外国人雇用についてまるっと解説外国人雇用のための情報サイト

08/08 (金)更新

特定技能介護を受け入れ可能施設の一覧!要件・注意点をわかりやすく解説

介護分野での深刻な人手不足に対応するため、2019年に新設された「特定技能1号(介護)」制度。

この制度により、一定のスキルと日本語能力を持つ外国人が、介護業務に従事できるようになりました。

しかし、特定技能外国人を受け入れられる施設は限られており、自分の施設は対象か?」「どんな条件があるのか?と疑問に思う担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、「特定技能 介護 受け入れ可能施設」の種類と要件、施設別の注意点をわかりやすく整理し、スムーズな受け入れ体制の構築に役立つ情報を解説します。

 

 

外国人採用・マッチングのご相談はこちらから

特定技能介護の受け入れが可能な施設

特定技能1号の介護分野で外国人を雇用できるのは、国が定めた一定の福祉施設・医療機関などに限られます。

受け入れ対象となるには、「介護業務に該当する職務であること」「所管法令に基づき運営されている施設であること」などの条件を満たす必要があります。

以下では、具体的な受け入れ可能施設を法律別にご紹介します。

児童福祉法関係の施設・事業

児童福祉法に基づく施設で、特定技能介護人材の受け入れが可能な主な施設は以下のとおりです。

  • 乳児院

  • 児童養護施設

  • 障害児入所施設

  • 医療型児童発達支援センター(施設型)

これらの施設では、障害のある子どもの介助や生活支援、日常動作のサポートなどが介護業務として該当する場合に限り、特定技能の対象になります。

【注意点】
子どもの福祉を担う現場であるため、介護経験や日本語能力に加え、十分な意思疎通力や配慮が求められます。

障害者総合支援法関係の施設・事業

障害者支援施設等においても、身体介助や生活支援などの業務が「介護」に該当する場合は、特定技能人材の雇用が可能です。

▼対象となる施設の例

  • 障害者支援施設

  • 共同生活援助(グループホーム)

  • 短期入所事業所

  • 就労継続支援(B型)※生活支援が中心であれば該当

【注意点】
「訓練や就労支援」のみを行う施設(就労継続支援A型など)は、介護業務が中心でなければ対象外となる可能性があります。業務内容の明確化が必要です。


老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業

特定技能介護で最も受け入れが進んでいるのが、高齢者向けの施設です。

以下の施設が代表的です。

  • 特別養護老人ホーム(特養)

  • 介護老人保健施設(老健)

  • 介護医療院

  • グループホーム

  • 有料老人ホーム

  • サービス付き高齢者向け住宅(訪問介護を伴う場合)

【注意点】
あくまで「介護業務」があることが条件です。事務職や調理・清掃だけの業務では特定技能の対象外となります。


生活保護法関連の施設

生活保護法に基づき設置された福祉施設でも、一定の条件を満たす場合は外国人介護人材の受け入れが可能です。

▼対象例

  • 救護施設

  • 更生施設

  • 老人短期入所施設

【注意点】
生活支援と介護支援の線引きが必要です。介護業務が明確でない施設は、要件を満たさない可能性があります。


その他の社会福祉施設や福祉事業所

  • 小規模多機能型居宅介護

  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型)

  • 通所介護(デイサービス)※入浴・排せつ介助等が中心であれば対象

  • 訪問介護事業所

【注意点】
デイサービスの中でも「レクリエーション中心」や「軽度利用者のみ」の事業所は、実質的な介護業務が少ないと判断される場合があるため注意が必要です。


病院や診療所などの医療機関

基本的に医療機関での医療行為は特定技能の対象外ですが、介護療養型病床や介護医療院のように、医療と介護が融合した施設であれば受け入れが可能です。

【注意点】
医療行為や看護補助のみを担当する場合は対象外となるため、業務範囲の明確な区別が必要です。

特定技能(介護)の外国人材を受け入れられる施設は、法律や制度によって明確に分類されています。

重要なのは「介護業務であること」「制度上の対象施設であること」の2点です。

施設の種別だけで判断せず、実際の業務内容と法的な要件を照らし合わせて確認することが大切です。

外国人材の受け入れを検討する際は、制度に精通した行政書士や受け入れ支援機関と連携し、適正な体制整備を進めましょう。

特定技能介護の受け入れが対象外の施設

「特定技能 介護」の受け入れを検討する際、最も注意すべきポイントの一つが「どの施設が対象外か」を正しく理解することです。

介護業務に携わる施設であっても、制度上、外国人介護人材の受け入れが認められていない施設やサービス形態が存在します。

制度に則った正しい運用を行うためには、対象外施設を把握し、雇用計画に活かすことが不可欠です。

この章では、特定技能介護の受け入れ対象外とされている主な施設・事業所と、対象外となる理由、注意点についてわかりやすく解説します。

訪問系介護サービス事業所(訪問介護・訪問入浴など)

訪問介護(ホームヘルプ)や訪問入浴介護、訪問看護などの在宅系サービスは、特定技能介護の受け入れ対象外とされています。

対象外の理由:
訪問系サービスでは、外国人職員が単独で利用者宅を訪問し、サービスを提供するケースが一般的です。制度上、日本語での高度なコミュニケーション能力や緊急時対応が求められるため、安全管理・リスク対応の観点から外国人単独従事が困難と判断されています。

注意点:
同一法人内に訪問系と施設系の両方を運営している場合でも、特定技能外国人は訪問業務に従事できません。業務内容の切り分けを明確にし、契約時に職務範囲を限定する必要があります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、介護保険上「施設系」ではなく、「住居系サービス」に分類されるため、特定技能制度の対象外とされています。

対象外の理由:
住宅型は、あくまで「生活支援」を主とした住まいの提供であり、介護サービスは外部の訪問介護事業者が提供する仕組みが一般的です。つまり、ホームそのものに「介護業務」は存在しないと見なされるため、特定技能介護の受け入れ対象から外れます。

注意点:
実際に介護スタッフが常駐しているケースも多くありますが、施設が提供するサービス内容と介護保険上の位置づけに基づいて判断されます。介護付き有料老人ホーム(介護専用型)との混同に注意が必要です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

「サ高住」も特定技能介護の対象外となる代表的な施設です。高齢者向けのバリアフリー賃貸住宅として位置付けられており、介護保険施設ではありません。

対象外の理由:
サ高住自体は居住施設であり、介護サービスを提供する機能は法的に含まれていません。介護サービスが必要な場合は、外部の訪問介護や通所介護を利用する形となるため、「雇用先施設で介護業務に従事する」という制度要件を満たさないと判断されます。

注意点:
一部のサ高住では、内部に訪問介護ステーションを併設し、入居者に介護サービスを提供しているケースがありますが、その場合でも特定技能介護人材がその訪問サービスに従事することはできません。

特定技能介護の制度では、「施設内で直接介護業務を行うこと」が受け入れの必須条件となっています。訪問系サービス、住宅型施設、サ高住のように「居宅」「外部サービス連携型」と位置付けられる施設・事業所は、制度の趣旨に合致しないため対象外とされています。

施設の形態や提供サービスの実態が複雑なケースもありますが、「就業場所で介護業務に直接従事できるかどうか」を基準に判断することがポイントです。制度違反を防ぐためにも、受け入れの可否判断には専門家のアドバイスを得ながら、慎重な確認を行いましょう。

特定技能介護の受け入れ施設の要件

外国人の特定技能介護人材を雇用するには、単に施設の種別が適合しているだけでは不十分です。

法令や制度上、受け入れ施設には明確な要件が定められており、それらを満たしていない場合は不認可となる可能性があります。

適切な運用のためには、雇用条件・業務範囲・支援体制など複数の観点から要件を確認することが不可欠です。

この章では、特定技能介護人材の受け入れにあたり、施設側が満たすべき5つの主要要件について具体的に解説します。

給与や待遇が日本人と同等以上であること

受け入れ施設は、外国人介護人材に対して「日本人と同等以上」の給与・待遇を保障する必要があります。

これは、外国人労働者の不当な低待遇を防ぎ、公平な労働環境を整えることを目的としています。

【ポイント】

  • 同職種・同等の経験を持つ日本人と比較した場合に、賃金格差がないこと

  • 賞与・各種手当・労働時間・休暇日数なども含めて総合的に判断される

  • 雇用契約書に具体的な金額・条件を明記することが求められる

適切な待遇は、外国人材の定着率にも大きく影響します。条件が曖昧なままだと、監査時に指摘されるリスクがあります。


適切な雇用契約と雇用形態の確保

外国人介護人材の雇用には、雇用契約の内容とその形態が制度要件に合致していることが前提です。

【要件の例】

  • 常勤職員としての直接雇用であること(派遣・業務委託は原則不可)

  • 契約内容に職務内容・労働時間・報酬・勤務地を明記していること

  • 契約更新の有無、退職時の取り決めも明記することが推奨されている

また、契約書は外国人本人が理解できる言語で提供することが望ましく、翻訳資料を添付する施設も増えています。


業務内容が制度で定められた範囲であること

特定技能介護の受け入れ施設では、外国人が従事する業務が「制度上の介護業務の範囲内」であることが厳しく求められます。

【対象となる主な業務】

  • 身体介護(入浴・排せつ・食事介助など)

  • 生活援助(掃除・洗濯など、利用者に直接関わる内容)

  • 間接業務(記録入力・申し送り等)

【対象外の業務】

  • 清掃・調理のみ

  • 事務・受付・送迎など介護以外の業務

  • 訪問介護など制度外のサービス

職務範囲が明確でないと、制度違反として指摘され、受け入れ停止や不認可につながるおそれがあります。


受け入れ人数や期間に関するルール遵守

特定技能制度では、外国人を無制限に受け入れられるわけではありません。

施設規模や職員数に応じて、適正な受け入れ人数が定められています。

【遵守すべき基準】

  • 介護職員総数に対する適正なバランス(外国人だけに業務を集中させない)

  • 1人当たり最長5年間の在留期間の上限を順守

  • 特定技能人材を新たに受け入れるたびに支援体制の見直しが必要

施設側は「登録支援機関」などと連携し、受け入れ計画の見直しや在留資格の更新に関する対応も求められます。


支援体制や生活環境の整備

制度上、外国人介護人材の生活支援は、雇用主の重要な責務とされています。職場環境だけでなく、地域での生活支援も含めた体制整備が求められます。

【必要な支援の例】

  • 日本語学習の支援や教材の提供

  • 生活オリエンテーション(公共交通機関の使い方、買い物、病院の案内など)

  • 相談窓口の設置(外国人が母国語で相談できる環境の整備)

  • 社宅や宿舎の提供(住居確保支援)

支援が不十分な場合、就労トラブルや途中離職につながるため、受け入れ前に計画的な準備が不可欠です。

特定技能介護人材の受け入れには、「施設の種類」だけでなく、制度が定める具体的な要件を満たしているかの確認が不可欠です。

適切な待遇、明確な業務内容、人数や期間の管理、そして外国人が安心して働ける支援体制の整備まで、総合的な準備が求められます。

施設が制度を正しく理解し、責任ある受け入れを行うことで、外国人介護人材の長期定着と現場の安定につながります。

今後の制度運用や監査にも対応できる体制を構築し、持続可能な外国人雇用を実現しましょう。

特定技能介護を受け入れる際の注意点

特定技能介護人材を受け入れる際には、制度上の要件を満たすだけでなく、実務面・法令面・支援体制の整備といった多角的な配慮が必要です。

受け入れを安易に進めてしまうと、監査での指摘や離職トラブル、地域との摩擦といったリスクが生じるおそれがあります。

この章では、特定技能介護の受け入れにあたって企業や施設が特に注意すべき4つの重要ポイントを詳しく解説します。

特定技能協議会への加入義務

特定技能介護分野では、外国人を受け入れる施設が「特定技能所属機関」として、分野別運用方針に基づいた「協議会」へ加入する義務があります。

【ポイント】

  • 特定技能協議会は、受け入れ状況の適正化と制度の円滑な運用を目的に設置されています。

  • 加入は必須条件であり、未加入の場合は受け入れが認められません。

  • 定期的な報告義務や情報共有が課されるため、業務フローの整備が必要です。

協議会では、受け入れ機関が制度を適切に運用しているかをチェックし、問題があれば是正の指導が行われることもあります。


雇用主が法令を遵守しているかの確認

受け入れ機関(施設・法人)は、労働関係法令や出入国管理関連法令を順守している必要があります。

違反歴がある場合、特定技能人材の受け入れ自体が認められないこともあります。

【チェックされる主な項目】

  • 残業時間・休日出勤・深夜労働などの労働基準法違反がないか

  • 社会保険・労働保険の加入義務を履行しているか

  • 過去に不法就労助長行為などの入管法違反歴がないか

採用前には自社の法令遵守状況を点検し、必要に応じて労務管理体制を見直すことが求められます。


外国人労働者への支援体制の構築

特定技能制度では、受け入れ機関が「外国人本人への支援義務」を負っています。これは登録支援機関に委託するか、自社で直接実施することが可能ですが、いずれにしても実効性のある支援体制の整備が必須です。

【支援内容の例】

  • 日本での生活に関するオリエンテーション(交通・医療・買い物など)

  • 日本語学習機会の提供

  • 各種行政手続きの補助(住民登録、税金、銀行口座開設など)

  • 相談窓口の設置とトラブル発生時の対応

特に介護分野では、対人業務の比重が高いため、職場でのメンタルケアや継続的なコミュニケーション支援も重要です。


文化・言語の違いへの配慮や教育体制の必要性

外国人労働者が日本の介護現場に適応し、長く働き続けるためには、文化的・言語的なギャップに対する理解と支援が不可欠です。

【具体的な取り組み例】

  • 多文化共生研修や職員向けの異文化コミュニケーション講座の実施

  • 外国人向けにやさしい日本語で作られたマニュアルの整備

  • 現場OJTにおけるゆるやかな日本語指導と定期的な評価面談の導入

言語や文化の違いに起因するミスや誤解は、職場環境の悪化や離職率の上昇につながるため、教育体制の整備が企業の責任として強く求められます。

特定技能介護人材を適正に受け入れるためには、制度上の形式を満たすだけでなく、法令遵守・協議会加入・生活支援・多文化共生といった現場対応が極めて重要です。

これらの注意点を事前に把握し、社内体制を整えておくことで、外国人材の長期定着と介護現場の安定化が実現できます。

受け入れを進める際は、行政書士や登録支援機関との連携も活用しながら、制度を正しく運用していくことが成功の鍵となるでしょう。

 

外国人採用・マッチングのご相談はこちらから

特定技能介護の試験と資格取得の流れ

特定技能介護の在留資格を取得するには、一定の試験に合格し、求められる日本語能力を証明する必要があります。

すでに技能実習を経験している場合は、一部条件を満たすことで試験を免除して移行することも可能です。

この章では、特定技能1号(介護分野)に関わる試験制度、資格取得の流れ、日本語学習のポイントまでをわかりやすく解説します。

特定技能1号の試験概要と合格基準

外国人が介護分野で「特定技能1号」の在留資格を取得するためには、原則として以下の2つの試験に合格する必要があります。

① 介護技能評価試験

  • 介護業務に関する知識・実技を問う試験

  • 試験形式:多肢選択式(CBT)

  • 合格基準:正答率60%以上(年度・問題によって多少異なる)

② 介護日本語評価試験

  • 介護現場で必要な日本語の語彙・表現・読み取りを問う試験

  • 試験形式:CBT方式

  • 合格基準:正答率60%以上(主にN4相当の語彙力が想定される)

【補足】
両試験は同時に受験することが可能です。開催国や日程は「特定技能制度ポータルサイト」で随時更新されており、海外受験・国内受験の両方に対応しています。


技能実習から特定技能への移行条件

すでに介護分野での技能実習を修了している外国人は、試験を受けずに特定技能へ移行することが認められています。

【移行可能な条件】

  • 介護職種の技能実習2号を良好に修了していること

  • 在留資格「技能実習」の最終評価(修了評価試験)に合格していること

  • 実習先と同等の職種・業務での継続的な雇用が見込まれていること

【メリット】

  • 試験不要で迅速な在留資格変更が可能

  • 日本での生活・就労経験があるため職場適応もスムーズ

  • 雇用側も、研修コストや初期教育の負担が軽減される

ただし、在留資格の変更申請には受入機関の要件確認や支援体制の整備が必要です。移行に際しては、専門機関や行政書士と連携した申請準備が重要です。


必要な日本語能力と学習方法

特定技能介護の受け入れでは、日本語能力が介護業務の質と安全性に直結するため、一定の語学力が求められます。

【必要とされる日本語レベル】

  • 一般的には「日本語能力試験(JLPT)N4相当」または「JFT-Basic A2レベル」が目安

  • 上記に加え、介護日本語評価試験の合格が必須(技能実習修了者を除く)

【効果的な学習方法】

  • オンライン学習アプリ(例:Minna no Nihongo、たのしいにほんご)

  • YouTubeの介護日本語チャンネル(視覚教材+聞き取り力UP)

  • 模擬問題集と過去問を使った演習

  • 介護用語に特化した日本語テキストの活用

施設側が日本語学習の機会や教材を提供することで、学習意欲の維持や職場定着率の向上にもつながります。

特定技能介護での就労を希望する外国人は、介護技能評価試験と介護日本語評価試験の合格が基本要件となります。

すでに介護分野での技能実習を修了している場合には、一定の条件を満たすことで試験を免除してスムーズに移行可能です。

また、日本語能力の確保は、資格取得だけでなく、就業後の現場適応や定着支援にも大きく関係します。

施設・事業者側も、制度や試験への理解を深め、採用計画と教育支援の体制を構築することが重要です。

特定技能介護人材の活用事例と今後の展望

特定技能制度の施行から数年が経過し、介護現場で実際に外国人材を受け入れる施設が着実に増えています。

人手不足の解消にとどまらず、多様性のある職場づくりや地域社会との連携など、新たな価値を生み出している事例も出てきました。

この章では、特定技能介護人材を活用した成功事例と、その波及効果、さらに今後期待されるキャリアパスや地域との共生の可能性について解説します。

実際に外国人を受け入れた施設の事例紹介

【事例①:地方の特養が抱える人材難を解消】

宮城県の特別養護老人ホームでは、長年にわたって介護職員の採用難に悩んでいました。

2020年よりベトナム人の特定技能人材を2名受け入れ、入職から半年で即戦力として活躍。

現場では利用者との丁寧な関わりが評価され、利用者満足度の向上にも寄与しています。

【事例②:グループホームでの文化交流が職場の雰囲気を変えた】

東京都内のグループホームでは、インドネシア出身の介護職員が特定技能で勤務。

月に一度の「母国料理イベント」や日本語勉強会を通じ、職員間の相互理解が深まりました。

人材定着率が向上し、職場の離職率も大幅に改善しています。

【共通点】

  • 日本語支援や生活支援を丁寧に実施している

  • 異文化理解の研修や社内イベントが積極的

  • 外国人材を「戦力」としてだけでなく「仲間」として迎え入れている

特定技能介護の拡大がもたらす影響

特定技能制度が拡大することで、介護業界全体に以下のようなポジティブな変化が期待されています。

  • 構造的な人材不足の緩和:高齢化が進む地方都市でも、安定した介護提供体制の構築が可能に。

  • 職場の多様化と活性化:外国人の価値観や文化が加わることで、職員同士の交流が活発化。

  • 人材育成体制の見直し:外国人を育てる仕組みを整えることで、日本人職員の教育体制も強化される。

一方で、受け入れが進むほど、制度運用の整備・支援体制の強化・地域住民との信頼関係構築など、課題も顕在化しています。

制度の「数の拡大」と「質の維持」が並行して求められています。

将来のキャリアパスと地域社会への貢献

特定技能1号の在留期間は最長5年ですが、制度的には「特定技能2号」や「介護福祉士」へのステップアップも可能です。

これにより、外国人材が一時的な戦力ではなく、「中長期的に地域に根差す人材」へと進化していく道筋が整っています。

【キャリア形成の可能性】

  • 特定技能 → 介護福祉士資格取得 → 永住・家族帯同

  • OJT・社内研修制度 → 現場リーダー・管理職への昇進

【地域への貢献】

  • 地域イベントへの参加

  • 地元住民との異文化交流

  • 若者の定住化による地域活性化

こうした取り組みが増えることで、外国人材が「労働力」から「地域の一員」へと認識され、共生社会への移行がより現実的になります。

特定技能介護の導入は、単なる労働力の補填ではなく、現場の活性化・人材育成の進化・地域社会との新たな関係構築といった多方面にポジティブな影響をもたらしています。

実際の受け入れ事例に見るように、外国人材を積極的に支援・育成することで、施設と地域にとって持続可能な人材戦略が可能となります。

今後は制度の安定運用と、外国人のキャリア支援を両立させることで、「選ばれる職場・地域」を実現することが求められます。

特定技能介護人材を採用する企業が知っておくべきポイント

 

特定技能介護人材の活用が進む中、企業としてはただ採用するだけでなく、適切な手続きや制度理解、職場環境の整備が不可欠です。

人材を長期的に活躍させるためには、在留資格の更新や支援体制、助成金の活用など、多角的な対応が求められます。

特定技能介護人材を迎え入れる企業が事前に知っておくべき実務的ポイントについて詳しく解説します。

在留資格更新や手続きの流れ

特定技能介護人材を採用した後も、定期的な在留資格の更新や各種申請が必要です。

特定技能1号の在留期間は最大5年間で、1年ごとの更新が基本とされています。

主な手続きの流れ

  1. 雇用契約の締結

  2. 支援計画の作成・実施

  3. 在留資格認定証明書の交付申請

  4. 入国後の住民登録・健康保険加入などの生活支援

  5. 定期報告書の提出(四半期ごと)

  6. 資格更新の申請(更新前2~3か月が目安)

更新には、「支援の適正な実施」「就労状況の継続性」「日本語能力」などの審査項目があり、企業側の支援義務の履行状況も確認されます。

適切な書類管理とスケジュール管理が重要です。


助成金や補助金を活用した採用コストの削減

外国人介護人材の受け入れに伴う初期費用(研修・支援体制整備・渡航費用など)は大きな負担となることがありますが、国や自治体では企業負担を軽減するための助成金・補助制度を複数用意しています。

活用できる主な制度

  • 人材開発支援助成金(特定分野の教育訓練支援)

  • 介護職員処遇改善加算・特定加算

  • 東京都の外国人介護人材受入支援事業(自治体独自)

  • 中小企業等外国人労働者受入支援事業補助金

制度によっては、日本語教育やOJT研修を行った場合に経費の一部が補助されるため、積極的な情報収集と計画的な活用が鍵になります。


外国人スタッフ定着のための社内体制づくり

採用した人材が長く安心して働けるよう、受け入れ側の社内体制も重要です。

特に介護の現場では、文化や言語の違いが業務や人間関係に影響を及ぼすため、入職前からの準備と継続的なサポートが求められます。

定着のための具体策

  • 多言語対応のマニュアルや指導ツールの整備

  • 定期的な面談とキャリア相談の実施

  • 職場内のメンター制度導入

  • 外国人向けの生活支援(住居・交通・医療)

また、既存職員への異文化理解研修を行うことで、社内のコミュニケーションが円滑になり、定着率向上にもつながります。


まとめ

特定技能介護人材を採用する際には、単に採用枠を満たすこと以上に、在留資格の管理、助成金の活用、そして職場環境の整備という3つの観点が成功の鍵を握ります。

外国人スタッフが安心して働き続けられる体制を築くことで、労働力の安定確保と介護サービスの質向上が両立できます。採用前後の準備を入念に行い、中長期的な人材戦略として活用しましょう。

ジャンル別記事

アクセスランキング

まだデータがありません。

  • 監修弁護士

外国人雇用のお悩み・ご検討中の方はお問い合わせください!