
05/30 (金)更新
特定技能2号になるには?取得条件・必要な試験・対象分野を徹底解説!
「特定技能1号で働いているが、もっと長く日本にいたい」「家族と一緒に暮らしたい」――
こうした希望を実現する選択肢として、注目されているのが「特定技能2号」への移行です。
特定技能2号は、在留期間に上限がなく、家族帯同も可能な制度であり、外国人労働者にとって“より安定的な生活とキャリア形成”を可能にするステップアップの道となっています。
一方で、対象となる業種が限られていたり、評価試験に合格する必要があったりと、移行には明確な条件と手続きが存在します。
本記事では、特定技能2号とは何か、1号との違い、対象分野や必要な試験情報、企業側の対応、そして実際の取得者の事例までを網羅的かつわかりやすく解説します。
「特定技能2号になりたい」「雇用したい」と考える方にとって、制度を正しく理解し、適切に準備するためのガイドとしてご活用ください。
特定技能2号とは?制度の概要と仕組み
外国人材の中長期的な就労を可能にする在留資格として、注目されているのが「特定技能2号」です。
これは、特定技能1号で一定の実務経験と技能を積んだ外国人が、より高度な技能者として長く日本で働くことを可能にする制度です。
特定技能1号とは違い、在留期間の上限がなく、家族の帯同も可能になるなど、待遇面や生活の安定において大きなメリットがあることから、すでに多くの外国人がこの資格を目指しています。
このセクションでは、特定技能制度全体の枠組みを確認しながら、2号がなぜ創設されたのか、その制度上の意義について丁寧に解説します。
特定技能制度の全体像(1号と2号の関係)
特定技能制度は、日本の深刻な人手不足を背景に、2019年に創設された在留資格制度です。
「特定技能1号」と「特定技能2号」の2段階構成になっており、それぞれ役割と要件が異なります。
比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
在留期間 | 通算5年まで | 制限なし(更新可能) |
家族帯同 | 不可 | 可能(条件あり) |
必要技能 | 基礎的 | 熟練技能 |
業種 | 12分野 | 一部の業種に限定(現在11分野) |
試験要件 | 技能+日本語試験 | 高度な技能評価試験のみ |
支援計画 | 企業に義務あり | 原則不要(自主対応) |
特定技能2号は、1号を経てステップアップする形で取得するのが一般的で、より熟練した人材を継続的に日本で活用するための制度といえます。
特定技能2号が創設された背景とは?
特定技能2号の創設背景には、以下のような2つの大きな課題とニーズがありました。
- 外国人材が「短期的労働力」としてしか扱われていない現状への反省
→ 長期的に働きたい外国人にとって、5年で帰国せざるを得ない制度は不安定でした。 - 企業側が育てた人材を「5年で失う」矛盾への不満
→ 教育・育成コストをかけたにもかかわらず、実力がついた人材が5年でいなくなってしまうという構造的な問題がありました。
こうした状況を踏まえ、「一定の技能と経験を積んだ人は長期的に働けるようにしよう」という方向で制度が見直され、2021年から本格的に運用され始めたのが特定技能2号です。
2号の導入目的と政策的な位置づけ
政府は特定技能2号を、単なる労働力確保にとどまらず、日本経済の一部を担う「定着型外国人材」の受け皿として明確に位置づけています。
【政策的なポイント】
- 人手不足分野における持続可能な雇用確保
- 外国人材との共生社会実現に向けた制度整備
- 技能実習からの流動的な移行先としての役割
また、将来的には特定技能2号の対象分野をさらに広げる議論も進んでおり、永住権取得の足がかりとしても期待されています。
企業側にとっても、2号取得を目指す人材に対して研修・評価・長期雇用プランを持つことが、人材確保の戦略として極めて重要になるでしょう。
◇制度の理解が、人材育成の第一歩になる
特定技能2号は、特定技能制度の「最終ステップ」でありながら、今後さらに拡大・活用が期待される重要な制度です。
- 制度の構造を理解することで、育成・雇用の道筋が見える
- 背景と目的を知ることで、制度活用の方向性が定まる
- 企業・本人ともに、“使われる制度”から“使いこなす制度”へ意識を変える必要がある
特定技能2号を見据えた採用と育成は、すでに始まっています。
人材確保の競争が激化する中、今こそ制度への理解を深め、長期的な視点での準備と支援体制の構築が求められます。
📌 関連記事:企業も必見!特定技能2号取得に向けた人材育成と支援のポイント
特定技能1号と2号の違いは?
特定技能制度には「1号」と「2号」の2つの在留資格が用意されていますが、両者は単なる「レベル違い」ではなく、在留期間・待遇・家族帯同など外国人の生活全体に関わる根本的な違いがあります。
企業側にとっても、支援義務や雇用管理体制に大きな差があるため、制度を理解せずに受け入れを進めると後々トラブルの原因にもなりかねません。
このセクションでは、在留資格「特定技能1号」と「特定技能2号」の主な違いを、5つの視点でわかりやすく整理します。
在留期間と永住可能性の違い
- 特定技能1号 – 最大5年間までの在留(更新可だが合計5年が上限)
- 特定技能2号 – 在留期間に制限なし(更新可)+永住申請の道が開ける
1号ではどれだけ働いても5年で帰国しなければならず、長期的な生活設計が立てづらいのが現実です。
一方、2号は更新を重ねることで永続的に滞在できる上、永住権の申請も視野に入れられるため、「日本でずっと働きたい」という人材には魅力的な制度です。
家族帯同の可否
- 特定技能1号 – 原則、家族帯同は不可
- 特定技能2号 – 配偶者や子どもの帯同が認められる
これは生活の安定に大きく関わるポイントです。
1号では単身での生活が前提となるため、精神的負担や離職リスクも高まりやすく、
2号は家族と一緒に暮らせることで、定着率やモチベーションが飛躍的に向上します。
技能水準と評価基準の違い
- 1号 – 基礎的な技能・日本語能力(試験:技能+日本語)
- 2号 – 実務経験+より高度な技能水準(技能試験のみ)
特定技能1号では、日本語能力試験(N4相当)や基礎的な技能評価が求められますが、2号では日本語試験は不要になる一方で、高度な専門技術・経験が求められる技能試験に合格する必要があります。
このため、2号は「経験を積んだ即戦力人材」を選別する仕組みであり、習熟度の証明がより厳密だといえます。
企業による支援義務の有無
- 1号 – 企業は「支援計画の策定と実施」が義務(生活・労働面でのサポート含む)
- 2号 – 企業の支援義務は原則なし
1号では、住居の確保・日本語教育・相談対応など、外国人の生活面まで包括的に支援する責任があります。
2号ではこの義務がなくなるため、企業側の負担は軽減されますが、その分自主的な育成・支援ができる体制が望まれます。
試験の内容と難易度の違い
- 1号 – 分野別技能評価試験+日本語能力試験(または日本語基礎テスト)
- 2号 – 分野別で設けられる熟練技能評価試験(難易度高)
2号の試験は、1号よりも実務的・実践的な内容が問われるうえに、受験者数や開催回数が少なく、競争率も高い傾向にあります。
試験の難易度と不透明さを理由に、早めの情報収集と計画的な準備が重要になります。
◇制度の違いを正しく知ることで、将来が変わる
特定技能1号と2号は、似た名称でも制度の目的と設計が大きく異なります。
- 1号は「即戦力を短期間活用する制度」
- 2号は「熟練人材を長期的に受け入れる制度」
外国人本人にとっても、企業側にとっても、「どちらを目指すか」「どこまで育てるか」を明確にしたうえで取り組むことが、安定した雇用と共生の実現に直結します。
特定技能2号の対象分野一覧と要件
特定技能2号は、現在限られた分野のみで受け入れが認められている在留資格です。
「特定技能1号で働いていて、2号を目指したい」という外国人や、長期的な雇用を見据えた企業にとって、自分の業種が対象かどうかを正しく知ることが第一歩です。
ここでは、現在(2025年時点)で特定技能2号の対象となっている分野と、それぞれの移行条件や実務要件の概要を解説します。
建設分野
特定技能2号の中でも最も活用が進んでいる分野です。
技能試験と一定の実務経験を経て、以下のような職種で2号への移行が可能です。
- 型枠施工、鉄筋施工、内装仕上げ、電気通信、土工など
- 国交省が認定する熟練技能評価試験に合格する必要あり
建設業界では人手不足が深刻なため、長期就労を前提とした人材育成と雇用が推奨されています。
造船・舶用工業
この分野では、高度な溶接・仕上げ・鉄工などの技術が求められます。
- 造船・舶用工業技能試験(2号用)の合格が必要
- 特定の工程に関しては「管理的立場」も視野に入る
重工系メーカーや下請け企業でのニーズが高く、地方都市での雇用が目立つのが特徴です。
自動車整備
- エンジン整備・電装品修理などの高度な技能を評価
- 2号取得には1号在留中に国家整備士レベルの実務能力があるかが問われる
現場経験とともに、メーカー別技術研修や検定の活用がポイントとなります。
航空
- 航空機整備やグランドハンドリングなどの高度職が対象
- 国家資格保有や実務経験の証明が必要
採用数は少ないが、空港周辺地域の定着支援やキャリア形成支援が進んでいる分野です。
農業
現在のところ、2号への正式移行は検討段階にあるが、試行的に受け入れの動きあり。
- 機械化農業やスマート農業分野での技能評価導入が鍵
- 作物の生産管理や収穫作業で熟練が求められる
※本格的な2号制度導入は今後の制度整備状況に要注目です。
漁業
- 養殖・操業・加工といった多段階の工程に対応できるスキルが必要
- 実地評価に加えて、天候・地域事情に左右されにくい体制整備も重視される
島しょ部や地方沿岸部での定住支援と一体的に運用されるケースが多いです。
宿泊業
- フロント、客室管理、レストランサービスなどが主な対象
- 日本語対応力に加え、「多文化理解・接客能力」の熟練度が評価基準に含まれる
観光業の回復とともに、外国人スタッフによる多言語接客の戦力化が期待されています。
ビルクリーニング
- 建物清掃において、機械操作・化学剤取扱い・品質管理に関する熟練度が評価されます
- 1号では単純作業でも、2号では管理的スキルが求められることがポイント
都心部のビルメンテナンス会社で中堅人材としての活用が進行中です。
飲食料品製造業
- 製造ラインの監督・機械操作・品質チェック・工程管理などが対象
- 冷凍・発酵・殺菌といった工程の深い理解が必要とされます
HACCPなどの衛生管理基準への理解と応用力もカギです。
外食業
- 調理・接客だけでなく、店舗運営や新人指導ができるレベルの人材が求められます
- メニュー開発や多国籍対応も評価対象となる可能性あり
企業によっては、特定技能2号を目指す研修ルートを独自に整備している例も増えています。
工業製品製造業(素形材・機械・電気電子関連)
3つの製造分野を総称するこの区分では、日本の製造業を支える実力派人材の育成が焦点となっています。
- 素形材 – 鋳造、鍛造、金属プレス
- 産業機械 – 機械加工、仕上げ、組立
- 電気電子 – プリント配線、電子機器組立
高度な作業標準の理解・改善提案能力・後進育成の姿勢などが求められます。
◇まず「自分の分野が対象かどうか」を確認することから
特定技能2号は、現在11の分野でのみ取得が可能です。
対象外の業種では、たとえ高いスキルがあっても制度的に移行ができないため、注意が必要です。
- まずは自分の分野が対象になっているか確認する
- 必要な試験・実務経験・申請条件を分野ごとに把握する
- 企業と連携し、移行を見据えたキャリア設計を早めに始めることが鍵
特定技能2号は、ただの資格ではなく「長く働く権利」を手に入れる制度です。
分野ごとの要件と準備の違いを理解したうえで、計画的にステップアップを目指しましょう。
特定技能2号になるには何が必要?
「特定技能2号を取得したいけど、何から始めればいいかわからない」
「実務経験はあるけど、試験って何? どんな手続きが必要?」
そう悩む外国人や企業担当者のために、このセクションでは実際に特定技能2号になるために必要な条件と流れを詳しく解説します。
1号から2号への移行には技能の証明・制度的な手続き・企業との協力体制が不可欠であり、分野ごとに要件も異なるため、事前の確認と準備が何より重要です。
評価試験の合格が必須(技能+日本語)
特定技能2号へ移行するには、分野別の「熟練技能評価試験」に合格することが必須条件です。
- 技能評価試験:業種ごとに出題範囲が異なり、1号試験より難易度が高い
- 日本語試験:多くの分野で2号には求められないが、業務に必要なレベルの日本語力は前提
- 試験の実施頻度や会場も分野で異なるため、こまめに最新情報を確認する必要あり
たとえば建設分野では、国交省が監督する「特定技能2号評価試験」の合格が必須です。
受験機会が限られているため、準備には時間的余裕が必要です。
1号での実務経験が原則2年以上
多くの分野では、「1号としての在留期間中に2年以上の実務経験を積むこと」が移行の要件になっています。
これは単に「働いていた」というだけでなく、以下のような記録や証明が必要です。
- 雇用契約書、給与明細、在籍証明書など
- 同一職種での継続的な就業が望ましい
- 業務内容が評価試験と合致している必要がある
「2年働けば自動で2号になれる」わけではないことに注意しましょう。
しっかりと実務に取り組み、企業側の証明体制も整えておくことが重要です。
在留期限に注意(1号の残存期間と調整)
特定技能1号の在留期間は最長5年です。
この期限が近づいてから準備を始めると、試験に間に合わず、在留資格の更新ができなくなる可能性があります。
【よくあるリスク】
- 試験の結果待ち中に在留期限が切れる
- 雇用契約が途切れたため、実務経験年数が不成立になる
- ビザ更新申請時に必要書類が間に合わない
逆算して1年〜1年半前から動き出すことが理想的です。
企業と本人でスケジュールを共有し、「準備の見える化」が求められます。
分野別の申請書類と手続きの違い
特定技能2号の移行には、分野ごとに異なる書類や申請手順が設定されています。
以下は一例です。
- 建設分野 – 熟練技能試験合格証明+実務証明+受入企業の誓約書
- 自動車整備 – 業務内容が記載された職務報告書+技能検定結果
- 製造業系 – 工程管理能力やマニュアル改善履歴などの提示が求められる場合も
どの分野でも、「申請すれば通る」のではなく、客観的証明と制度理解がセットで必要です。
企業と本人の関係性が要件に影響する場合も
特定技能2号への移行を目指す上で、企業との関係性も見逃せません。
以下のような企業姿勢や体制が評価されることがあります。
- 雇用の継続性(頻繁な転職がない)
- 教育・評価の記録(定期的な面談や研修記録)
- 外国人受入れに関する誠実な体制整備(就業規則・相談体制など)
一部分野では、企業の信頼性も2号取得の審査要素となり、「誰から雇用されているか」が審査に影響することもあります。
◇特定技能2号は「準備が9割」
特定技能2号への移行は、簡単な条件ではありません。
しかし、早期に正しい情報を得て、実務・試験・申請の3つを段階的に進めることで、誰でも十分に目指せる現実的なステップです。
- 技能評価試験の準備を早めにスタート
- 実務経験2年以上を確実に証明できるように整備
- 在留期限を逆算し、スケジュールを立てて行動
- 企業と連携し、育成体制・書類準備を進めておく
「いつか取りたい」ではなく、「今から準備する」ことが、特定技能2号取得への最短ルートです。
企業側が行うべき対応と受け入れ体制
特定技能2号は、外国人本人の努力だけでなく、企業側の準備と支援体制があってこそ、円滑に移行・活用できる制度です。
とくに2号では企業の支援義務は「原則なし」とされているものの、適切な支援体制が整っていなければ、試験への合格支援や在留資格申請がスムーズに進みません。
このセクションでは、特定技能2号の人材を受け入れる際に、企業が取り組むべき3つの重要なポイントを解説します。
試験日程・登録申請のサポート体制
特定技能2号の取得には、分野ごとの評価試験への合格が必須条件です。
そのため企業側は、外国人社員が試験に向けて準備・受験できるよう、以下のような支援体制を整える必要があります。
- 試験実施日程・会場・申し込み方法の情報提供
- 業務との両立を前提とした勤務調整(試験日前後のシフト調整など)
- 過去問や模擬問題を活用した学習環境の提供
- 登録支援機関・行政書士との連携による在留資格変更申請のサポート
2号試験は実施回数が限られるため、「いつか受ければいい」ではなく、合格から申請までのスケジュールを企業が管理する姿勢が重要です。
法務・労務に関する契約見直し
特定技能1号から2号に移行する際、雇用条件や契約書の内容についても見直しが必要になる場合があります。
- 在留期間が無期限更新可となるため、長期契約を前提とした雇用契約が必要
- 職務内容・勤務地・業務範囲などを明記し、2号の業種要件に合致させることが重要
- 就業規則や社内マニュアルを多言語化し、雇用トラブルを防止
- 社会保険・福利厚生の取り扱いを再確認し、日本人社員と公平性のある制度設計を心がける
特定技能2号取得後は、外国人労働者も「中核人材」として扱われることになるため、短期的な人手補充という発想から脱却する必要があります。
人材育成を前提とした中長期雇用プランの設計
特定技能2号の本質は「長く働き続けてもらうための制度」であり、そのためには受け入れ企業側が計画的に育成とキャリア形成を支援する体制が求められます。
【企業側に求められる戦略】
- 1号時点から2号取得までの育成ロードマップを作成
- 定期的な人事評価と、段階的な職務変更・昇給制度の導入
- 将来的な管理職候補としてのOJTや研修の導入
- 家族帯同や定住支援を前提とした生活面のフォローアップ(住宅・通訳・教育など)
こうした取り組みは、外国人本人のモチベーション維持だけでなく、企業内での人材の定着・安定・戦力化に直結します。
◇2号人材の活用は「制度対応」ではなく「経営戦略」
特定技能2号の受け入れは、単に制度に対応するだけでなく、企業の人材戦略そのものを見直す機会でもあります。
- 試験・申請のサポート体制を整えることで、スムーズな移行が可能に
- 契約・労務管理の整備は、トラブル予防と信頼構築の土台
- 人材育成と中長期的雇用戦略を持つことで、企業全体の人材力が底上げされる
外国人材を「一時的な労働力」としてではなく、「育てて活かす戦力」として捉えられるかどうか――
そこが、特定技能2号を活用できる企業とそうでない企業の分かれ道となるのです。
特定技能2号を取得するメリットとは?
特定技能1号と比べて、2号にはどのような利点があるのか――。
これは多くの外国人労働者や受け入れ企業が共通して抱く疑問です。
実は、特定技能2号を取得することで、在留の安定性・生活の質・キャリア形成・雇用関係の強化といった、さまざまな面で大きな変化が訪れます。
このセクションでは、特定技能2号を取得することで得られる4つの主要なメリットを解説し、その意義を明確にします。
在留期間の制限が撤廃される(無期限更新)
特定技能1号では「通算5年間」が在留上限となっており、それ以上の滞在は認められません。
一方、特定技能2号では在留期間に上限がなく、数年ごとの更新を繰り返すことで、実質的に“無期限”の滞在が可能になります。
これは、外国人本人にとっては将来設計が立てやすくなる大きな利点です。
「日本で長く働きたい」「生活の拠点を築きたい」と考える方にとって、2号は理想的な在留資格といえるでしょう。
また、企業側にとっても、5年後の人材流出リスクがなくなることで、安定的な戦力の確保が可能になります。
永住権取得が現実的になる
特定技能2号を取得することで、日本での永住権申請が現実的な目標になります。
永住権申請の要件には、
- 一定年数の在留(原則10年/就労系は5年)
- 安定した収入と納税記録
- 素行の良好さ
といった基準があり、在留資格が無期限更新可能であること=永住への土台になります。
特定技能1号ではそもそも「在留期間が5年まで」なので、申請対象にはなりませんが、2号であれば5年以上の就労と生活が見込めるため、真剣に「定住」や「家族の将来」を考える人にとっては極めて重要な転換点となります。
家族を呼べるようになることで生活の安定につながる
特定技能1号では、原則として家族の帯同(配偶者・子ども)は認められていません。
そのため、単身での来日・就労となり、生活面や精神面での負担が大きく、離職や帰国の原因になることも少なくありません。
しかし2号では、配偶者・子の帯同が正式に認められ、家族と一緒に日本で暮らすことが可能になります。
家族と一緒に生活できることにより、
- 生活のリズムが安定する
- メンタル面の安心感が生まれる
- 長期的な日本での生活設計が可能になる
といった効果があり、結果として職場への定着やモチベーション向上にも直結します。
企業にとっても、家族帯同を支援することは、“辞めない人材”を育てる大きな要因となります。
企業との長期的関係が構築しやすくなる
特定技能2号を取得することで、外国人材は「短期の労働力」ではなく、企業にとっての“中核人材”としてのステージに進むことができます。
在留期間の制限がないことで、企業側も長期雇用を前提としたキャリアパスや教育プランを立てやすくなり、以下のような好循環が生まれます。
- 昇格・昇給の仕組みづくりが可能に
- 職場内でのリーダー的役割を任せられる
- 社内日本語研修やマネジメント教育の実施が投資として成立
また、外国人本人にとっても「この会社でずっと働ける」という安心感が芽生え、転職リスクや離職率を大幅に下げる効果が期待できます。
◇“一時滞在”から“共に働く未来”へ
特定技能2号は、単なる在留資格のステップアップではなく、日本社会で生き、働くうえでの“生活とキャリアの転機”になります。
- 無期限更新で長く働ける
- 永住が現実的になる
- 家族と共に生活できる
- 企業と共に成長できる関係が築ける
これらのメリットを理解し、制度をうまく活用することで、外国人材も企業も“共に選び合う関係”へと進化していけます。
特定技能2号は、外国人の未来だけでなく、企業の未来を支える制度でもあるのです。
特定技能2号に関するよくある質問(FAQ)
特定技能2号はまだ導入から日が浅く、情報が整理されていない・制度が複雑だと感じている人も多いのが実情です。
このセクションでは、実際に外国人や企業からよく寄せられる質問をもとに、誤解されやすい点や注意すべき点をわかりやすく解説します。
Q. 特定技能2号の試験は誰が申し込む?
A:基本的には本人が申し込む形式ですが、企業の支援が非常に重要です。
試験は分野ごとに実施機関が異なり、申し込み時に必要な情報が日本語のみで提示されるケースが多いため、企業側が手続きの代行やサポートを行うのが一般的です。
また、試験日程や開催地の確認、受験料の立て替え、試験会場までの移動サポートなども企業が関与することで、受験率と合格率が向上します。
Q. なぜ介護分野は2号の対象外?
A:介護分野は、特定技能2号の対象として制度上設定されていないからです。
介護については、すでに「在留資格:介護」が存在しており、国家資格である「介護福祉士」を取得した人に対しては、無期限の在留や家族帯同が認められています。
そのため、2号を新たに設ける必要性が低いとされ、現在でも介護分野は特定技能2号の対象外となっています。
ただし、介護福祉士を取得することで2号以上の待遇が得られるため、介護職で長く働きたい人はこの資格取得を目指すのが現実的な選択肢です。
Q. 特定技能2号は転職できる?
A:基本的には可能ですが、一定の条件と制限があります。
特定技能2号の転職は、同一分野・同一職種内であれば原則可能とされています。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 新たな勤務先が2号受け入れ可能な認定事業所であること
- 雇用契約の内容や労働条件が適正であること
- 入管庁に転職届出を提出し、変更許可を得る必要があること
また、転職を繰り返すと審査時に不利になるケースもあり、「定着性」や「企業との信頼関係」が制度的にも評価される傾向があります。
Q. 技能実習から2号へは直接行ける?
A:原則として、技能実習から直接2号へは移行できません。
技能実習を修了した後、通常は一度「特定技能1号」を取得し、そこから2号へステップアップする形になります。
例外的に、技能評価試験の要件を満たし、かつ分野によっては実務経験の証明がある場合に限り、移行が認められることもありますが、非常に限定的です。
そのため、技能実習生が2号を目指す場合は、
- 技能実習 → 特定技能1号(2年以上の実務)
- 技能評価試験合格 → 特定技能2号へ
という段階的なキャリアルートを前提に動くことが現実的です。
◇迷ったら「制度の確認」と「専門家の相談」を
特定技能2号は、制度的にはシンプルに見えても、分野ごとの違いや申請プロセスに細かな要件や例外が多く存在します。
- 試験申込や移行のタイミングは個人だけで行うのは難しい
- 介護など一部の分野では別ルート(介護福祉士)を目指す方が合理的
- 転職や在留変更も「自由にできる」わけではなく、入管の承認が必要
- 技能実習からの移行は「1号」を経由するのが基本ルート
不安や疑問がある場合は、早めに登録支援機関や行政書士など専門家に相談することが、確実で安心な選択肢となります。
実例で見る!特定技能2号を取得した人のケース
制度の仕組みや条件を理解した上で、「実際に特定技能2号を取得した人はどんな経緯だったのか?」と気になる方は多いはずです。
このセクションでは、実際に2号を取得した外国人の体験談や、今まさに目指している人が取り組んでいることを、具体的な事例を通してご紹介します。
取得の背景・生活の変化・必要な準備をリアルに知ることで、特定技能2号の現実的な道筋がより明確になります。
建設業界でのキャリアアップ事例
ベトナム出身のAさん(30代)は、技能実習から特定技能1号に移行後、日本の建設会社で鉄筋施工の仕事に従事。
2年以上の実務経験を積み、建設分野の特定技能2号評価試験に合格し、現在は特定技能2号で働いています。
Aさんのポイントは以下の通り
- 技能試験のために会社の支援で週1回の研修を受けた
- 日々の作業内容をノートに記録し、試験の出題範囲と照らし合わせて復習
- 2号になってからは現場リーダー補佐として新人指導にも関与
Aさんは「5年で帰国しないといけない不安がなくなった」と話し、日本での長期的な生活と家族の呼び寄せを本格的に検討中です。
企業側も、教育投資が無駄にならず、長期的に戦力として活躍してもらえる点を高く評価しています。
製造業での2号取得後の生活の変化
インドネシア出身のBさんは、食品加工工場で1号として3年間働いた後、同業の製造業分野で特定技能2号を取得しました。
2号取得後、生活は大きく変わったと語っています。
- 在留更新に対する不安が解消された
- 日本語の勉強に意欲が増し、N2試験合格を目指している
- 家族(妻と幼児)の帯同が許可され、生活のリズムが整った
- 家族で地域のコミュニティ活動にも参加するようになった
「日本が本当に“住む場所”になった」と語るBさんにとって、2号は単なる在留資格ではなく、人生の新しいステージを開く鍵となりました。
2号取得を目指す人が取り組んでいる準備とは
まだ2号を取得していないものの、今まさに目指して努力している人も増えています。
彼らが共通して取り組んでいることには、明確なパターンがあります。
- 技能試験の過去問題を繰り返し学習(書店・支援機関・YouTubeなどを活用)
- 勤務先の先輩・上司に評価項目を確認しながら実務の理解を深めている
- 在留期限を逆算し、試験に間に合うようなスケジュールを立てている
- 会社と相談してキャリアパスや昇格可能性を確認している
また、企業側が評価試験の受験支援を行っているケースでは、社内で模擬試験や専門用語の対策講座を設けるなど、制度活用への前向きな取り組みが広がっています。
◇実例が示す、特定技能2号の“可能性”と“現実”
特定技能2号は、決して簡単に取れる資格ではありませんが、
明確な準備と企業のサポートがあれば、実現可能なキャリアステップであることが実例から分かります。
- 取得者は「不安から希望へ」「労働力から戦力へ」と大きな転換を経験
- 家族帯同や永住を見据えた生活設計が可能に
- 企業側にも定着率向上・教育投資の回収などのメリットが明確
これらの事例は、特定技能2号が単なる「制度の選択肢」ではなく、人と企業の未来を共に育てる“実効的な道”であることを証明しています。
特定技能2号を目指すなら、今できることから準備を
特定技能2号は、在留期間や生活の自由度、キャリアの可能性を大きく広げる次のステージへの扉です。
ただし、その扉を開くためには、しっかりとした準備と制度の理解が欠かせません。
まず重要なのは、自分の働いている分野が特定技能2号に対応しているかを確認すること。
そのうえで、以下のポイントを早期に意識しておくことが大切です。
技能水準と在留制度の理解を深める
2号では、より高度な技能が求められ、試験内容も実務に即したものになります。
1号とは異なり、支援機関の義務もなくなるため、自立的な制度理解が必要です。
- 分野ごとの評価試験の構成とレベル感を把握する
- 在留更新・永住申請との関係性を知っておく
- 雇用契約や就業条件が制度要件と合っているか企業と確認する
知識があればあるほど、行動が早く・正確になり、選択肢も広がります。
試験対策と企業連携を早期に進める
評価試験の準備は独学でもできますが、勤務先企業との連携が成功のカギです。
- 試験対策の時間確保や受験支援制度を事前に相談する
- 受験費用や申請書類のサポートを依頼できる体制か確認する
- 同じ目標を持つ同僚と一緒に勉強することで、モチベーションを保つ
特に在留期限が迫っている場合、企業の理解と協力がなければ、試験を受けられないまま帰国しなければならない事態もあり得ます。
2号をゴールではなく“次のキャリアの始まり”と捉えることが重要
特定技能2号は「終着点」ではありません。
むしろ、そこから始まるのは――
- 永住を目指した新しい生活
- 日本語力向上とさらに上位の資格取得
- 職場での昇格や管理職としてのキャリア形成
- 家族との安定した暮らしと地域社会への定着
つまり、2号は“選ばれた人だけが手にできる”特別なパスポートではなく、正しく準備した人が到達できる「成長の証」なのです。
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