
05/08 (木)更新
特定技能の登録支援機関とは?支援内容と選び方などの比較ポイントをやさしく解説!
外国人材の雇用を検討している企業や、特定技能制度に関心のある方にとって、「登録支援機関」という存在は欠かせないパートナーです。
しかし、「名前は聞いたことがあるけれど、何をしてくれるの?」「どうやって選べばいいの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
登録支援機関は、特定技能外国人がスムーズに日本社会に適応し、安心して働けるようサポートするための専門機関です。
企業にとっても、煩雑な行政手続きや生活支援を任せられる心強い存在であり、制度を上手に活用するカギとなります。
この記事では、登録支援機関の基本情報から支援内容、選び方のポイント、費用の相場、さらには最新動向まで、はじめての方でもわかりやすく解説しています。
「どこに頼めばいいのか迷っている」「支援内容はどこまで任せられるのか知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
選定ミスを避け、信頼できるパートナーを見つけるためのヒントがきっと見つかるはずです。
登録支援機関とは何か?
特定技能制度において、外国人材をスムーズに受け入れるために欠かせない存在が「登録支援機関」です。
企業が外国人を雇用する際、「言語の壁」「生活面のサポート」「行政手続き」など、多くの課題が発生します。
これらの支援業務を企業に代わって担うのが登録支援機関であり、制度を正しく運用するうえで重要な役割を担っています。
ここでは、登録支援機関の定義と役割、そして技能実習制度に関わる「監理団体」との違いについて、わかりやすく解説していきます。
登録支援機関の定義と役割
登録支援機関とは、特定技能外国人を受け入れる企業から委託を受け、法務省が定めた「支援計画」に基づき、生活・職業に関する支援を行う民間機関です。
支援計画には、以下のような業務が含まれます。
- 空港への送迎や住宅の確保支援
- 日本語学習や生活マナーの指導
- 定期的な面談や相談対応
- 役所や金融機関などへの同行支援
- 苦情やトラブル時の対応
これらは企業が自社で対応することも可能ですが、負担が大きいため登録支援機関に外部委託するケースが一般的です。
法務省に登録された機関のみが支援業務を行えるため、企業は「登録支援機関一覧」から信頼できる機関を選定する必要があります。
登録支援機関と監理団体の違い
登録支援機関と似た機能を持つ存在として、「監理団体」がありますが、両者は対象とする在留資格が異なります。
- 登録支援機関 – 特定技能制度の対象者(特定技能1号)を支援
- 監理団体 – 技能実習制度に基づき、技能実習生を支援
また、監理団体は公益性を重視した非営利組織であることが多く、技能実習生の適正な実習環境の確保と監督が主な役割です。
一方、登録支援機関は民間企業や士業などが担うことが多く、生活支援や相談業務に特化しています。
そのため、同じ外国人材のサポートでも、制度ごとに支援対象や目的が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
登録支援機関は、特定技能外国人の日本での就労・生活を円滑に進めるための重要な存在です。
企業が直接支援を行うよりも、専門機関に委託することで負担を軽減し、法令遵守のもと安心して外国人を受け入れることができます。
また、技能実習と特定技能は制度設計が異なり、それぞれに専用の支援機関があるため、自社の採用制度に応じて正しく使い分けることが成功のカギとなります。
登録支援機関の支援内容
特定技能外国人を受け入れる際、企業には「支援計画の作成と実施」が法律で義務付けられています。
この支援業務の多くを代行できるのが「登録支援機関」です。
支援内容は大きく分けて「義務的支援」と「任意的支援」の2種類があり、外国人材の職場定着や生活の安定に直結するため、どのような支援が含まれているのかを正しく理解することが、受け入れ企業にとって非常に重要です。
ここでは、登録支援機関が提供する支援内容について、それぞれ具体的に解説していきます。
義務的支援の10項目
登録支援機関が提供する義務的支援は、以下の10項目に分かれています。
これは法務省が定める「支援計画」に必ず盛り込まなければならない内容です。
- 事前ガイダンスの実施
在留資格の内容や就労条件、生活ルールなどを外国人に対して来日前または来日直後に説明します。 - 出入国時の送迎
空港から住居までの送迎や、帰国時の空港への案内などを含みます。 - 住居確保や生活に必要な契約の支援
アパートの契約、携帯電話、銀行口座開設、インターネット契約など、日本での生活に欠かせないインフラ整備のサポートです。 - 生活オリエンテーションの実施
ゴミの分別、交通ルール、防災知識など、地域で生活する上での基本知識を伝えます。 - 公的手続き等への同行
市役所での転入届や年金・保険の手続きなどに同行し、通訳や説明をサポートします。 - 日本語学習機会の提供
学習教材の紹介や、地域の日本語教室の情報提供などを通じて、日本語能力向上の機会を与えます。 - 相談・苦情への対応
職場や生活でのトラブルや悩みに対して、相談窓口として機能し、必要に応じて助言・対応を行います。 - 日本人との交流促進
地域住民や職場の日本人と交流できる場の提供やイベント情報の共有を行います。 - 転職支援(受け入れ側の都合で契約を解除した場合)
雇用主側の理由で契約解除になった場合、新たな受け入れ先の紹介やサポートを行います。 - 定期的な面談・行政機関への通報
3か月に1度以上、本人と面談し、問題がある場合には地方出入国在留管理局に報告します。
任意的支援の内容
任意的支援とは、法令で義務付けられてはいないものの、外国人材の安定した就労・生活をさらに充実させるために登録支援機関が自主的に提供する支援です。
たとえば以下のような内容が含まれます。
- キャリアアップに向けたスキルアップ支援
- 自治体や地域コミュニティとの連携イベントの案内
- 緊急時の多言語対応相談窓口の設置
- 生活トラブルに備えた弁護士紹介制度
- メンタルヘルスケアのためのカウンセリング
このような任意支援を受けられるかどうかは支援機関ごとに異なるため、企業が登録支援機関を選ぶ際の大きな判断材料にもなります。
登録支援機関は、特定技能外国人の受け入れをスムーズに行うための重要なパートナーです。
義務的支援だけでなく、任意的支援を充実させている機関を選ぶことで、外国人材の定着率や満足度は大きく変わってきます。
企業としては、「何をどこまで支援してくれるのか」を明確にしたうえで委託契約を結ぶことが、後悔しない選定につながります。
登録支援機関の登録要件と義務
登録支援機関として特定技能外国人のサポートを行うには、法務省(出入国在留管理庁)に登録されていることが必要です。
登録には厳格な要件が定められており、企業が自ら登録する場合にも、外部の登録支援機関に委託する場合にも、その適格性をしっかり確認する必要があります。
ここでは、「登録支援機関」として認定されるための主な登録要件と、登録後に求められる法的な義務について詳しく解説します。
登録要件
登録支援機関となるためには、以下のような法令遵守や体制の整備が求められます。
いずれか一つでも満たしていない場合は登録不可となります。
- 過去5年以内に出入国・労働関連法令の違反歴がないこと
企業または代表者が、出入国管理法や労働基準法などに違反していないことが前提です。 - 外国人が理解できる言語で支援を実施できる体制があること
支援内容を外国人に正確に伝えるために、支援対象者の母語や英語などに対応できる言語サポート体制が必要です。 - 支援責任者および支援担当者の配置があること
支援責任者(1名以上)と、必要に応じて支援担当者を明確に配置し、業務に責任を持てる体制であることが求められます。
これらの要件を満たすことで、企業・団体・個人事業主が登録支援機関として活動できるようになります。
参照はこちら: 出入国在留管理庁|登録支援機関の登録申請
登録支援機関の義務
登録後も、登録支援機関には以下のような実務上の義務が定められており、怠ると登録の取り消しや罰則の対象になる場合があります。
- 外国人への支援を適切に実施すること
法務省が定める「義務的支援10項目」を実施し、記録・報告を適切に残す必要があります。 - 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
外国人の雇用状況や支援実施状況などを定期的に報告する義務があります。不備があると是正指導の対象になります。
これらの義務を確実に果たすことで、外国人労働者の安定した就労と生活を支える役割を果たせるだけでなく、企業としての信頼性も高めることができます。
登録支援機関は、単なる「委託先」ではなく、外国人材の活躍と企業の安定経営を支える重要なパートナーです。
登録要件を満たし、義務を確実に履行できる機関であるかどうかを見極めることが、制度活用の第一歩となります。
登録支援機関の選び方と注意点
特定技能外国人の受け入れにあたって、登録支援機関を活用する企業が増えています。
しかし、どの支援機関に依頼するかによって、外国人材の定着率やトラブル対応の質に大きな差が出ることも事実です。
ここでは、登録支援機関を選ぶ際にチェックすべき基準や費用の比較ポイントについて解説します。
信頼できる機関を見極めることで、外国人材との良好な関係構築がスムーズに進みます。
登録支援機関の選定基準
登録支援機関を選ぶ際は、以下のような点を確認することが重要です。
- ライセンス登録されているかどうか
法務省の登録支援機関リストに正式に掲載されている機関であるかを必ず確認しましょう。 - 対応可能な言語や国籍
自社が採用予定の外国人の母国語や文化に対応できる体制があるかどうかも大切です。 - 支援実績や所在地
過去の実績、業界ごとのノウハウ、拠点の場所なども選定の判断材料になります。 - 連絡のスピード感と柔軟性
外国人とのトラブル時など、迅速な対応が求められる場面で機敏に動ける体制が整っているかを確認しましょう。
委託費用の相場と比較ポイント
登録支援機関に支払う費用は、月額制や業務ごとの項目制などさまざまな形態があります。
- 一般的な月額制では、1名あたり15,000〜30,000円程度が相場とされています。
- 一部業務だけを委託する「項目制」では、個別支援ごとに料金が設定されることもあります。
- 初期費用や登録料が発生するケースもあるため、総額を含めた見積もりの比較が重要です。
費用の安さだけでなく、支援の質や対応範囲を総合的に比較して、信頼できるパートナーを選びましょう。
登録支援機関の選定は、単なる委託先探しではなく、外国人材との「共に働く未来」を支える重要な判断です。
対応言語、支援内容、実績、費用感などをよく比較し、自社にとって最適な機関を見極めましょう。
信頼できる支援機関と連携することで、トラブルを防ぎながら、外国人材との安定した関係を築くことが可能になります。
登録支援機関に委託するメリットとデメリット
特定技能制度を活用して外国人材を受け入れる企業にとって、「登録支援機関への委託」は大きな選択肢の一つです。
自社で全ての支援業務を行う「自己支援」に比べ、委託は手間を減らせる一方で、費用や品質に対する不安を感じる方も少なくありません。
このセクションでは、登録支援機関に支援業務を委託する際のメリットとデメリットを整理し、委託すべきかどうかを判断するための材料を提供します。
委託のメリット
受入企業の負担が軽減される
生活支援、行政手続き同行、日本語学習の支援など、多岐にわたる支援業務を一括で任せられるため、企業側の事務負担や人的リソースの確保を大幅に軽減できます。
専門知識・経験の活用が可能
登録支援機関は特定技能制度に精通しており、最新の法令対応や制度変更にも柔軟に対応可能。
企業単独では難しい専門的なサポートを受けることができます。
外国人が悩みを相談しやすい環境が整う
第三者的な立場での支援があることで、外国人材が職場での悩みや生活の不安を相談しやすくなり、結果的に定着率の向上にもつながります。
委託のデメリット
委託費用が発生する
登録支援機関に支援を任せることで、当然ながら委託費用が発生します。
支援内容によっては月額1万〜3万円程度かかることもあるため、コスト面での計画は重要です。
支援内容や対応に差があるため、選定が重要
すべての登録支援機関が高水準の支援を提供しているとは限りません。
実績や支援体制、対応スピードなどをよく確認したうえで、信頼できる機関を選ぶ必要があります。
登録支援機関に委託することで、企業にとっては「時間・労力・専門性」の3つの負担を大きく軽減できるメリットがあります。
一方で、費用負担やサービス品質の見極めといった課題もあるため、事前の比較検討と契約内容の確認が不可欠です。
自社の状況に合った支援スタイルを選ぶことで、外国人材の安定的な受け入れと職場環境の整備がよりスムーズになります。
登録支援機関の費用相場と内訳を知ろう
特定技能外国人の受け入れにあたって、登録支援機関への委託を検討する企業も多いですが、その際に気になるのが「費用」です。
支援業務を依頼する以上、一定のコストが発生するのは当然ですが、その内訳や相場を知らないまま契約してしまうと、思わぬ出費につながることも。
このセクションでは、登録支援機関にかかる費用の代表的なパターンと、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
月額制の登録支援費用とは? 一般的な料金水準と内容
多くの登録支援機関は、支援内容をパッケージ化し、月額固定費として設定しています。
一般的な相場は1人あたり月1万〜3万円前後で、これにより義務的支援10項目の実施や、定期面談、行政対応などがカバーされます。
手厚いサポートを重視する企業にとっては、コストパフォーマンスが高い形態といえるでしょう。
支援内容ごとに費用が異なる「項目別料金制」とは?
一部の支援機関では、支援業務を細分化し、それぞれに料金を設定しているケースもあります。
たとえば、「生活オリエンテーション1万円」「住居確保支援2万円」「定期面談月1万円」など、必要なサポートのみを選んで依頼できるのが特徴です。
柔軟な選択肢がある反面、積み上げ方式で費用が高額になる可能性もあるため、トータルコストの見積もりが重要です。
登録料・初期費用などその他にかかるコストも要確認
月額費用以外にも、契約時に初期費用や登録料が発生することがあります。
この費用は支援体制の構築や書類整備、受け入れ企業への訪問説明などに充てられ、1万円〜5万円程度が相場とされています。
契約前にこうした一時費用の有無や内容をしっかり確認しておくことで、予期せぬ出費を防ぐことができます。
登録支援機関に支払う費用は、月額制と項目別制の2パターンが主流です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のニーズに合わせて選択することが重要です。
また、初期費用やオプション料金なども含めた全体のコストを事前に把握しておくことで、安心して登録支援機関と契約を進めることができます。
「価格だけでなく支援の質や対応力も比較」することが、成功のカギとなります。
登録支援機関の最新動向と今後の展望
特定技能制度の導入により、日本の人手不足を補うために外国人労働者の受け入れが加速しています。
そのなかで重要な役割を担うのが「登録支援機関」です。登録支援機関は、特定技能外国人が安心して日本で働き生活できるよう、様々な支援を提供する存在です。
制度開始から数年が経過した今、登録支援機関の数や活動の実態、そして今後の展望にはどのような変化があるのでしょうか。
最新情報をもとに整理していきます。
登録支援機関の数と分布
登録支援機関は年々増加しており、2025年3月時点でその登録件数は10,000件を超えました。
大都市圏を中心に分布していますが、地方でも積極的に設立が進んでおり、介護・農業・建設など地域ごとの人材ニーズに応じた支援が展開されています。
一方で、支援の質には機関ごとにバラつきがあるため、企業は支援実績や対応言語、サポート内容などをしっかり確認して委託先を選ぶ必要があります。
参照リンク:法務省|登録支援機関一覧(地域・言語別検索)
今後の制度改正や支援内容の拡充
登録支援機関をめぐる制度には、今後さらなる見直しが予定されています。
2023年には、技能実習制度の廃止と新制度「育成就労制度」の創設が議論され、登録支援機関の役割も一部拡張される見込みです。
また、日本語教育や生活支援における質の向上が求められており、行政からも支援水準の可視化や評価制度の導入が検討されています。将来的には、一定基準を満たす優良機関の認定制度や、オンラインでの支援提供の普及も期待されています。
登録支援機関は、特定技能制度の運用において、企業と外国人の橋渡しを担う不可欠な存在です。件数は増加傾向にあり、制度の成熟とともに役割も拡大しています。
これから特定技能人材を受け入れようと考える企業にとって、信頼できる登録支援機関の選定は成功のカギです。
今後の制度改正にも注目しながら、最新動向をキャッチアップしていくことが求められます。
この記事のまとめ|登録支援機関の基礎と選び方を理解しよう
特定技能の登録支援機関は、外国人材の日本での就労・生活を円滑にサポートするために欠かせない存在です。
制度の目的や支援内容、登録要件、費用の相場まで理解することで、企業が安心して人材受け入れを進められる体制が整います。
また、登録支援機関を選ぶ際には、対応言語やサポート実績、費用の透明性などをしっかりと比較検討することが重要です。
メリットだけでなく、委託にかかる費用やサービス内容の差異にも注意が必要です。
さらに、今後は登録支援機関に求められる役割やサービスの質も進化していく可能性があります。
最新動向をチェックしながら、自社に合った支援体制を築いていきましょう。
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