社員)の生活状態・書類の整合性にも常に注意を払いましょう。
在留カードに関する手続きと対応
在留カードは、外国人が日本で合法的に滞在していることを証明する非常に重要な身分証明書です。
在留期間だけでなく、就労の可否や資格外活動の有無、氏名・住所・国籍などの個人情報も記載されているため、常に正確な状態で保持しておく必要があります。
ここでは、カードを紛失した場合、情報に変更があった場合、有効期限が迫っている場合など、状況別に必要な対応を詳しく解説します。
在留カードを紛失・破損してしまった場合
在留カードを紛失した、または破損した場合には、14日以内に再交付の申請を行う必要があります(出入国管理及び難民認定法 第19条の16)。
この手続きを怠ると、法的に義務違反とされ、将来の更新審査にも影響する可能性があるため注意が必要です。
再交付申請は、最寄りの地方出入国在留管理局で行います。
必要なものは以下のとおりです。
- 在留カード再交付申請書(所定様式)
- パスポート(または旅券)
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 紛失・盗難の場合は警察への届出受理番号または証明書(紛失届受理番号票)
再交付は原則無料ですが、内容に変更がある場合(氏名の変更など)は別の手続きと併せて行う必要があります。
記載内容に変更があった場合の手続き
在留カードに記載された内容(氏名、国籍、生年月日、住居地など)に変更があった場合は、変更から14日以内に届出を行う義務があります。
たとえば次のような場合です。
- 結婚・離婚により氏名が変わった
- 引っ越しにより住所が変わった
- 国籍が変更された(帰化等)
これらの変更があった場合、出入国在留管理局または市区町村役場(住所変更の場合)で所定の手続きを行います。
届け出をしないまま更新や再交付を迎えると、トラブルや不許可のリスクが生じるため、変更があった際はすぐに申請することが重要です。
カードの有効期限が切れる前の対策
在留カードには、在留期間満了日と同じく「カードの有効期限」が記載されています。
これを過ぎると、身分証明書としての効力がなくなり、さまざまな生活インフラや契約にも支障が出る恐れがあります。
また、特に16歳未満の方は有効期限が5年に設定されており、成長や状況の変化に応じての更新が求められます。
対策としては以下が重要です。
- 自分のカードの有効期限を把握し、カレンダーやスマホでリマインダー設定しておく
- 会社や所属機関が従業員のカード有効期限を一括で管理できるシステムを導入する
- 期限の2か月前には更新準備を開始する(通常の更新申請と並行するケースが多い)
カード更新が必要な場合でも、手続きが遅れると不許可リスクが高まるため、必ず余裕を持って対応しましょう。
- 在留カードの管理は“在留資格維持”の第一歩
在留カードは、外国人にとって単なるプラスチックのカードではなく、日本での在留資格を証明する最重要書類のひとつです。
紛失や破損時の再発行、記載内容の変更届出、更新期限の管理など、一つ一つの手続きを正しく行うことが、安定した在留と更新審査の信頼性につながります。
日常生活で見落としがちな点も多いですが、トラブルを未然に防ぐために、常にカードの状態に意識を向けておくことが大切です。
企業が押さえておくべき在留資格更新対応
外国人社員を雇用する企業にとって、在留資格の更新管理は採用後の“雇用責任”の一環です。
「本人任せ」にしていた結果、ビザの期限切れや不許可による退職に繋がるケースもあり、事業の継続性に大きな影響を与えかねません。
企業が取るべき在留資格更新への対応について、管理の基本・代理申請の仕組み・費用負担の考え方をわかりやすく解説します。
外国人社員の在留管理は企業の責任
外国人を雇用する際、企業側は入管法に基づいて「適法な在留資格を持っているか」を常に確認・管理する義務があります。
具体的には以下のような対応が求められます。
- 在留カードの有効期限を定期的に確認する
- 雇用時・退職時にハローワークや入管に届け出を行う
- 在留資格の内容(職種や活動内容)と雇用実態が一致しているか確認する
これらを怠ると、「不法就労助長罪」に問われるリスクがあり、企業側も罰金や行政指導の対象となります。
つまり、「知らなかった」では済まされないため、在留資格の期限や条件を常に把握し、社員と二人三脚で管理する体制が重要です。
申請取次制度を活用する方法
「更新手続きを本人任せにすると不安」「毎回入管に同行できない」といった課題を解消するのが申請取次制度です。
これは、一定の要件を満たす者(主に行政書士、弁護士、企業の人事担当者など)が、外国人本人に代わって在留手続きを行える制度です。
企業の担当者が「申請取次者」として承認を得るには、出入国在留管理庁が実施する申請取次研修会を受講し、承認を取得する必要があります。
この制度を活用することで
- 社員が自分で入管に行かなくても済む(時間・負担の軽減)
- 企業が直接申請内容を管理できる(ミスやトラブルを防ぐ)
- 更新・変更の申請書類が適正に整備される(審査通過率向上)
などの利点があり、継続雇用や社内の在留管理において非常に有効な方法です。
更新費用は企業負担?本人負担?
在留期間更新にかかる費用(主に収入印紙4,000円)は、原則として本人負担とされています。
ただし、企業側が負担することも可能で、以下のような考え方が広がりつつあります。
- 業務上必要な手続きとして「会社経費で処理」するケース
- 福利厚生の一環として「更新費用を一部補助」する制度を設ける
- 行政書士への依頼費用(3万〜8万円程度)を会社が全額負担
特に、企業都合での転職や部署異動によって在留資格の変更が必要となった場合は、企業負担にするのが望ましいというのが一般的な解釈です。
逆に、プライベートな事情(例:配偶者ビザの更新など)の場合は、本人負担が原則とされることが多いため、ケースごとに判断しましょう。
- 「採用後の支援」こそが企業の信頼をつくる
外国人社員の在留資格更新は、「採用して終わり」ではなく、企業と本人が共にキャリアを築くための通過点です。
更新を怠ることは、優秀な人材を失うだけでなく、企業の信頼や法的リスクにも直結します。
だからこそ、定期的な在留カードの確認・取次制度の導入・費用の適正な分担を通じて、安定した雇用体制を整えることが、これからの企業に求められています。
行政書士・弁護士に依頼する場合のポイント
在留資格の更新や変更申請は、書類の不備や説明不足によって不許可となるリスクが常に伴います。
そこで活用されるのが、専門家(行政書士や弁護士)による手続きサポートです。
企業や外国人本人がスムーズかつ正確に申請を行うために、どのようなときに専門家に依頼すべきか、その費用感や選び方までをしっかり押さえておきましょう。
手続きを依頼できる範囲とメリット
行政書士や弁護士は、出入国在留管理局に対して本人の代わりに手続きを行う「申請取次資格」を持っている場合、以下のような手続きを依頼することが可能です。
依頼できる主な手続き
- 在留期間更新許可申請
- 在留資格変更許可申請
- 永住許可申請
- 帰化申請
- 資格外活動許可申請
依頼するメリット
- 書類不備や誤記載のリスクを減らせる
- 審査通過に向けて的確なアドバイスが受けられる
- 本人や企業が入管に出向く必要がない
- 審査官への説明文作成や補足資料作成が的確
- 難易度の高いケース(転職直後・低所得・家族滞在など)でも成功率が上がる
特に「転職」「低収入」「過去の不許可歴」などリスク要因があるケースでは、最初からプロに任せた方が結果的に早く・確実です。
依頼時に必要な費用と報酬の相場
費用の目安は以下のとおりですが、案件の難易度や地域、事務所の規模により変動があります。
項目 | 相場(税別) |
相談料 | 無料〜5,000円(初回無料が多い) |
在留期間更新許可申請 | 3万〜6万円程度 |
在留資格変更許可申請 | 5万〜10万円程度 |
永住許可申請 | 7万〜15万円程度 |
帰化申請 | 10万〜20万円以上 |
また、入管に支払う収入印紙代(4,000円程度)は別途かかります。
専門家の報酬は「着手金型(先払い)」と「成功報酬型(許可が下りた場合のみ)」に分かれることがあるため、契約時に必ず確認することが重要です。
信頼できる専門家の選び方とは?
在留資格手続きは、法律と実務に精通している専門家でなければ適切に対応できません。
信頼できる行政書士・弁護士を選ぶポイントは以下のとおりです。
チェックポイント
- 入管業務に特化しているか(「国際業務」専門と記載がある事務所)
- 申請取次資格を持っているか(法務省・入管庁の登録者)
- 外国人対応実績が豊富か(ホームページに事例が明示されている)
- 外国語対応ができるか(英語・中国語・ベトナム語など)
- 料金体系が明確で、相談時に丁寧な説明があるか
また、口コミやGoogleレビューで評価を見ることも有効です。
「ビザが通るか心配」「転職後の更新で不安がある」というケースでは、実績豊富な専門家を選ぶことが最善のリスク回避となります。
- 専門家の力を借りて、確実な在留手続きを
在留資格の更新や変更は、書類の提出だけでなく「信頼性のある内容」であることが求められます。
特に不安要素があるケースでは、経験豊富な行政書士や弁護士のサポートが成功の決め手になります。
費用はかかるものの、不許可による再申請・帰国リスクを避けるための“必要経費”として考えるべき場面も多いです。
「自分でやるか」「専門家に任せるか」で悩んだときは、まず無料相談などを利用し、判断材料を集めてから検討するとよいでしょう。
実体験で学ぶ!在留資格更新のリアルなトラブルと回避法
在留資格の更新は「期限内に書類を出せばOK」と思われがちですが、現実には多くの人が思わぬミスで不許可やトラブルに直面しています。
ここでは、実際に起こった事例を元に、よくある失敗とその回避方法を紹介します。
これから申請を行う方は、ぜひ“他人事”と思わず、自分のケースに置き換えてご覧ください。
更新申請に間に合わず失効寸前だったAさんの例
Aさんは、日本の大学を卒業後、エンジニアとして就職。3年の技術・人文知識・国際業務ビザで在留していました。
しかし、更新期限が近づいていることを見落とし、更新準備に取りかかったのは期限の1週間前。
提出書類の一部が足りず、入管からの追加提出依頼でギリギリまで審査が長引き、有効期限が切れる前日にようやく受付が完了。
特例期間で在留は継続できましたが、企業側はヒヤヒヤしたと言います。
✅【教訓】
・更新準備は遅くとも2か月前には開始すること
・本人任せにせず、企業側もスケジュールを管理する仕組みを持つべきです
書類の不備で不許可となったB社の失敗事例
外国人社員を複数雇用していたB社では、人事担当者が初めて更新手続きを担当しました。
必要書類は揃えたつもりでしたが、住民税の納税証明書が最新年度ではなかったことが致命傷に。
審査の結果、「納税状況が不明確」として不許可に。再申請には時間がかかり、本人も会社も予定外の再手続きに追われることになりました。
✅【教訓】
・税務書類は最新年度であるかを必ず確認
・行政書士など専門家のチェックを受けることでミスは防げる
転職後の放置で資格変更を忘れていたCさんの対応
CさんはIT企業を退職後、別の会社に就職しましたが、在留資格の変更手続きをせずに3か月以上放置していました。
結果、在留資格と実際の仕事内容が合致していない状態が続き、更新時の審査で指摘されます。
幸い、事情説明と新しい雇用契約書などを準備したことで再申請が受理されましたが、「更新の許可は極めて難しい」との通達を受けたとのこと。
✅【教訓】
・転職後は在留資格変更の必要性を必ず確認すること
・変更が必要か判断がつかない場合は、早めに入管や専門家に相談する
実例から学ぶ「こうしておけばよかった」防止策
これらの実例から見えてくるのは、「うっかり」と「過信」が大きなトラブルを招くということです。
トラブルを防ぐためには、以下のような対策が有効です。
✅ 在留カードの有効期限を定期的にチェック
✅ 更新は2か月前を目安に書類準備スタート
✅ 書類は最新版・正式版のみ使用(納税証明書・在職証明書など)
✅ 転職・転居・結婚などがあったら、必ず影響を確認
✅ 不安があれば行政書士や弁護士に初回相談(無料でもOK)
- 申請すれば大丈夫」は大きな誤解。今から備えよう
在留資格の更新は、“ただの延長”ではなく、新たな審査を受ける手続きです。
書類の不備や手続きの遅れ、生活状況のズレなど、小さな見落としが大きな問題に発展することがあります。
実例を通して明らかになったように、期限管理・事前準備・専門家の力をうまく使うことが、安定した在留継続へのカギとなります。
「まだ余裕があるから」と油断せず、今からしっかり備えておくことが、未来の安心につながります。
まとめ|スムーズな在留資格更新のために
在留資格の更新は、単なる“延長手続き”ではありません。
入国管理局に対して、今後も「在留するにふさわしい状況」であることを示す重要な申請です。
そのためには、期限管理と準備、そして必要に応じた専門家のサポートが鍵となります。
期限管理と書類準備が成功のカギ
在留資格更新の失敗で多いのは、「気づいたら期限が迫っていた」「必要な書類が揃わなかった」といった初歩的なミスです。
しかし、これが不許可に直結するケースも珍しくありません。
- 更新手続きは在留期限の3か月前から可能
- 書類には最新の納税証明書や雇用契約書などが必要
- 転職や職務内容の変更がある場合は資格変更の検討も必要
余裕を持って着実に準備することで、手続きも精神的な負担も軽減できます。
不安なときは専門家への相談も検討しよう
「自分でやって大丈夫かな」「この状況で通るか不安」と思ったら、無理に一人で抱え込まず、行政書士や弁護士への相談を検討しましょう。
初回相談が無料の事務所も多く、事前にアドバイスをもらうだけでも大きな安心につながります。
特に次のような場合は、専門家の力を借りるのが得策です。
- 収入が不安定で納税証明に不安がある
- 転職後、在留資格が職務内容と合っているか分からない
- 家族のビザ更新など、複数の申請が同時に必要
在留資格の更新は、未来の働き方や生活を守る大切なステップです。トラブルを避け、スムーズに進めるためにも、確実な対応を心がけましょう。
関連記事一覧
SELECT人気記事一覧
まだデータがありません。