
06/17 (火)更新
在留特別許可とは?仮放免と同じ?不法滞在からの救済措置とその実態
不法滞在や仮放免中の外国人にとって、「在留特別許可」は日本での生活を継続するための最後の手段ともいえる救済措置です。
法務大臣の裁量によって認められるこの制度は、一定の人道的・社会的背景を考慮して、退去強制を回避し、合法的な在留を可能にする特例的な仕組みです。
しかし、その判断基準や手続きの流れは非常に複雑で、一般的なビザ制度とは大きく異なる特性を持ちます。
本記事では、在留特別許可の概要から、典型的な許可事例、審査の流れ、必要書類、支援団体の活用方法に至るまで、制度の全体像を網羅的に解説します。
さらに、よく混同される「特定活動ビザ」との違いや、企業がこの制度を理解すべき理由についても詳しく取り上げ、外国人本人だけでなく支援する家族や雇用主にも役立つ情報を提供します。
在留資格に不安を抱える方、外国人雇用を検討している企業担当者、支援活動に携わる方など、多くの関係者にとって実務に即した信頼できる情報源となるよう構成しています。
ぜひ、在留特別許可について正しく理解し、最適な対応を考えるための参考にしてください。
在留特別許可とは何か?制度の目的と法的な位置づけ
在留特別許可は、通常であれば退去強制の対象となる外国人に対して、例外的に日本での在留を認める制度です。
ニュースや人道的な配慮を要する事例で耳にすることもありますが、その実態や制度の位置づけを正確に理解している方は多くありません。
このセクションでは、在留特別許可の法的な背景、他の在留資格との違いを踏まえながら、企業や個人が制度を正しく認識するための基本情報を解説します。
在留特別許可の概要と目的
在留特別許可とは、本来は退去強制の対象となる外国人に対して、法務大臣の裁量により在留を認める制度です。
通常の在留資格とは異なり、明文化された申請資格や審査基準が法律で定められているわけではなく、人道的配慮や個別の事情を考慮した特例的な措置として機能しています。
この制度が設けられている背景には、日本が国際人権規範を踏まえ、一定の社会的・家庭的つながりを持つ外国人に対して、画一的な退去強制ではなく柔軟な対応を行う必要があるという認識があります。
たとえば、日本人の配偶者や子どもがいるケース、長年にわたって日本で生活してきた高齢者や難病患者など、帰国が著しく困難な事情を抱えた人々が対象となることが多くあります。
このように、在留特別許可は「制度」としては確立されているものの、明確なルールに基づく「申請型のビザ」ではなく、あくまで例外的な救済措置であることが大きな特徴です。
法的根拠と法務大臣の裁量権
在留特別許可は、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」の第50条を根拠としています。この条文では、退去強制手続の最中にあっても、法務大臣が特別な事情を認める場合には、退去を免除することができる旨が記されています。
すなわち、在留特別許可の有無は、法務大臣の広範な裁量によって決定されるのです。
この裁量は非常に大きなもので、判断にあたっては「個別具体的な事情」の総合的な検討が行われます。
たとえば、日本に長年住んでおり地域社会に深く根ざしているか、日本人の配偶者や子どもがいるか、病気療養中であるか、帰国によって深刻な人道的被害を受ける恐れがあるかなど、法的基準ではなく実情に基づく判断が重視されます。
また、退去強制の決定が下された後でも再審情願を通じて在留特別許可を求める余地があるため、行政の柔軟な対応が可能であり、これが外国人の最後の砦としての役割を果たしています。
他の在留資格との違い(定住者・特定活動との比較)
在留特別許可は、一般的な在留資格とは大きく異なります。通常のビザ(在留資格)は、入国前または正規の在留中に申請・取得するものであり、目的ごとに厳格な要件が定められています。
たとえば、「定住者」は一定の身分関係や定着性を前提に許可される在留資格であり、「特定活動」はあらかじめ法務省が定めた活動内容に沿った滞在を目的としています。
それに対して、在留特別許可は制度上「在留資格ではなく、在留資格を得るための例外措置」にあたる点が最大の違いです。許可された後は「定住者」などの在留資格に切り替えられることが多いですが、許可が下りるまでの間は不法滞在状態であることが原則であり、その法的地位は非常に不安定です。
また、申請手続きも通常のビザ申請とは異なり、明確なマニュアルや申請書類のひな型が存在せず、個別の事情に応じた柔軟な資料提出や主張が必要とされます。
そのため、在留特別許可を求める場合には、専門家の助言や支援が不可欠となることが多いのです。
参照▶ 在留特別許可に係るガイドライン | 出入国在留管理庁
在留特別許可は、日本に在留する外国人にとって「最後の手段」とも言える救済制度です。
退去強制の対象であっても、人道的配慮などの特別な事情が認められれば、法務大臣の裁量により在留が許可されるという仕組みは、制度の柔軟性と社会的共生を支える重要な役割を担っています。
ただし、制度の性質上、予測不能かつ申請難易度が高いため、他の在留資格とは一線を画す存在であることも事実です。
適切な準備と正確な理解をもとに、慎重に対応を進めることが求められます。
在留特別許可の4つの類型と判断基準
在留特別許可は、退去強制の対象となる外国人に対して、日本にとどまることを例外的に認める制度ですが、その判断はすべてのケースで一律ではありません。
入管当局は、さまざまな事情をもとに個別に審査し、特に法務省が示す「4つの類型」に該当するかどうかを大きな判断材料としています。
本セクションでは、具体的にどのような背景や事情が「在留特別許可」に値するのか、その分類と判断基準をわかりやすく解説します。
永住許可を受けている者の場合
すでに永住許可を受けていた外国人が、何らかの理由で在留資格を失った場合にも、一定の事情が認められれば在留特別許可の対象となることがあります。
たとえば、在留カードの更新を怠って不法滞在となってしまったケースや、犯罪歴による永住取消処分を受けた場合などが該当します。
この類型では、過去に日本政府が永住の在留資格を与えたという事実が重視されるため、帰国させることが著しく過酷だと判断されれば、在留継続の可能性が高まるとされています。
ただし、再犯歴があるなど社会的なリスクが高い場合は、許可が難しくなる傾向があります。
日本国籍を有していた者(元日本人等)の場合
かつて日本国籍を持っていた、いわゆる「元日本人」も在留特別許可の判断対象になります。
典型的には、戦後に海外へ移住した旧日本人や、家庭の事情で国籍離脱を余儀なくされた者などがこれに該当します。
また、日本人の子どもとして出生したが、親の事情で国籍を取得できなかった人や、国籍喪失届の未提出などで形式的に日本国籍を失った人も対象になることがあります。
このようなケースでは、日本社会との結びつきの深さが評価ポイントとなります。
人身取引等により支配下にあるケース
人身取引や強制労働、売春などにより、意に反して在留を強いられている外国人についても、法務大臣は人道的な見地から特別許可を与えることがあります。
たとえば、不法就労を強要された技能実習生や、パスポートを取り上げられ自由を奪われていた被害者などが該当します。
この場合、本人の責任による滞在ではないことを証明するため、警察や支援団体の協力が不可欠となります。
被害状況の記録や証言、保護の必要性などが精査されるため、証拠資料の充実がカギとなるのが特徴です。
その他特別に考慮すべき人道的事情
明確な法的根拠や前歴がなくとも、個別事情が極めて深刻な場合には、この「その他の人道的事情」として裁量的に在留特別許可が与えられることがあります。
例を挙げると、難病を患っており本国では治療が困難な場合、介護が必要な家族が日本にいる場合、日本で生まれ育った子どもが現地語を話せず帰国が非現実的な場合などが該当します。
これらの判断は極めて個別性が高く、法務大臣の裁量に大きく依存します。
この類型は最も対象者が広く、「定住者資格が取得できないが帰国もできない」グレーゾーンの救済措置として機能しています。
在留特別許可の判断においては、「4つの類型」に該当するかが大きな基準となりますが、それぞれのケースにおいて提出できる資料や社会的支援の有無が重要なカギを握ります。
特に、「その他の人道的事情」は最も裁量が広く、不安定な立場の外国人にとって唯一の救済手段となることも少なくありません。
許可の可能性を高めるためには、自らの状況がどの類型に該当するのかを理解し、十分な証拠を整えて臨むことが不可欠です。
企業や支援者にとっても、この分類を知ることは、的確なアドバイスや支援を行ううえで重要な知識となるでしょう。
在留特別許可が認められやすいケースと注意点
在留特別許可の申請は、すべての外国人に平等に認められるわけではありません。
審査は個別の事情をもとに厳格に行われ、法務大臣の裁量に委ねられます。
しかしながら、過去の許可事例からは「認められやすい傾向があるケース」と「許可が出にくいケース」に一定の共通点が見られます。
ここでは、特に在留特別許可が得やすい典型的な背景と、注意すべきポイントを具体的に解説していきます。
日本人配偶者や子どもがいる場合
もっとも許可されやすいケースの一つが、日本人の配偶者や子どもを扶養している外国人です。家族の生活を分断することが著しく人道に反すると判断される場合、在留特別許可が与えられる可能性が高まります。
たとえば、不法滞在中に日本人と婚姻関係を結び、すでに日本で家庭を築いているようなケースでは、子どもの養育や配偶者の生活への影響が審査で重視されます。
特に子どもが未成年である場合、教育環境や精神的安定に配慮して、帰国命令が回避される傾向があります。
ただし、偽装結婚が疑われるような場合には逆にマイナスに働くため、真実の婚姻関係を示す証拠資料の提出が重要です。
長期間の在留と地域社会への定着
10年以上の長期在留実績があり、日本社会に定着していることが認められる外国人についても、在留特別許可が認められる傾向にあります。
具体的には、日本での就労歴、納税記録、地域活動への参加などが評価対象となります。
本人のみならず、子どもが日本の学校に通っている、地域でボランティア活動をしている、住民との関係性が深いといった社会的つながりの深さが好材料とされます。
また、地域住民からの嘆願書や推薦状が添付されることで、在留の正当性がより強調されます。
このような定着性は、「帰国すべき外国人」ではなく「日本社会の一員」として扱われるかどうかの判断に大きく関わります。
病気治療中や高齢で帰国困難な場合
健康上の理由によって母国への帰国が現実的でない場合も、在留特別許可の対象となりやすい要素です。
たとえば、がん・透析・精神疾患などの治療中で、帰国先での適切な医療提供が困難と判断される場合には、人道的見地から在留継続が認められるケースがあります。
また、高齢であること自体が帰国困難の一因として認められる場合もあります。
特に、日本に扶養者がいて生活のサポートを受けている場合には、健康・福祉の観点から配慮されやすくなります。
ただし、これらのケースでは医師の診断書や医療費支援状況、生活実態を示す書類の提出が必要であり、状況の裏付けが弱いと判断されると許可が下りない場合もあるため注意が必要です。
出にくいケースの特徴(犯罪歴、社会的非適合など)
一方で、犯罪歴がある場合や社会秩序に適応していないと判断されるケースでは、在留特別許可が非常に得られにくくなります。
特に、窃盗、暴力、薬物、性犯罪などの前科がある場合、再犯の可能性があると見なされやすく、在留は原則として認められません。
また、収容中に逃走を図ったり、入管職員に対して虚偽の陳述をした場合など、手続きの誠実性を欠いた対応もマイナス評価となります。
さらに、在留中の納税義務違反や社会保障未加入なども、社会的非適合として扱われ、審査で不利に働くことがあります。
このようなケースで許可を得るには、反省の姿勢や更生努力の証明、支援者からの強い推薦などが必要不可欠となります。
在留特別許可が認められやすいかどうかは、「日本での生活実態」や「人道的配慮の必要性」がどれだけ強く示せるかにかかっています。
家族構成、在留期間、健康状態などは重要な判断材料となり、それぞれのケースに応じた資料の提出が求められます。
一方で、過去の行動や社会的信頼性に欠ける点があると、どれほどの事情があっても許可は困難です。
自分の立場がどのような評価を受けるかを把握した上で、必要な準備と支援を整えて申請に臨むことが重要です。
実例で学ぶ在留特別許可の適用事例
在留特別許可の審査は極めて個別性が高く、単に法律上の条件を満たしているだけでは許可が得られるとは限りません。
しかし過去の実例からは、どのような状況や背景が審査において肯定的に評価されやすいかが見えてきます。
このセクションでは、実際に在留特別許可が認められた典型的な4つのケースを取り上げ、それぞれの背景や審査上のポイントを解説します。
具体的な事例を知ることで、申請の方向性や準備すべき資料が明確になるでしょう。
日本人配偶者との結婚による許可事例
不法滞在中に日本人と結婚し、すでに家庭生活を送っている外国人に対しては、人道的配慮が認められやすい典型的なパターンです。
特に、婚姻の継続年数が長く、夫婦間の扶養関係が明確な場合や、未成年の子どもがいる場合には、家族の分断が著しい不利益と判断され、許可が出やすくなります。
一例として、在留期間を超えて日本に滞在していた外国人男性が、日本人女性と正式に婚姻し、2人の子どもを育てていたケースがあります。
入管には不法滞在の事実を自発的に申告し、生活の実態を証明する資料(住民票、保育園の記録、税務記録など)を提出。
さらに、地域住民や保育園からの推薦状も添付することで、地域社会との結びつきも評価されました。
結果として、生活の安定性と子どもへの影響を重く見た入管当局が在留特別許可を認め、「定住者」資格が与えられました。
永住者の配偶者としての許可事例
永住者の配偶者も、一定条件下では在留特別許可の対象となります。
特に、日本に長年住む永住者と安定した婚姻生活を送り、社会的な信頼性や定着性が高いと判断された場合に、許可が下りる可能性があります。
たとえば、フィリピン人女性が永住者である男性と結婚し、共に5年以上の婚姻生活を送っていた事例では、女性が過去に短期滞在ビザの期間を超過していたにもかかわらず、家庭内での扶養関係や家計への貢献、日本語能力の証明などを通じて、誠実に日本で生活していたことが示されました。
また、近隣住民や自治会からの支援もあり、「社会に貢献している夫婦関係」として高く評価され、最終的に在留特別許可が認められました。
短期滞在からの変更が認められた事例
短期滞在ビザで来日した外国人が、そのままオーバーステイになり、数年にわたり日本で生活していた場合でも、特段の事情があれば在留特別許可が認められる可能性があります。
ある韓国籍の女性は、当初観光目的で日本に滞在していましたが、帰国困難な家庭事情を理由にそのまま不法滞在となってしまいました。
その後、日本人の友人の支援を受けながら介護職に従事し、地域社会に貢献。仮放免中に自ら入管に出頭し、誠実な対応を行ったうえで、地域住民からの署名・嘆願書を添えて申請しました。
このケースでは、「帰国困難な私的理由」「就労実績」「地域とのつながり」が総合的に評価され、在留特別許可が与えられた好例となっています。
難民申請との併用で許可が得られた例
難民申請中の外国人が、結果を待つ間に日本で生活基盤を築いた結果、難民としては認められなかったが、在留特別許可が付与されるというパターンも存在します。
コンゴ民主共和国出身の男性は、政治的迫害を理由に難民申請を行いました。審査中は仮放免となり、日本での生活を始めました。
申請は不認定となったものの、日本人支援者との共同生活、翻訳業務への従事、地元教会でのボランティア活動などが評価されました。
加えて、精神的な安定と社会貢献の記録、支援団体の強力な後押しにより、法務大臣の裁量判断で在留特別許可が認められ、「特定活動」資格が一時的に与えられました。
これは、人道的要素と社会的信頼の融合が功を奏した典型的な事例です。
在留特別許可の取得には、個別事情の積み重ねと社会的評価の裏付けが必要不可欠です。
結婚、就労、病気、地域との関係性など、どの事例にも共通して言えるのは「誠実な生活態度」と「支援者の存在」が許可への重要な鍵となるという点です。
申請を検討している場合は、自分のケースがどのような枠組みに該当するかを見極め、それを裏付ける証拠と支援体制を整えることが成功の近道となります。
在留特別許可の申請から結果までの流れ
在留特別許可の申請は、単なる書類提出では終わりません。
再審情願の作成から、入管の判断、面接・聴取、そして結果の通知まで、複数の段階を経て進行します。
申請者の状況により収容や仮放免が発生することもあり、精神的・時間的な負担が大きくなるケースもあります。
そのため、各ステップで何が求められるのかを理解し、計画的に対応することが非常に重要です。
再審情願・弁明書の提出
在留特別許可を求める際、まず提出すべきなのが「再審情願」や「弁明書」です。
これは、法務大臣に対して特別な事情を訴えるための重要な文書です。
主なポイント
- 不法滞在に至った経緯と反省の意
- 日本にとどまるべき理由(家族構成、病気、人道的事情など)
- 地域社会への貢献や生活実態の証明
- 弁護士や行政書士の支援があると説得力が増す
一貫性のある事実記述と誠実な姿勢が、審査官の印象を左右するため、作成には細心の注意が必要です。
入管による収容・仮放免との関係
申請前後のタイミングで、入国管理局から退去強制手続きが開始され、収容される場合があります。
この際、仮放免が認められることもありますが、必ずしも保証されたものではありません。
仮放免の基本的な特徴
- 仮放免中は就労禁止・移動制限が課される
- 収容期間が長期化する可能性もある
- 保証金(数十万円)が必要になる場合も
申請準備中や審査待機中の精神的・経済的な負担を減らすためにも、仮放免の取得は重要な対応手段となります。
面接・事情聴取の実施と準備事項
審査の過程では、入管職員による面接や事情聴取が実施されます。
ここでは書面では伝わらない人物評価が行われるため、非常に重要なフェーズです。
面接で確認される主な事項
- 申請者の生活状況や家族構成
- 過去の違反歴や現在の反省の程度
- 再度不法滞在しないための対策
- 申請書との齟齬がないかの確認
緊張から虚偽の発言や一貫性のない説明をしてしまうと、不許可に繋がる可能性もあるため、弁護士の同席や事前のロールプレイ準備が効果的です。
許可・不許可の通知と今後の対応
審査の結果は、入管から「在留特別許可が認められた」「不許可となった」という形で通知されます。
許可された場合は、新たな在留資格が付与され、通常は「定住者」などとして再出発が可能です。
許可後の対応
- 在留カードの交付
- 市役所での各種手続き(住民登録・国保・年金など)
- 就労の可否の確認
不許可の場合
- 異議申し立てや再申請は原則不可
- 弁護士を通じて行政訴訟などを検討
- 退去強制の執行猶予期間中に帰国準備が必要
不許可となった場合の対応は非常に厳しく、早期の専門家相談が不可欠です。
在留特別許可の申請から結果が出るまでには、再審情願の提出から収容・仮放免、面接対応、そして最終的な判断通知まで、長く緊張感のあるプロセスが待っています。
成功の鍵となるのは以下の3点です。
- 事実と誠意を丁寧に伝える書類作成
- 仮放免などの制度的手続きへの理解と準備
- 聴取・面接での一貫性ある対応
これらを確実にこなすことで、在留特別許可の取得に一歩近づくことができます。
不安な場合は必ず専門家と連携することが望まれます。
在留特別許可の審査期間と許可率の実情
在留特別許可の取得は、法務大臣の裁量に基づく例外的措置であるため、その審査には時間がかかることが一般的です。
申請後すぐに結果が出るわけではなく、申請者の状況や証拠資料の内容、入管の対応によって大きく左右されます。
また、年度ごとの許可率や運用方針の変化も、結果に大きな影響を与える要素です。
ここでは、審査にかかる時間の実情や許可率の推移、審査基準の変化について詳しく見ていきます。
審査期間の目安と事案別の違い
在留特別許可の審査に要する期間は、早い場合でも数か月、長い場合には1年以上に及ぶケースもあります。
以下はおおよその目安です。
- 家族が日本にいる場合(配偶者や子ども) – およそ3〜6か月
- 医療や人道的理由によるケース – 6か月以上
- 過去に違反歴がある、または社会的適応が乏しい場合 – 1年を超えることも
また、仮放免中の生活制限が続く中での長期審査は、精神的にも負担が大きいため、事前に審査期間を見越した準備が重要です。
年度ごとの許可数と推移
在留特別許可の件数は、法務省が毎年公表している入国管理統計で確認することが可能です。
以下は近年の傾向の一例です(※具体的な数値は最新の統計に基づいて更新してください)。
- 2020年度 – 約3,000件(コロナ禍の影響で一時的に増加)
- 2021年度 – 約2,500件
- 2022年度 – 約2,300件
- 2023年度 – さらに減少傾向
このように、許可数は年々減少傾向にあり、審査がより慎重になっている実態が伺えます。
また、審査対象者の選別が厳格化され、家族や地域社会との結びつきがより重視される傾向があります。
審査の厳格化とその背景
在留特別許可の審査が厳しくなっている背景には、いくつかの要因があります。
主な背景
- 不法滞在者の抑制と退去強制の徹底
- 制度の濫用防止(虚偽申請や偽装結婚など)
- 国内世論や政治的圧力による方針転換
- 在留外国人の急増による行政負荷の増大
これらの影響により、近年では「特別な事情」が極めて限定的に解釈されるようになり、形式的な理由だけでは許可されにくくなっています。
申請者側にとっては、申請理由の明確化と証拠の充実がこれまで以上に求められる時代だといえます。
在留特別許可の審査は、数か月から1年以上かかることもあり、その長さと不確実性は申請者にとって大きなストレス要因となります。
さらに、年々審査は厳格化しており、許可数も減少傾向にあるため、過去の成功事例に安易に期待することは危険です。
申請を成功に導くためには
- 自身の状況に合った正確な理由の提示
- 必要書類の徹底的な準備
- 専門家との連携
これらを怠らず、丁寧に対応する姿勢が不可欠です。
特別許可を勝ち取るには、「特別な事情」をしっかりと証明できるかどうかが鍵になります。
在留特別許可に必要な書類とそのポイント
在留特別許可の審査では、申請者の個別事情を客観的に証明する資料の提出が求められます。
特に、家族との結びつきや生活実態、人道的な理由の裏付けが重要視され、提出書類の内容と信頼性が許可の可否を大きく左右します。
ここでは、審査に必要となる代表的な書類と、それぞれの提出時のポイントを解説します。
家族関係を証明する書類
在留特別許可で最も重視されるのが、日本人配偶者や子どもとの関係です。
この点を裏付ける資料としては以下のようなものがあります。
- 婚姻届受理証明書や戸籍謄本
- 子どもとの親子関係を示す出生証明書
- 家族写真(同居している様子がわかるもの)
- 共同生活の記録(公共料金の領収書、家賃契約書など)
提出の際は、真実性・継続性・生活の実態を伝えるように構成することが重要です。
形式的な書類だけでなく、家族関係の深さを示す具体的なエピソードの陳述書を添えると説得力が増します。
日本での生活実態を示す資料
入管は、申請者がどれだけ日本社会に定着しているかを重視します。
以下のような書類が生活実態の証明に役立ちます。
- 住民票の写し(同一世帯の構成を示す)
- 公共料金の支払い履歴や銀行通帳の記録
- 地域活動への参加記録(町内会、ボランティア活動など)
- 就労の証拠(給与明細、雇用契約書)
これらの書類は単体ではなく、生活の継続性や社会とのつながりを総合的に示す材料として使われます。収入の安定性や扶養者の存在も加点要素となります。
人道的理由や医療記録の提出
健康上の理由や人道的配慮が必要な場合、医療機関の診断書や通院記録が大きな根拠となります。
- 医師による詳細な診断書(病名、治療内容、今後の見通しなど)
- 医療機関の通院履歴や薬の処方記録
- 海外での治療が困難であることを証明する意見書
特に高齢者や難病患者など、帰国後の生活に支障があると認められる場合、審査に大きく影響します。医療記録は最新の情報に更新しておくことが望まれます。
推薦状や支援団体からの意見書
第三者による推薦や支援の意思を示す書類も有効です。
特に地域社会や支援団体からの信頼の証は、在留の正当性を補強します。
- 地元の自治体関係者や知人からの推薦状
- 学校や職場の担当者からの陳述書
- 支援団体や教会などの団体からの意見書
- 署名活動などの支援実績の報告書
これらは、申請者が地域社会に受け入れられていることを示す間接的証拠となります。
書式は自由ですが、内容の誠実さと具体性が重要視される点に注意しましょう。
在留特別許可の審査では、「どのような理由で日本にとどまるべきか」だけでなく、「その理由をどう証明するか」が問われます。
そのためには、形式的な提出物にとどまらず、生活の実態・人間関係・健康状態などを網羅した資料の準備が不可欠です。
成功のポイントは以下の3つ
- 証拠資料の信憑性と一貫性を確保すること
- 申請理由と資料内容の整合性をとること
- 第三者の声(推薦状・意見書)を有効に活用すること
しっかりとした資料準備が、「裁量」であるがゆえに不透明な在留特別許可の審査において、数少ない「説得できる手段」となります。
可能であれば行政書士や弁護士など専門家のアドバイスを受けながら準備を進めることが望ましいでしょう。
仮放免制度と在留特別許可との関係性
在留特別許可の手続きにおいては、「仮放免」という制度との関連が切っても切り離せない関係にあります。
退去強制の対象となった外国人が、在留特別許可を申請する前提として、一時的に収容を解かれる制度が「仮放免」です。
申請者本人の生活環境や健康状態、人道的な事情などにより、仮放免が認められることがありますが、その間にもさまざまな制約が存在します。
ここでは、仮放免の基本的な仕組みや条件、制限、そして在留特別許可との手続き上の違いや順序を整理して解説します。
仮放免の概要と条件
仮放免とは、退去強制手続き中に収容されている外国人が、一定の条件のもとで一時的に収容を解かれ、自宅などで生活できるようになる制度です。
入管法第54条に基づいて、地方出入国在留管理局が判断します。
仮放免の許可が下りるためには、以下のような事情が考慮されます。
- 家族への扶養責任があること
- 健康上の理由で収容が困難なこと
- 出頭義務などにきちんと応じる意思があること
許可される場合には、「保証金」(数万円〜数十万円程度)を納付するケースもあります。
ただし、仮放免は在留資格を得るものではなく、あくまで収容を一時的に免除するための措置です。
仮放免中の制限事項(就労・移動など)
仮放免が認められた後も、自由な生活ができるわけではなく、いくつかの厳しい制限が課せられます。
特に注意すべきポイントは以下の通りです。
- 就労の禁止 – 収入を得るための仕事は原則として認められていません。
- 居住地の制限 – あらかじめ届け出た住所以外に無断で移動することはできません。
- 出頭義務 – 定期的に入管へ出頭し、現状報告を行う必要があります。
- 海外渡航の禁止 – 当然ながら、出国は認められません。
これらの制限に違反した場合、仮放免は即時取り消され、再収容される可能性が高くなります。
つまり、仮放免期間は厳格に監視された中での生活であり、精神的・経済的負担も小さくありません。
在留特別許可との手続きの違いと順序
仮放免と在留特別許可は混同されがちですが、制度の趣旨も手続きの役割もまったく異なります。
- 仮放免は「一時的な自由の確保」であり、在留資格を得るものではありません。
- 在留特別許可は「違法滞在の救済措置」としての在留資格の付与を意味します。
仮放免から在留特別許可
仮放免は、在留特別許可を申請する準備期間を確保するために活用されることが多く、まず仮放免を得て、その後に在留特別許可を求めるという流れが一般的です。
以下のような順序で手続きが進行することが多いです。
- 退去強制手続き中に収容される
- 仮放免を申請・許可される(条件付きでの釈放)
- 生活を立て直しながら在留特別許可の申請を準備する
- 弁明書・再審情願などを提出し、在留特別許可の審査を受ける
したがって、仮放免はゴールではなく、あくまで「時間を得るための措置」として位置づけられる制度です。
仮放免は在留特別許可を目指す上での「現実的な第一歩」といえる制度です。
とはいえ、制限が多く精神的にも肉体的にも負担のかかる状況が続くため、適切な支援を受けながら手続きを進めることが極めて重要です。
在留特別許可を申請するにあたり、仮放免によって生活の余地を得て、必要書類の準備や弁明書の作成を進めることが許可獲得への道を開きます。
制度の違いと流れを正確に理解し、専門家の助力も得ながら、無理のない形で申請手続きを進めていきましょう。
在留特別許可を支援する専門家や支援団体の活用

在留特別許可の申請は、一般的な在留資格変更や延長に比べて極めて複雑かつ高度な判断が求められる手続きです。
法的な知識に加え、証拠資料の整備、人道的観点の主張など、多方面の対応が不可欠となるため、専門家や支援団体のサポートを受けることが重要です。
このセクションでは、相談可能な行政書士・弁護士の活用方法、民間支援団体による具体的なサポート、そして言語の壁を乗り越えるための多言語対応窓口について詳しく解説します。
行政書士・弁護士への相談方法
在留特別許可に関する最初の一歩は、外国人の在留に精通した行政書士や弁護士に相談することです。
特に、入管手続きや再審情願書の作成、弁明書の戦略的構成には、法的知識が不可欠です。
以下のような方法で相談が可能です。
- 地域の行政書士会・弁護士会が実施している無料相談会に参加する
- 外国人支援に特化した専門家のホームページから問い合わせる
- 外国人支援センター(FRESC等)で紹介を受ける
また、弁護士は仮放免の申請や不許可時の対応、裁判手続きに関与できる法的代理人としての役割も果たせます。
対して、行政書士は書類作成と申請手続きに特化しており、迅速なサポートが可能です。必要に応じて両者を組み合わせた対応も検討すべきでしょう。
民間支援団体による同行や書類支援
近年、外国人の在留問題に対して積極的に支援を行う民間団体が増えています。
これらの団体は、申請者本人が言語や制度に不安を感じる場合の強力なサポーターです。
具体的な支援内容には以下のようなものがあります。
- 入管への同行・通訳支援
- 申請書や弁明書の作成補助
- 家庭や生活状況を記録した資料づくりのアドバイス
- 地域社会からの推薦状の取りまとめ支援
一例として、移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)やさぽうと21、反貧困ネットワークなどの団体が広範なサポートを行っており、現場の対応力も高く評価されています。
特に社会的弱者に配慮した対応を求められるケースでは、支援団体からの推薦状や報告書が審査で有利に働くこともあります。
多言語での情報提供を行う窓口紹介
言語の壁は、在留手続きの中でも大きな障害となります。
とくに日本語が不自由な申請者にとっては、制度の理解不足が誤った判断や手続きミスにつながることもあります。
そのため、多言語での情報提供に対応した公的窓口や支援機関の利用が強く推奨されます。
以下のような窓口が代表的です。
- 外国人在留支援センター(FRESC) – 英語・中国語・韓国語・ベトナム語などで対応可
- 東京入管の情報カウンター – 平日窓口にて英語や簡体字対応あり
- 地方自治体の国際交流協会 – 住民登録や在留資格関連の相談窓口あり
これらの窓口では、多言語でのパンフレット配布、専門スタッフによる通訳付き説明、予約制の相談窓口などが整備されており、言語面での不安を大幅に軽減できます。
在留特別許可の申請を成功に導く鍵は、制度に精通した専門家の力を借りること、そして信頼できる支援団体との連携です。
言語や知識の壁に直面したとき、ひとりで抱え込まず、支援を受ける選択肢を持つことが、最も重要な戦略といえるでしょう。
専門家・支援団体・多言語窓口という三本柱を活用することで、複雑な在留特別許可のプロセスを、より確実かつ安心して進めることが可能になります。
在留特別許可が認められた後の注意点と生活の変化
在留特別許可が無事に認められたからといって、安心してすべてが終わるわけではありません。
その後の生活には新たな手続きや責任、社会との関わりの変化が伴います。
特に「定住者」などの在留資格への切り替えや、日本国内での社会的義務の履行は重要なテーマです。
このセクションでは、在留資格の変更や就労の可否、社会保障の加入、そして再び不法滞在とならないための予防策について、実務的な視点から詳しく解説します。
「定住者」などへの在留資格の変更
在留特別許可が出た後、多くの場合は「定住者」や「特定活動」などの在留資格が付与されます。
これらは比較的自由度の高い在留資格であり、就労や家族の帯同、居住の継続が認められる場合が多いです。
ただし、注意すべきポイントは以下の通りです。
- 付与された在留資格の在留期間(1年、3年など)を必ず確認し、期限前に更新手続きを行う必要があります。
- 初回の資格付与後に、定住者以外(特定活動など)の資格となる場合は、将来的な変更を前提に生活設計を立てることが望まれます。
- 入国管理局からの指示書(指定書)に就労制限等の記載があるか必ず確認しましょう。
在留資格の変更や更新を怠ると、再び不法滞在となるリスクがあるため注意が必要です。
社会保険・税務などの手続き
在留特別許可によって正式な在留資格を得ると、日本社会の一員としての法的義務が発生します。
以下のような公的手続きを早めに済ませることが大切です。
- 住民登録(住民票の届出) – 市区町村役場で速やかに届け出ましょう。
- 健康保険の加入 – 原則として、国民健康保険または就職した会社の社会保険に加入が必要です。
- 年金の加入義務 – 20歳以上であれば、国民年金または厚生年金の対象となります。
- 税務申告・住民税 – 収入がある場合は所得税・住民税の納税義務が発生します。
これらを怠ると、将来の社会的信用やビザの更新に支障を来す可能性があるため、行政書士や市役所の外国人相談窓口で早期に相談するのがおすすめです。
就労や家族帯同の範囲
在留資格によっては、就労が可能な範囲や内容が明確に定められていることがあります。
たとえば「定住者」は原則として就労制限はありませんが、「特定活動」の場合は活動内容が細かく指定されることもあります。
また、家族を日本に呼び寄せる際には「家族滞在」や「定住者」資格の申請が必要となります。許可後の生活設計においては以下の点が重要です。
- 就職時は、企業側が在留資格の種類を確認できる体制を整えておくこと
- 配偶者や子どもを呼び寄せる場合は、扶養能力を示す資料(収入証明など)が求められる
- 家族の在留資格も適宜更新・変更が必要になるため、忘れずに対応を
再度の不法滞在リスクの防止策
在留特別許可は「一度限りの例外的な措置」であることが多く、再度の不法滞在が発覚した場合、再許可は極めて難しくなります。
以下のような予防的な行動が求められます。
- 在留カードの期限管理 – 更新時期を確実に把握し、遅れず申請する
- 転職や転居の際の届出 – 在留資格によっては変更の届け出義務がある
- 犯罪・行政違反の回避 – 軽微な違反でもビザ更新に影響する可能性がある
- 定期的な専門家への相談 – 特に生活や就労環境が変わったときは、行政書士や弁護士に確認する
在留特別許可が認められた後の生活は、法的にも社会的にも「正規の滞在者」としての新しいスタートを切ることを意味します。
その一方で、適切な在留資格の管理、社会保険や税務などの手続き、就労ルールの遵守といった新たな責任も生じます。
安心して日本で生活を続けるためには、在留管理・社会制度・法的義務をきちんと理解し、常に正しい情報にアクセスする姿勢が欠かせません。
そして、それを支える制度や専門家の力を、ぜひ積極的に活用してください。
在留特別許可を企業が知るべき理由とは
企業が外国人を雇用する際、正規の在留資格だけでなく、在留特別許可という例外的措置についても正しく理解しておくことは重要です。
これは不法滞在状態からの救済措置であり、通常のビザとは異なる位置づけにありますが、人道的・社会的な理由から法的に認められるケースも少なくありません。
このセクションでは、企業が在留特別許可に関する知識を持つことの意義、雇用の可否、社内対応の方法、そしてCSRやSDGsとの関係性まで、多角的に解説します。
外国人雇用のリスクマネジメントとしての理解の重要性
外国人労働者を雇用する企業にとって、在留資格の確認と管理は法的リスクを避けるための基本中の基本です。
特に在留特別許可者は、一般的な就労ビザとは異なるため、曖昧な理解のまま採用すると入管法違反や企業側の処罰の対象となる可能性があります。
企業がとるべき対策としては以下のようなものがあります。
- 在留カードと指定書の確認 – 在留資格の種類、就労制限の有無を明確にする
- 雇用契約書や賃金支払い方法の適正化 – 搾取と誤解されない透明な管理
- 在留期限の管理体制 – 更新忘れや不法滞在のリスクを社内で防止
「知らなかった」では済まされないリスク管理の観点から、企業としての知識武装が求められます。
在留特別許可者の雇用は可能?現場対応と法的配慮
在留特別許可者の就労可否は、付与された在留資格によって異なります。
多くの場合、「定住者」「特定活動」などの形で在留が許可され、一定の条件下で就労が可能となります。
企業としては、採用前に以下を確認することが大切です。
- 在留資格の種類と活動内容の制限
- 指定書に「就労可」の記載があるか
- 副業や職種の変更が可能かどうか
特に現場での対応としては、配慮ある職場環境の整備や日本語支援の導入、トラブル時の対応フローの明文化などが求められます。
単なる労働力としてではなく、社会の一員として接する姿勢が信頼を生みます。
ビザ更新・変更の支援で企業価値を高めるチャンス
在留特別許可者は、初回の許可後に在留資格の更新や変更を必要とするケースが多くあります。
企業がこのプロセスを理解し、適切なサポートを提供できれば、離職の防止や人材の定着にもつながります。
企業が支援できる内容としては
- 行政書士との連携による申請サポート
- 必要書類(雇用契約書、在職証明など)の迅速な発行
- 更新期限に合わせたスケジュール管理
これらのサポートは、外国人従業員からの信頼醸成に直結するだけでなく、社外に向けたダイバーシティの取り組みとしてもPR材料となります。
CSR・SDGsの観点からの社会的責任と信頼構築
近年、多くの企業がCSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)に基づいた経営方針を重視しています。
在留特別許可者の雇用や支援は、社会的包摂と多文化共生の実践例として、これらの理念と密接に関わります。
とくに以下の観点が重要です。
- SDGs目標8「働きがいも経済成長も」への貢献
- 地域とのつながり強化とレピュテーションの向上
- 人道的支援の実践としての企業姿勢
制度や支援を正しく理解し、法を守りつつも人道的視点を取り入れる企業は、社会からの信頼と評価を得ることができます。
在留特別許可は一般的な就労ビザとは異なる制度ですが、企業がこの仕組みを正しく理解し、適切に対応することは、リスク回避だけでなく、人材の多様性や企業価値の向上にもつながります。
雇用の場面における「配慮」と「法令順守」を両立させることは、これからの時代の人事戦略の鍵です。
CSRやSDGsへの貢献を意識した雇用姿勢は、企業にとっても大きな強みとなるでしょう。
在留特別許可を正しく理解し、支援と共生の第一歩へ
在留特別許可は、不法滞在の状態にある外国人に対し、人道的・社会的な事情を考慮して法務大臣の裁量により在留を特別に認める制度です。
制度の性質上、明確な基準やルールが存在しない部分も多く、本人はもちろん、支援する立場の行政書士や企業、地域社会にとっても高い理解と慎重な対応が求められます。
この記事では、以下のような重要なポイントを網羅しました。
- 制度の目的や法的根拠
- 対象者の類型と判断基準
- よくある認定事例と不許可になりやすいパターン
- 申請プロセス・審査期間・必要書類
- 仮放免との関係性や生活上の変化
- 支援に関わる専門家・団体の活用方法
- 企業が果たすべき社会的責任
特に企業においては、外国人労働者の受け入れに際し、在留資格の正確な確認と配慮のある雇用体制の整備が重要です。
また、SDGsの時代においては、多様な背景を持つ人々の共生を支えることが、企業の信頼やブランド価値の向上にもつながります。
法と人道のバランスの中で、この制度をどのように活用し、支援していくのか。
その姿勢こそが、今後の日本社会に求められる「共に生きる社会づくり」への第一歩です。
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