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07/31 (木)更新

インターンシップビザ取得の流れ|在留資格「特定活動」で必要な書類と実務例

外国人学生とのインターンシップを検討している企業にとって、「特定活動ビザ(告示9号)」は有効な在留資格のひとつです。

 

特に報酬あり・90日を超える実務型インターンを実施したい場合、このビザの制度を正しく理解し、必要な手続きや体制を整えることが不可欠となります。

 

本記事では、「特定活動(インターンシップ)」の制度概要から取得条件、申請に必要な書類、注意点までを、企業・学生双方の視点からわかりやすく解説します。

 

また、他のビザ(文化活動・短期滞在)との違いや、大学との連携、実務上のよくある質問にも触れ、制度を活用した人材育成型インターンシップの実現方法についてもご紹介。

 

「特定活動ビザを使って外国人インターンを受け入れたいけど、どこから始めればいいかわからない」と感じている方にも役立つ情報を、実務に即してお届けします。

 

企業と未来の人材をつなぐ新たな一歩を、ここから踏み出しましょう。

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特定活動ビザ「インターンシップ(告示9号)」とは?

外国人学生を受け入れる際、在留資格の選定は重要なポイントになります。なかでも「特定活動ビザ(告示9号)」は、企業での就業を伴うインターンシップに特化した制度として活用が進んでいます。

 

単なる短期体験ではなく、報酬を伴い一定期間実務に関わることが可能なこのビザは、外国人学生にとっても、企業にとっても多くのメリットがある制度です。

 

本セクションでは、「告示9号」とは何か、その制度内容、適用対象、そして他のビザとの違いについて詳しく解説していきます。

 

インターンシップを通じた国際人材の育成と企業のグローバル展開を考えるうえで、ぜひ押さえておきたい内容です。

特定活動(インターンシップ)ビザの制度概要

「特定活動ビザ(告示9号)」は、法務省が定める「告示に基づく活動類型」に位置づけられた在留資格のひとつで、報酬を得ながら企業で就業体験を行う外国人学生のインターンシップ受け入れを可能にする制度です。

このビザの大きな特徴は、就労ビザではないにも関わらず報酬の支払いが認められている点にあります。

ただし、「単なる労働力の補填ではない」という点が制度の根幹にあるため、インターンシップは教育的要素を含み、大学での単位認定や学習目的に資する内容であることが求められます。

在留期間は最長で1年以内であり、インターン期間が大学の修業年限の2分の1を超えないことが条件です。

たとえば、4年制大学であれば累計2年までが上限となります。

また、申請にあたっては「在留資格認定証明書」の取得が必要であり、大学と企業の契約や実施計画書、指導体制などが審査対象となります。

対象となる外国人学生の条件

このビザの対象となるのは、原則として以下の条件を満たす外国人学生です。

  • 外国の大学(正規課程)に在籍していること

     

  • インターンシップが当該大学のカリキュラムの一環であり、単位認定対象であること

     

  • 大学と受入企業の間に適切な契約が交わされていること

     

  • 日本国内で報酬を受け取る活動内容が明示されていること

つまり、「自費で来日して企業で働く」のではなく、あくまで大学の教育目的に沿った受け入れである必要があります。

大学からの推薦状や単位認定証明などが不可欠であり、形式的なインターンでは認められません。

また、年齢制限は設けられていませんが、修士・博士課程の学生が申請する場合も大学側のカリキュラムとの関連性が求められます

「告示9号」と他ビザとの違いとは

インターンシップで外国人を受け入れる場合、以下のようなビザとの選択が生じることがあります。

ビザの種類報酬の有無滞在期間特徴
特定活動(9号)あり最長1年以内単位認定あり・教育目的・就業可能
文化活動ビザなし90日超(最大1年)無報酬・芸術・研究などが中心
短期滞在ビザなし90日以内無報酬・観光・短期活動向け

このうち、「特定活動ビザ(告示9号)」は唯一、報酬の支払いが可能なインターンシップ向け在留資格であり、実務的な受け入れを想定している企業にとっては最も実用的な選択肢です。

ただし、手続きは煩雑になりやすく、大学側との協定・受け入れ体制の整備なども求められます。

したがって、「受け入れの責任をしっかりと果たせる体制がある企業」が対象である点にも注意が必要です。

▼告示9号の制度理解がスムーズな受け入れの第一歩

「特定活動ビザ(インターンシップ・告示9号)」は、教育的価値をもった実践的なインターンシップを可能にする貴重な在留資格です。
制度の背景には、単なる労働力ではなく「育成型の国際交流」を目的とした考え方があり、それを理解してこそ受け入れ企業としての信頼性が問われます。

外国人学生の教育機会を支えつつ、企業としての成長にもつなげたい、そのような企業にとって、告示9号ビザは強力な制度となり得るでしょう。
受け入れを検討する際は、制度概要や要件を丁寧に確認し、大学との連携を含めた全体設計を慎重に行うことが成功の鍵です。

在留資格「特定活動(インターンシップ)」の対象要件

外国人学生をインターンとして受け入れる際に活用される「特定活動(告示9号)」は、報酬を伴う実務体験を可能にする一方、制度上の要件が厳格に定められています。

 

特に、学生側と企業側の双方が満たすべき条件を理解していなければ、申請が不受理になったり、不法就労とみなされるリスクもあるため、慎重な準備が必要です。

 

このセクションでは、特定活動ビザ(インターンシップ)を利用するうえで重要な「学生」「受入企業」「インターンシップ形式」それぞれの要件を詳しく解説します。

 

制度の正しい理解と、トラブルを防ぐための前提知識として、ぜひ参考にしてください。

学生側の要件(大学在籍、単位認定など)

インターンシップで特定活動ビザ(告示9号)を取得できる外国人学生は、次のような条件を満たす必要があります。

  • 外国の大学(学士・修士・博士課程)に正規在籍していること
    ※語学学校や専門学校では対象外

     

  • 当該インターンシップが大学のカリキュラムに組み込まれており、単位認定の対象であること

     

  • インターンシップの内容が学業と直接関連していること

     

  • 大学側が学生を正式に推薦していること

     

  • 在学中の身分を維持していること(休学中などは基本不可)

大学との連携が不十分なまま実施されるインターンは、ビザ発給の対象にならない場合が多いため、単位認定や指導教員の関与が重要な前提条件といえます。

また、対象学生が日本におけるインターンシップに備え、必要最低限の日本語能力や業務理解を有していることも実質的に求められるケースが増えています。

受入企業の要件(契約・指導体制など)

企業が外国人学生を特定活動ビザで受け入れるには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 大学との協定またはインターンシップ実施契約が締結されていること

     

  • 指導担当者を明確にし、教育的配慮のある受け入れ体制を整えていること

     

  • 業務内容、報酬、勤務時間、休暇、指導計画などを記載した実施計画書を用意していること

     

  • 労働関連法令に準拠した就労環境を確保していること

     

  • インターンシップの目的が、労働力の補填ではなく教育的目的に基づくこと

形式上の受け入れではなく、学生に対して実務を通じた学びの場を提供する姿勢と体制が重要視されます。

たとえば、定期的な評価・フィードバックの仕組みや、配属先での教育担当者の選任も求められるため、採用活動とは異なる視点での準備が必要です。

インターンシップの形式と条件(有償・無償、期間など)

特定活動ビザ(告示9号)におけるインターンシップは、以下のような条件を守って実施されます。

  • 報酬の支払いが可能(原則として有償)
    ※ただし「給与」ではなく「報酬・実費等」の形式で支払う必要あり
    ※雇用契約ではなく、指導契約の形が推奨されます

     

  • インターンシップ期間は最長で1年以内
    または、大学の修業年限の2分の1を超えない範囲
    (例:4年制大学なら最大2年間、ただし複数回合算)

     

  • 週の労働時間は原則28時間以内
    繁忙期でも原則超過不可。実態としては20〜25時間前後が多い

     

  • 就業時間・業務範囲は事前の実施計画書に明記

     

  • 夜勤・深夜労働、過度な肉体労働などは禁止または制限される場合あり

また、受け入れが「教育目的」であることが明確でなければならず、単なるアルバイトの延長や業務補填とみなされると、ビザの適用外となってしまいます。

形式的な業務従事ではなく、学生のキャリア形成に資する実務体験であることが重要なポイントです。

▼「適格な受け入れ」の鍵は制度の正しい理解と準備にあり

特定活動ビザ(告示9号)で外国人学生を受け入れるには、学生・企業双方が制度で定められた要件をしっかりと満たしている必要があります。
特に、大学の単位認定、企業の指導体制、実施期間や内容の適正性が審査の焦点となります。

単なる人手不足の穴埋めではなく、教育目的に基づいた実践的な受け入れとして成立することこそが、本制度の本質です。
企業は、制度の理解と体制の整備を通じて、未来の国際人材と信頼関係を築くことができます。
導入を検討する際は、書類だけでなく「教育の場」としての責任も意識しながら準備を進めることが求められます。

企業がインターンシップを受け入れるメリット

特定活動ビザを活用した外国人インターンの受け入れは、単なる教育支援にとどまらず、企業にとっても多くのメリットをもたらします。

 

グローバル化が進むなか、国内外から優秀な人材を早期に見極め、社内体制を強化していく戦略は中長期的に見ても重要です。

 

ここでは、企業が外国人インターンシップを受け入れることで得られる主なメリットを3つの視点から整理し、それぞれの効果や活用シナリオを具体的に解説します。

優秀な外国人材とのマッチング機会

インターンシップを通じて外国人学生と実際の業務を共にすることで、採用前にその人物の人間性・スキル・適応力を評価できるのは大きな利点です。

とくに、大学で高度な専門知識を学んでいる学生や、多言語対応が可能な人材などは、将来の中核人材となり得る可能性もあります。

また、インターンの過程で企業文化との相性や価値観のすり合わせができるため、雇用後の定着率を高めることにもつながります。

単なる書類選考や短時間の面接では見抜けない資質を、実地を通じて確認できる機会として、企業にとっては非常に有益です。

加えて、学生にとっても日本企業での業務経験がキャリアの財産となるため、相互にメリットのある関係構築が可能です。

グローバル化に向けた社内体制の強化

外国人インターンの受け入れは、社内における多文化理解やコミュニケーション能力の向上にも寄与します。

とくに、社員が異文化に触れることで固定観念からの脱却が促され、柔軟な発想や新しい視点が生まれるきっかけになります。

さらに、社内マニュアルや業務プロセスの見直し、英語対応の整備、教育体制の構築といった、グローバル展開に不可欠な基盤づくりを進める契機にもなります。

こうした仕組みが整備されることで、将来的な外国人正社員の登用や海外展開の足がかりとしての役割も果たします。

受け入れを通じて得られるのは「インターンの労力」だけではなく、組織全体の国際対応力の底上げです。

採用前の実践的評価が可能になる利点

新卒・中途問わず、採用後に「思っていた人物像と違った」「スキルが実務に合わなかった」といったミスマッチのリスクは常につきまといます。

しかし、インターンを経た採用では、実際の現場での行動やパフォーマンスを通じて、採用可否をより客観的に判断できます。

特定活動ビザによるインターンであれば、最長で1年にわたり就業環境下で学生を観察できるため、履歴書ではわからない能力や課題への対応力なども把握可能です。

また、指導担当者との連携を通じて社内の評価体制も強化され、今後の人材育成や評価制度の改善にもつながります。

その結果、採用に関わるコストの最適化、定着率の向上、さらには離職リスクの軽減といった効果が期待できます。

▼「受け入れ」は未来への投資になる

外国人インターンの受け入れは、単に一時的な労働力の確保ではなく、中長期的な人材戦略の一環として非常に有効です。
優秀な学生とのマッチングによって、将来の採用につながる可能性を広げるだけでなく、社内の国際対応力を育み、組織全体を成長させる契機となります。

制度の理解と準備は必要ですが、それを上回るメリットがあるのが「特定活動ビザインターンシップ」の特長です。
受け入れを前向きに検討することは、企業の未来に向けた有意義な投資と言えるでしょう。

インターンシップ受け入れのビザ選択と違い

外国人学生を日本企業でインターンシップとして受け入れる際、適切な在留資格(ビザ)を選ぶことは非常に重要です。

 

活動内容や報酬の有無、滞在期間などによって適用されるビザが異なり、選択を誤ると不法就労とみなされるリスクもあります。

 

本記事では、インターンシップに用いられる代表的な3種類の在留資格「特定活動ビザ(告示9号)」「文化活動ビザ」「短期滞在ビザ」について、それぞれの特徴や使い分けのポイントを解説します。

特定活動ビザ(報酬あり・90日超)

最も本格的なインターンシップ受け入れに使われるのが、特定活動ビザ(告示9号)です。

これは、報酬が発生する長期の実務型インターンを前提とした在留資格で、法務大臣告示に基づいて制度化されています。

このビザは、主に大学と企業が連携して実施する単位認定型のプログラムに適用されます。

学生が企業で実務を行い、報酬(給与相当)を受け取る場合でも合法的に活動できる点が最大の特長です。

期間は最長1年間で、受け入れ企業は契約・指導体制・生活支援の整備など、一定の要件を満たす必要があります。

また、事前に大学との連携契約や、活動計画書などの書類提出が求められるなど、制度理解と準備が不可欠です。

しかし、その分、より実践的かつ長期的な人材育成が可能となるビザとして、多くの企業が活用を始めています。

文化活動ビザ(報酬なし・90日超)

報酬が発生しないインターンシップで、学術・文化交流を主眼とする活動を行う場合は、文化活動ビザが適用されるケースがあります。

これはあくまで非営利的な活動を目的とした在留資格であり、労働や商業活動を含む実務は認められていません。

たとえば、日本の伝統文化や研究活動に関する体験・補助的活動などで、実務に携わらずに学ぶことが主目的となっている場合に利用されます

インターンシップとしてはやや限定的な活用となりますが、受け入れ先が教育・研究機関に近い場合などには選択肢となることもあります。

なお、文化活動ビザは90日を超える長期滞在が可能ですが、報酬が発生しない点と、活動内容の制約には注意が必要です。

短期滞在ビザ(報酬なし・90日以内)

最も簡便にインターンを受け入れられるのが、短期滞在ビザです。

観光・親族訪問・ビジネス目的などに利用される在留資格ですが、無報酬・短期間(原則90日以内)のインターンシップであれば、条件次第で活用可能です。

ただし、以下のような制約があります。

  • 実務に該当しない活動に限る(見学や補助的業務が中心)

     

  • 報酬の支給は一切不可(交通費や昼食代なども注意が必要)

     

  • 大学と企業の連携証明や活動計画の提示が求められる場合あり

このビザは手続きが簡素である一方で、インターン内容が実務に近づくほどリスクが高まります。

「体験型のプログラム」「職場理解を目的とした訪問」に留めることが重要です。

▼活動内容と期間に応じたビザ選択がカギ

インターンシップにおけるビザ選択は、活動内容・報酬の有無・期間の3点を基準に慎重に行う必要があります。
以下のように使い分けるとよいでしょう。

ビザ種別報酬期間主な用途
特定活動(告示9号)最長1年有償・実務型インターン
文化活動×90日以上文化・学術的な無報酬活動
短期滞在×原則90日以内短期体験型インターン、職場見学など

正しいビザの選択は、企業の法令遵守と学生の適切な就業体験の両立に不可欠です。
制度を正しく理解し、インターンシップの目的と内容に応じた柔軟な対応を心がけましょう。

申請に必要な書類と手続きの流れ

外国人学生を「特定活動(インターンシップ)」ビザで受け入れる場合、ビザ取得の手続きには明確な申請フローと、揃えるべき書類が数多く存在します。

 

制度の趣旨が「大学と企業の連携による教育的目的の実務経験」にあるため、一般の雇用手続きとは異なる点にも注意が必要です。

 

本セクションでは、在留資格認定証明書の取得を中心としたビザ申請の流れと、提出すべき書類、各プロセスにかかる期間の目安について詳しく解説します。

在留資格認定証明書とは?

「在留資格認定証明書(COE)」は、外国人が日本に中長期滞在する際に必要となる書類で、法務省が「この人物は在留資格に該当する活動を行う予定」と認める証明書です。

インターンシップ目的で特定活動ビザを取得する場合、まずこの証明書を取得し、それをもって外国人学生が現地の日本大使館または領事館でビザ発給申請を行う流れとなります。

企業または大学側がCOE申請の代理人になるケースが多く、活動内容の詳細が記載された文書や計画書が重視されます。

必要書類一覧(共通・特定活動用)

特定活動(告示9号)のCOE申請では、以下の書類が主に必要となります。

すべてが揃っていないと不受理・保留・追加資料要求となる可能性があるため、大学・企業・学生の三者で綿密に準備することが大切です。

共通で必要な書類

  • 在留資格認定証明書交付申請書(所定様式)

     

  • 写真(4cm×3cm)×1枚(6ヶ月以内撮影)

     

  • パスポートの写し

     

  • 履歴書・学歴・職歴が分かる資料(CV)

学生側が提出する書類

  • 在籍証明書(大学が発行)

     

  • 成績証明書・単位取得予定表(単位認定の有無に関わらず)

     

  • 大学と企業間の連携証明(実習契約書)

     

  • 学生本人の誓約書・実施目的の陳述書

受入企業が提出する書類

  • インターンシップ実施計画書(受入期間・指導内容・支援体制)

     

  • 企業概要(会社案内・登記簿謄本など)

     

  • 雇用・指導・生活支援責任者の配置証明

     

  • 報酬がある場合:報酬条件書・労働時間の明細

提出する入管局により若干異なる場合があるため、最新の地域入管情報やガイドラインに従って準備することが不可欠です。

申請からビザ交付までのスケジュール

申請から実際の来日までには、ある程度の時間がかかります。

目安としては、少なくとも3ヶ月以上の余裕を持って準備を始めるのが理想です。

申請〜交付までの標準スケジュールは以下のとおり。

フェーズ期間の目安内容
書類準備2〜4週間企業・大学・学生間で資料作成、契約等
COE申請入管局へ提出必要書類を入国管理局に提出
審査期間1〜2ヶ月内容確認・追加資料要請がある場合あり
COE交付入管局より郵送通常1枚の証明書が交付される
現地でビザ申請学生の母国で大使館申請COEを元にビザを発給(1〜2週間)
来日・在留カード交付空港にて初回の在留カードが交付される

審査期間は申請時期や地域により異なりますが、繁忙期(4月・10月入社)や不備がある場合は、さらに時間がかかることもあります。

▼申請成功のカギは「計画性」と「体制整備」

特定活動ビザ(告示9号)によるインターンシップ受け入れは、計画性が命です。

  • 書類の不備は致命的。企業・大学・学生の連携で早期準備を。

     

  • 在留資格認定証明書(COE)取得がビザ手続きの要

     

  • 3ヶ月前には申請を開始。時間に余裕を持ったスケジュール管理が重要。

     

  • 受け入れ体制や実施計画の整備が審査通過の鍵

制度の趣旨を正しく理解し、準備と管理を丁寧に行うことで、企業・学生双方にとって有意義なインターンシップを実現できます。

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受け入れ企業の義務と対応すべき体制

在留資格「特定活動(インターンシップ)」で外国人学生を受け入れる企業には、一定の義務と体制構築が求められます

 

このビザは教育的要素を強く持つ制度であり、単なる労働力の受け入れとは異なる位置づけです。

 

そのため、受け入れ人数や管理者の配置、大学との連携や報酬面の適正性などにおいて厳格な基準が設けられています。

 

本セクションでは、企業側が満たすべき体制整備のポイントや注意点を具体的に解説し、制度を適切に運用するための実践的なガイドを提供します。

受け入れ人数・責任者・指導体制の要件

インターンシップビザでの受け入れにあたっては、企業側に人員管理と教育指導の体制整備が求められます。

まず、受け入れ可能な学生の人数には上限があり、常勤職員数に対して適切な割合を維持することが条件となります(例:常勤職員5名に対して1名程度など、入管の運用に準拠)。

また、以下のような責任者の設置が必須です。

  • 受け入れ責任者 – 学生の行動管理やトラブル対応を担う。

     

  • 実習指導責任者 – 業務内容の教育・助言を担当。

     

  • 生活支援担当者(任意) – 外国人特有の生活不安に対応可能であれば評価が高い。

これらの体制が整っているかが、ビザ申請審査時の重要な審査項目になります。

責任者が不在、または兼任が困難な場合は、申請が却下される可能性もあるため注意が必要です。

労働時間・保険・報酬支払い時の注意点

制度上、「教育目的の実務経験」であることから、労働条件に関しては一般のアルバイト・雇用契約とは異なる視点での管理が求められます

以下の点に特に注意しましょう。

  • 労働時間は週28時間以内に収めることが一般的であり、フルタイム労働は不可。

     

  • 有償インターンの場合は報酬の支払いを契約書に明示し、最低賃金を下回らないよう注意が必要。

     

  • 社会保険や労災保険の加入についても、報酬の有無や労働日数に応じて適切に判断する必要があります。

また、「報酬がある場合にそれが給与とみなされるか否か」は、支給理由や雇用形態の明確化に依存します。

単なる手当として処理する場合でも、就業実態との整合性が求められ、税務面や入管審査で問題視されることもあるため慎重な対応が必要です。

大学との契約や単位認定の管理

インターンシップを実施する上で、企業と大学間での明確な合意と契約が不可欠です。

とくに「単位認定があるかどうか」「教育目的としての妥当性があるか」が審査上の重要な要素となります。

大学側と交わす契約書には以下の情報を記載することが望まれます。

  • 実施期間・場所・活動内容

     

  • 指導体制と評価方法

     

  • 単位認定に関する条件や提出物

     

  • 学生の行動規範や守秘義務などの遵守事項

また、受け入れ後の実施報告書の提出や、学生・大学・企業三者間での進捗共有ミーティングの実施など、継続的なフォロー体制も推奨されます。

大学側との連携が不十分な場合、教育的意義が認められず、ビザ却下や再申請のリスクが高まるため、事前に詳細な合意形成を行っておくことが重要です。

▼制度理解と社内体制整備が受け入れ成功の鍵

特定活動ビザ(告示9号)でのインターンシップ受け入れにおいて、企業は単なる労働力の提供先ではなく、教育的・実践的な場としての責任を負う立場にあります。

  • 受け入れ人数・責任者体制は明確に規定されており、審査上の重要要件。

     

  • 報酬・労働条件・保険加入は実態と制度趣旨を踏まえた設計が必要。

     

  • 大学との連携と単位認定の仕組み構築が、制度適用の前提となる。

これらの体制が整っていないと、申請段階での却下リスクや受け入れ後のトラブルにつながります。
制度理解と社内準備を徹底し、インターンシップを未来の人材育成機会として最大限に活用することが成功への近道です。

実務で気をつけたいインターンシップの注意点

外国人学生を「特定活動ビザ(インターンシップ)」で受け入れる際には、法的な制度理解だけでなく実務面での細かな配慮が不可欠です。

 

制度を正しく運用していたとしても、現場の対応次第では「就労ビザとみなされるリスク」や「制度逸脱の指摘」を受ける可能性があります。

 

ここでは、企業がインターンシップ運用中に特に注意すべき3つの実務的論点を詳しく解説します。

 

違反リスクを未然に防ぎ、制度趣旨に則った形で円滑にインターンシップを進めるためのヒントとなるでしょう。

報酬・実費の支給は「給与」とみなされるか?

インターンシップにおいて報酬や実費の支給をどこまで行ってよいかは非常にセンシティブな問題です。

たとえば、交通費・宿泊費・食事代などを支給する場合、「実費相当額」であり、明細と裏付けがあれば原則問題になりません。

しかし、次のようなケースでは労働と対価の関係があるとみなされ、「給与」扱いとなり得るため注意が必要です。

  • 一律支給の定額交通費(実費超過分)

     

  • 出勤日数に応じた日当

     

  • 時給換算で支給される「手当」

このような支給形態がある場合は、税務署や労基署、入管から「雇用実態」と誤解されるリスクがあるため、契約書や社内規定、支払い明細書の整備が欠かせません。

また、報酬を出す場合は特定活動ビザではなく、別のビザ選択(文化活動など)の必要性も出てくる点も検討材料です。

技能実習生との区別を明確にする必要性

インターンシップと技能実習生の制度は目的も立場も全く異なります。

しかし、現場において業務内容が類似している場合、区別が曖昧になりがちです。

  • 技能実習 – 技術移転・育成が主目的。業務遂行能力を高める職業訓練。

     

  • インターンシップ – 教育課程の一環であり、単位認定等と結びついた実務経験。

この違いを無視して同じ業務に従事させると、監査や指摘の対象となるだけでなく、制度の信頼性を損ねる結果につながります。

特に、単純作業の長時間従事や、インターン生に「即戦力としての業務遂行」を求める運用は避けるべきです。

教育的意義が不明確であるとされ、在留資格の不正利用と判断されるリスクがあります。

夜勤・シフト制・繁忙期への配置は可能か?

インターンシップの学生を夜勤やシフト勤務に配置して良いのかは、実施形態や大学との契約内容により判断が分かれます

原則として、

  • 深夜労働(22時〜5時)への配置は避けるのが望ましい。

     

  • 繁忙期やイベント時期のみの短期就労的扱いは不適切

     

  • 週の労働上限(28時間以内)と学業の両立を守ることが重要。

ただし、受け入れ計画においてシフト制での経験を含めて学習内容として明記し、大学側も了承済みである場合には、限定的に対応が認められるケースもあります。

その場合でも、シフト時間や夜間帯勤務の回数は最小限にとどめ、教育目的を説明できる記録を残しておくことが求められます。

▼現場対応の「グレーゾーン」を避け、制度の本質を守る運用を

特定活動ビザによるインターンシップは、制度の理解だけでなく現場運用の正しさが問われます。

  • 報酬や実費支給は「給与扱い」と誤認されないよう注意。

     

  • 業務内容は技能実習との違いを踏まえて設計。

     

  • 夜勤や繁忙期勤務は制度の趣旨を逸脱しない範囲で調整。

現場対応におけるグレーゾーンを明確にし、大学・学生・企業が連携して教育目的を守ったインターンシップ運用を行うことが、制度の安定運用と信頼構築につながります。
実務面での配慮こそが、長期的に優秀な外国人材と良好な関係を築く鍵となるのです。

よくある質問と実務上の疑問への対応

特定活動(インターンシップ)ビザの導入が進む中、企業や大学の現場では制度運用に関する細かな疑問が頻出しています。

 

中でも多いのが、「報酬額はどの程度が妥当か」「インターン期間の延長は可能か」「在留カードや指定書の扱い方」など、実務上の判断が分かれるポイントです。

 

ここでは、実務担当者が迷いやすいこれらの疑問について、行政運用や制度趣旨をふまえた対応のヒントをお伝えします。

報酬水準はどのくらいが妥当?

「報酬あり」のインターンシップでは、報酬の金額や支給方法が適切かどうかが、制度適用の判断基準になります。

目安としては、労働法における最低賃金を超える支給が望ましいとされており、地域の最低時給に準拠するのが一般的です。

一方で、支給額が極端に高額だったり、業務量に対して不相応な水準の場合、「本来は就労目的ではないか」とみなされるリスクが生じます。

適正水準を守るだけでなく、以下のようなポイントにも注意が必要です。

  • 支払いの根拠を明文化(契約書・覚書など)

     

  • 明細の発行・保管

     

  • 交通費・食事代などの「実費相当額」と報酬の区別

さらに、報酬支給の有無によって必要な在留資格の種類(特定活動・文化活動など)も変わるため、制度との整合性が取れているかを事前に確認しておくことが重要です。

インターン期間の延長は可能?

基本的に、特定活動ビザによるインターンシップは大学の教育課程に基づき「計画的に設定された期間内」で行われることが前提です。

通常は「90日〜1年程度」が目安ですが、やむを得ない事情で延長を希望するケースもあります。

延長が可能かどうかは、以下の要件をすべて満たしているかによって判断されます。

  • 大学が教育課程の一環として延長を認めている

     

  • 受入企業が延長後も適切な指導体制を維持できる

     

  • 在留資格の延長申請を適切な時期に行っている

ただし、延長が「就労目的の実質的継続」と判断されると、審査で否認される可能性もあるため注意が必要です。

延長理由を明文化し、大学・企業双方の合意を文書で残すとともに、在留資格更新に必要な書類(延長理由書、受け入れ計画書など)を整備しておくことが望まれます。

在留カード・指定書の扱いに違いはある?

インターンシップに限らず、特定活動ビザ全般で見られるのが「在留カードと指定書の扱いの違い」に関する混乱です。

  • 在留カード – 入国管理局から交付される正式な在留資格証明書。氏名・在留期間・就労可否などが記載される。

     

  • 指定書 – 在留資格の具体的活動内容(例:インターンシップ、大学名、受け入れ先企業名など)を記載した補足書類。

つまり、在留カードは「外形的な資格」、指定書は「中身の説明」にあたります。

企業の現場では、この指定書を見て業務内容が制度の範囲内かを常に確認しておく必要があります。

万が一、指定書に記載されていない業務や企業でインターンを継続すると、在留資格違反とみなされる可能性があるため、異動や業務変更時には必ず大学および入管への相談・手続きが必要です。

▼制度の“すき間”に注意し、確実な運用を

特定活動(インターンシップ)ビザの制度は整備されていますが、運用には多くの実務上の判断が伴います。

  • 報酬水準は「教育目的」と整合する範囲内にとどめる

     

  • インターン延長には明確な理由と手続きが必須

     

  • 在留カードと指定書の内容確認を怠らない

小さな判断の違いが、制度逸脱や不許可につながることもあるため、大学・企業・学生が一体となった情報共有と管理体制の構築が不可欠です。
制度の隙をつかず、信頼される受け入れ体制を築くことが、長期的な人材育成にもつながっていきます。

企業×大学の「架け橋」戦略|特定活動ビザでつなぐ未来人材

少子高齢化が進む日本では、外国人材との新たな接点づくりが求められています。

 

その中でも注目されているのが、「特定活動ビザ(告示9号)」を活用したインターンシップ制度による大学と企業の連携強化です。

 

単なる短期実習にとどまらず、大学での学びと企業での実務経験をバランスよく両立させることで、より実践的かつ持続可能な外国人材育成モデルが可能になります。

 

このセクションでは、そうした「人材育成型インターン」の先進的な取り組みと、それを支える制度的フレームをご紹介します。

大学単位認定と実務経験を両立する受け入れモデル

従来のインターンシップは「就業体験」に重きが置かれがちでしたが、特定活動(告示9号)インターンシップでは、大学の単位認定と紐づけた“教育プログラム”としての設計が求められます。

この制度に適した受け入れモデルには、以下の特徴があります。

  • 大学が単位認定するための教育的計画(履修科目や講義との関連付け)

     

  • 企業が「学びの場」として協力し、明確な目標・成果設定を行う

     

  • 報告書提出やフィードバック面談など、学習成果の可視化

一例として、観光業界では「ホスピタリティ概論」などの履修と連動し、ホテルでの接客研修を単位化している大学もあります。

このように、教育と実務の橋渡しを制度的に組み込むことで、学生・大学・企業の三者にとって有意義な成果を生み出すことが可能です。

単なるインターンで終わらせない「人材育成型交流」とは

制度の真価は、一時的な戦力確保にとどまらず、「育成」や「継続的関係性の構築」に重きを置いた運用にあります。

特定活動ビザを通じた人材育成型インターンには、以下のような長期的視点が組み込まれています。

  • 本人のキャリア設計と連動した研修内容

     

  • 継続雇用や特定技能・技人国ビザなど他在留資格への移行の可能性

     

  • 卒業後の正社員採用やグローバル幹部候補としての活用

実際に、インターン終了後に特定技能や技術・人文知識・国際業務への移行を前提とした“採用内定”を出す企業も増加しており、「体験から雇用へ」というステップを制度が後押ししています。

また、大学にとっても、企業とのパートナーシップ強化は学生の就職支援や教育カリキュラムの充実にも直結します。

つまり、この制度は単なる「インターン」ではなく、「未来を担う人材の共創機会」と捉えるべきなのです。

▼インターン制度を「戦略的な架け橋」に変える

特定活動ビザ(告示9号)を活用したインターンシップ制度は、教育機関と企業が協働し、持続的にグローバル人材を育成するための重要な戦略的ツールです。

  • 大学の単位認定と実務経験の融合により、教育効果と実践力を同時に高める

     

  • 一過性のインターンではなく、将来の雇用や国際人材戦略へとつなぐ発展型モデル

     

  • 受け入れ体制を整えることで、企業の採用力・育成力・国際対応力も向上する

単なる制度活用にとどまらず、“架け橋”としてのインターン制度を自社の未来戦略にどう組み込むかが問われています。
今後の企業成長と教育の質を支える意味でも、戦略的な制度活用が強く求められます。

特定活動インターンシップビザの取得に向けたまとめ

制度を活かすか、形だけで終わらせるかは、企業次第。

 

特定活動(告示9号)によるインターンシップ制度は、ただの「ビザ取得の手続き」ではなく、大学・学生・企業それぞれにとって未来をひらく仕組みです。

 

しかしその分、制度理解や運用体制が不十分だと、審査で不備を指摘されたり、受け入れ後のトラブルにつながる恐れもあります。

 

ここでは、制度を活用するうえで企業が押さえておくべき3つの視点に整理してご紹介します。

告示9号での受け入れは制度の理解が前提

告示9号でのインターン受け入れは、単なる労働力確保ではなく「教育の延長」であることが大前提です。

  • 単位認定の仕組みや大学との契約

     

  • 指導体制と就業内容の整合性

     

  • 就業時間や報酬の扱いに関する注意点

これらを企業が把握し、学生の学業との両立を支援できる環境を用意することが、制度適用の土台となります。

実施計画と体制整備が審査通過の鍵

入管への申請では、書類の正確さだけでなく、実施計画の具体性と現実性が重視されます。

  • 指導担当者や受け入れ責任者の配置

     

  • 就業スケジュールと学習目標の明記

     

  • 生活支援・保険・労働管理の体制

これらが網羅された計画書や契約文書を準備することが、スムーズなビザ取得に不可欠です。

曖昧な計画や形式的な体制では、審査に通らないリスクも高まります。

制度変更や行政方針も踏まえた柔軟な対応を

特定活動インターンシップ制度は、行政の方針や国際情勢により変更される可能性もあります。

  • 法務省の通達・審査基準の改定

     

  • 各大学ごとの運用ルールの違い

     

  • ビザ発給スケジュールの流動性

こうした変化に対応するには、定期的な制度情報のチェックや、大学との連携体制の強化が不可欠です。

一度きりの運用で終わらせず、企業としての「受け入れ力」を継続的に高めていく意識が問われます。

▼教育×採用戦略として制度を活かす視点を▼

特定活動(告示9号)によるインターンシップ受け入れは、未来の外国人材と企業をつなぐ“入り口”であり“投資”です。

  • 学生にとってのキャリア育成

     

  • 大学にとっての教育成果の可視化

     

  • 企業にとってのグローバル人材確保

この三者がうまく連携して初めて、制度は本来の力を発揮します。

 

制度の表面だけをなぞるのではなく、「教育」と「雇用」の両面を意識した中長期的な設計こそが、これからの人材戦略に欠かせない視点となるでしょう。

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