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06/17 (火)更新

在留カードって何?の疑問を3分で解決!更新・再発行もバッチリ

外国人労働者の受け入れが拡大する中で、企業の採用担当者や人事部門が直面している新たな課題のひとつが在留カードの偽造問題です。

 

正規の在留資格を証明するこのカードは、雇用の可否を判断する重要な資料であり、確認を怠れば企業側も処罰の対象になるリスクがあります。

 

特に、偽造カードの質が巧妙化している近年、表面だけでは見抜けないケースも増えており、法的なトラブルや不法就労問題を引き起こしかねません。

 

本記事では、在留カードの基本的な仕組みから、偽造カードの見分け方、企業が取るべき実務対応、紛失・更新時の手続き、そして将来のデジタル化の展望までを総合的に解説します。

 

適切な知識と確認手順を持つことで、企業は法令遵守を果たしつつ、安心して外国人材の雇用を進めることが可能になります。

 

まずは、在留カードの基本情報から押さえていきましょう。

在留カードとは何か?基本情報を押さえよう

外国人雇用を行う企業にとって、在留カードの正確な理解は必須です。

 

在留カードは単なる身分証明書ではなく、その人がどのような目的で日本に滞在しているか、また就労の可否なども明記された極めて重要な公的書類です。

 

この章では、在留カードの法的な意義から構成項目、誰に交付されるかといった基礎知識をわかりやすく解説します。

在留カードの役割と法的な位置づけ

在留カードは、法務省が外国人に交付する身分証明兼在留資格の証明書です。

出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、日本国内に中長期で滞在する外国人に対して発行され、本人確認や在留状況の把握、就労資格の管理などの役割を果たします。

警察や出入国在留管理庁、雇用企業などがこのカードを用いて外国人の在留資格を確認することで、不法就労や不法滞在のリスクを軽減できます。

また、在留カードの携帯・提示義務も法律で定められており、本人は常時携帯していることが求められます

そもそも在留資格とは何か

在留資格とは、外国人が日本に滞在するための法的な地位・目的を示すものです。

たとえば「留学」「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」などの種類があり、それぞれに許可される活動内容と期間が定められています。

在留カードにはこの在留資格が記載されており、企業はその資格が自社での雇用内容と一致しているかを確認する必要があります。

例えば「留学」の在留資格ではフルタイムでの勤務は不可であり、資格外活動の許可があるかどうかの確認が欠かせません。

在留カードに記載されている項目一覧

在留カードには以下のような項目が記載されています。

  • 氏名、生年月日、性別、国籍・地域

     

  • 住居地

     

  • 在留資格、在留期間、在留期限

     

  • 就労制限の有無

     

  • カードの有効期限、交付年月日

     

  • 顔写真とICチップ

これらの情報から、外国人本人の身元と滞在条件を正確に把握することができます

企業側は雇用前にこれらの項目をすべて確認し、特に「就労制限の有無」や「在留期限」には注意を払う必要があります

誰が対象?交付対象者の範囲と例外

在留カードが交付されるのは、日本に中長期間(3カ月超)滞在する外国人が対象です。

以下のような外国人が交付対象となります。

  • 就労ビザ(技人国、技能実習、特定技能など)で滞在する者

     

  • 留学ビザで来日する学生

     

  • 結婚や永住に伴う在留資格を持つ配偶者・家族

     

  • 永住者、定住者、日本人の配偶者など

一方で、以下のようなケースは在留カードの交付対象外です。

  • 観光など短期滞在(90日以下)のビザ保有者

     

  • 外交・公用ビザ保有者

     

  • 在日米軍関係者やその家族(SOFAステータス)

企業が雇用を検討する際には、その外国人がそもそも在留カードの交付対象かどうかもあらかじめ確認しておく必要があります。

在留カードの基本を理解し、企業としての責任を果たそう

在留カードは単なる身分証明ではなく、就労可能かどうかを判断するための最重要書類です。記載項目や交付対象の理解を深めることで、企業側の確認ミスや法的リスクを回避できます。
特に、不法就労や在留資格違反は企業にも重大な責任が問われるケースがあるため、採用前のカード確認は怠ってはなりません
まずは、この基本知識を確実に押さえておくことが、外国人雇用の第一歩です。

詳しくはこちら▶ 在留カードとは? | 出入国在留管理庁

在留カードの受け取りはいつどこで?入国時の流れを解説

外国人が日本で中長期的に働く・学ぶためには、在留カードの受け取りが必須です。

 

特に初めて日本に入国する際は、どのタイミングでカードが交付されるのか、どこで受け取るのかを正確に把握しておくことが重要です。

 

入国手続きやその後の手続きに関する理解が浅いと、企業側の就労開始スケジュールや住民登録の段取りにも影響を与える可能性があります。

 

ここでは、在留資格認定証明書(COE)の取得からカードの交付、市区町村での必要な手続きまで、実務に即した流れを丁寧に解説します。

在留資格認定証明書(COE)取得後の手続き

在留カードの交付は、まず在留資格認定証明書(COE)を取得することから始まります。

COEは、外国人が日本に入国する前に「入国の目的が適切である」と日本政府から認定される証明書です。

企業や学校が日本側の受け入れ機関として申請を行い、出入国在留管理庁から交付されます。

このCOEは、外国人本人が日本大使館や領事館で査証(VISA)を申請する際に必要な書類となり、入国許可の前提条件になります。

COEの有効期限は原則として3カ月であり、その間にVISAを取得し日本へ渡航しなければなりません。

VISA発給と空港での在留カード交付

COEを基にVISAの発給を受けた後、日本に入国する際の主要空港(成田、羽田、関西、中部)では、入国審査の過程で在留カードがその場で交付されます。

正確には、入国審査時に顔写真を撮影され、入国管理官がカードに必要な情報を即時登録・印字し、カード原本がその場で手渡されます

ただし、この時点では仮の登録状態であり、住民登録を行うことで正式な在留カードとして完結します。そのため、カード受け取り後にすぐに次の手続きに進む必要があります。

地方空港経由で入国した場合の受け取り方法

成田や関西などの主要空港以外、たとえば新千歳空港や那覇空港といった地方空港からの入国の場合、空港では在留カードは交付されません

このようなケースでは、「在留カードは後日住民登録後に送付されます」と記載された引換証が発行されます。

この引換証を持参して、住民登録を行った市区町村役所にて、後日郵送または窓口交付により正式な在留カードが届く形になります。

企業側はこのスケジュールを把握しておき、就労開始時にカードが未到着でも焦らず対応できるよう備えることが求められます

住所登録後に必要な市区町村での手続き

日本に入国後、外国人は14日以内に居住地の市区町村役所で住民登録を行う義務があります。

この際、在留カード(もしくは引換証)を提示し、住所を届け出ることで、住民票が作成され、在留カードにも正式な住所が記載されます。

この手続きが完了することで、在留カードの効力が確定し、本人確認書類や就労管理の法的な効力を持つものとして利用できるようになります

また、住民登録後には健康保険・年金手続きや銀行口座開設など、生活基盤を整えるための各種行政手続きが可能になります。

在留カードの受け取りタイミングを理解し、スムーズな雇用へつなげよう

在留カードの交付は、日本で生活・就労するための第一歩です。企業担当者や本人がこの流れを正しく理解しておくことで、手続きの遅延や就労開始のトラブルを防ぐことができます。
主要空港での即日交付と地方空港での後日交付の違い、市区町村での住所登録の重要性をしっかり押さえ、雇用スケジュールや社内準備とスムーズに連携させることが、安心・確実な外国人雇用の鍵となります。

留学生やアルバイトが知っておくべき在留カードのポイント

日本で学ぶ外国人留学生や、資格外活動でアルバイトをしている方にとって、在留カードは単なる身分証ではありません。

 

滞在資格の範囲内で活動していることを証明し、更新や変更の際の基準となる非常に重要な書類です。

 

しかし、多くの留学生が在留カードに関するルールを十分に理解していないため、知らず知らずのうちに違反行為をしてしまうケースも見られます。

 

本セクションでは、アルバイトの許可条件や手続きの注意点、在留カードにまつわる誤解など、特に留学生が知っておくべき重要ポイントをわかりやすく解説します。

資格外活動許可とアルバイトの制限

留学生が日本でアルバイトを行うためには、「資格外活動許可」が必要です。

これは、学業を本分とする在留資格「留学」で滞在している中で、例外的に就労を認める制度です。

許可を得れば、原則として週28時間以内の就労が可能(長期休暇中は1日8時間、週40時間以内)ですが、この制限を超えて働くと不法就労と見なされ、最悪の場合、強制退去や在留資格の取り消しといった重大な処分を受けるリスクもあります。

また、風俗営業関連(パチンコ店、キャバクラ、マッサージ店など)での就労は全面的に禁止されています。

これを破った場合、事業者も雇用主責任を問われることがあるため、学生側だけでなく企業側も注意が必要です。

更新・変更手続きに必要なタイミング

在留カードには「在留期間の満了日」が記載されており、更新手続きはこの期限が切れる前に行う必要があります。

更新申請は原則として在留期限の3カ月前から可能で、遅くとも期限が切れる前には提出しておかなければなりません。

さらに、大学から専門学校への転校、専攻の大幅な変更、卒業後の就労ビザへの切り替えなど、活動内容が変わる場合は「在留資格の変更」が必要です。

この際も、新たな活動内容に応じた在留資格への適用可否が審査されるため、事前の準備や情報収集が不可欠です。

特に就職活動を始めるタイミングでの在留資格変更は多くの学生が直面するため、留学生支援センターや行政書士などの専門家に早めに相談しておくと安心です。

在留カードに関するよくある誤解と注意点

在留カードを巡る誤解や見落としによって、トラブルに発展するケースも少なくありません。たとえば以下のような例があります。

  • カードの期限が切れても学校に通っていれば大丈夫 → 誤解です。在留カードの有効期限が切れていれば、不法滞在とみなされる可能性があります。

     

  • アルバイト先にカードを見せているから問題ない → 実際には資格外活動許可がカードにスタンプや別紙で添付されているかどうかまで確認が必要です。

     

  • 転居しても住所変更を届け出なくてよい → これも誤りで、14日以内に新しい住所を市区町村に届け出る義務があります。違反すると罰金や行政指導の対象になります。

また、カードの携帯義務を軽視して持ち歩かない学生もいますが、これは出入国管理法違反です。

警察や入管職員から提示を求められた際に不携帯だと、警告・罰金を受けることがあります。

在留カードの理解は留学生生活の基盤となる

留学生やアルバイトをしている外国人にとって、在留カードの取り扱いや制度理解は、学業や生活、就労の安定に直結する基本ルールです。
週28時間の就労制限、資格外活動の範囲、更新・変更の正確なタイミングを把握しておけば、不要なトラブルを防ぎ、自分のビザステータスを安心して維持できます。
誤解やうっかりミスによる不利益を避けるためにも、在留カードのルールを今一度しっかり確認しておきましょう。

偽造在留カードの見分け方と確認方法

在留カードの偽造は年々巧妙化しており、企業が知らずに偽造カードを見落としてしまうケースも増えています。

 

特に外国人雇用が増加している昨今、在留カードの真偽確認は企業側の重要なリスク管理の一環です。

 

もし偽造カードを見抜けずに雇用してしまえば、不法就労助長罪などの法的責任を問われる可能性もあります。

 

本章では、企業担当者が実践できる偽造カードの見分け方やチェック手順、対応フローまでを具体的に解説します。

在留カードの確認手順とチェックポイント

在留カードの真偽を確認する際は、見た目だけでなく制度的な視点からも多角的にチェックする必要があります。

以下のポイントが確認の基本です。

  • 有効期限の確認 – 満了していないかをまず確認。

     

  • 顔写真と本人の照合 – 写真と実際の顔立ち、年齢感、表情の一致を見る。

     

  • カード表面のフォントや印刷状態 – にじみやズレ、不自然な文字があれば偽造の可能性。

     

  • 在留資格の記載と業務内容の整合性 – たとえば「留学」資格でフルタイム就労している場合は不自然。

また、カード裏面の「資格外活動許可欄」に記載があるかも重要です。

記載がなければアルバイトは原則不可となるため、見落としがないようにしましょう。

ICチップ読み取りアプリの活用法

見た目だけでは判断が難しい場合、ICチップを読み取ることが有効な手段となります。

現在、出入国在留管理庁が提供している「在留カード等読取アプリケーション(無料)」をスマートフォンにインストールすることで、在留カードのICチップ情報と表面情報の一致を確認できます。

このアプリでは以下のような情報を確認可能です。

  • 氏名、生年月日、性別

     

  • 在留資格とその期限

     

  • カード発行番号

企業が採用面接時などにこのアプリを用いることで、その場で真偽確認を行う体制が整えられ、リスク管理が強化されます。

ただし、読み取りにはNFC対応スマートフォンが必要となる点に留意しましょう。

就労制限の確認と企業が注意すべき点

就労制限の有無を見逃すと、知らぬ間に不法就労を助長してしまう恐れがあります。

たとえば、以下のような注意点が挙げられます。

  • 「留学」や「家族滞在」などの資格では就労不可、または制限付き

     

  • 「特定活動」には内容により就労可否が異なるケースもある

     

  • 「就労不可」の記載があるカードでの雇用は違法

企業側は、採用時に「在留資格」と「就労の可否」を必ず確認し、必要に応じて資格外活動許可証の提示も求めるべきです。

特にアルバイト雇用の場合は、「資格外活動許可」がカードに表示されているか、または別紙で交付されているかを確認しましょう。

偽造カード発見時の対応フロー

万が一、偽造の疑いがある在留カードを発見した場合、企業は迅速かつ適切な対応が求められます。

以下は基本的な対応フローです。

  1. 本人に確認をとる – まずは穏やかに本人にカードについて質問し、再確認を促す。

     

  2. コピーを保管せず原本を提出依頼 – 疑いがある場合、カード原本を基に再度チェック。

     

  3. 入管・出入国在留管理局に相談 – 不審な点が解消しない場合、最寄りの入管へ相談・通報。

     

  4. 雇用を一時保留:確認が完了するまで雇用開始を延期する。

これらの対応を怠ると、「不法就労助長罪(懲役3年以下・罰金300万円以下)」の適用リスクがあります。

「知らなかった」では済まされないため、企業としてのリスク管理体制を常に整備しておくことが大切です。

偽造在留カードのチェックは企業リスク管理の要

外国人雇用が進む中、在留カードの真偽確認は企業の責任として極めて重要な業務となっています。
目視・IC読み取り・就労制限の確認を徹底することで、不法就労のリスクを最小限に抑えることができます。
また、偽造カードの発見時には速やかに入管と連携し、適切な対応を取ることが企業防衛の第一歩です。
採用の現場では、カード確認のチェックリストを整備し、全担当者が同じ基準で運用できる体制づくりを進めましょう。

企業が在留カード確認で気をつけるべき実務ポイント

外国人を雇用する企業にとって、在留カードの確認は義務であると同時に重大なリスク管理でもあります。

 

近年では偽造カードや有効期限切れカードを見落としたことで、企業側が不法就労助長罪に問われるケースも増えています。

 

そのため、単に在留カードを“見た”だけでは不十分です。

 

原本確認やコピーの保存、更新管理、社内ルールの整備など、実務に即した対応が求められます。

 

本記事では、在留カード確認時に企業が注意すべき具体的なポイントと対策をわかりやすく解説します。

在留カードのコピー取得と原本確認の重要性

在留カードのコピーだけで済ませるのは非常に危険です。

なぜなら、偽造されたカードのコピーは外見上では本物と区別がつかない場合があるからです。

そのため、必ず原本を確認し、コピーはその証拠として保管するのが基本です。

原本確認では以下をチェックします。

  • 顔写真と本人が一致しているか

     

  • 在留資格と就労予定業務に矛盾がないか

     

  • 有効期限が切れていないか

     

  • 資格外活動許可の有無(留学生・家族滞在などの場合)

原本の提示を拒む応募者には注意が必要です。

また、面接時の確認だけでなく、定期的なチェック体制を構築することで、更新忘れの防止にもつながります。

再入国・更新手続き時の対応方法

外国人従業員が一時帰国や在留期間の満了を迎える場合は、企業側でもそのスケジュールを正確に把握しておく必要があります。

対応のポイントは以下の通りです。

  • 出国予定がある場合は再入国許可の取得有無を確認

     

  • 再入国からの帰国後には、在留カードが有効か再確認する

     

  • 在留期限の2〜3か月前から更新準備を始めるのが理想

     

  • 更新手続きが未完了のまま就労させないよう注意する

更新時に本人まかせにせず、企業側で在留カードの期限を管理する仕組み(Excel管理、通知アプリなど)を設けることが重要です。

これにより、「うっかり失効」を未然に防げます。

不法就労防止のための社内ルールづくり

在留カード確認を属人的な対応に任せてしまうと、確認漏れが起こりやすくなります。

全社的に統一された運用ルールを明文化し、マニュアル化することが重要です。

具体的には以下のような社内ルールが推奨されます。

  • 在留カードの原本確認とコピー保管を義務付ける

     

  • 更新スケジュールを一覧で管理し、アラート通知する

     

  • 在留資格別の就労制限内容を一覧で整理し、担当者に共有

     

  • ICチップ読み取りアプリの活用を義務づける

     

  • 新規雇用時には「在留カード確認チェックシート」を記入

また、違反があった際の内部通報窓口や、確認ミスが起きた場合の対処フローも明確にしておくことで、トラブル時の初動対応がスムーズになります。

雇用時にカードの有効性をどう判断するか

在留カードが本物かどうか、有効なものかどうかを判断するには、複数の視点から確認する必要があります。

雇用時に確認すべき主なポイント

  • 在留資格が雇用業務に適合しているか

     

  • 就労制限の有無と内容

     

  • カード表面に不自然な加工・字体の異常がないか

     

  • ICチップの読み取り結果と表記情報が一致しているか

とくに技能実習、特定技能、留学など、就労に制限のある資格を持つ人の雇用には、専門的な確認が求められます。

少しでも不明な点がある場合は、入管への相談や行政書士への確認をためらわない姿勢が企業防衛には欠かせません。

在留カード確認は“採用前”から“雇用後”までの継続管理がカギ

在留カードの確認は、一度きりの作業ではなく、雇用前・在職中・更新時と段階的に管理すべきプロセスです。
コピーの保存、原本確認、ICチップ読み取り、社内のマニュアル整備など、組織全体で取り組む体制が企業リスクを軽減します。
外国人材の活用が進むいまこそ、在留カード確認を“形式”から“実務対応”へと進化させることが、コンプライアンス強化と健全な雇用環境の構築につながります。

在留カードの紛失や更新時に必要な手続き

在留カードは、外国人が日本に在留するための身分証明書であり、紛失や期限切れなどが発生した場合には、速やかな対応が求められます。

 

対応を怠ると、不法在留とみなされる可能性もあるため、適切な手続きの流れや必要書類を把握しておくことが非常に重要です。

 

このセクションでは、在留カードの紛失・盗難・更新・資格変更といった各ケースに応じた対応方法をわかりやすく解説します。

紛失・盗難時の再交付手続きの流れ

在留カードを紛失または盗難にあった場合、まず行うべきは警察への届出です。

その後、所管の出入国在留管理局で「在留カード再交付申請書」を提出し、再交付の手続きを行います。

主な流れは以下の通りです。

  1. 警察で遺失届または盗難届を提出し、受理番号を取得

     

  2. 14日以内に出入国在留管理局で再交付手続きを実施

     

  3. 必要書類 – 在留カード再交付申請書、パスポート、証明写真(縦4cm×横3cm)

     

  4. 場合によっては理由書の提出を求められる

再交付までは数日から2週間程度を要するため、その間に本人確認が必要な場面(銀行口座開設、就業手続きなど)がある場合は、受理番号を提示できるよう準備しておきましょう。

有効期限が近いときの注意点と必要書類

在留カードには在留期限およびカードの有効期限が設定されています。

これらは同一であるとは限らず、在留資格が更新されても、カード自体の有効期限が別途定められているケースもあるため注意が必要です。

更新は原則として期限の3か月前から申請可能であり、以下の書類が必要になります。

  • 在留期間更新許可申請書

     

  • 現在の在留カード(原本)

     

  • パスポート

     

  • 顔写真(縦4cm×横3cm、6か月以内に撮影)

     

  • 理由書や雇用契約書などの補足書類(資格により異なる)

更新が遅れると不法滞在とみなされる恐れがあるため、企業側も期限管理を徹底することが求められます。

また、学生から就労へ、技能実習から特定技能へと在留資格が変わる場合は、別途手続きが必要です(次項参照)。

在留資格変更時のカード情報の扱い

在留資格が変更された場合、その内容が反映された新しい在留カードが発行されます。

この手続きは単なる更新ではなく、「在留資格変更許可申請」が必要です。

たとえば、留学生が就職して「技術・人文知識・国際業務」へ変更する場合、新たなカードが発行されます。

カードの番号も変わるため、企業側でも再提出を求め、記録の差し替えが必要です。

必要書類の例

  • 在留資格変更許可申請書

     

  • パスポートと在留カード

     

  • 新たな在留目的を証明する書類(例:雇用契約書)

     

  • 本人の履歴書や卒業証明書(就労系資格の場合)

在留資格変更時のカード更新を忘れると、実態とカード情報が不一致となり、トラブルや審査の遅延を招く原因となります。

手続き後は、企業でもカード写しの更新と再確認が必要です。

在留カードの手続きは「失くす前」「切れる前」「変わる前」の早期対応がカギ

在留カードに関する手続きは、紛失・更新・資格変更など、あらゆる場面で発生しますが、いずれも“早めの対応”がリスク回避の基本です。
とくに企業側は、在留カードの有効性が業務継続に直結するため、本人任せにせずスケジュール管理や確認体制を整えることが求められます。
在留カードを「確認して終わり」ではなく、「継続的にチェックする」姿勢が、不法就労の予防と健全な職場づくりの鍵となります。

在留カードのデジタル化と未来の本人確認手続きの行方

在留カードは現在も物理カードとしての役割が中心ですが、近年ではICチップ搭載による機能強化や、行政手続きのオンライン化といった“デジタル化”の波が確実に押し寄せています。

 

マイナンバーカードやスマートフォンとの連携が進むことで、外国人の在留管理の形も大きく変わろうとしています。

 

本人確認の高度化、利便性の向上、不正防止策の強化など、今後の展望を踏まえながら、最新の動きとその先にある未来像を解説していきます。

ICチップの活用と行政のオンライン化の現状

現在の在留カードにはICチップが内蔵されており、記載情報の改ざんや偽造を防ぐ仕組みが導入されています。

ICチップ内のデータは、専用アプリやICカードリーダーを使うことで読み取ることができ、記載内容との一致も確認可能です。

また、出入国在留管理庁をはじめとした関係機関では、本人確認や資格審査の一部手続きがマイナポータル連携によりオンラインで可能になりつつあります。

これは、行政全体のデジタル化政策と連動しており、「対面での申請が原則」だった制度が、今後はデジタル化を前提とした構造へと転換する兆しを見せています。

マイナンバーカードとの連携が進む可能性は?

将来的な議論の中心として注目されているのが、マイナンバーカードとの一体化やデータ連携の可能性です。

すでに日本人については、マイナンバーが本人確認や行政手続きの基盤として機能しており、外国人に対しても在留資格や在留期間、活動内容といったデータをマイナンバーと連動させる構想が進んでいます。

メリットは以下の通りです。

  • 在留カードとマイナンバーの一体化で本人確認が簡素化

     

  • 各行政手続きがスマート化し、二重提出の手間が削減

     

  • セキュリティ向上により、偽造カードや不正就労防止につながる

とはいえ、個人情報の取り扱いやプライバシーへの配慮が課題として残るため、全面的な導入には慎重な検討が求められています。

将来的なスマホアプリでの在留資格管理の構想

デジタル庁や出入国在留管理庁では、将来的に在留資格や在留期間の管理をスマートフォンアプリで完結できるようにする構想が検討されています。

たとえば、在留カードの更新通知・有効期限の自動管理・オンライン申請の進捗確認などをアプリ内で完結させることで、外国人本人の利便性と行政側の効率性を同時に高めることが期待されています。

一例として挙げられるのは以下のような機能です。

  • 在留カードのデジタル表示(QRコードやIC情報の照会)

     

  • 期限通知機能による「うっかり期限切れ」の防止

     

  • 雇用主側がスマホで在留資格の確認を行える管理機能の搭載

このような仕組みは、特に外国人労働者が多くなる中小企業や、手続きに不慣れな受け入れ企業にとっても有用です。

法務省や出入国在留管理庁の動向と併せて、今後の実現性に注目が集まっています。

在留カードの未来は“持つ”から“管理する”へ

在留カードのデジタル化は、単なる形式の変更にとどまらず、在留管理そのものの発想を根底から変えようとしています。
今後は物理カードからスマホアプリへの移行、マイナンバーとの統合、手続きの完全オンライン化などが進み、本人・企業・行政の三者すべてがより効率的かつ安全に在留資格を扱える時代が訪れるでしょう。
企業側も変化を見越して、今のうちからデジタル対応への準備を始めておくことが、制度対応の鍵となります。

在留カードの基礎から最新トレンドまで、企業と外国人が押さえるべき重要ポイント

在留カードは、外国人の在留資格や就労可否を証明する法的にも極めて重要な本人確認書類です。

 

本記事では、その取得・確認・更新・紛失時の対応方法から、偽造リスクへの備えや企業が注意すべき実務対策までを網羅的に解説しました。

 

さらに、ICチップ活用や行政手続きのオンライン化といった今後のデジタル化の展望にも触れ、将来的な変化に備えるための視点も提供しています。

 

企業担当者にとっては、不法就労リスクの回避、コンプライアンスの確保、そして外国人従業員の安心感のためにも、在留カードへの理解は今後ますます不可欠となるでしょう。

 

適切な知識と最新情報をもとに、正しい対応を行うことが、企業と外国人の双方にとって大きなメリットにつながります。

 

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