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01/10 (土)更新

特定技能の義務的支援とは?企業が必ず行うべき10の支援内容を徹底解説

外国人材の受け入れを行う企業にとって、「特定技能制度における義務的支援」は避けて通れない重要な要件です。

特定技能1号の外国人を雇用する際、企業または登録支援機関には法律で定められた10項目の支援義務が課されています。

これらの支援は、外国人が安心して日本で働き、生活できるようにするための「受け入れ体制づくりの基本」ともいえるものです。

一方で、制度内容を十分に理解していないまま受け入れを進めると、支援不足による行政指導や在留資格取消といったリスクにもつながる恐れがあります。

特に、支援計画書の作成や登録支援機関との連携方法を誤ると、企業側に負担や責任が集中するケースも少なくありません。

この記事では、特定技能における義務的支援の全体像をわかりやすく整理しながら、10項目の内容、実施方法、注意点、さらに任意的支援や成功事例までを詳しく解説します。

これから外国人材を受け入れる企業担当者や、支援体制を整えたい管理者にとって実務に直結する内容となっています。

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特定技能の義務的支援とは?

外国人労働者を受け入れる企業にとって、「特定技能制度」における義務的支援は法令で定められた重要な義務です。

特定技能1号の在留資格で働く外国人を対象に、企業または登録支援機関が生活面・就労面のサポートを行うことが求められています。

単に雇用契約を結ぶだけでなく、外国人が日本社会に適応し、安定して働けるよう環境を整えることが義務の目的です。

義務的支援が法律で定められている背景

特定技能制度は、深刻化する人手不足を補うために2019年に創設された制度です。

しかし、技能実習制度では劣悪な労働環境や生活支援の欠如が社会問題化しており、その反省を踏まえて生まれたのが義務的支援の仕組みです。

法的根拠は「出入国管理及び難民認定法(入管法)」に基づき、受け入れ企業(受入れ機関)には10項目の支援実施が義務付けられています。

これにより、外国人労働者が安心して働き、トラブルを未然に防ぐ環境を整備することが求められます。

義務的支援は単なる「形式的対応」ではなく、企業の管理体制・人材定着率・評判にも直結する法的・社会的責任を伴います。

特定技能1号と2号での義務的支援の違い

特定技能には「1号」と「2号」がありますが、義務的支援が求められるのは特定技能1号の在留資格者のみです。

在留資格対象者義務的支援特徴
特定技能1号一定の技能を持つが、まだ熟練レベルではない外国人必要(全10項目)日本での生活や就業に慣れていない人が多いため、生活支援や日本語教育が特に重要
特定技能2号高度な技能を持つ外国人不要日本での長期就労や家族帯同も可能。企業と労働者の関係は日本人労働者とほぼ同様

したがって、企業は採用時点で在留資格を確認し、「1号を雇用する場合は支援体制を整える」ことが前提条件となります。

こちらでは、特定技能1号と2号の明確な違いをまとめているので、ぜひチェックしてみてください。

特定技能ビザ|特定技能1号・2号の違いとは?採用メリットまで詳しく解説!

義務的支援の目的と企業の責任

義務的支援の最大の目的は、外国人が「孤立せずに働ける環境をつくる」ことです。

言語・文化・生活習慣の壁を乗り越えるため、企業側には生活支援や日本語学習の機会提供、相談体制の整備などが求められます。

また、支援内容は「支援計画書」として出入国在留管理庁に提出し、内容が適正でなければ受け入れ自体が認められません。

計画通りに実施しなければ、企業名の公表や受け入れ停止といった行政処分を受ける可能性もあります。

つまり義務的支援は、単なる法的義務を超えた「外国人との信頼関係を築くための基盤」でもあり、長期的な雇用安定や企業ブランドの向上につながる重要な取り組みといえます。

義務的支援は企業の信頼を左右する基本施策

特定技能の義務的支援は、外国人労働者の生活と職場の両面を支える”安全網”です。

法律上の義務であると同時に、実務上は「人材が定着する企業」と「離職が多い企業」を分ける大きな要素でもあります。

今後の外国人採用においては、制度理解を深め、登録支援機関との連携を図りながら、単なる法令遵守にとどまらない支援体制の構築を目指すことが求められます。


義務的支援の10項目(基本サポート)

特定技能1号の外国人を受け入れる企業や登録支援機関には、法律で定められた10項目の義務的支援を行う責任があります。

これらは単なる「生活サポート」ではなく、外国人が安心して働き、定着できる環境を整えるための最低限の支援内容です。

それぞれの項目には具体的な実施方法や注意点があり、怠ると指導・罰則の対象になることもあります。

ここでは10項目の内容を一つずつ解説します。

義務的支援10項目

No.支援項目内容概要実施時期
1事前ガイダンス労働条件・業務内容・在留資格の内容・支援体制を母国語で説明入国前
2出入国時の送迎支援空港での送迎、帰国便の搭乗手続き支援入国時・出国時
3住居確保・生活契約支援住居探し・契約時のサポート・保証人手配、水道・電気・携帯電話・銀行口座などの契約支援入国直後
4生活オリエンテーションの実施防災・交通・ゴミ出しルール・医療制度・緊急連絡先などの説明入国後早期
5公的手続への同行支援住民登録・年金・健康保険・税関連などの役所手続き同行入国後随時
6日本語学習の機会提供教材配布、学習アプリ紹介、地域の日本語教室案内継続的
7相談・苦情への対応体制母語または理解可能な言語で相談できる体制整備継続的
8日本人との交流促進支援地域行事への参加促進、社内交流イベント、ボランティア活動継続的
9転職支援(受入側の都合時)企業都合での雇用終了時の新たな就職先の紹介・支援必要時
10定期面談と関係行政機関への報告3か月に1回以上の本人との面談、就労状況・生活上の悩みの把握と報告3か月ごと

事前ガイダンス—受け入れ前の説明と内容

最初に行うべき支援が事前ガイダンスです。

外国人本人が日本に入国する前に、労働条件・業務内容・在留資格の内容・支援体制などを母国語または理解可能な言語で説明する必要があります。

ガイダンスが不十分だと、入国後のトラブルや早期離職の原因になりやすいため、動画・通訳・翻訳資料などを活用し、理解度を確認することが大切です。

出入国時の送迎支援

入国時には、空港で外国人を迎え、安全に住居まで送迎する支援が義務づけられています。

出国時も同様に、帰国便の搭乗手続きや空港までの送迎を行う必要があります。

特に初来日の外国人にとって、日本の交通機関利用は難易度が高いため、送迎支援は「最初の安心感」を与える重要な支援となります。

住居確保・生活契約支援

外国人が自力で住居を確保するのは難しいため、企業や支援機関は住居探し・契約時のサポート・保証人手配などを行う義務があります。

また、水道・電気・携帯電話・銀行口座などの生活インフラ契約も支援対象です。

この段階で丁寧な支援を行うことで、生活基盤が安定し、結果的に就労トラブルの予防にもつながります

生活オリエンテーションの実施

日本での生活ルールを理解してもらうため、入国後早期に生活オリエンテーションを実施することが義務です。

内容は「防災・交通・ゴミ出しルール・医療制度・緊急連絡先」など多岐にわたります。

外国人の母語で行い、地域での生活トラブルを防止する教育の役割を果たします。

公的手続への同行支援

住民登録・年金・健康保険・税関連など、役所での各種手続きへの同行支援が求められます。

手続き内容を理解できないまま放置されると、保険未加入や税金滞納などの法的問題が生じるため、確実なサポートが重要です。

日本語学習の機会提供

日本語は就業・生活の両面で不可欠なスキルです。

そのため、企業には日本語学習の機会を提供する義務があります。

社内で教材を配布する、学習アプリを紹介する、地域の日本語教室を案内するなど、形式は自由ですが、外国人のレベルや勤務時間に合わせた実践的な支援が求められます。

相談・苦情への対応体制

外国人が抱える悩みやトラブルに対して、母語または理解可能な言語で相談できる体制を整えることも義務の一つです。

労働環境や人間関係、生活面の悩みなど、問題が深刻化する前に対応できる仕組みを設けることで、離職防止やメンタルケアの向上につながります。

日本人との交流促進支援

外国人が地域や職場で孤立しないよう、日本人との交流の機会をつくる支援も求められます。

地域行事への参加促進、社内交流イベント、ボランティア活動などを通じて、文化的な相互理解を深める場を提供することが目的です。

転職支援(受入側の都合時)

企業側の都合で外国人を雇用継続できなくなった場合、新たな就職先の紹介・支援を行う義務があります。

解雇・倒産・業務縮小などが発生した場合は、行政や登録支援機関と連携し、離職期間を最小限に抑えるサポートを行うことが求められます。

定期面談と関係行政機関への報告

最後に、受け入れ後も継続的な支援を行うため、外国人本人との定期面談(3か月に1回以上)を実施し、その結果を行政機関に報告する義務があります。

就労状況や生活上の悩みを把握することで、問題を早期に発見し、支援計画の改善や再発防止につなげることが目的です。

10項目の支援は「受け入れの信頼度」を示す指標

特定技能の義務的支援10項目は、単に「法律で決まっているから行う」ものではありません。

外国人が日本で安心して働ける環境を整えることは、企業の信頼性を高め、長期雇用・離職防止・ブランド価値向上へと直結します。

一つひとつの支援を形だけで終わらせず、外国人の立場に立った丁寧な実施が、真のグローバル人材活用の第一歩となります。


義務的支援の実施方法と注意点

義務的支援の内容を理解していても、「どのように実施すればよいのか」「どこまで対応すれば十分なのか」で悩む企業は少なくありません。

特定技能制度では、支援内容の実施方法や管理体制も厳格に求められ、実行手順や記録の残し方によっては行政指導を受けるケースもあります。

ここでは、義務的支援の実施方法と注意点を具体的に解説します。

支援計画書への義務的支援項目の記載

特定技能外国人を受け入れる企業は、「支援計画書」を出入国在留管理庁へ提出し、全10項目の義務的支援をどのように実施するか明記しなければなりません。

記載内容には以下のような要素が含まれます。

  • 支援を実施する担当者名・役職
  • 実施時期・頻度・方法(対面・オンラインなど)
  • 外部委託の場合の登録支援機関名
  • 使用する教材や研修資料の概要

支援計画書が不十分だと、在留資格申請が認められない、または受入れ停止処分を受ける可能性があります。

したがって、実際の支援体制と整合性を保ちながら、現場で実行できるレベルの計画を作成することが重要です。

自社実施vs登録支援機関への委託の比較

義務的支援は、企業が自ら行う「自社実施」と、外部の専門機関に依頼する「登録支援機関への委託」の2つの方法があります。

実施方法メリットデメリット
自社実施・自社文化に合った柔軟なサポートが可能
・コストを抑えやすい
・現場の課題を直接把握できる
・多言語対応や行政報告など、専門知識が求められる
・支援実績の管理・記録に時間と人員が必要
登録支援機関への委託・専門知識を持つ外部パートナーに任せることで手続きがスムーズ
・多言語対応や行政対応のノウハウがある
・委託費用が発生する
・最終的な責任は受け入れ企業にある

コストだけで判断せず、自社の体制や受け入れ人数に合わせて最適な方法を選ぶことが求められます。

違反した場合のペナルティやリスク

義務的支援を怠った場合、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。

具体的には以下のような措置が取られます。

違反内容ペナルティ
支援計画の不履行行政からの改善命令
継続的な違反特定技能受け入れ停止・企業名の公表
悪質な場合在留資格取消・再申請不可

これらの処分を受けると、企業の信頼低下や採用活動への悪影響が避けられません。

支援の実施状況を定期的に記録・報告し、証拠を残す運用体制を整えることが最も効果的なリスク回避策です。

「形式」ではなく「実質」で支援を行うことが信頼の鍵

義務的支援は、提出書類を整えるだけで終わりではありません。

実際に支援が行われ、外国人が安心して生活・就労できているかという「実質的な成果」が重視されます。

形式的な対応ではなく、外国人本人の理解度・満足度を測る仕組みを導入することで、企業への信頼が高まり、行政からの評価も安定します。

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義務的支援を超える任意的支援とは?

近年、多くの企業が「義務的支援」だけでなく、より積極的な任意的支援(自主的サポート)を導入しています。

これは、外国人労働者の生活安定と定着率向上を目的とした企業努力であり、結果として人材確保の競争力にもつながります。

任意的支援と義務的支援の違い

義務的支援は法律で定められた最低限の支援ですが、任意的支援は企業が自主的に追加で行う支援を指します。

義務的支援が「生活の基盤整備」であるのに対し、任意的支援は「より良い労働環境の提供」を目的としています。

たとえば、キャリア支援や家族支援など、外国人が日本で長く働きたいと思える環境づくりが中心です。

任意的支援がもたらすメリット

任意的支援を取り入れる企業では、以下のような効果が見られます。

  • 離職率の低下:生活・職場両面の満足度が向上
  • 企業イメージの向上:外国人に「働きやすい企業」として認知される
  • 採用力の強化:口コミやSNSでの評判が新たな人材獲得につながる

特に製造業・介護業など、慢性的な人手不足が続く業界では、任意的支援を強化することが採用成功の決め手となっています。

企業で取り入れたい任意的支援の例

  • キャリアアップ研修・日本語能力試験の支援制度
  • 家族帯同支援・住宅補助・送金サポート
  • メンタルケア・カウンセリング制度
  • 表彰制度や評価制度の多言語化

こうした任意的支援を実施することで、外国人労働者は「一時的な労働力」ではなく、企業の戦力として長期的に活躍する存在になります。

“義務を超える支援”が企業の未来を左右する

義務的支援をこなすだけでは、今後の外国人採用競争を勝ち抜くことはできません。

外国人一人ひとりが安心して成長できるよう、「任意的支援」を積極的に導入する企業こそが、選ばれる雇用主となります。

支援は「コスト」ではなく「投資」。

将来の人材定着と企業ブランドのために、法定支援+αの取り組みを今から始めることが求められます。


実践的に成功する義務的支援のポイント

義務的支援を形式的にこなすだけでは、外国人労働者の定着や満足度は向上しません。

実際に成功している企業は、「支援を先回りして設計し、現場レベルで運用を最適化している」という共通点があります。

ここでは、義務的支援を「形」ではなく「成果」に変えるための実践的なポイントを解説します。

外国人が”困る前”に先回りする支援設計

支援がうまくいかない企業の多くは、問題が起きてから対処する”後手対応型”です。

一方、成功している企業は「起きそうな課題を先に潰す」設計をしています。

具体的には以下のような取り組みが有効です。

  • 入国前に生活費・ルール・文化の違いを明確に説明する
  • 初出勤時に「困ったときの連絡先リスト」を母国語で渡す
  • 最初の1か月は週1回、3か月以降は月1回の面談を実施する

このように支援を”計画的・予防的”に設計することで、トラブル発生率を大幅に下げることができます。

とくに初期対応の丁寧さは、外国人本人に「この会社は自分を大切にしてくれる」という信頼感を与える重要な要素です。

日本語力や文化差を見据えた継続支援

義務的支援は単発のイベントではなく、”継続的な伴走”であることが本質です。

特定技能1号の外国人は、来日時点で日本語レベルが十分でない場合も多く、時間をかけて理解を深めていく必要があります。

たとえば次のような工夫が効果的です。

  • マニュアルや安全指導を「図解・動画化」して言語依存を減らす
  • 翻訳アプリではなく、現場リーダーによる簡易日本語での説明を徹底する
  • 異文化理解研修を定期開催し、日本人社員の理解促進も同時に行う

これにより、外国人側だけでなく、受け入れ側の職場も「共に働く環境」へと変化していきます。

文化や宗教の違いを尊重し、相互理解を深める姿勢が長期雇用のカギとなります。

社内体制と外部連携で負担を最小化

義務的支援を完全に社内で行うと、人手・時間・知識の面で限界があります。

そのため、登録支援機関・行政書士・社会保険労務士などの専門機関との連携が非常に有効です。

とくに次のような仕組みづくりが実務的に効果的です。

  • 登録支援機関に「生活支援・報告業務」を委託し、企業は現場サポートに集中
  • 労務担当・現場リーダー・支援機関が月1回情報共有ミーティングを実施
  • 在留カード期限・面談記録・支援進捗をクラウド管理ツールで一元化

こうした連携体制により、支援の質を維持しながらも担当者の負担を大幅に軽減できます。

結果として、支援の継続性と正確性が担保され、行政監査にも強い体制を築けます。

支援を”業務”ではなく”戦略”として捉える

義務的支援を実践的に成功させるには、「やらなければならない業務」から「企業の人材戦略」へと意識を転換することが重要です。

外国人が安心して働ける環境を作ることは、単なる法令遵守ではなく、企業の競争力を高める投資でもあります。

先回りした支援設計・継続的な伴走・外部との協働体制という3つの柱を整え、外国人労働者が「この会社で働き続けたい」と思える支援環境を実現しましょう。


まとめ|義務的支援は「制度対応」ではなく「信頼構築の仕組み」

特定技能制度における義務的支援は、単なる行政上のルールではなく、外国人と企業の信頼関係を築くための基盤です。

10項目の支援内容には、生活・労働・教育など、外国人が日本社会で安定して暮らすための重要なサポートがすべて網羅されています。

企業がこの支援を「形式的にこなすだけ」で終わらせてしまえば、離職やトラブル、行政からの指摘といったリスクを抱えることになります。

しかし、支援を単なる義務ではなく「外国人の定着を促す戦略的取り組み」として捉えれば、その効果は大きく変わります。

任意的支援や継続的なフォロー、社内外の連携体制を整えることで、外国人労働者は安心して働き、企業側も安定した人材確保が実現します。

“支援はコストではなく投資”

外国人が「この企業で働き続けたい」と思える環境づくりこそが、今後の採用・育成競争を勝ち抜く最大のポイントです。

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