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07/25 (金)更新

特定技能で人気の国はどこ?国別の雇用傾向とトラブル事例まとめ

外国人材の採用が進む中、特定技能制度の活用において「どの国の人材を採用するか」は企業の成否を左右する重要な視点となりつつあります。

 

ベトナムを筆頭に、インドネシアやミャンマーといったアジア圏の国々が主力となってきた一方で、近年は他国からの合格者増加や文化的適応力の違いにも注目が集まっています。

 

この記事では、特定技能で採用できる国の一覧や国別の傾向、文化的特徴、採用ルートの違い、そして現場で起きたトラブル事例までを網羅的に解説します。

 

単なる「どの国から雇えるか」という情報にとどまらず、企業が自社に適した人材を見極め、安定した受け入れを実現するための戦略的視点も盛り込んでいます。

 

「どの国から採用すべきか?」

 

「その国の人材は定着しやすいのか?」

 

といった疑問を抱える企業担当者の方にとって、実践的なヒントが詰まった内容になっています。

 

特定技能外国人の採用を検討している企業は、ぜひ国別の違いを知り、自社に合った最適な人材戦略を立てる参考にしてください。

 

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特定技能で受け入れ可能な“国籍ラインナップ”とは

特定技能制度で外国人を採用したい企業がまず知っておくべきポイントのひとつが「受け入れ可能な国籍」です。

 

「どこの国から採用できるのか?」「協定国じゃないと無理?」といった疑問は、現場でも非常に多く聞かれます。

 

本セクションでは、2025年現在の協定国一覧や、協定外でも採用が可能となるケース、そして国内在留者からの移行実態までを整理して解説します。

二国間協定を締結している主要国一覧(ベトナム・インドネシア・ミャンマーなど)

特定技能制度では、外国人材の受け入れにあたり、日本と送り出し国との間で締結された「二国間協力覚書(MOC)」が基準のひとつになります。

これは、送り出し国での不適切な仲介やブローカー介入を防止し、人材の保護と円滑な受け入れを目的とした制度設計です。

2025年時点で日本とMOCを締結している主な国は以下の通りです。

  • ベトナム

     

  • インドネシア

     

  • フィリピン

     

  • ミャンマー

     

  • カンボジア

     

  • ネパール

     

  • モンゴル

     

  • スリランカ

     

  • バングラデシュ

     

  • パキスタン

     

  • ウズベキスタン

これらの国々は、政府を通じた送り出しプロセスが設けられており、技能評価試験や日本語試験に合格した人材を日本企業が受け入れる体制が整えられています。

特にベトナムやインドネシアは、送り出し体制が整備されており、企業側からの人気も高い状況です。

協定外でも自社在留者から採用可能なケースとは?

実は、MOCを締結していない国籍の外国人も、すべて受け入れ不可というわけではありません。重要なのは「すでに日本国内に在留している人材かどうか」です。

たとえば、技能実習や留学など別の在留資格で日本に在留している外国人が、試験に合格し要件を満たしていれば、協定国以外の国籍でも特定技能への変更申請が可能です。

このようなケースでは、自社採用(在留中の人材から選抜)というルートが活用され、送り出し国との手続きは不要です。

つまり、採用活動の対象を「国内在留者」に広げることで、MOC未締結国出身の人材を採用できる可能性が生まれます。

国内在留からトランジションした特定技能人材の実情

現在、特定技能人材の多くは「海外からの新規採用」よりも、日本国内で既に就労・生活していた外国人からのトランジション(在留資格変更)によって構成されています。

特に多いのが技能実習から特定技能への移行です。技能実習2号を良好に修了した人は、試験免除で特定技能に移行できるため、企業側にとっても即戦力かつ信頼性の高い人材となります。

また、国内採用のメリットは以下の通りです。

  • 日本語レベルが安定している

     

  • 生活習慣や文化への適応が進んでいる

     

  • 教育・訓練の手間が省ける

     

  • 受け入れまでのリードタイムが短い

このような背景から、企業の間では「国内在留者の採用」が主流化しつつあり、今後も採用戦略の重要な選択肢として注目され続けると考えられます。

◆国籍制限はあるが「国内採用」で広がる選択肢

特定技能制度における採用国は、MOCを締結した国が原則とはいえ、日本国内に在留している人材であれば、出身国に関係なく採用可能という柔軟性があります。
特に技能実習生からの移行は実績も多く、採用の安定性・即戦力性を考えると非常に有効なルートです。

採用国を戦略的に見極めつつ、「海外ルート」「国内ルート」の両面からアプローチすることが、人材確保と長期定着のカギとなるでしょう。

国籍別採用実績と最新傾向

特定技能外国人の国別構成は、制度開始から数年で大きく変化しています。

 

かつてはベトナム一強とも言われていた状況でしたが、直近の*024年末時点の速報値(出入国在留管理庁)では、インドネシア・フィリピン・ミャンマー・中国などの国籍が急伸しており、採用の多様化が進んでいます。

 

ここでは、最新の国籍別在留人数TOP5とともに、近年の傾向や採用戦略の見直しポイントを整理します。

最新統計で見る!在留人数TOP5(2025年版)

出入国在留管理庁が公表した2024年12月末時点の速報値によると、特定技能外国人の国別在留人数TOP5は以下のとおりです。

順位国籍在留人数
1位ベトナム133,478人
2位インドネシア53,538人
3位フィリピン28,234人
4位ミャンマー27,348人
5位中国17,761人

特にベトナムは全体の約45%を占めており、依然として最多ですが、インドネシアやフィリピンが急速にシェアを伸ばしている点は見逃せません。

従来3位だったミャンマーが4位に後退したことも、最新動向として注目されています。

特定技能在留外国人数の公表等|出入国在留管理庁

近年伸びている国籍と日本語試験合格者数の推移

ここ2〜3年で著しく増加しているのが、インドネシア・フィリピン・ネパール・カンボジアなどの国です。

これらの国では、以下の要因により特定技能制度の活用が進んでいます。

  • 日本語試験(JFT-BasicやJLPT N4以上)の合格者が増加

     

  • 政府による人材育成制度や送出し体制の整備

     

  • 試験実施国の拡大と受験回数の増加

たとえば、インドネシアは国内での試験回数が安定しており、職種ごとの合格者も多いのが強みです。

また、カンボジアは小規模ながらも伸び率が高く、注目度が上昇中です。

「ベトナム一強時代」は本当に終わったのか?他国の台頭を探る

2019年から2022年頃までは、特定技能=ベトナム人という構図が強固でした。

しかし近年では以下の理由により、企業が他国へと採用の幅を広げる傾向にあります。

  • 送り出し費用の高騰(ベトナム)

     

  • トラブル事例の増加(契約内容の食い違い、転職問題など)

     

  • 他国の教育・支援制度が追いつきつつある現状

ベトナムの在留人数は依然として多いものの、増加の勢いは鈍化傾向にあり、インドネシアやフィリピンの台頭が数字にも表れています。

今後は“多国籍戦略”が企業側にとってますます重要になるといえるでしょう。

▷データを活用した採用戦略が今後の鍵に

2025年時点の最新データを見ると、特定技能人材の国籍構成は着実に分散化が進んでいることがわかります。
従来のベトナム偏重から脱し、インドネシアやフィリピンをはじめとする多国籍な採用ルートの構築が求められる時代に突入しています。

今後の採用方針を立てるうえでは、在留人数・試験合格者数・文化的相性など多面的な情報をもとに、“国別の強み”を生かしたマッチング戦略を検討することが、定着率向上とトラブル防止のカギとなるでしょう。

国別採用時の注意点と文化的特徴

特定技能制度における外国人採用では、単に在留資格の取得要件を満たすだけでなく、文化的な相性やコミュニケーションの取り方も定着率や職場の安定性に大きく影響します。

 

ここでは、採用が多い主要国(ベトナム・インドネシア・フィリピン)を中心に、国ごとの文化的特徴と、採用時に留意すべき点を解説します。

 

また、今後注目される中国・ネパール・カンボジアなどの国籍にも触れ、スムーズな受け入れのためのポイントを整理します。

ベトナム/インドネシア/フィリピン—文化・習慣上の配慮点

【ベトナム】

  • 上下関係を重んじる文化であり、上司や年上に対する敬意が強い。

     

  • 一方で、「指示がないと動きにくい」「失敗を恐れて質問を控える」傾向があり、業務指示や声掛けを丁寧に行うことが定着につながる。

【インドネシア】

  • イスラム教徒が多く、宗教的な配慮が必須。ラマダン期間中の勤務配慮や、食事・祈りの時間への理解が必要。

     

  • 温厚で協調性が高いが、「イエス=理解」ではないため、確認のプロセスを丁寧に行うことが重要

【フィリピン】

  • 英語が堪能な人が多く、日本語が苦手でも意思疎通が可能なケースもある。

     

  • 家族志向が強く、離職理由に“家族の事情”が影響しやすいため、柔軟な勤務体系の導入が有効な場合がある。

中国・ネパール・カンボジアなど新たな候補国の可能性

【中国】

  • 経済成長により人材供給が安定していない面もあるが、技術習得意欲や即戦力志向の人材が多い。

     

  • 一方で、就労意識が強く、待遇や職場環境への要求も比較的高い傾向がある。

【ネパール】

  • 日本語試験合格者数が増えており、今後の成長が期待される国

     

  • 優しい性格の人が多く協調性が高い反面、体力的に不安視される職場(建設・農業)では慎重な見極めが必要

【カンボジア】

  • 他国と比較して若年層の割合が高く、素直で吸収が早い人材が多い

     

  • 国内での日本語教育インフラが発展途上なため、日本語教育支援を企業側が補う体制が求められる

技能実習から特定技能へ移行する際の国籍別プロセス

技能実習から特定技能1号への移行は、同一業種・職種での実務経験と日本語・技能試験の免除が認められることから、企業にとっても人気のルートとなっています。

国籍別の傾向としては

  • ベトナム・ミャンマー・インドネシアなどは技能実習からの移行者が非常に多く、送り出し体制も整備されている。

     

  • 一方で、ネパールやカンボジアはまだ実習生からの移行者が少ないため、技能実習制度の運用実績を見ながら徐々に拡大中という位置づけになります。

国別の行政手続きや送出し機関との連携体制も異なるため、国ごとに“移行しやすいルートかどうか”を見極めたうえでの採用判断が求められます。

▷国ごとの理解が採用成功のカギに

特定技能制度は、表面的には「どの国からも採用できる」ように見えますが、実際には国ごとの文化、制度、行政の運用差が定着率・トラブル発生率に直結します。
特に技能実習からの移行者に頼る場合、国籍別の移行実績や制度理解度の差は企業にとって重要なチェックポイントとなるでしょう。

今後も国際情勢や送出し国の教育体制により状況は変動するため、常に“国別の特徴”を把握し、社内体制や支援内容をカスタマイズすることが外国人雇用成功への第一歩となります。

 

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国籍別採用のルートと流れ

特定技能人材を採用するにあたっては、大きく分けて「海外からの直接採用ルート」と「国内在留者を対象にした採用ルート」の2つがあります。

 

どちらを選ぶかによって、必要な手続きやかかる時間・コスト・人材の定着率にも違いが出てきます。

 

ここでは、それぞれの採用ルートの流れとメリット・注意点について詳しく解説します。

国外試験を受けて採用するルート(海外採用の流れ)

海外在住の外国人を新規に採用する場合、以下のようなステップを経て採用を進めます。

  1. 送り出し国が日本と二国間協定を結んでいることを確認

     

  2. 現地での「日本語能力試験」「技能評価試験」に合格している人材を選定

     

  3. 雇用契約を結んだ上で在留資格認定証明書を取得

     

  4. 入国後は各種支援計画に基づく支援が必要

このルートのメリットは、必要なスキル・資格を持った人材をピンポイントで採用できる点にあります。ただし、

  • 渡航費・ビザ取得支援などの初期費用がかかる

     

  • 現地の送出し機関とのやり取りに時間がかかる

     

  • 入国後に日本社会や職場環境へ適応できるまでの支援が不可欠

といった注意点があります。

国内在留者採用ルート(在留中の移行要件とメリット)

一方、既に日本国内に在留している外国人の中から特定技能として採用する方法もあります。主に以下のような人材が対象です。

  • 元技能実習生(同一分野・職種での就労経験あり)

     

  • 留学生や家族滞在者で、試験合格済の人材

     

  • すでに別の在留資格で滞在しており、特定技能1号に切り替えを希望する人

このルートの大きな利点は、日本語力が比較的高く、日本の生活に慣れているため、職場定着率が高いことです。

企業としてもビザ発給までの時間が短縮でき、すぐに戦力化しやすいのが魅力です。

ただし、

  • 在留資格の切り替えに関する法的要件を満たす必要がある

     

  • 支援計画や受入れ基準を満たしているか確認が必要

     

  • 一部在留資格(例:短期滞在)は切り替え不可

といった確認事項があるため、事前のチェックが不可欠です。

それぞれのルートにかかる手続・コスト比較

比較項目海外採用ルート国内在留者ルート
ビザ取得までの期間約2〜3ヶ月約1〜1.5ヶ月
初期コスト渡航費・ビザ取得代・送出機関手数料最低限の書類費用
日本語力N4〜N5レベルが一般的(個人差あり)N3〜N4レベル以上が多い
職場定着率支援内容により左右される比較的高い傾向
対象となる人材数試験合格者に限定される技能実習経験者・試験合格者など幅広い
実務開始までの早さ比較的時間がかかる比較的早い(即戦力化しやすい)

企業にとっては「人材の質」だけでなく、採用までのスピードとコストのバランスを見極めてルートを選ぶことが重要です。

▷採用戦略に応じてルートを最適化しよう

特定技能人材の採用では、海外ルートか国内ルートかの選択が、その後の業務運用や定着率に大きな影響を与えます。
人材の質・コスト・リードタイム・定着支援体制の全てを総合的に考え、企業の課題に最適なルートを選ぶことが成功への鍵です。
どちらの方法でも、事前の法的確認と社内体制の整備を忘れずに行いましょう。

“国別戦略”で差をつける!企業が狙う理想のパートナー選び

特定技能人材の採用は、単なる人手不足対策ではなく「戦略的人材投資」のフェーズに入っています。

 

国ごとの特性や傾向を把握し、自社に最適な外国人材を採用・定着させることは、企業の競争力に直結します。

 

本セクションでは、採用実績・語学力・定着率・制度の整備状況などから、国別に見る戦略的アプローチのポイントを解説します。

採用人数・日本語力・定着率で見る各国のポテンシャル

各国の外国人材には、それぞれ得意な分野や就労傾向があります。

  • ベトナム – 採用数が最も多く、日本語教育も進んでいる。ただし「転職志向」が高まっており、定着支援が重要。

     

  • インドネシア – 宗教的配慮が必要だが、忠実かつ協調性が高い。介護や製造業での採用実績も増加中。

     

  • フィリピン – 英語力に強みがあり、接客やサービス業との相性が良い。日本語能力は個人差が大きいが明るい性格で定着しやすい。

こうした「人数」だけでなく、文化的背景や言語習熟度、仕事に対する価値観の違いにも注目し、“自社に合う国”を見極めることがカギとなります。

国際経験・協力覚書の有無で見える採用優位性

採用しやすさは「協力覚書(MOC)」の締結状況にも左右されます。協力覚書を結んでいる国は、以下のようなメリットがあります。

  • 日本政府との情報共有体制が確立しており、採用・教育・トラブル対応の体制が明確

     

  • 不正ブローカーの介入が減り、採用プロセスの透明性が確保されている

     

  • 海外試験や送り出し制度が安定しており、採用計画を立てやすい

一方で、協定外の国からでも「国内在留者ルート」での採用は可能なため、「現在日本にいる人材」をうまく活用する戦略も見逃せません。

外国人材の定着支援から文化交流まで、国別カスタマイズ戦略

採用後の定着こそが成功の決め手です。そのためには、国ごとに合わせた“受け入れ後の工夫”が必要です。

  • インドネシア・バングラデシュ等のイスラム圏人材には、礼拝スペースの提供やハラル食対応が重要

     

  • ベトナム・中国系人材は、LINEなどのSNSを活用した日常コミュニケーションが効果的

     

  • フィリピン人材には、感情表現の強さや家族とのつながりを尊重したメンタルサポートが求められる

また、地域の祭り・日本語教室・交流イベントなどを積極的に企画することで、「企業」ではなく「地域社会」に根付かせる取り組みも定着率向上に直結します。

▷国別の特性を知ることで採用戦略は“変わる”

特定技能の採用成功は、「誰を何人採るか」ではなく、「どこの国からどうやって採り、どう支えるか」という戦略設計にかかっています。
国ごとの文化的背景・制度の整備状況・人材の特性を理解し、自社に最適なパートナー国を選定する“国別戦略”こそが、これからの外国人雇用の鍵です。
採用だけでなく、支援・育成・共生の視点も含めて、長期的な人材活用を見据えた取り組みを進めていきましょう。

まとめ|国籍別の特性を知れば、特定技能採用の成果は大きく変わる

特定技能制度は、単に人手不足を補うための手段ではなく、「どの国の人材を、どのように迎え入れるか」によって企業の将来を左右する戦略的選択肢になりつつあります。

 

この記事では、受け入れ可能な国籍の枠組み(二国間協定)から、最新の在留人数データ、文化的特性や雇用時の注意点、さらには採用ルートの違いや企業目線での国別戦略までを幅広く解説しました。

 

特に2025年時点の統計では、ベトナム・インドネシア・フィリピンの3カ国が主力である一方で、ミャンマーやネパール、カンボジアといった国々も着実に台頭しています。

 

各国の人材背景、日本語力、文化的特徴を踏まえたうえで、企業ごとの現場ニーズに合った採用設計を行うことが求められます。

 

また、「国外採用」と「国内在留者の移行」では、コストやスピード感、支援体制にも差があるため、自社の状況に応じた柔軟な採用ルート選択も重要なポイントです。

 

外国人材の採用は“国籍ごとの違いを知ること”から始まります。

 

国別の採用戦略をしっかりと構築し、トラブルを防ぎながら、長期的な雇用関係を築いていくことが、企業と外国人材の双方にとって最良の結果をもたらすでしょう。

 

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