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05/30 (金)更新

特定活動46号とは?現場就労が可能な新しい在留資格をわかりやすく解説

人材不足が深刻化する中、企業の採用戦略において外国人材の雇用は欠かせない選択肢となっています。

 

特に「特定活動46号」は、本邦大学または大学院を卒業した外国人が、接客や営業などの“いわゆる現場系業務”に従事できる画期的な在留資格として注目を集めています。

 

従来の「技術・人文知識・国際業務」では認められなかった現場労働が可能となったことで、幅広い職種において即戦力として外国人材を活用できるようになりました。

 

一方で、制度の運用には特定の条件や注意点が存在し、正確な理解が必要不可欠です。

 

本記事では、「特定活動46号」の制度概要から申請手続き、他の在留資格との違い、企業が注意すべきポイント、さらには導入事例まで、実務レベルで役立つ情報を網羅的に解説します。

 

外国人採用を検討している企業担当者の方はもちろん、外国人本人にとっても理解を深める一助となるでしょう。

特定活動46号とは何か?制度の概要と背景を理解する

なぜ今「特定活動46号」なのか?

 

近年、日本の労働市場では慢性的な人手不足が問題となっており、特にサービス業や接客業など、いわゆる「現場系の職種」においては外国人材の活用がますます注目されています。

 

その中で誕生したのが「特定活動46号」です。

 

これは、これまでの在留資格では対応できなかった現場職への就労を可能にした、新しい制度です。

 

この制度の誕生により、企業側は優秀な外国人材をより柔軟に雇用できるようになり、外国人本人も自らの専門性と日本語能力を活かして幅広い職種で活躍するチャンスが広がっています。

 

ここでは、制度の背景や対象者、在留期間、そして家族の帯同など、基礎情報を網羅的に解説します。

特定活動46号の制度創設の背景と目的

特定活動46号が創設された背景には、日本社会の人材不足の深刻化があります。

特に接客・販売・サービス業など、国内人材だけでは賄いきれない分野において、一定の日本語能力と専門性を有する外国人の活躍が求められていたのです。

これまで「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザでは、間接業務(事務・企画など)に限定されており、実際に現場で働きたい外国人留学生の希望とマッチしないケースが多く見られました。

そのギャップを埋めるために、2019年に導入されたのが「特定活動46号」です。

この制度により、本邦大学卒業者が“現場系”の業務にも就労できる法的枠組みが整いました。

日本語での円滑なコミュニケーション能力が前提となっており、「日本で学び、日本で働きたい」外国人にとって、非常に実用的な制度となっています。

対象となる外国人の条件とは?(本邦大学卒業者など)

特定活動46号の対象となるのは、以下の2つの条件を同時に満たす外国人です。

  • 日本国内の大学または大学院を卒業していること(いわゆる「本邦大学卒業者」)

     

  • 日本語能力試験N1に合格、もしくは大学での日本語による教育を修了していること

この「N1水準の日本語能力」が求められている点が、制度の大きな特徴です。単に学歴だけでは不十分で、実務に耐える日本語能力が求められるため、即戦力としての期待が高いことが分かります。

また、専門性や業種を問わず、「円滑な日本語での意思疎通が必要とされる業務」に就くことが前提とされています。

在留期間や更新の可否について

在留期間は最長で5年とされており、原則1年ごとの更新制です。

審査時には、契約内容や就労状況が適切に管理されているかどうかが重視されるため、企業側には正確な労務管理と定期的な報告体制が求められます。

また、在留資格の更新は無制限ではなく、同一業務・同一企業に継続して勤務していることが基本条件となります。

業務変更や転職などが発生した場合は、あらためて在留資格変更申請が必要となるため、慎重な運用が必要です。

家族帯同の条件と制限について

特定活動46号は、基本的に家族帯同が可能な在留資格です。

ただし、「特定活動」のなかでも細かく区分が分かれており、審査によっては帯同が認められないケースもあるため注意が必要です。

家族(配偶者・子)の帯同を希望する場合は、「家族滞在」の在留資格を取得し、同時に日本での生活費を安定して賄えることが必要です。

雇用主側としても、本人だけでなく帯同家族の生活基盤も考慮した支援体制が求められます。

制度を正しく理解し、活用することが鍵

「特定活動46号」は、本邦大学卒業者に現場業務の門戸を開いた新しい在留資格として、非常に柔軟かつ実践的な制度です。
日本語能力や就業要件に一定の基準がある分、即戦力人材として期待されており、企業にとっても外国人材を効率的に戦力化できるチャンスといえるでしょう。

制度の概要や条件、更新の仕組みを正しく理解することが、採用・運用の成功につながります。
次のセクションでは、具体的にどのような業務に従事できるのか、業務内容の事例とともに解説します。

特定活動46号で認められている活動内容と業務範囲

「特定活動46号」がこれまでの就労ビザと大きく異なる点は、日本語による円滑なコミュニケーションを必要とする“現場業務”への就労が許可されている点にあります。

 

これは、サービス業・小売業・宿泊業など、人手不足が顕著な分野において、外国人材の戦力化を促進する大きな突破口となっています。

 

本章では、特定活動46号で実際に従事できる業務範囲や、就業可能な企業の業種、正社員や契約社員としての働き方の制限などについて詳しく解説していきます。

「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは

特定活動46号の根幹にあるキーワードが、「日本語を用いた円滑な意思疎通」です。

これは単に日本語が話せるだけではなく、業務上の指示・顧客対応・社内連携などをスムーズにこなすことが求められることを意味します。

たとえば以下のような業務が該当します。

  • 日本人スタッフとのミーティングや報告業務

     

  • 顧客対応(接客、電話応対)

     

  • 店舗マネジメントに関わる調整・連絡業務

このため、日本語能力試験N1レベルの語学力が求められており、語学力だけでなく「業務遂行能力」としてのコミュニケーション力も重視されます。

従事できる業務の具体例(営業・接客・店舗管理など)

特定活動46号で従事できる主な業務には、以下のような現場系・対人系の職種が含まれます。

  • 営業職(法人営業・個人営業など)

     

  • 接客・販売(小売店・レストラン・宿泊施設)

     

  • 店舗管理(シフト管理・在庫管理・売上管理など)

     

  • 受付・カスタマーサポート

     

  • 一般事務や庶務業務(一定の対人業務を含むもの)

これらの職種は従来、「技術・人文知識・国際業務」では認められにくかった分野です。

現場での対応力や即戦力性が評価されるようになったのが、特定活動46号の大きなポイントです。

就業可能な業種・企業の種類

特定活動46号は、原則として業種の制限はありません

重要なのは、業務内容が「日本語による円滑な意思疎通を必要とする」ものであるかどうかです。

たとえば、次のような業種での就業が可能とされています。

  • 小売業(スーパー・百貨店など)

     

  • サービス業(飲食店・ホテル・旅行業など)

     

  • 製造業(営業職や現場管理職など)

     

  • 医療・介護業界(事務職や受付対応など)

     

  • IT業界(ユーザーサポート・コンサルティングなど)

ただし、単純労働(清掃・荷運び・工場ライン作業など)が主たる業務となる場合は認められません。

企業は業務内容を明確に記述・説明できる体制が必要です。

就労形態(正社員/契約社員)のルールと制限

特定活動46号では、正社員・契約社員のいずれも就労可能ですが、就業条件にはいくつかの制限があります。

  • 雇用形態にかかわらず、業務内容が基準に適合していること

     

  • 労働条件通知書や雇用契約書の提示が必須

     

  • 週30時間以上のフルタイム雇用が原則

また、アルバイトや派遣社員としての就業は基本的に対象外です。

契約社員の場合でも、更新の度に契約内容や業務内容が審査されるため、企業側には継続的な法令順守と管理体制の整備が求められます。

業務内容の正確な理解が制度活用の鍵

特定活動46号は、日本語での実務遂行能力を前提とした、柔軟な現場業務への就労を認める制度です。
従事できる業務の幅が広い一方で、日本語能力の実質レベルや業務内容の妥当性が問われるため、企業・外国人双方が制度の正しい理解と準備を行う必要があります。

制度を上手く活用すれば、人材不足の解消だけでなく、組織に新たな風を吹き込むチャンスにもなり得ます。

特定活動46号の取得要件と注意点

「特定活動46号」は柔軟な業務が可能な在留資格として注目を集めていますが、取得には一定の学歴・語学力・業務条件を満たす必要があります

 

また、在留資格変更や転職時には細かな審査基準と制約があるため、事前に要件をしっかり理解しておかないと不許可のリスクもある制度です。

 

このセクションでは、特定活動46号を取得するための具体的な申請要件と、見落としがちな注意点や不許可事例、転職時における注意ポイントまでわかりやすく解説します。

取得に必要な申請基準(学歴・日本語力など)

特定活動46号を取得するには、以下のような明確な基準を満たす必要があります。

  • 本邦の4年制大学または大学院を卒業していること

     

    • 学士号または修士号が必要。短大や専門学校卒業者は対象外。

       

  • 日本語能力試験(JLPT)N1に合格していること

     

    • もしくは「BJTビジネス日本語能力テスト」で480点以上。

       

  • 従事する業務が「日本語での円滑な意思疎通を要する業務」であること

     

  • 業務内容が学位と無関係でも可

     

    • 例:文学部卒業者でも飲食店のマネージャー業務に従事できる場合がある。

これらは、他の就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務)に比べて対象の柔軟性が高い一方で、日本語力や卒業学歴が求められる分、基準を満たさないと認定されにくくなっています。

注意すべき条件と不許可事例

取得条件を満たしていても、以下のようなケースでは不許可となることがあります

  • 実際の業務内容が「単純労働」と判断された場合

     

    • 例:レジ打ちや皿洗い、清掃などが主業務の場合

       

  • 業務内容の説明が曖昧な場合

     

    • 申請書類における業務内容が不明瞭、または現場業務と一致しないケース

       

  • 勤務先が申請基準に適合していない

     

    • 雇用契約書や労働条件通知書が不備、または企業の財務状況に問題がある

       

  • 本人の日本語能力証明が不足している

     

    • JLPTの証明書がない、成績証明が不完全な場合など

このようなケースでは「形式上の条件を満たしていても本質的な審査に通らない」ことがあります。企業側の説明責任や書類の正確さも、審査結果に大きく影響します。

在留資格変更時の留意点(転職や業務変更)

特定活動46号は、在留資格変更によって取得されることが多いため、以下の点に注意が必要です。

  • 別の在留資格(例:留学・技人国など)からの変更申請が主流

     

  • 転職時にも再度「在留資格変更許可申請」が必要

     

    • 業務内容・就業場所が変わる場合、変更届だけでは済まない

       

  • 申請内容と実態が一致しないと在留資格の取消対象になる

     

    • 転職後に単純労働や業務の逸脱があると、資格取消・退去命令のリスクも

雇用先が変わった場合は必ず入管に報告し、許可を得る必要があります

自己判断で変更せず、行政書士や専門機関のサポートを受けると安心です。

取得・運用には「正確な理解と事前準備」が必須

特定活動46号は、日本語力が高い外国人材が現場で活躍できる道を開いた制度ですが、取得には明確な条件と細かな運用ルールが存在します。

  • 学歴(大学卒)と日本語力(N1)が必須

     

  • 業務内容は「意思疎通」を伴う対人業務であることが前提

     

  • 企業側にも書類作成と適切な管理体制が求められる

申請前の要件確認と書類準備が成功の鍵を握っており、転職や業務変更のたびに慎重な対応が必要です。

特定活動46号の申請手続きと必要書類の全体像

特定活動46号を取得するには、厳密な条件とともに適切な手続きの理解が不可欠です。

 

要件を満たしていても、書類の不備や記載ミスがあると審査に通らないことも少なくありません。

 

このセクションでは、申請の流れから必要書類、申請先と審査期間、よくある質問やトラブル例までを網羅的に解説します。

 

申請前に準備すべきポイントを押さえ、スムーズな手続きを目指しましょう。

申請手続きの基本的な流れ

特定活動46号の申請は、以下のようなステップで進みます。

  1. 企業と申請者で雇用契約の締結
     - 雇用条件通知書の作成と署名

     

  2. 申請書類の準備
     - 本人と企業が共同で書類を作成

     

  3. 地方出入国在留管理局への申請
     - 必要書類を添えて申請。郵送や窓口提出が可能

     

  4. 審査期間の待機(約1〜2ヶ月)
     - 状況により審査が長引く場合も

     

  5. 許可通知・在留カードの交付

申請者本人がすでに日本国内にいる場合は「在留資格変更許可申請」、国外から呼ぶ場合は「在留資格認定証明書交付申請」が必要となります。

提出すべき書類一覧と注意点

以下は特定活動46号の申請にあたって、提出が求められる代表的な書類です。

  • 在留資格変更許可申請書または認定証明書交付申請書

     

  • 雇用契約書または労働条件通知書の写し

     

  • 大学卒業証明書または学位記の写し(本邦の大学卒業)

     

  • 成績証明書(在学中の履修状況の裏付け用)

     

  • 日本語能力を証明する書類
     - JLPT N1の合格証明書など

     

  • 会社案内や事業内容が分かる資料

     

  • 申請理由書(必要に応じて)

注意点

  • 書類に不備や矛盾があると審査が止まる

     

  • 日本語能力証明や業務内容説明が抽象的すぎるとNG

     

  • 契約期間や雇用形態に関しては、正社員または契約社員である必要あり(アルバイト不可)。

審査期間と申請先(地方出入国在留管理局など)

申請先は原則として、就労予定地を管轄する地方出入国在留管理局です。

  • 窓口持参または郵送対応が可能

     

  • 混雑状況により審査は1ヶ月~2ヶ月程度が目安

     

  • 申請から在留カード交付までに時間差があるため、早めの準備が肝心です

また、申請内容に問題がある場合は追加書類の提出を求められるため、企業と申請者が密に連携して対応する必要があります。

申請にあたってのよくある質問とトラブル事例

よくある質問

  • Q:大学を卒業していればどんな職種でもOK?
    A:単純労働は不可。「日本語による意思疎通を必要とする業務」が前提です。

     

  • Q:在留資格の変更は自分でできますか?
    A:可能ですが、企業側の協力が不可欠であり、専門家(行政書士等)の支援が推奨されます。

     

  • Q:不許可になった場合、再申請は可能?
    A:可能ですが、不許可理由を明確にし、改善策を講じたうえで再提出が必要です。

トラブル事例

  • 書類の記載内容と実際の業務が食い違っていたため、不許可となったケース

     

  • 契約期間が短く「安定性に欠ける」と判断され、不許可になった事例

     

  • 日本語能力の証明に不備があり、資格不適合と判断された事例

申請成功には「正確な書類」と「企業側の協力」が不可欠

特定活動46号の申請は、単なる書類提出だけでなく、制度の趣旨に沿った業務内容・契約内容の整合性が求められます

  • 書類は具体性と整合性を重視

     

  • 日本語能力や学歴の証明は必ず添付

     

  • 企業側も申請に対する明確な業務設計と支援体制が必要

不安がある場合は、行政書士や在留資格専門のコンサルタントに相談することも有効です。

他の在留資格との違いを徹底比較

外国人採用において、企業が最も迷うポイントの一つが「どの在留資格を選ぶべきか」という問題です。

 

特に特定活動46号は新しい制度であるため、他の在留資格との違いや使い分けを理解しておかないと、誤った採用につながるリスクがあります。

 

ここでは、よく比較される「技術・人文知識・国際業務」や、より現場寄りの「特定技能」「技能実習」と比較し、特定活動46号の強みと弱みを整理してお伝えします。

「技術・人文知識・国際業務」との違い

「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国)は、大学や専門学校の卒業者を対象にした、ホワイトカラー職種向けの代表的な在留資格です。

営業や翻訳、マーケティング、システムエンジニアなどが主な対象ですが、現場作業(肉体労働)を含む業務は原則認められていません

一方、特定活動46号は「現場業務」を含む職務に就けることが最大の違いです。

たとえば、飲食チェーンの店長候補やアパレルの販売管理職など、日本語能力と現場運営力を重視する職種が対象となります。

  • 技人国は「業務の専門性」が求められる

     

  • 特定活動46号は「日本語による円滑な意思疎通能力」を前提に幅広い実務が可能

このため、現場に近い職種で人手を補いたい企業には46号の方が適していると言えるでしょう。

「特定技能」「技能実習」との比較ポイント

特定技能技能実習はいずれも現場系職種がメインであり、混同されがちですが、目的や対象人材、制度の運用に大きな違いがあります。

比較項目特定活動46号特定技能技能実習
対象人材日本の大学卒業者技能水準・日本語能力クリア者開発途上国の若年層
就労内容現場+企画など柔軟指定分野の現場作業のみ技能習得のための作業
日本語力N1/N2が基本要件N4以上(分野による)N5〜N4程度が多い
在留期間最長5年(更新可)1号(5年)→2号あり最長5年(段階制)
雇用形態正社員または契約社員フルタイム(多くは契約社員)実習生扱い(研修契約)
管理方式企業が管理登録支援機関のサポート監理団体の指導が必要

技能実習は人材育成が名目であり、労働力としての活用には限界がある一方で、特定技能は業界の深刻な人手不足を補う制度

それに対し、特定活動46号は“日本の高等教育を受けた外国人を長期戦力として活用する”枠組みです。

「特定活動46号」ならではの強みと弱み

強み

  • 現場に即戦力として対応できる – 営業・接客など幅広い職種に対応

     

  • 日本語力が高い人材が対象 – 社内コミュニケーションが円滑

     

  • 大学での専門知識+ビジネスマナーが期待できる

     

  • 正社員雇用が可能なため、長期的な戦力化がしやすい

弱み

  • 採用対象が限定的(日本国内の大学等卒業者)

     

  • 申請の難易度がやや高い – 書類作成や審査に専門知識が必要

     

  • 制度理解が浅いと不許可リスクがある

つまり、優秀な人材を“現場で活かしたい”と考える企業にとって、特定活動46号は非常に有効な手段である一方、正しい制度理解と運用体制が前提となります。

他制度との違いを知ることで採用戦略が明確になる

特定活動46号は、「技人国」「特定技能」「技能実習」と比べて現場業務に対応できる優秀な人材の確保を可能にする点が最大の特長です。

  • 即戦力人材が欲しい企業には46号がフィット

     

  • 制度の柔軟さと対象の明確さが特徴

     

  • 他制度の制限を乗り越える選択肢として注目度が高まっています

次のセクションでは、特定活動46号のメリットと企業側にとっての利点についてさらに詳しく解説していきます。

特定活動46号のメリットと雇用する企業側の利点

日本の労働市場では少子高齢化に伴う人材不足が深刻化しており、企業はこれまで以上に多様な人材の活用を模索しています。

 

そんな中で特定活動46号は、即戦力となる外国人材を現場業務に柔軟に配置できる在留資格として、多くの企業から注目を集めています。

 

特定活動46号は、他の在留資格では難しいとされていた「日本語を使ったコミュニケーション能力」+「現場実務」の両立が可能となる枠組みです。

 

このセクションでは、企業側が感じられる具体的なメリットを3つの視点から解説します。

柔軟な業務配置が可能になる

特定活動46号の最大の特長は、現場での業務にも柔軟に従事できる点にあります。

たとえば、販売、接客、カスタマーサポート、店舗マネジメントなど、従来の「技術・人文知識・国際業務」ビザでは認められにくかった業務にも対応可能です。

これにより企業は、人材配置の幅を大きく広げることができます。

例えば下記のようなシーンでメリットを発揮します。

  • 店舗運営に関わる接客とマネジメント業務の兼務

     

  • サービス業における顧客対応+バックオフィスの両立

     

  • 多言語対応スタッフとしての配属と現場支援

これまで「ホワイトカラー職」と「現場職」の線引きが曖昧な業種では、制度のはざまで採用が進まないケースも多くありました。

しかし、特定活動46号を活用することで、現場ニーズに即した外国人材の配置が現実的になります。

日本語力が高く即戦力として期待できる

特定活動46号の申請要件には、日本語能力試験(JLPT)N1またはN2レベルの取得が原則的に求められています。

これは、単なる語学力ではなく、ビジネス上でのコミュニケーションを問題なく行える水準です。

このため、採用した外国人材は次のような形で即戦力となり得ます。

  • 顧客との会話やメール・電話対応におけるスムーズな日本語運用

     

  • 社内研修やマニュアル理解のスピードが早い

     

  • 周囲の日本人スタッフとの連携にストレスがない

特にサービス業や販売業、小売業などでは、日本語での細かなやり取りが求められる場面が多くあります。

高い日本語能力を前提とした特定活動46号人材の導入により、指示伝達や接客対応の精度が格段に向上します。

人材不足への有効な選択肢となる理由

慢性的な人手不足に悩む業界では、特定活動46号の存在が採用戦略の新たな柱となります。

以下のような理由から、特定活動46号は人材確保の手段として非常に有効です。

  • 日本国内の大学等を卒業した外国人が対象のため、採用の母集団が明確

     

  • 現場業務も許可されるため、既存の空白ポジションにフィットしやすい

     

  • 長期雇用を前提とした正社員登用も可能で、定着率が高い傾向

たとえば、外国人留学生の新卒採用において、従来は「技人国では業務内容に制約がある」「特定技能では職種が合わない」などの悩みがありました。

特定活動46号であれば、人材の能力に応じてより実践的な職場配置が可能です。

さらに、更新制度により最長5年の在留が可能であり、企業側も中長期的な戦力として育成がしやすいのも大きなメリットです。

特定活動46号は企業の採用力と柔軟性を高める制度

特定活動46号は、日本語力の高い人材を現場業務に配置できるという、他のビザにはない柔軟性と実務力を兼ね備えた制度です。

  • 業務配置の自由度が上がる

     

  • 即戦力として活躍できる人材の確保が可能

     

  • 慢性的な人手不足への確実な対策になり得る

この制度をうまく活用することで、企業は単なる人手確保にとどまらず、業務効率化やサービス品質の向上を実現することも可能です。

特定活動46号の実例から学ぶ成功と課題

制度としての理解だけでは、特定活動46号を本当の意味で活用しきることはできません。

 

実際の現場でどのように運用されているのか、成功と失敗の両面を知ることこそが、今後の活用の指針になります。

 

このセクションでは、採用企業・外国人本人それぞれの視点から見た実例を紹介し、特定活動46号の可能性と注意点について具体的に解説します。

採用成功事例:現場即戦力として活躍したケース

ある中堅のアパレル企業では、特定活動46号の在留資格を活用し、日本国内の大学を卒業した外国人留学生を正社員として初めて採用しました。

それまで外国人アルバイトの採用経験はありましたが、正規雇用としては今回が初の試みでした。

企業側は採用に際し、就労内容を「日本語を日常的に使用する業務」に限定。具体的には、接客や商品管理、顧客対応といった業務で、職務記述書を明確に整備して入管に提出。

この対応により、「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」に該当すると判断され、在留資格の取得もスムーズに進行できます

実際の勤務が始まると、本人は大学で学んだ専攻を業務に応用し、販売戦略の立案にも積極的に関わるように

その結果、売上向上に一定の成果を示し、社内からの評価も高まりました。

また、語学力に加えて日本文化への理解も深かったため、職場のスタッフとの関係も良好に築けたことが、長く働き続けられる要因となっています。

半年が経過した頃には、新人育成の役割を任されるなど、社内での信頼も確固たるものとなりました。

この事例から明らかなように、制度への理解と就労内容の明確化、そして本人のスキルと意欲がうまく噛み合えば、特定活動46号は即戦力人材の獲得手段として非常に有効であると言えるでしょう。

申請時に失敗した事例と改善ポイント

一方で、特定活動46号の活用に失敗した事例も存在します。

ある飲食業の企業では、日本国内の大学を卒業した外国人アルバイトをそのまま正社員として継続雇用しようとしたものの、在留資格の変更申請が不許可となりました。

その理由は、申請された業務内容が「厨房内での補助業務」に偏っていたことにあります。

日本語を活用する職務と判断されず、特定活動46号の要件を満たさないと判断されたのです。

さらに、提出した雇用契約書の記載内容が曖昧で、勤務時間や業務範囲が不明確だったことも審査で不利に作用しました。

業務内容の具体性と契約書の整合性が、審査における重要な判断基準となることがわかります。

企業側はこの結果を受けて対応を見直し、接客やレジ業務、クレーム対応など、日本語を用いる業務に職務内容を変更

あわせて、詳細な職務記述書を作成し、業務の具体性を高めました。さらに、雇用契約書についても専門家の助言を得ながら再構成し、給与、労働条件、業務内容を明文化。再申請に臨んだところ、2回目で在留資格の許可が下り、就労が正式にスタートしました

このケースは、特定活動46号の取得には「業務内容の設計」や「申請資料の精度」が成功のカギを握ることを如実に示しています。

申請前の段階で専門家のチェックを受けることが、許可取得の可能性を大きく高める重要なポイントだといえるでしょう。

外国人本人から見た46号の活用感と課題

特定活動46号を利用して働く外国人の声には、前向きな意見と課題意識が混在しています

ポジティブな感想

  • 「接客を通じて日本語力がさらに向上した」

     

  • 「大学で学んだ内容を実務で活かせている」

     

  • 「長期で働ける在留資格があって安心できる」

一方で課題も

  • 「会社の制度が曖昧で更新手続きのサポートが不安」

     

  • 「将来のキャリアが描きづらい。このビザでどこまで昇進できるのか不透明」

     

  • 「就労先によって制度理解の差が大きい」

本人側の意見からも、企業がしっかりとした支援体制を持つかどうかが満足度を大きく左右していることがわかります。

成功には“準備と理解”が不可欠、失敗は“改善のチャンス”

実例から見えるのは、特定活動46号は非常に有効な制度である反面、運用に失敗すると企業・本人ともに不利益が大きいという現実です。

  • 成功事例は、明確な職務設計と受け入れ体制が鍵

     

  • 不許可事例は、制度理解と資料不足が要因

     

  • 本人視点では、支援体制と将来性の提示が重要

特定活動46号を使いこなすためには、採用の段階から就労中、そして更新まで一貫した制度設計と理解が求められます
この実例の知見を、ぜひ自社の受け入れに役立ててください。

特定活動46号を最大限に活かすための実務ガイド

特定活動46号の在留資格を活用するうえで、制度の理解だけでなく、企業内の実務対応や社内体制の整備が成功のカギを握ります。

 

この章では、採用前に確認すべきポイント、導入後に活用できる外部サポート、社内における定着のための取り組みを整理し、制度を最大限に活かすための具体的な指針をお伝えします。

採用前に確認すべき実務チェックリスト

特定活動46号で外国人を雇用する前に、以下の項目を確認しておく必要があります。

  • 職務内容が「日本語での意思疎通が必要な業務」に該当するか

     

  • 職務記述書(Job Description)などで業務内容が明文化されているか

     

  • 雇用契約書に労働条件・勤務時間・業務範囲などが正確に記載されているか

     

  • 契約形態が正社員もしくは契約社員であること

     

  • 本人が「本邦大学卒業」などの要件を満たしているか

これらの準備不足は、申請時の不許可リスクを高めてしまいます。

制度を活かすためには事前準備が不可欠です。

導入後に活用できるサポート制度・外部リソース

採用後も、外国人社員が定着しやすい職場をつくるためには、外部支援を活用することが有効です。たとえば以下のようなリソースがあります。

  • 地方自治体の外国人支援窓口:生活・言語支援、文化理解の補助

     

  • 外国人雇用サービスセンター:雇用や労務に関する相談対応

     

  • 行政書士などの専門家:更新手続き・申請書類の作成代行

     

  • 外部研修会社:ビジネスマナーや職場適応トレーニングの実施

外部機関との連携は、雇用側・外国人側双方の不安を軽減し、継続的な活躍を支える土台となります。

社内理解を深めるための研修とコミュニケーション施策

受け入れ体制を社内で整えることも非常に重要です。以下のような取り組みが、外国人社員の定着に効果的です。

  • 在留資格の制度や制限に関する基礎知識の研修

     

  • 多文化共生に関するセミナーの実施

     

  • OJT・メンター制度の導入によるサポート体制の明確化

     

  • 社内マニュアルや掲示物の多言語対応

また、チーム内のコミュニケーションを円滑にするツールや習慣(朝礼での確認、定期面談など)を導入することも推奨されます。

制度活用には「準備」と「仕組み」の両輪が必要

特定活動46号を効果的に活用するには、法制度の知識だけでなく、実務・人材管理の視点も不可欠です。
採用前のチェックリストで準備を整え、導入後には支援制度と社内体制を活かすことで、外国人材の力を最大限に引き出すことが可能になります。

「制度の活用」ではなく、「人材戦略の一環」として捉えることが、これからの企業に求められる視点です。

特定活動46号は企業と外国人双方の可能性を広げる制度

特定活動46号の申請は、在留資格の中でも比較的新しく、柔軟性の高い制度ですが、その一方で申請の流れや書類の整備には細かな注意点が多く、制度の本質を理解しているかどうかで結果が大きく分かれます。

 

ここまでの記事では、制度の概要から具体的な申請手順、必要書類、審査基準、そしてよくある質問とトラブル例まで網羅的に解説しました。

 

これらを正しく理解し、段階ごとに適切な準備を進めていくことが、許可取得への最短ルートとなります。

 

次に、要点を簡潔に整理しながら、申請前に意識すべきことを再確認していきましょう。

人材活用の新たな選択肢としての価値

特定活動46号は、これまで「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザでは対応が難しかった“現場業務を含む職種”にも就労機会を開く在留資格です。

とくに、日本の大学や大学院を卒業した外国人に対し、日本語力と学術的背景を活かした就業の場を提供できる点で、企業にとっても採用の幅を広げる貴重な制度となっています。

適切な運用で企業成長にも大きなプラスに

制度の趣旨を正しく理解し、適切な職務設計・契約内容・職場体制を整えることができれば、外国人社員は即戦力として力を発揮し、職場全体の活性化や国際対応力の向上にもつながります。

さらに、人材不足が深刻化する中で、将来を見据えた持続的な人材戦略としての効果も期待できます。

制度の理解と準備が成功へのカギとなる

特定活動46号は柔軟で可能性の高い制度である一方で、制度に対する誤解や不備のある運用は不許可やトラブルを招くリスクも伴います。

採用前から綿密な準備を進め、業務の明確化・申請書類の精度・社内体制の構築まで一貫した取り組みが不可欠です。

制度の本質を理解し、正しく活かすことで、企業と外国人材の双方にとって価値ある選択肢となるでしょう。

 

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