
05/16 (金)更新
在留資格「特定活動」で働けるのはどんな人?雇用前に読むべき基本知識
日本で働く外国人を雇用する際、「この在留資格で本当に働けるのか?」という疑問に直面することは珍しくありません。
なかでも「特定活動ビザ(46号)」は、大学卒業者を対象とした比較的新しい枠組みでありながら、認知度や理解が十分とは言えないのが実情です。
この特定活動46号は、高度な日本語能力(N1相当)と学歴を有する外国人が、幅広い業務で活躍できるように設計された制度ですが、その分、条件や就労範囲、申請時の注意点には独特のルールが存在します。
特に、指定書に記された内容と実際の業務との整合性や、企業側の確認体制が不十分だと、採用後にトラブルに発展することも。
この記事では、特定活動ビザの基本から、46号の特徴・注意点・活用事例までをわかりやすく整理し、雇用主・外国人本人の双方にとって安心・納得できる情報をお届けします。
正確な理解と準備が、スムーズな雇用と在留継続の鍵です。
特定活動ビザとは何か?
外国人の在留資格にはさまざまな種類がありますが、その中でも柔軟性が高く、個別の事情に応じて対応できるのが「特定活動ビザ」です。
これは一見シンプルな名前ながら、実は多岐にわたる内容が含まれており、正しく理解していないと誤った運用につながるリスクもあります。
ここでは、特定活動ビザの基本的な考え方と、他の在留資格との違いについて解説します。
特定活動の定義と法的位置づけ
特定活動ビザは、出入国管理及び難民認定法に基づき、法務大臣が個別に認めた活動に従事する外国人に対して付与される在留資格です。
例えば、ワーキングホリデーや就職活動の継続、インターンシップ、帰国準備、難民申請中の滞在などが含まれます。
この資格は、本来「例外的なケース」や「制度では対応できない活動」を想定して設けられたものであり、在留内容が画一的ではありません。
そのため、必ず「指定書」の内容によって活動の可否が決まる点が最大の特徴です。
他の在留資格との違い
他の就労系在留資格(技術・人文知識・国際業務など)では、活動内容が具体的に法律で定義されています。
一方、特定活動ビザでは、同じ「特定活動」という名前でも就労可能かどうか、認められる業務内容は大きく異なります。
たとえば、特定活動46号は就労が認められる一方、就職活動中の特定活動は原則として働くことができません。
表面的なビザの名前にとらわれず、個別の許可内容を精査することが不可欠です。
特定活動ビザの種類(法定・告示・告示外)
特定活動ビザは、大きく3つに分類されます。
- 法定特定活動 – 法律上明記されている活動(外交官の配偶者、公用で滞在する人など)
- 告示特定活動 – 法務省が告示で定めた46種類の活動(例:46号、ワーキングホリデー、インターンシップなど)
- 告示外特定活動 – 個別の事情に応じて、法務大臣の判断で許可されるケース(例:留学生の就職活動継続、内定待機、帰国困難者など)
それぞれ申請基準や在留期間、許可のしやすさが異なるため、雇用する側・される側双方の理解が非常に重要です。
特定活動ビザは、その柔軟性ゆえに分かりにくく、誤った理解によって不法就労や更新不可といったリスクにつながることもあります。
まずは、「どの分類に該当するか」「就労は可能か」を正しく把握することが、適切なビザ管理と円滑な外国人雇用の第一歩となります。
参考サイト:在留資格「特定活動」 | 出入国在留管理庁
告示特定活動の主な種類と対象内容
「特定活動ビザ」は、法務大臣が個別に認める活動に対して付与される在留資格ですが、その中でも「告示特定活動」は、法務省があらかじめ告示で定めた活動内容に基づいて許可されるものです。
現在、告示特定活動は46種類あり、就労を前提とするケースも多く存在します。
ここでは特に代表的な5つの活動を取り上げ、それぞれの対象や内容を解説します。
ワーキングホリデー(5号)
ワーキングホリデー制度は、日本と協定を結んだ国の若者が、日本での休暇を楽しみつつ一定の就労を行える制度です。
対象となるのは18歳以上30歳以下の若年層で、滞在目的が「観光と文化交流」であることが前提です。
特定活動5号として、アルバイトなどの就労が認められるのが大きな特徴です。ただし、フルタイムの就労や永住目的での滞在には向いていません。
インターンシップ(9号)
特定活動9号では、日本の企業や機関で実務研修を行う学生が対象となります。
大学や大学院の正規学生であることが条件で、在籍中に限ってインターンとしての滞在が認められます。
報酬の有無や期間、業務内容によって申請条件が異なるため、企業側も受け入れ前に詳細な確認が必要です。
サマージョブ(12号)
夏季休暇中に短期就労を目的とする外国人学生向けの制度が、特定活動12号です。
観光や国際交流を目的とした就労が前提で、滞在期間も1〜2か月程度に限られるのが一般的です。
単純労働も含め、アルバイト的な活動が中心となりますが、あくまで一時的な受け入れであり、長期雇用には向きません。
外国人製造業従事者(42号)
特定活動42号は、技能実習修了者などを対象に、製造業に従事するための在留資格として設けられています。
具体的には、自動車・機械・食品加工などの製造現場での労働が想定されており、日本語での簡単なコミュニケーション能力と基礎的な技術が求められます。
これは人手不足が深刻な業界に対する一時的な労働力支援の一環と位置づけられています。
特定活動46号(大学卒業者の就労)
特定活動46号は、日本の大学または大学院を卒業した外国人が、日本語能力試験N1レベルを有し、かつ日本語を使用した業務に従事する場合に認められるビザです。
技術・人文知識・国際業務ではカバーしきれない業務(例:接客や販売業務)でも、「高度な日本語スキルを活かす」ことが条件で就労が可能です。
外国人留学生の活躍の幅を広げる制度として、近年注目されています。
告示特定活動には多様な種類があり、それぞれ目的や対象者が明確に定められています。
企業や教育機関が受け入れる際には、該当する活動の番号と内容を正確に理解し、申請要件を満たすかを慎重に判断することが不可欠です。
特に、就労を伴うビザは誤解や確認不足から違法就労に発展するリスクもあるため、「指定書」の確認を忘れずに行いましょう。
告示外特定活動の主なケース
「特定活動ビザ」には法務省によってあらかじめ告示されている活動(告示特定活動)とは別に、個別事情に応じて法務大臣が特例的に認める「告示外特定活動」という制度があります。
これらは主に就職活動や内定後の待機、家族帯同、出国準備など、告示されていないが一時的・例外的な活動を対象とするものです。
ここでは、代表的な告示外特定活動について解説します。
就職活動継続のための特定活動
大学や大学院を卒業した留学生が、就職先が見つかっていないが引き続き日本で就職活動を行いたいという場合に申請されるのがこのケースです。
通称「就活特活」と呼ばれ、最大1年間の滞在が可能になります。ただし、就職活動の継続を証明する書類や、大学等の推薦状が必要となるため、準備には注意が必要です。
このビザは、留学ビザの終了後に継続的な滞在を可能にするための制度であり、企業にとっても外国人材を採用するチャンスが広がるタイミングとなります。
内定待機・内定後渡航準備期間中の活動
すでに日本企業から内定を得たものの、就労ビザの発給までに時間がかかる場合などに利用されるのがこのタイプの特定活動です。
このビザは、「渡航時期調整」や「在留資格変更待ち」といった内定者側の事情に柔軟に対応する制度で、企業としてもスムーズな人材確保につながります。
ただし、実際に働くことはできないため、在留中は研修や日本語学習など、非就労活動に限定されます。
出国準備・家族帯同などの目的による滞在
在留資格の期限が迫る中で、帰国準備が整っていない場合や、やむを得ない事情で一時的な滞在が必要なケースにも、告示外特定活動は活用されます。
また、「家族帯同」を目的とするビザとしては、たとえば留学生の家族や、短期滞在者の家族を一定期間だけ日本に呼び寄せる場合などに申請されることもあります。
いずれも「一時的」であることが前提であり、長期の滞在や就労は原則として認められていません。
告示外特定活動は、一律の枠に当てはまらない個別の事情に対応するための柔軟な制度です。とはいえ、法務大臣の個別判断が必要であるため、申請の難易度は高く、書類の整合性や目的の明確さが問われます。
企業・個人いずれの場合も、入管への丁寧な説明と適切な準備が、在留許可を得るための重要なカギとなるでしょう。
特定活動46号とは?要件と活用方法
「特定活動46号」は、外国人留学生が日本の大学または大学院を卒業後、日本国内での就労を可能にする在留資格の一つです。
通常の「技術・人文知識・国際業務」などに該当しない業種でも、日本語能力や学歴に基づいて幅広い職種での就労が可能になる特例的な制度であり、多くの企業が注目しています。
ここでは、その対象条件や活用メリット、他資格との違い、申請時の注意点について詳しく解説します。
対象となる外国人と申請条件(学歴・日本語能力)
特定活動46号の対象者は、日本国内の4年制大学または大学院を卒業・修了している外国人で、なおかつ日本語能力試験(JLPT)N1相当の語学力が求められます。
具体的には、次のいずれかを満たすことが条件です。
- JLPT N1合格
- BJTビジネス日本語能力テストで480点以上
- 日本の小・中・高校を卒業している者
さらに、「日本語を用いた意思疎通が必要な業務」であることが、受け入れ企業側にも求められます。
認められる就労内容と業務範囲
特定活動46号では、単純労働ではないが専門性の要件を緩和した職種での就労が認められます。
たとえば、接客を伴う販売業務や、外国人観光客向けの案内業務、飲食サービス、コールセンターなどが対象となります。
重要なのは、業務内容において「日本語を用いた円滑なコミュニケーション」が必要であること。
たとえ単純作業が含まれていても、顧客対応や社内連携で日本語を使用する場面があるなら対象になり得ます。
技術・人文知識・国際業務との違い
従来の就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」では、職務の内容に専門性や学歴の一致が厳しく求められ、接客・販売といった職種は対象外になることがほとんどです。
一方、特定活動46号は、学歴と日本語能力を満たしていれば業種に幅を持たせることが可能なため、小売業、宿泊業、介護施設など、従来は受け入れが難しかった業界でも活躍の場が広がっています。
申請の難易度と注意点(契約形態・活動内容)
特定活動46号はメリットも多いですが、申請のハードルが低いわけではありません。
契約形態はフルタイムの直接雇用が原則であり、派遣やアルバイト、業務委託などは認められません。
また、就労内容と指定書の内容が一致していることが求められるため、業務の詳細な記載と説明が不可欠です。
さらに、企業側は雇用後も定期的な報告が求められたり、入管とのやり取りに応じたりする責任を負うことになります。
特定活動46号は、日本語能力と学歴を武器に、従来のビザでは働けなかった職種への就労を可能にする新しい選択肢です。
企業にとっては、人手不足を補うと同時に、意欲ある高度人材を柔軟に活用できるチャンスでもあります。
ただし、制度の正確な理解と適切な運用が不可欠です。
採用を検討する場合は、指定書の内容確認や契約内容の整合性に注意し、制度の趣旨に沿った運用を行うことが成功のカギとなります。
特定活動ビザの申請プロセス
特定活動ビザの取得は、「就労可能かどうか」がケースによって異なるため、事前準備と正確な情報確認が不可欠です。
必要な書類や手続きの流れを理解しておかなければ、許可が下りない、想定外の制限があるといった事態にもつながります。
ここでは、申請前に押さえるべきポイントや、企業・申請者双方が意識すべきプロセスをわかりやすく解説します。
必要書類と事前準備
申請にあたっては、入管局が求める基本書類を整えることが第一歩です。
必要な書類の一例は以下の通りです。
- 在留資格変更許可申請書(または認定証明書交付申請書)
- 申請人のパスポートと在留カード
- 指定活動に関わる理由書・活動計画書
- 雇用契約書の写し(就労型の場合)
- 受け入れ機関に関する資料(登記簿謄本・会社案内等)
特に重要なのは、「なぜこの活動が特定活動ビザに該当するか」を説明する書面です。
形式的にそろえるだけではなく、申請内容との整合性や実態の説明が必要です。
指定書の見方と確認ポイント
特定活動ビザは「指定書」によって、活動内容や就労の可否が細かく決まります。
この指定書は申請時に添付され、審査後に発行されます。
- 指定書には、「従事できる活動の内容」や「勤務先」などが記載されています。
- 就労可能かどうかは「就労可・不可」欄で明記されます。
- 記載された業務内容から逸脱すると資格外活動と見なされるリスクがあるため、雇用企業は必ず内容を確認し、業務内容と一致しているかチェックが必要です。
就労可否の判断と事前チェック
申請前には、本人が行おうとしている活動が本当に在留資格「特定活動」で認められているかを確認しましょう。
とくに、就労系の特定活動(例:46号、インターン、研究活動など)は、「業務内容」「契約形態」「就労場所」などが重要な判断材料となります。
- 派遣・アルバイトは原則NG(例外あり)
- 口頭契約やあいまいな業務内容では許可が下りにくい
- 法定・告示・告示外いずれの種別かにより可否が異なる
この段階での誤判断は申請却下や不法就労とみなされるリスクに直結します。
専門家への相談も選択肢に入れておくと安心です。
更新手続きと審査の流れ
すでに特定活動ビザで滞在中の方が在留期間を延長(更新)する場合も、基本的な審査フローは変わりません。ただし、更新審査では以下の点が特に重視されます。
- 初回申請時の活動計画と実績の一致
- 雇用契約の継続性と給与支払い実績
- 日本語能力や適応状況(就労系ビザの場合)
更新には一定の余裕をもって、在留期限の2ヶ月前までには準備を始めるのが望ましいです。更新時にも指定書の発行・提出が求められるケースがあり、その内容の変化にも注意を払いましょう。
特定活動ビザの申請には、就労の可否・活動内容・指定書の内容がすべてリンクしているため、誤解やミスは許されません。
企業側・申請者側の双方が事前にしっかりと確認・準備を行い、書類内容と実態にズレがないように進めることが重要です。
特定活動という柔軟な制度を活かすためには、制度理解とプロセス遵守が成功のカギです。
就労の可否と指定書の重要性
「特定活動ビザ」とひとことで言っても、その内容は活動ごとに大きく異なり、就労の可否もケースバイケースです。
ビザを見ただけでは判断がつかず、実際の判断材料になるのは「指定書」と呼ばれる補足文書。
企業が外国人を雇用する際、この指定書の内容を正しく理解しておかなければ、不法就労のリスクにもつながります。
ここでは、「就労可・不可」の指定例から、変更時の注意点、企業側が取るべき確認手順までを詳しく解説します。
「就労可」と「不可」の指定例とその見方
特定活動ビザを持つ外国人の就労可否は、必ず「指定書」に記載されています。
たとえ在留カードに「特定活動」と書かれていても、実際に就労できるかどうかはこの書類を見なければわかりません。
- 就労可能な指定例 – 「本邦の企業等との契約に基づき、当該企業等において従事する活動」など、明確に労働の文言が含まれている。
- 就労不可の指定例 – 「学業または就職活動を行う活動に限る」など、労働が含まれていない記述。
注意点として、曖昧な表現や“活動に付随して”などの表現がある場合も、入管に確認を取ることが重要です。
指定書の再発行や変更申請の手順
就労内容の変更や企業の変更がある場合は、「指定書」の再発行や在留資格の変更が必要になる場合があります。
とくに以下のようなケースでは注意が必要です。
- 転職時や雇用契約内容の変更があった場合
- 当初の指定内容と実際の業務がズレてきた場合
- 活動内容を拡張したい場合(例:研究活動から就労活動へ)
変更申請は、「在留資格変更許可申請」や「資格外活動許可申請」などを通じて行います。
申請前に変更内容と指定書の文言が一致するかを慎重に確認し、必要書類(理由書・契約書など)を添えて提出する必要があります。
雇用企業側が確認すべきチェック項目
企業が特定活動ビザ保持者を雇用する際、以下の項目を必ず事前に確認しておくべきです。
- 指定書の内容と実際の業務内容が一致しているか
- 業務形態(雇用/業務委託/アルバイトなど)が許可されているか
- 労働時間や職種が、就労の範囲を逸脱していないか
- 雇用契約開始日と在留期間の整合性
- 就労が「可能」なビザであることを、在留カードだけでなく指定書で確認
これらを怠ると、不法就労助長罪や在留資格取消しなどの重大なリスクに企業側も巻き込まれる可能性があります。
特定活動ビザにおける就労の可否は、「指定書」の記載に完全に依存しています。
見た目だけでの判断は禁物で、指定書の内容を正しく読み取る力が、企業にも求められる時代です。
安全に、適切に外国人を受け入れるためにも、指定書の読み方・対応方法をしっかり把握しておきましょう。
迷ったときは、専門家への相談や入管への事前確認が最も確実な一手です。
雇用側が注意すべきリスクと対策
特定活動ビザを持つ外国人を雇用する際、企業側が見落としてはならないのが「ビザの就労可否とその範囲」です。
就労が許可されていない在留資格での雇用は、不法就労助長罪に問われる可能性があり、企業側にとっても重大なリスクです。
このセクションでは、雇用の違法性、ビザの許可不確実性、そして実際の労務トラブル例をふまえた対策を詳しく解説します。
就労できないビザでの雇用の違法性
まず最も注意すべきなのは、「特定活動ビザ=就労可」とは限らないという点です。
一部の活動(就職活動継続、出国準備など)では就労が禁止されており、そのビザ所持者を業務に従事させた場合、企業側も不法就労助長罪(入管法第73条の2)で処罰対象になります。
とくに、「留学→就職活動(特定活動)→内定企業でアルバイト」といったケースでは、指定書での就労許可有無を確認しないまま雇用してしまう事例が多く報告されています。
このような確認不足は、企業の社会的信用にも関わる問題です。
許可の不確実性と準備期間の必要性
特定活動ビザの多くは個別判断による許可制であり、審査結果は一律ではありません。
企業が雇用計画を立てる際は、下記の点に留意する必要があります。
- 申請から許可まで1〜3ヶ月程度かかる場合がある
- 申請しても不許可になる可能性がある
- 業務内容が指定書と一致しなければ追加資料を求められることもある
このため、採用スケジュールに余裕を持たせることが非常に重要です。
事前に申請サポートを行う専門家を確保しておくことも、スムーズな採用につながります。
労務トラブルや不法就労のリスク
ビザの条件や在留期限を把握せずに雇用を継続してしまうと、以下のような労務トラブルにつながることがあります。
- 在留期限切れでの就労継続による違法労働
- 指定された業務外の仕事に従事させてしまったケース
- 就労可能範囲を越えて残業を命じたことが問題視された事例
また、本人が「働ける」と思い込んでいたり、会社側も在留カードしか確認していなかったりというケースも少なくありません。
リスクを避けるためには、入管に事前確認を行い、就労許可を証明する文書を保管しておくことが推奨されます。
特定活動ビザを持つ外国人の雇用には、企業側の「法的リスク管理」が欠かせません。
就労の可否は指定書でしか判断できず、確認不足が命取りになるケースも。
採用前には必ず指定書を確認し、許可範囲と業務内容が一致しているかを社内でダブルチェックする体制を整えておきましょう。
万が一に備え、行政書士など専門家のアドバイスを受けながらの対応も視野に入れておくと安心です。
成功事例・失敗事例に学ぶ活用法
特定活動ビザは、目的ごとに活動内容や就労の可否が異なり、適切に使いこなすには実務上の判断が求められます。
実際に特定活動を活用してスムーズに就労資格へ切り替えた成功例もあれば、書類の不備や制度への理解不足で思わぬ失敗を招いた例もあります。
このセクションでは、企業や個人が参考にできる「活用事例」を通じて、制度利用時の注意点と実践的な対応策を紹介します。
就職活動特定活動→就労資格への切替成功例
大学卒業後、留学ビザから特定活動(就職活動継続)ビザへ切り替えたAさんは、半年以内に内定を獲得。
特定活動の指定書には「就職活動に限り滞在可」と明記されていたため、就労はできなかったものの、早い段階で採用企業と連携して就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)への変更申請を実施。
企業側は、事前に職務内容が在留資格の基準に合致するよう職務記述書を整備し、審査も約1カ月で無事に許可。
このように、早期から企業と本人が動くことで、タイムロスなく在留資格を切り替えることが可能です。
指定書記載ミスで活動制限された失敗事例
B社が採用した外国人スタッフは、特定活動ビザでの就労が許可されていると認識していたが、指定書の記載に「就労不可」とあったことに気づかず勤務を開始。
その結果、入管からの指摘を受け、会社側は不法就労助長の可能性を問われることになりました。
原因は、「在留カードの記載内容だけを見て判断してしまったこと」。
指定書の記載内容が雇用判断の要となることを社内で共有しておらず、書類確認の体制も整っていなかったためです。
このケースでは本人も退職、企業側も是正指導を受ける結果となり、信頼の損失も避けられませんでした。
在留期間中の変更によるトラブルと対応策
特定活動のビザで日本に滞在していたCさんは、期間中に新たな就労先が見つかり、就労ビザへの変更申請を実施。
しかし申請から許可までの期間中に、特定活動の在留期限が切れてしまいオーバーステイとなる直前の状況に。
企業側は慌てて入管へ相談し、審査中であることを証明する「受理証明書」を提出することで、一時的な在留継続が許可されたものの、ギリギリの対応は大きなリスクを伴います。
このような事態を防ぐには、「余裕を持った申請スケジュールの策定」と「在留期限の綿密な管理」が欠かせません。
特定活動ビザの活用は、制度への理解と的確な手続き対応によって大きな成果を生む反面、確認不足や連携ミスによって深刻なトラブルにも発展します。
成功事例に学べば、雇用までの流れをスムーズに運ぶヒントが得られ、失敗事例からは見落としやすい盲点を事前に防ぐ視点が得られます。
今後の雇用・受け入れを見据える企業担当者や外国人本人にとって、「実例を通じた準備力」こそが最大の安心材料になると言えるでしょう。
「特定活動ビザ」で後悔しないために!申請前に確認すべき実務3選
特定活動ビザは柔軟性の高い在留資格ですが、その一方で「就労できると思ったらできなかった」、「書類と実態が合っておらず申請が不許可になった」といったトラブルが起こりやすいビザでもあります。
こうした後悔を防ぐには、申請前の実務確認が極めて重要です。
このセクションでは、雇用企業と本人双方が見落としやすい3つの重要チェックポイントを解説します。
申請前に企業が必ずチェックすべき「就労可能か」の確認方法
企業が最も注意すべきなのは、特定活動ビザ保持者が本当に就労可能かどうかの確認です。
在留カードだけを見て判断するのはNGで、「指定書」に明記された就労可否の内容がすべてを決めます。
とくに告示外の特定活動や就職活動ビザを持つ外国人は、「就労不可」となっていることが多く、雇用してしまうと不法就労助長罪に問われるリスクもあります。
採用前には、必ず「在留カード+指定書のセット確認」を社内ルールとして徹底する必要があります。
指定書の内容と実際の業務内容がズレていないか?現場と書類の整合性
もうひとつの落とし穴が、「書類上の活動内容と、実際に行う業務が一致していない」ケースです。
たとえば、特定活動46号では「日本語能力を活かした業務」とされているにも関わらず、現場では単純作業のみを任せていた場合、ビザの趣旨から逸脱していると判断されるおそれがあります。
これを避けるには、職務記述書や雇用契約書の内容が指定書と一致しているかを、申請前に確認しておく必要があります。
人事・現場・法務担当の連携がこの段階で鍵になります。
特定活動からの「切り替え」時の見落としポイント(例:留学→就職活動→就労)
留学生が卒業後に就職活動を続ける場合、「特定活動(就職活動)」への切り替えが多く利用されますが、ここで注意が必要です。
このビザはあくまで“就職活動を行う”ことを前提としたものであり、就労はできません。
しかし、採用内定が出た段階で、すぐに就労を始めてしまうケースも見られます。
この場合は、「特定活動」→「就労ビザ」への変更許可が出る前に働くと、在留資格違反になります。
本人任せにせず、企業が切り替えの時期や許可取得状況を正確に把握する体制を整えておきましょう。
- 後悔しないための準備がすべて
特定活動ビザは便利な反面、実態と手続きのズレが命取りになる在留資格です。
採用前に「就労の可否を指定書で確認する」、書類と業務の整合性を取る、「資格変更のタイミングを逃さない」など、たった3つのチェックを怠らないだけで、大きなリスクを回避できます。
事前準備を徹底し、トラブルのない外国人雇用を実現しましょう。
「特定活動ビザ」を正しく理解し、リスクなく活用するために
在留資格「特定活動」は非常に柔軟性のあるビザですが、その反面、種類や指定内容によって就労可否や活動範囲が大きく異なるため、正しい理解と確認が不可欠です。
とくに特定活動46号のような就労可能な在留資格と、就職活動や出国準備など就労不可のケースが混在する中で、企業側の認識ミスは不法就労や行政指導といったリスクにつながりかねません。
この記事で解説した内容を押さえ、以下のポイントを実践することが重要です。
- ビザの種類と指定書の内容を必ず確認すること
- 書類と実務内容の整合性を保ち、申請時に齟齬が出ないようにすること
- 就労開始前に「切り替え手続き」が完了していることを確認すること
正しい知識と慎重な運用により、「特定活動ビザ」を有効に活用しながら、企業と外国人双方にとって安全で安心な就労環境を築いていきましょう。
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