
09/19 (金)更新
特定技能に新たな職種が追加予定!物流・廃棄物・リネン業務は対象になる?
特定技能制度は、深刻化する人手不足への対策として2019年に導入された外国人受け入れ制度です。
これまで建設・介護・農業などの14分野が対象とされてきましたが、今後さらに新たな職種・分野の追加が検討されています。
特に注目されているのは、物流倉庫の管理、廃棄物処理、リネン供給といった現場作業を中心とする分野です。
これらの業界では、少子高齢化や就労環境の課題から深刻な人材不足が続いており、外国人材の受け入れ拡大が強く求められてきました。
政府は2025年12月に分野追加の閣議決定を予定しており、制度改正が現実味を帯びています。
この記事では、特定技能の追加が検討されている新分野の具体的な業務内容や背景、企業が今から準備すべき対応、制度全体に与える影響までをわかりやすく解説します。
制度の拡大に向けて早期に動き出したい企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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特定技能制度に検討されている分野追加の背景と目的
急速に進む少子高齢化と国内労働力の減少により、特定技能制度の対象分野は拡大の必要に迫られています。
特に「物流」「衛生」「宿泊」といった生活インフラに関わる産業では、現場の人手不足が深刻化しており、外国人材の活用が重要な打開策となっています。
ここでは、追加が検討されている分野の背景やその目的について詳しく見ていきます。
人手不足が深刻な物流・衛生・宿泊現場の現状と課題
現在、以下のような業界で人手不足が顕著になっています。
- 物流業界
EC市場の拡大や「2024年問題」による労働時間制限強化の影響で、トラックドライバー・倉庫内作業員・事務員などの不足が深刻化。
2030年には36万人以上のドライバー不足が予測されています。 - 衛生分野
ビル清掃・廃棄物処理・リネン供給などの業務は敬遠されがちで、慢性的な人材不足が常態化しています。
地域によっては、作業員の平均年齢が50代後半というケースもあります。 - 宿泊業界
インバウンド需要の回復・拡大に伴い、フロント・客室清掃・レストランスタッフなどのポジションが慢性的に不足。
特に地方や観光地では人材確保が困難となっており、高い離職率も課題です。
これらの業界は、日本人労働者の確保が困難でありながらも、安定稼働が求められる生活基盤産業であることから、外国人材の活用に大きな期待が寄せられています。
既設分野の拡大との繋がり(制度拡充の一環として)
特定技能制度は、2019年の導入以降、当初の12分野から徐々に対象を拡大してきました。
- 2024年3月
「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野を追加し、合計16分野に拡大。 - 2025年5月(予定)
新たに以下の3分野の追加が検討されています。- 物流倉庫管理
- 廃棄物処理
- リネン製品供給
これにより、特定技能制度は19分野体制へと拡充される見込みです。
追加される分野は、既存の産業インフラにおける労働力不足を反映したものであり、制度の柔軟性と実効性を高める狙いがあります。
また、これらの拡大は以下のような政策的意義も持ちます。
- より多様な業種で外国人材の受け入れが可能になる
- 産業全体の労働力供給安定化につながる
- 「人手不足分野への即戦力投入」という制度趣旨に沿った拡張
こうした流れは、単なる分野追加ではなく、制度全体の機動性と持続可能性を高める重要なステップと捉えるべきでしょう。
◇特定技能制度の分野追加は実効性ある人手不足対策へ
物流・衛生・宿泊といった分野は、日本の経済や暮らしを支える基盤でありながら、特に人手不足が深刻な業界です。
これらの産業に特定技能制度を拡張することは、実情に即した現実的な対応策であり、制度そのものの価値向上にもつながります。
今後の制度拡充の動向には、業界関係者だけでなく、多くの企業が注目すべきタイミングに差し掛かっていると言えるでしょう。
追加検討中の3分野とは
2025年現在、特定技能制度の対象として新たに追加が検討されている3分野が注目されています。
それは「物流倉庫の管理」「廃棄物処理」「リネン供給」です。
いずれも日本社会に欠かせない業種でありながら、深刻な人手不足が続いており、現場の安定稼働のためには、即戦力となる外国人材の受け入れが不可欠とされています。
これらの分野が制度対象となることで、企業側にとっても安定的な労働力確保と教育体制の整備が求められるようになります。
以下に、それぞれの分野について具体的な概要と背景を整理していきます。
物流倉庫の管理(倉庫内作業・ピッキング・在庫管理等)
EC市場の拡大とドライバー不足に伴う物流停滞のリスクを背景に、「物流倉庫の管理」分野は特定技能制度の対象として追加が検討されています。
主な業務は以下の通りです。
- 商品の入荷・仕分け・検品・ピッキング・梱包
- 在庫管理・出荷準備
- フォークリフト運転(必要に応じて免許取得も想定)
この分野では、2027年を目処に制度運用が開始される見込みで、特に有効求人倍率の高さが課題とされています。
働き手不足が常態化しており、人手が確保できず出荷遅延が頻発するケースもあります。
各企業にとっては、今後の制度施行を見据え、早期の体制整備や外国人労働者向けの教育プログラム準備が重要になります。
廃棄物処理(ごみ収集・分別・搬送・中間処理補助等)
環境保全・衛生維持に直結する重要分野である廃棄物処理も、今後の特定技能分野として検討中です。
想定される対象業務は以下の通りです。
- ごみ収集や可燃・不燃物の分別
- 廃棄物の搬出・搬送
- 焼却施設・リサイクル施設での中間処理補助
- 危険物の仕分けや衛生管理に関わる軽作業
この分野では特に、高齢化による担い手不足と肉体的負担の大きさから人材の確保が困難になっており、持続的な業務体制の構築が急務です。
外国人材の受け入れによって、安定した収集・処理体制の確保と、長期的な人材育成が期待されています。
リネン供給(回収・洗濯・仕上げ・納品等)
ホテル・病院・介護施設などで使用されるリネン製品の洗浄・配送業務も、対象分野としての追加が検討されています。
主な業務は以下のようになります。
- 使用済みリネンの回収・洗濯
- アイロンがけ・たたみ・仕上げ
- 指定先(宿泊施設・医療機関等)への納品・補充
この分野では、慢性的な人手不足により業務負担の集中や納品遅延が課題となっており、外国人労働者の受け入れによる安定稼働と品質維持が求められています。
特に、衛生管理や時間厳守が求められる職種であるため、受け入れ企業側には丁寧な研修体制の整備が必要です。
◇人手不足が社会インフラを揺るがす前に、制度拡充が果たす役割
これら3分野の追加検討は、人手不足が日常生活や社会機能そのものに影響を及ぼすリスクを避けるための現実的な一手です。
物流、廃棄物処理、リネン供給はいずれも、日常生活の裏側で支える「縁の下の力持ち」的な存在ですが、いまその支えが崩れかけています。
- 2025年中の閣議決定
- 2027年の制度運用開始
- 企業の受け入れ体制準備の加速
これらがキーワードとなる今、特定技能制度の動向に対して、早期の情報収集と実務対応の準備が求められます。
新たな分野への対応は単なる人手確保にとどまらず、現場の質や働く環境の改善にも直結する第一歩となるでしょう。
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追加時期の見通しと制度準備スケジュール
特定技能制度に「物流倉庫管理」「廃棄物処理」「リネン供給」の3分野が新たに追加される見通しとなっており、2025年12月に閣議決定、2027年ごろからの制度運用開始が想定されています。
企業は今のうちから準備を開始することが成功の鍵です。
本セクションでは、その内容を整理してお伝えします。
政府の閣議決定スケジュール(2025年12月予定)と運用開始見込み(2027年頃)
- 閣議決定時期 – 2025年12月を目標
- 制度運用開始 – 2027年ごろを見込み
- この追加により、制度対象分野は従来の16分野から19分野へと拡大される予定です
- ただし、現時点(2025年9月)では詳細な試験内容・運用ルールは未定で策定中にあるため、正式発表の動向に注意が必要です
企業が現在から準備すべき事項(募集計画、支援体制整備など)
制度開始までに着手しておくべき主な取り組みは以下の通りです。
- 技能評価試験・日本語能力試験の準備体制整備
- 試験要項や実施スケジュールの確認
- 社内や登録支援機関と連携した受験支援の構築
- 支援体制の整備
- 支援計画書の事前作成と実施体制の組織内整備
- 登録支援機関や社内担当者による生活・就労サポートフローの確立
- 採用計画と労務管理の見直し
- 採用スケジュール、選考方法、求人媒体などの戦略策定
- 労務管理システムや就労環境の点検・改善
- 関係機関との連携強化
- 業界団体や行政書士などと協力し、最新情報の取得や手続き設計を進めることが推奨されます
こうした事前準備を進めておくことで、2027年の制度運用開始時にスムーズかつ適正に外国人材を受け入れる態勢を整えることができます。
また、制度内容は今後の動きにより変更される可能性があるため、逐次最新情報を確認する姿勢が重要です。
◇2025年→2027年──準備が未来の運用成否を左右する
- 2025年12月の閣議決定を経て、2027年からの制度運用に向けて時間的余裕はあるものの、行動の先手が重要です
- 採用プロセス・支援体制・労務管理の整備を今からスタートさせることで、制度開始時の”即戦力採用”にも備えられます
- 制度設計や試験内容は未確定部分も多く、最新情報の監視と柔軟な対応が不可欠です
- 先行して準備を進める企業は、他社に対し明確な準備アドバンテージを持つことができ、外国人材の活用成功率が高まります
制度拡大の意義と制度全体に及ぼす影響
2025年に検討が進められている特定技能制度の新分野追加(物流・廃棄物処理・リネン供給)は、単なる「一部業種の拡充」にとどまりません。
これは制度全体を“次のステージ”へと進める布石であり、今後の日本の労働力戦略においても大きな意味を持つものです。
このセクションでは、制度全体に及ぼす影響と、その設計思想を考察していきます。
業界横断的な人材確保のための制度設計としての次ステップ
今回の制度拡大には、以下のような構造的・戦略的な意義が込められています。
■ 1. 対象業種の選定が示す「新しい基準」
- 今回追加される3分野(物流倉庫管理・廃棄物処理・リネン供給)はいずれも“インフラ支える業務”
- これまでの特定技能が主に「産業別の専門技能職」に限定されていたのに対し、今回の分野は“間接的に複数産業を支える基盤業務”
- この方針変更は、業種の垣根を越えた人材確保を可能にし、他分野への波及効果も期待される
■ 2. 地域・業種を問わない制度汎用性への布石
- リネンサプライや倉庫オペレーションなどは、地方の中小企業や観光業、医療施設にも深く関係
- これにより、都市部集中から地域分散型の人材受け入れモデルへと転換する可能性が高まる
- 制度設計の柔軟性向上は、結果的に「全国レベルでの人材流動性確保」に貢献する
■ 3. 将来的な“制度一本化”への流れ
- 特定技能制度と技能実習制度の一体化が進められている中、今回の拡張は一本化後の「新制度運用モデル」の試金石
- 複数業界に共通する運用ルールの設計・試験制度の整備を通じて、業界横断で通用する標準モデルが生まれ得る
◇分野追加は“制度再設計”の始まり
- 今回の分野拡大は、「制度を使いやすくするための単なる改善」ではなく、労働政策全体の再構築への第一歩
- インフラ型業務が対象になったことで、制度の横展開や柔軟運用が現実的に
- 中長期的には、制度のシンプル化・一本化・共通化が図られ、日本国内外の人材流動性に大きな影響を与える可能性が高い
まとめ|分野追加は“人材戦略”を進化させる転機に
特定技能制度の対象分野追加は、単なる業種拡張ではなく、制度全体の運用設計や企業の受け入れ体制に新たな基準が求められる段階に入ったことを意味します。
物流・廃棄物処理・リネン供給といった分野は、いずれも人手不足が深刻であり、かつ外国人材との親和性も高い領域です。
2025年12月の閣議決定予定と、2027年頃とされる運用開始に向けて、今から準備を進めることが求められます。
人材の募集体制や日本語教育支援、生活面の受け入れ環境などを整えることが、企業の信頼性や長期雇用の成否に直結するでしょう。
また、今回の分野追加は「業界横断的な人材活用」の第一歩とも捉えられ、将来的にはより柔軟で実効性ある外国人材活用の枠組みへとつながる可能性もあります。
今後の制度改正や新分野追加にも注目し、早期からの対応と情報収集を継続することが、企業にとっての競争優位につながるはずです。
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