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11/28 (金)更新

在留カードの「就労不可」とは?働ける条件・確認方法・変更手続きを徹底解説

外国人を雇用する企業や、留学生・家族滞在などの在留資格を持つ人が必ず確認すべき項目が、在留カードに記載された「就労制限の有無」欄です。

そこに「就労不可」と書かれている場合、原則として働くことは認められていません。

しかし、資格外活動許可を受ければ一定の範囲でアルバイトができるケースもあり、誤解しやすい点でもあります。

実際、「就労不可」と書かれた外国人を誤って雇用し、企業が不法就労助長罪に問われるケースも少なくありません。
一方で、正しく制度を理解していれば、合法的に働く方法や資格変更による就労許可も可能です。

この記事では、

  • 「就労不可」の正確な意味と範囲
  • 資格外活動許可で働ける条件と手続き
  • 企業が雇用時に確認すべき在留カードのチェックポイント
  • 「就労不可」から「就労可能」に変更する具体的な流れ
  • 最新のDX化による在留カード確認の仕組み

     

までをわかりやすく整理します。
在留カードの「就労不可」表記に迷う方も、この記事を読めば**“何ができて何ができないのか”を明確に理解し、安全に雇用・就労を進める**ことができるでしょう。

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在留カードに書かれた「就労不可」とは何を意味するのか

在留カードには、表面右下に「就労制限の有無」という欄があります。

ここに「就労不可」と記載されている場合、その在留資格では報酬を得る活動(労働)を行うことが認められていないという意味です。

つまり、基本的にアルバイトやパート、正社員として働くことはできません。
ただし、全ての活動が制限されるわけではなく、資格外活動許可などを受けることで例外的に働けるケースもあります。

在留カードの「就労制限の有無」欄の見方

在留カードの該当欄には、次の3種類の記載があります。

表記内容意味主な対象
就労制限なしどの職種でも就労可能永住者・定住者・日本人の配偶者など
就労制限あり指定された職種のみ就労可能技術・人文知識・特定技能・介護など
就労不可原則として働けない留学生・家族滞在・文化活動など

この表記は、在留資格の種類に基づいて法務省が自動的に付与しており、個人が選ぶことはできません。
採用前には、必ず在留カードを提示してもらい、この欄を確認することが不法就労防止の第一歩です。

「就労不可」と記載されている意味と範囲

「就労不可」は、報酬を伴う全ての活動が禁止されることを指します。
たとえば以下のような活動が該当します。

  • 会社・店舗でのアルバイト・パート

     

  • 業務委託・フリーランスとしての報酬活動

     

  • SNS・動画投稿による広告収入(インフルエンサー収益など)

     

一方で、報酬を得ないボランティア活動や学内プロジェクトへの参加は許可されています。
したがって、「就労不可」とは単に「働けない」ではなく、金銭的対価を伴う一切の労働行為を禁止していることを意味します。

就労が認められない在留資格の種類

「就労不可」となる代表的な在留資格は以下の通りです。

在留資格名主な対象備考
留学大学・専門学校などの学生資格外活動許可で週28時間以内の労働は可
家族滞在就労ビザを持つ外国人の家族原則働けないが資格外活動許可で一部可
文化活動芸術・研究・学習目的の滞在者報酬の発生しない活動のみ可能
研修技能習得目的の短期滞在者資格外活動許可の対象外

これらの在留資格は**「生活の主目的が就労ではない」**ため、原則として労働が制限されているのです。

「就労制限なし」との違いを理解しよう

一方、「就労制限なし」と記載されている在留カードでは、自由に働くことが可能です。
対象となるのは以下のような永住・定住関連資格です。

  • 永住者

     

  • 日本人の配偶者等

     

  • 永住者の配偶者等

     

  • 定住者

     

これらの資格を持つ人は、職種・業種・雇用形態を問わず就労できるため、転職や副業も自由です。
企業にとっても、最もリスクの少ない雇用対象といえます。

まとめ:就労制限欄の確認は雇用リスク防止の第一歩

在留カードの「就労制限の有無」欄は、外国人雇用における最重要チェック項目です。

「就労不可」と書かれている場合は、資格外活動許可がない限り働けません。

採用前にこの欄を確認し、必要であれば資格外活動許可や在留資格変更の可能性を検討しましょう。
カード1枚で雇用リスクを防ぐ――それが企業と外国人双方の安心につながります。

「就労不可」でも働けるケースとは?資格外活動許可のルール

「就労不可」と書かれている在留カードでも、資格外活動許可を取得すれば、条件付きで働けるケースがあります。

代表的なのが、留学生や家族滞在ビザを持つ人がアルバイトをする場合です。

ただし、許可なしに働くと不法就労扱いとなり、本人だけでなく企業側にも罰則が科せられます。

資格外活動許可とは何か

資格外活動許可とは、本来の在留資格の活動目的以外に報酬を得る行為を、入管庁が特別に認める制度です。
たとえば、留学生が学費を補うために飲食店でアルバイトを行う場合、この許可を得ていれば合法的に働くことができます。

【ポイント】

  • 許可の有無は在留カード裏面に記載される

     

  • 「資格外活動許可あり(許可:週28時間以内)」などの文言が目印

     

  • 許可なしで働くと「不法就労」として強制退去処分の対象になる

     

アルバイトが認められる条件(留学生・家族滞在ビザの場合)

代表的な2つの資格における労働条件は以下の通りです。

在留資格労働時間上限特記事項
留学生週28時間以内(長期休暇中は週40時間まで)学業が主であることが前提
家族滞在週28時間以内主たる扶養者の生活を妨げない範囲で可

また、深夜勤務・風俗業・警備業などは就労禁止分野に指定されており、許可があっても従事できません。
企業が採用する際は、勤務時間の管理責任を負うことを理解しておく必要があります。

資格外活動許可の申請方法と必要書類

申請は本人または受入先企業が出入国在留管理局に提出します。

主な必要書類:

  • 資格外活動許可申請書

     

  • 在留カード・パスポート

     

  • 在学証明書または在留資格証明書

     

  • 雇用契約書または採用証明書

     

  • 勤務先の概要資料(業種・所在地など)

     

審査期間は通常2〜4週間。許可されると、在留カード裏面に**「資格外活動許可あり」**と印字されます。

許可を得ずに働いた場合のリスクと罰則

資格外活動許可を得ずに働くと、入管法第19条により不法就労と判断されます。
違反した場合の主なリスクは以下の通りです。

  • 本人:在留資格の取消・強制退去・再入国禁止

     

  • 企業:不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)

     

「短時間だから」「知人の紹介だから」といった理由でも免責されません。
“働く前に必ず許可を確認”――これが外国人雇用の基本ルールです。

まとめ:資格外活動許可は「例外的な働く権利」

「就労不可」の在留カードでも、資格外活動許可を得れば合法的に働くことが可能です。
しかしその範囲は限られており、本来の在留目的(学業・扶養など)を損なわないことが前提です。
企業側も「許可の有無」「勤務時間」「業種」を定期的に確認し、不法就労を未然に防ぐ管理体制を整えましょう。

在留カード裏面で就労可否を確認する方法

外国人を採用する際、最も重要なのが**「その人が合法的に働けるかどうか」の確認です。
この判断に必要な情報は、在留カードの裏面(就労制限に関する記載欄)**に明記されています。
表面の「就労制限の有無」だけでは不十分な場合もあるため、裏面の記載内容を正確に読む力が企業側に求められます。

裏面記載の見方とチェックポイント

在留カード裏面には、資格外活動許可や就労制限の詳細が記載されています。
主な記載パターンは以下の通りです。

記載内容意味就労の可否
「資格外活動許可あり(週28時間以内)」一定条件でアルバイト可能○(制限付き)
「資格外活動許可なし」働けない×
「就労制限なし」すべての職種で就労可能
記載なし入管庁確認が必要△(要確認)

確認時のポイント:

  • 許可の有無だけでなく、「時間・業種の制限」が明記されているかを確認

     

  • 印字が古い場合は最新の在留期間更新後カードを提示してもらう

     

  • 書き換えや改ざんが疑われる場合は**法務省「在留カード等番号照会システム」**で確認可能

     

企業の採用担当者は、裏面を撮影・保管し、雇用時点での記録を残すことが望ましいです。

就労不可の記載がない場合の確認手順

まれに、在留カード裏面に「就労可否に関する記載がない」ケースがあります。
この場合、以下の手順で確認しましょう。

  1. 在留カードの表面に記載された「在留資格名」を確認

     

  2. 入管庁の公式サイト「在留資格一覧表」で、その資格が就労可かを照会

     

  3. 必要に応じて、入管庁窓口や行政書士に問い合わせ

     

また、留学生や家族滞在者の場合は、裏面に**「資格外活動許可」**の文言がなければ一切働けません。
裏面が空欄だからといって「働いていい」と判断するのは危険です。

在留資格ごとの就労制限の見分け方

在留資格ごとに、就労の可否は明確に区分されています。

区分主な在留資格就労可否
就労制限なし永住者、日本人の配偶者、定住者制限なし(自由就労)
就労制限あり技術・人文知識・国際業務、特定技能、介護など専門業務のみ可
就労不可留学、家族滞在、文化活動など原則不可(資格外活動許可が必要)

就労制限を誤って判断すると、企業が法的責任を問われるリスクがあります。
採用前に、在留資格・在留期間・裏面記載の三点を必ず確認しましょう。

まとめ:裏面チェックが不法就労防止の第一歩

在留カードの裏面は、「就労できるかどうか」の最終判断資料です。
表面情報だけで判断せず、裏面の「資格外活動許可」や「制限の有無」を確認することが重要です。
特に、「記載がない」「不鮮明」といった場合は必ず入管庁に確認を行い、企業側の確認責任を果たすことで不法就労リスクを回避しましょう。

就労不可の外国人を雇用した場合の企業リスク

在留カードに「就労不可」と書かれた外国人を誤って雇用してしまうと、企業は重大な法的リスクを負うことになります。

たとえ「知らなかった」「本人が大丈夫と言っていた」としても、**入管法上の“確認義務違反”**が問われるため、注意が必要です。

ここでは、企業が理解しておくべき罰則・確認手順・防止策を整理します。

不法就労助長罪に問われるケースとは

入管法第73条の2では、外国人の不法就労を助けた事業者に対して**「不法就労助長罪」**を適用しています。

【該当するケース例】

  • 在留カードに「就労不可」とあるのに雇用した

     

  • 在留期間が切れている外国人を働かせた

     

  • 許可外の職種で勤務させた

     

  • 在留カードを確認せず口頭だけで採用した

     

【罰則】

  • 懲役3年以下または罰金300万円以下(個人事業主も対象)

     

  • 法人の場合、社会的信用失墜や行政処分のリスクも大きい

     

「雇用者が知らなかった」では免責されないのがこの罪の特徴です。

企業側が行うべき在留カード確認手順

企業は採用時に、以下の手順で在留カードを確認する必要があります。

  1. 在留カードの原本を目視確認(コピーのみは不可)

     

  2. 就労制限の有無欄と裏面記載の内容を確認

     

  3. 在留期間・資格外活動許可の有効期限を確認

     

  4. 必要に応じて入管庁の「在留カード等番号照会サイト」で真偽確認

     

さらに、雇用後は**「外国人雇用状況届出書」**をハローワークに提出し、継続的に在留資格の有効性を管理します。

「知らなかった」では済まされない法的責任

入管法では、企業が確認を怠った時点で“助長”とみなされる可能性があります。
つまり、「本人が偽カードを提示していた」「採用担当が見落とした」といった理由でも、企業側の確認体制の不備として扱われるのです。

そのため、企業は以下を徹底する必要があります。

  • 在留カード原本の提示を義務化

     

  • 採用書類に在留資格・期限欄を設ける

     

  • 社員教育で不法就労防止の意識を共有する

     

**「確認しなかった」=「黙認した」**と判断されるリスクを常に念頭に置きましょう。

雇用管理上の防止策と社内ルール構築のポイント

不法就労を防ぐための社内体制づくりも重要です。

企業が取るべき主な対策:

  • 採用時のチェックリストを標準化

     

  • 在留カードの有効期限管理をシステム化

     

  • 更新時期の自動通知・再確認のルール化

     

  • 外国人雇用担当者に定期研修を実施

     

また、外国人本人にも制度の仕組みを説明し、誤解やトラブルを防ぐ社内ガイドラインを整備することが理想的です。

まとめ:確認の徹底が企業コンプライアンスの鍵

在留カードに「就労不可」と記載された外国人を雇用すると、企業は不法就労助長罪や行政処分のリスクを負います。
「知らなかった」では通用しないため、採用時・更新時の二重チェックを徹底しましょう。
在留カードの確認は単なる事務作業ではなく、企業コンプライアンスと社会的信用を守る行為です。

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「就労不可」から「就労可能」に変更する方法

在留カードに「就労不可」と記載されていても、将来的に就労可能な在留資格へ変更できるケースがあります。

たとえば、留学生が卒業後に日本企業へ就職する場合や、家族滞在ビザを持つ配偶者が働くようになる場合などです。

こうした場合は、「在留資格変更許可申請」を通じて新しいビザ(就労ビザ)への切り替えを行うことで、合法的に働けるようになります。

在留資格変更許可の手続きと流れ

在留資格変更許可申請とは、現在の在留資格の目的が変わった場合に行う手続きです。
たとえば「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への変更などが該当します。

【主な流れ】

  1. 就労先が決定(内定または雇用契約締結)

     

  2. 入管庁へ「在留資格変更許可申請書」を提出

     

  3. 審査(通常2〜8週間程度)

     

  4. 許可後、新しい在留カードが発行される

     

申請は**本人または代理人(企業・行政書士)**が行い、現在の在留期間が切れる前に申請することが重要です。
在留期間の残りが1か月を切っている場合は、早急に相談しましょう。

就労ビザへの変更で認められやすい条件

就労ビザへの変更が許可されるかどうかは、在留目的と職務内容の整合性がカギになります。

許可されやすい条件は次の通りです。

  • 日本の学校を卒業しており、学んだ内容と就職先の業務が一致している
     例:経営学専攻 → 企業での営業・企画・経理など

     

  • 雇用契約書に日本人と同等の待遇(給与・勤務条件)が明記されている

     

  • 雇用企業が安定した事業実績を持ち、在留資格に合う事業内容である

     

  • 申請書・添付資料の内容に矛盾がない(実態が正確に示されている)

     

これらを満たすことで、「留学」→「技術・人文知識・国際業務」や「家族滞在」→「特定技能」などへの変更が認められる可能性が高まります。

手続きに必要な書類と注意点

在留資格変更には、以下のような書類が必要です。

【主な提出書類】

  • 在留資格変更許可申請書

     

  • 在留カード・パスポート

     

  • 雇用契約書または採用内定通知書

     

  • 雇用先の会社概要資料(登記簿謄本・決算書など)

     

  • 卒業証明書または成績証明書(留学生の場合)

     

  • 理由書(在留目的の変更理由を説明)

     

注意点:

  • 雇用内容が在留資格の目的とずれていると不許可

     

  • 虚偽記載や書類不備があると再申請が必要

     

  • 審査中は原則として就労できない(許可を待ってから勤務開始)

     

行政書士・専門家に相談すべきケース

次のようなケースでは、専門家(行政書士・入管取次者)への相談をおすすめします。

  • 自身の在留資格と就職内容の関連性が不明確

     

  • 書類作成や理由書の書き方に不安がある

     

  • 不許可になった後の再申請を検討している

     

  • 企業側が複数の外国人を雇用予定で一括手続きを行いたい

     

専門家に依頼することで、入管庁への説明書類の完成度が高まり、審査通過率を向上させることができます。

まとめ:正しい手続きで「働ける在留資格」へのステップアップを

「就労不可」の在留資格であっても、条件を満たせば就労ビザへの変更は可能です。
重要なのは、在留目的・雇用内容・書類の整合性を正しく整えること。
入管庁の判断基準を理解し、専門家のサポートを活用すれば、安心して働ける資格へのステップアップが実現します。

「就労不可」でも可能な活動・注意すべき制約

「就労不可」とされている在留資格でも、すべての活動が禁止されているわけではありません。

報酬を伴わないボランティアや学内活動などは合法的に行えるケースがあります。

ただし、活動内容によっては「就労」とみなされるおそれもあり、線引きを誤ると不法就労扱いになる可能性があるため注意が必要です。

ボランティア・学内活動などの非就労行為

報酬を受け取らない範囲であれば、以下のような活動は「就労」に該当しません。

  • 学校行事や地域清掃などのボランティア活動

     

  • 無償でのインターンシップ(教育目的の範囲内)

     

  • 文化・学術的な発表会や展示会への参加

     

  • 学校内での研究補助(報酬を受け取らない場合)

     

これらの活動は、「生活費を得るための労働」ではなく社会貢献的活動とみなされます。
ただし、実質的に対価を得ていると判断されると、不法就労とみなされるリスクが生じます。

報酬を伴う業務と無報酬活動の線引き

報酬の有無によって「就労」と「非就労」の判断が分かれます。

活動内容判断備考
無償の地域イベント手伝い非就労問題なし
交通費・昼食代のみ支給原則非就労支給額が実費相当なら可
対価として商品券・金銭を受け取る就労と判断される可能性あり許可なしは違法
SNSや動画投稿で広告収益を得る就労に該当注意が必要

**「名目上はボランティアだが実質的に報酬を得ている」**というケースが最もリスクが高く、入管から警告・処分を受けることもあります。

就労不可資格者が関わりやすいトラブル事例

実際に発生しているトラブルとして、以下のようなケースが多く報告されています。

  • 「交通費支給」と言われたが、実際は報酬として支給されていた

     

  • 無償インターンのはずが、労働時間管理を求められた

     

  • 留学生が知人の会社で手伝いをして報酬を受け取り、資格外活動許可違反で退去処分になった

     

これらは、本人の認識不足だけでなく、企業側の管理不備が原因となることも少なくありません。
就労不可資格者を関与させる場合は、契約書や依頼文書で「報酬なし」「実費のみ支給」などを明確に記載しておくことが重要です。

まとめ:非就労活動でも「金銭の授受」があると要注意

「就労不可」の在留資格でも、ボランティアや学術的な活動などは可能です。
しかし、金銭や物品の提供があると“実質的な就労”と見なされる場合があります。
本人・企業ともに、「これは報酬にあたるか?」という視点を常に意識し、活動内容と目的を明確に区分することが安全策です。

トラブルを防ぐためのチェックリストと相談先

外国人雇用におけるトラブルの多くは、採用時点の確認不足や社内ルールの欠如から発生しています。
在留カードの内容確認を徹底し、明確な運用ルールと相談体制を整えることで、不法就労や資格違反のリスクを大幅に減らすことが可能です。
ここでは、採用前に行うべきチェック項目と、万が一困った際に頼れる行政・専門機関を紹介します。

採用前に確認すべき在留カード情報一覧

採用前に必ず確認すべきポイントは次のとおりです。

チェック項目確認内容注意点
在留資格名就労可能な資格か(例:技術・人文知識・国際業務など)「就労不可」資格は要注意
在留期間期限切れ・更新中でないか期間満了後は自動失効
就労制限の有無「就労制限なし」「就労不可」「資格外活動許可あり」など裏面の記載まで必ず確認
在留カード番号改ざん防止のため公式サイトで照会不一致があれば不法滞在の疑い
裏面の資格外活動許可週28時間以内などの制限があるか留学生・家族滞在者は特に注意

採用段階でこれらを確認し、コピーを保管しておくことが法的リスクの回避につながります。

社内での外国人雇用ルールの作り方

外国人雇用を継続的に行う企業では、社内の管理ルールを明文化することが不可欠です。
以下のステップで体制を整えましょう。

  1. 採用前チェックリストを標準化(担当者間で判断基準を統一)

     

  2. 在留期間管理台帳の作成(更新日を自動リマインド化)

     

  3. 就労内容・勤務時間の定期確認(資格外活動許可範囲の遵守)

     

  4. 社員研修で法令遵守意識を共有

     

  5. 更新・変更時に再確認ルールを設定

     

特に複数拠点や派遣先がある場合、現場単位でも在留カードを確認できる仕組みを整えることが重要です。

困ったときに相談できる行政機関・専門家

外国人雇用に関する疑問やトラブルが発生した際は、以下の窓口が役立ちます。

相談先内容連絡先・特徴
出入国在留管理局在留資格・資格外活動許可などの確認最寄りの地方入管局または支局
外国人在留総合インフォメーションセンター各種制度・在留手続きに関する電話相談日本語・英語など13言語対応(0570-013904)
ハローワーク外国人雇用サービスセンター雇用管理や求人相談東京・大阪など主要都市に設置
行政書士・入管取次者書類作成・申請代行・不許可時の対応企業顧問としての継続支援も可能

早期に専門家へ相談することで、申請ミスや法令違反を未然に防止できます。

まとめ:社内整備と相談体制がトラブル防止のカギ

外国人雇用でトラブルを防ぐためには、採用前チェック・社内ルール整備・専門家相談の三本柱が欠かせません。
特に中小企業では、担当者任せにせず、経営層レベルでのコンプライアンス意識を持つことが重要です。
「確認する・記録する・相談する」――この3ステップが、安心・安全な外国人雇用を実現します。

在留カード確認をDX化する流れと企業コンプライアンスの新常識

近年、外国人雇用を取り巻く環境ではデジタル化(DX)による管理効率化が進んでいます。
入管庁や法務省も電子確認システムの整備を進めており、企業がオンラインで在留カードの真偽や有効期限を確認できるようになりました。
人手不足の時代において、DXによる在留カード管理の自動化は企業コンプライアンスの新常識となりつつあります。

オンライン在留カード確認システムの導入拡大

2023年以降、法務省が提供する**「在留カード等番号照会システム」**を活用する企業が急増しています。

【主な特徴】

  • 在留カード番号と有効期限を入力するだけで真偽確認が可能

     

  • 24時間オンラインで利用でき、無料で照会可能

     

  • 偽造カードや期限切れカードを即時に発見できる

     

さらに、一部企業では自社システムと連携した自動チェック機能を導入し、採用時・更新時の確認作業を効率化しています。
これにより、人為的なミスを防ぎ、確認漏れによる不法就労リスクをゼロに近づけることが可能です。

入管庁・法務省の電子照会制度の仕組み

入管庁は現在、在留カード情報をデジタルデータとして企業・自治体間で共有できる**「電子照会制度」**の拡充を進めています。

この制度では、企業が本人同意のもと、在留カードの情報(資格・期間・就労制限)をオンライン照会できる仕組みを整備中です。
今後は、次のような機能も予定されています。

  • 在留期間満了日の自動通知機能

     

  • 資格外活動許可の有効期限自動管理

     

  • 雇用主向けコンプライアンス評価制度との連携

     

これにより、外国人雇用における「確認・管理・更新」がワンストップで行えるようになります。

雇用管理を効率化するデジタル対応のポイント

企業が在留カード確認をDX化する際は、次のポイントを押さえましょう。

  1. オンライン照会を採用プロセスに組み込む

     

  2. 確認履歴を自動保存できる仕組みを導入する

     

  3. 担当者のデジタルリテラシーを高める研修を実施

     

  4. 社内の外国人雇用データベースと入管情報を連携

     

こうした取り組みは、単に業務効率を上げるだけでなく、企業の社会的信頼性の向上にも直結します。
入管法改正や制度更新への対応もスムーズになり、長期的な雇用安定に寄与します。

まとめ:DX化は「確認作業」から「信頼経営」への転換

在留カード確認をDX化することは、単なる事務作業の効率化ではありません。
それは、企業が法令遵守と人材保護を両立させるための経営戦略です。
オンライン確認や電子照会を取り入れることで、不法就労を未然に防ぐ仕組みづくりが可能となります。
これからの時代、外国人雇用における信頼の鍵は、「人が見る」から「デジタルが守る」管理体制へのシフトです。

まとめ:在留カードの「就労不可」は“働けない”ではなく“ルールを守れば働ける”のサイン

在留カードに「就労不可」と書かれていても、すべての働き方が禁止されているわけではありません。
この表記は「現時点では報酬を得る活動が認められていない」という意味であり、資格外活動許可や在留資格変更など、正しい手続きを踏めば就労が可能になります。

外国人本人・企業担当者の双方にとって、重要なのは「理解」と「確認」です。

■ 外国人本人が押さえるべきポイント

  • 裏面の記載内容を必ず確認(資格外活動許可の有無・範囲)

     

  • 働く前に許可を取得し、在留資格の目的を逸脱しないよう注意

     

  • 無報酬活動と報酬活動の線引きを理解し、誤って不法就労にならないようにする

     

■ 企業が徹底すべき管理体制

  • 採用時に在留カードの表面・裏面を必ず確認

     

  • 不鮮明な場合は入管庁のオンライン照会で真偽を確認

     

  • 在留期間や資格内容を台帳で管理し、更新時期を見逃さない仕組みを構築

     

  • 不明点があれば行政書士や専門機関に相談して判断を誤らない

     

さらに、近年は在留カード確認のDX化が進み、企業の責任と管理効率を両立できる時代になっています。
オンライン照会や自動更新通知などの仕組みを導入することで、ヒューマンエラーを防ぎ、企業コンプライアンスと信頼性を高めることが可能です。

「就労不可」の在留カードは、“働けない”のではなく“ルールを守れば働けるチャンス”を示すものです。

入管法や在留制度を正しく理解し、外国人本人と企業が共に法令順守の意識を持つこと

それこそが、不法就労を防ぎながら、安心・安全な外国人雇用を実現する第一歩です。

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