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10/03 (金)更新

特定技能でベトナム人材を受け入れるには?制度・手続き・注意点をまるっと解説

近年、日本の人手不足を補う手段として注目を集めているのが「特定技能制度」です。

 

中でもベトナム人材の存在感は群を抜いており、技能実習から特定技能へと移行するケースも増加しています。

 

介護・外食・建設などの分野では、すでに多くのベトナム人が現場で活躍しており、その働きぶりや定着率の高さから、企業側の評価も上々です。

 

しかし、特定技能人材の受け入れにあたっては、送り出し機関の仕組み、試験制度、文化的な配慮、そして日本語教育の実態など、多くの点で理解と準備が求められます。

 

特にベトナムは政府間協定を通じて送り出し体制を整備している一方で、違法ブローカーの存在や、現地での教育格差といった課題も無視できません

 

この記事では、ベトナム人の特定技能人材に特化して、受け入れの現状・制度背景・送り出し機関の仕組み・現場での注意点などをわかりやすく解説。

 

さらに、実際の成功事例や雇用側の声も交えながら、ベトナム人材と長く信頼関係を築くためのヒントをお届けします。

 

自社での特定技能制度の導入やベトナム人材の活用を検討している担当者の方は、ぜひ本記事を参考に、円滑な受け入れと適切な支援体制づくりにお役立てください。

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特定技能制度におけるベトナム人受け入れの現状

特定技能制度がスタートして以来、ベトナムは常に「送り出し国」として上位に位置しています

 

その背景には、若年層の人口構造、技能実習制度との親和性、そして日本との良好な外交関係があります。

 

特に技能実習制度を経験したベトナム人が、スムーズに特定技能へ移行する流れが定着しつつあり、日本国内の受け入れ企業にとっても即戦力として注目されています。

 

このセクションでは、なぜベトナムが送り出し国として主流なのか、技能実習からの移行状況、さらに政府間の協定が果たす役割について詳しく見ていきます。

ベトナムが特定技能において主要な送り出し国である理由

ベトナムが日本の特定技能制度における主要な送り出し国となっている理由は複合的です。

まず、若くて労働意欲のある人口が多いという人口動態上の特長があります。

ベトナムは人口の半数以上が30歳未満で構成されており、安定した雇用と海外での就業経験を求める若者が多数存在します。

次に、日本での技能実習制度の受け入れ実績が豊富であることも重要です。

技能実習生として日本に渡航するベトナム人は毎年高水準で推移しており、言語や文化に一定の理解がある人材が多い点も、企業側の安心材料となっています。

さらに、日本とベトナムは経済的にも密接な関係にあり、教育・研修・労働において様々な官民連携の取り組みが進んでいます。

日本語教育を行う専門学校や送り出し機関の制度整備が比較的進んでいる点も、他国と比較した際の優位性といえるでしょう。

技能実習から特定技能への移行状況と特徴

ベトナム人労働者の中でも特に注目されているのが、技能実習から特定技能への移行組です。

技能実習を終えた人材は、実務経験と日本での生活経験を持つ即戦力として評価されています。

とくに、試験免除の特例(3年間の技能実習を修了していれば、特定技能1号の試験が不要となる)を利用してスムーズに移行するケースが増えています。

実際、特定技能の在留資格取得者の中で、ベトナム人のうち約9割が技能実習経験者という統計もあり、制度としてもこの移行ルートが前提となりつつあります。

ただし、移行には注意も必要です。

技能実習の分野と特定技能の対象業種が一致している必要があるため、制度上の制約や書類不備が原因で移行できない事例も報告されています。

そのため、企業側としては、技能実習修了者の経歴や実務内容を丁寧に確認し、特定技能で求められるスキル要件との整合性をしっかり見極めることが重要です。

ベトナム政府と日本政府の二国間協定の概要

特定技能制度では、ベトナムと日本の間で2019年に二国間協定(MOC)が締結され、送り出しと受け入れのルールが制度化されています。

この協定では、以下のような目的と取り決めが定められています。

  • 違法な仲介業者の排除 
  • 送り出し機関の登録・認定制度の導入 
  • 申請書類や費用の透明化 
  • 労働者への事前教育と権利保護の強化

この協定により、送り出しプロセスはより公式で透明性の高いものになりました。

特に、政府が認定した「登録送り出し機関」しか人材を送り出せないことが明文化されており、企業が人材を受け入れる際にも、信頼できるルートを利用することが義務付けられています。

また、協定の一環として、日本にいるベトナム人技能実習生や特定技能人材に対する領事館や支援団体のフォロー体制も強化されてきています。

これにより、受け入れ企業とのトラブル発生時にも相談・仲介が可能な仕組みが整えられているのです。

▽ベトナム人材の受け入れは制度理解と適正対応がカギ

特定技能制度において、ベトナムは圧倒的な送り出し国の一つとしての地位を確立しています。
背景には、豊富な若年層・技能実習からのスムーズな移行・政府間協定による制度整備など、多くの要因が重なっています。

企業がベトナム人材を受け入れる際には、移行経路の確認・政府認定の送り出し機関の利用・協定に基づいたルールの順守が欠かせません。
適切な理解と準備をもって取り組むことで、より良い人材の確保と長期的な定着が可能になるでしょう。

ベトナム人の送り出し機関と制度の特徴

特定技能でベトナム人材を受け入れる際、最も重要なポイントの一つが送り出し機関の仕組みと選定方法です。

 

ベトナムでは政府により認定された送り出し機関しか海外就労を取り扱えず、ここでの選択ミスが不正仲介やトラブルを招く可能性もあります。

 

また、違法ブローカーによる搾取が社会問題となっているため、制度や認定の背景を正しく理解することが不可欠です。

 

このセクションでは、登録制度の仕組みから注意点まで、企業が知っておくべき情報を詳しく解説します。

登録送り出し機関の認定制度と一覧

ベトナムでは、労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)が特定技能人材の海外派遣を認可する送り出し機関を登録・管理しています。

この制度は、海外での不法就労やブローカー被害を防ぐために設けられたもので、登録された機関のみが合法的に人材を派遣できます。

認定された送り出し機関は、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 一定数以上の技能実習生の派遣実績 
  • 国際労働契約に関する適正な管理体制 
  • 日本語教育や生活指導体制の整備 
  • 政府への定期報告義務の履行

ベトナム政府は、認定機関のリストを公式サイト等で公表していますが、更新頻度や公開形式が分かりにくい点もあるため、最新情報は在ベトナム日本国大使館や信頼できる送り出し団体に確認することが推奨されます。

違法ブローカー問題と政府対応の経緯

ベトナムの海外就労市場では、かねてより無登録の仲介業者(違法ブローカー)による搾取的な手数料請求や虚偽説明が大きな問題となってきました。

こうした業者は、認可を受けていないにもかかわらず個人で求人斡旋を行い、渡航費や試験費用の名目で高額な費用を請求。

結果的に、借金を抱えた状態で来日するベトナム人材が多発していました。

この問題に対してベトナム政府は、以下のような対策を講じています。

  • 認定外業者の摘発強化 
  • 不正仲介通報窓口の整備 
  • 正規機関の利用促進キャンペーン 
  • 日越間の情報連携によるブローカー追跡強化

それでも現場では、表向きは認可機関でも実態はブローカー任せといったケースも存在するため、企業側も書面だけでなく実態確認を行う視点が求められます。

正規ルートでの申請と注意点

ベトナム人材を正規のルートで受け入れるには、まず日本の受け入れ機関が「登録支援機関」またはそれに準ずる体制を有し、送り出し側と二国間協定に基づく手順で契約を結ぶ必要があります。

正規ルートの申請手順は以下の流れです。

  1. ベトナム側の登録送り出し機関と連携 
  2. 雇用契約の内容確認(ベトナム語訳付き) 
  3. 在ベトナム日本国大使館または領事館を通じて契約書をベトナム政府へ提出 
  4. MOLISAが契約内容を審査し、許可証を発行 
  5. 人材が技能測定試験および日本語試験に合格後、在留資格申請へ

この際の注意点としては、日本企業が個人単位で直接雇用契約を結ぶのは原則NGであり、必ず認可されたルートを通さなければなりません。

また、雇用条件・支援計画・福利厚生の詳細な開示が求められるため、書類作成に慣れていない企業は行政書士や支援機関と連携することが望ましいです。

正規ルートと信頼構築がベトナム人材受け入れの鍵

特定技能におけるベトナム人材受け入れでは、送り出し機関の適正選定と制度理解が最重要ポイントです。
登録機関の制度が整備されていても、表面上の認定に頼るだけでは不十分であり、実態を見極める姿勢が企業にも求められます。

また、違法ブローカーの排除に向けて、政府間の協力は進んでいるものの、実務レベルではまだ課題が残るのが現状です。
正規ルートを通じた申請の徹底と、誠実な雇用姿勢こそが、ベトナム人材からの信頼を得る第一歩です。

このように制度の正しい理解と実務への適用を進めることで、長期的に安定した外国人雇用の実現が可能になるでしょう。

特定技能の分野別に見るベトナム人労働者の活躍状況

ベトナムは、特定技能制度における最多の在留資格取得者数を誇る国の一つです。

 

特に人手不足が深刻な分野においては、ベトナム人材の活躍が企業運営の要となっており、制度開始から数年が経過した今、各分野での傾向と評価がより明確になってきました。

 

ここでは、どの分野で多くのベトナム人が働いているのか、どのような試験状況や日本語要件があるのか、雇用側からの評価はどうかといった実態を詳しく見ていきます。

介護・外食・建設など主要分野での就労傾向

特定技能制度には12の対象分野がありますが、ベトナム人が特に多く活躍しているのは以下のような労働集約型かつ人手不足が深刻な分野です。

  • 介護分野 – 高齢化が進む中、外国人材に頼るニーズが高く、ベトナム人は介護技能実習から特定技能への移行が進んでいます。
    思いやりや勤勉さが評価されています。 
  • 外食業 – 日本語での接客力が求められる一方で、若いベトナム人が多くチャレンジしている分野です。
    ファストフードやレストランチェーンなどでの採用が目立ちます。 
  • 建設業 – 体力が必要な現場作業に対応できるベトナム人材が多く、技能実習経験者の移行もスムーズです。

その他にも農業、製造、ビルクリーニングなどにおいてもベトナム人の比率は高く、分野を問わず多様な業界での受け入れが進んでいるのが現状です。

分野別の試験合格状況と日本語要件

特定技能への移行に必要な試験には、技能試験と日本語試験の2つがあります。

ベトナムでは、日本国内・国外の両方で試験が実施されており、制度開始当初から積極的に対策講座や模擬試験が行われてきたこともあり、他国に比べて試験合格率が安定しています。

たとえば

  • 介護分野 – 介護技能評価試験に加え、「日本語能力評価試験(JFT-BasicまたはN4相当以上)」の合格が必須です。
    日本語でのコミュニケーションが重要視されるため、語学力のハードルは他分野より高めです。 
  • 外食分野 – 専門的な語彙や接客フレーズを問う試験内容ですが、ベトナム国内でも受験対策が充実しており、多くの合格者が出ています。 
  • 建設分野 – 実技ベースの評価が中心で、言語面よりも技術力が重視されるため、技能実習経験者にとっては移行しやすい試験設計となっています。

分野によって求められる日本語能力のレベルや出題傾向が異なるため、事前の対策と分野選定が重要です。

なお、試験制度の一部は変更が加えられる可能性があるため、常に最新の出題範囲と形式の確認が欠かせません。

ベトナム人材が多い分野における雇用側の評価

実際にベトナム人材を受け入れている企業からは、以下のようなポジティブな評価が多く寄せられています。

  • 真面目で責任感がある 
  • 報告・連絡・相談がきちんとできる 
  • 業務習得スピードが速い 
  • 日本文化や社内ルールに対して柔軟に適応する姿勢がある

とくに、介護や外食など対人業務の多い現場では、「明るくコミュニケーション力がある」との声が多く、現場の雰囲気改善にも貢献していると評価されています。

また、技能実習を経て日本に馴染んだ人材が多いため、定着率も比較的高いのが特徴です。

一方で、「日本語の壁」や「宗教的・文化的配慮」などの課題もありますが、支援体制を整えることで十分に解消可能であるとする企業が増えています。

このように、ベトナム人材は単なる労働力ではなく、現場の一員として信頼できるパートナーとして評価される傾向が強まっています。

ベトナム人材の活躍は特定技能制度の実効性を示す証左

ベトナムの人材は、特定技能制度における中核的存在であり、分野を問わず高い適応力と就業意欲を発揮しています。
試験制度や日本語要件をクリアした上で、多くの現場で実務を担っていることから、制度が本来目指す「即戦力人材の確保」が実現できている好例ともいえるでしょう。

雇用側としては、今後ますます分野特性に応じた支援やキャリア設計の提示が求められるフェーズに入っています。
人材を単なる労働者としてではなく、パートナーとして長期的に活用する視点が、制度の持続可能性と企業の競争力強化につながるはずです。

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ベトナム人特定技能人材を受け入れる企業側の注意点

特定技能制度の普及により、ベトナムをはじめとした外国人材の雇用が日本の多くの現場で一般的になりつつあります。

 

しかし、制度上の条件を満たすだけではなく、実際に受け入れる現場での運用面に目を向けなければ、せっかくの人材が短期間で離職するリスクやトラブル発生の原因にもなり得ます

 

特にベトナムの人材は、文化的背景や宗教観、日本語能力などに独自の特性があり、それらを理解したうえでの企業側の対応が重要です。

 

ここでは、ベトナム人特定技能人材を受け入れるにあたって、企業が留意すべき主なポイントを3つの観点から解説します。

文化・宗教・習慣への配慮とコミュニケーションの工夫

ベトナム人材の受け入れに際しては、まず文化的な違いを理解し、相互尊重の姿勢を持つことが大前提です。

たとえば、以下のような文化的背景を踏まえた対応が求められます。

  • 宗教面の配慮 – ベトナムには仏教徒が多い一方で、少数ながらキリスト教徒やカオダイ教徒などもいます。
    仏教行事や忌避食などに関心を持ち、可能な範囲で柔軟に対応することで信頼を得られます。 
  • 上下関係を重視する文化 – 年上や上司に対して敬意を持つ文化が強く、日本的な“空気を読む”という曖昧な表現には戸惑うことも。具体的な指示と説明が有効です。 
  • 声掛けと定期的な対話 – 仕事の指示だけでなく、「体調はどう?」「困っていることはある?」といった定期的なフォローアップ面談を通じて、心理的なハードルを下げる工夫も効果的です。

また、ベトナム語が話せなくても問題ありません

重要なのは、「わかりやすく、丁寧に伝える姿勢」と、翻訳アプリやピクトグラムなどサポートツールの活用です。

支援計画と生活支援体制の整備ポイント

特定技能外国人を雇用する企業は、受け入れ前に「支援計画」の作成と「生活支援体制」の整備が法的に義務付けられています(登録支援機関に委託も可)

この体制整備は、ベトナム人材が安定して就労・定着するかどうかを大きく左右します。

具体的に押さえておきたい支援体制の整備ポイントは以下のとおりです。

  • 日本での生活に関するオリエンテーション
    電車の乗り方、ゴミの分別、病院の使い方、緊急時の対応など、文化や制度の違いを実感しやすいポイントは丁寧に説明する必要があります。 
  • 住居の手配と契約サポート
    賃貸契約時の保証人問題や多言語対応の不足がハードルになるケースが多いため、事前の物件調整や契約同行などの支援が必要です。 
  • 相談窓口の明確化と対応スピード
    トラブルや悩みがあっても、どこに相談すれば良いかわからない外国人は少なくありません。
    「○○さんに相談すれば大丈夫」という安心感の構築がカギとなります。

支援体制が整っていないと、せっかく採用した人材が生活不安を理由に離職してしまうリスクもあります。「働く前提としての生活」を守ることが、人材定着の第一歩です。

離職・トラブル防止のための事前説明と信頼構築

特定技能の制度は雇用契約に基づく在留資格であり、技能実習と異なり、労働者には転職の自由もあります

つまり、労働環境や待遇に不満があれば、他社への移籍も可能なのです。

そのため、企業としては最初の段階での透明な説明と信頼関係の構築が不可欠です。

重要なのは以下のような事前対応です。

  • 就業条件の丁寧な説明
    給与、残業、休日、福利厚生などの条件については、翻訳書面を使って明文化し、口頭でも説明を徹底することが求められます。 
  • 仕事の内容・範囲の明確化
    「想像と違った」「話が違う」といった認識のズレを防ぐため、職務内容・作業範囲を可能な限り具体的に伝えることが重要です。 
  • 信頼構築の継続的な取り組み
    受け入れ直後だけでなく、定期的な面談や声かけ、社内イベントなどを通じて関係性を深める工夫が有効です。

また、過度な同化や同居強要などは逆効果になり得るため、あくまで自立支援を軸にした「伴走型支援」が理想とされます。

安定した受け入れの鍵は“制度理解”と“人間理解”の両輪

ベトナム人材の受け入れにおいて企業が注意すべき点は、制度的な対応と人間的な配慮の両面にまたがります。
支援計画や就業条件の整備など“制度理解”をベースに、文化や個々の価値観に寄り添う“人間理解”が欠かせません

最初から完璧である必要はありませんが、「わかろうとする姿勢」が伝わること自体が、大きな信頼形成につながります
その信頼こそが、定着率の向上やトラブル防止、ひいては事業の安定運営に寄与することになるのです。

ベトナム国内での特定技能試験と日本語教育の実態

特定技能制度の導入により、外国人労働者の日本での就労機会が広がるなか、ベトナムは送り出し国として特に注目されています

 

技能実習制度からの移行も含め、多くの若者が日本でのキャリアを目指す一方で、その前段階として必要な特定技能評価試験(CBT)や日本語能力試験の受験環境、そして語学教育の実態や費用負担の問題が浮き彫りになっています。

 

本セクションでは、ベトナム国内での試験制度と教育環境の現状を整理し、企業・支援機関が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

CBT試験・日本語能力試験の開催状況と対策支援

ベトナム国内では、特定技能に必要な「技能評価試験(CBT方式)」および「日本語能力試験(JLPT/NAT-TEST)」が定期的に開催されていますが、その実施状況は地域や分野によってばらつきがあります

CBT試験(技能評価試験)について

  • 一部の分野(介護、外食、建設など)はすでにベトナム国内での試験開催が定着。 
  • ハノイやホーチミンなど大都市圏に集中している傾向が強く、地方在住者のアクセスに課題あり 
  • 日本の外郭団体(JAC、JITCO等)が定期的に会場・実施情報を公開し、ベトナム語での案内も整備されつつある。

日本語能力試験(JLPT/NAT)について

  • JLPTは年2回開催、N4〜N5レベルが多く受験される。 
  • NAT-TESTやJFT-Basicなどの代替試験も広まりつつあり、JFT-Basic合格で特定技能の在留資格要件を満たすため、注目されている。

また、対策支援としては、以下のような機関や施策が存在しています。

  • 民間の語学学校による短期集中講座 
  • 日本企業や監理団体と連携した模試・講習 
  • 日本政府支援によるeラーニング導入

特定技能試験の分野別・地域別の開催有無は随時更新されるため、最新の試験日程と申込方法は必ず公式情報で確認する必要があります

日本語教育機関と民間支援団体の取り組み

日本語教育は特定技能制度の成功を左右する重要な要素であり、ベトナム国内では公的機関・私立教育機関・NPO法人などが多様な形で支援を行っています

主要な教育機関の特徴

  • 日系教育事業者が運営する日本語学校
    日本のビジネスマナーや職場文化も同時に教えるカリキュラムが特徴。
    特定技能だけでなく将来的な技能実習・技人国ビザへの展望も視野に入れている。
     
  • 送り出し機関直営の教育センター
    語学教育と職業訓練をパッケージ化した一貫型教育モデル。
    質のバラつきはあるが、
    受入企業との直接連携を意識した運営が多い 
  • 地方政府との協働による訓練校支援
    ホーチミン市やダナンでは、地元大学や職業訓練校と連携し、無償または低額での日本語講座を提供する取り組みも進んでいる

民間団体やNPOの取り組み

  • 「さくら日本語学校」「JICA系教育支援プロジェクト」など、ボランティアベースで教材提供や遠隔学習支援を実施する団体も活発 
  • 日本語教育の質向上を目指すeラーニングツール(例:みんなの日本語デジタル版、JFT-Basic模試アプリ)も普及。

こうした取り組みの多くは、「試験に受かること」を目的とするだけでなく、就業後の定着支援やコミュニケーション能力の育成にも力を入れている点が評価されています

試験・教育費用とその負担構造(誰が払うのか)

特定技能人材を目指すベトナム人にとって、試験や日本語教育の費用は決して軽くありません

そして、それを誰がどこまで負担するかは、大きな問題でもあります。

主な費用項目

  • CBT試験料(1回あたり約100〜150ドル) 
  • JLPT/NAT試験料(約20〜30ドル) 
  • 語学講座(1〜6か月で200〜1,000ドル前後) 
  • テキスト・教材費 
  • 都市部への交通費・宿泊費(地方在住者の場合)

費用の負担構造

  1. 本人が全額負担するケース
    家族の支援や借金によって費用を捻出するケースが多く、出稼ぎ前に多額の負債を背負うリスクも。 
  2. 送り出し機関や教育機関が一部立替え
    後払い型や“現地雇用後の分割返済”モデルもあるが、高額な手数料や中途解約時の違約金が問題化している。 
  3. 受入企業や監理団体が費用を援助
    最近では、人材確保を目的に企業が語学講座費用を支援する動きが拡大しています
    条件付き(来日前提、合格者のみ等)の場合もあるが、制度的には透明性のある支援策として推奨される傾向。

また、日本政府や自治体による補助金・試験対策事業も一部始まっており、将来的には費用負担の軽減が進む可能性があります

ベトナム人材育成の実情を理解した上での連携がカギ

特定技能人材をベトナムから迎えるにあたっては、受け入れ国としての制度整備だけでなく、送り出し国での教育・試験環境を理解する姿勢が不可欠です。

ベトナムでは多くの若者が日本を目指す一方で、地域格差・情報格差・費用負担の壁が存在し、支援の手が届かない層も少なくありません
その実情を把握したうえで、企業や支援機関が適切に連携・サポートを提供することが、質の高いマッチングと人材定着を実現する近道となるでしょう。

ベトナム人材受け入れの成功事例に学ぶ|現場でのリアルな声

ベトナム人の特定技能人材を受け入れた企業の中には、「初めての外国人採用で不安だったが、結果として職場の活性化につながった」といった前向きな声が多く聞かれます。

 

制度や手続きを理解することはもちろん、実際に受け入れてみてどのような工夫や課題があったのかを知ることは、これから採用を検討する企業にとって非常に貴重なヒントとなるでしょう。

 

ここでは、実際にベトナム人材を受け入れて成功した企業のリアルなエピソードを紹介しながら、採用・定着に向けたポイントを掘り下げて解説します。

外国人採用に前向きな中小企業の取り組みとは

特定技能制度が始まった当初から外国人採用に取り組んできたある中小製造業では、「若い人材が集まらない」「定着率が低い」といった慢性的な人手不足の打開策としてベトナム人材の採用に踏み切りました。

初めての採用では、通訳を雇っての面接や社内マニュアルの多言語化を進め、現場には教育担当者を1人専属で配置。

導入当初は文化の違いに戸惑う場面もありましたが、徐々に日本語力が向上し、3年後にはリーダー的なポジションに就く人材も現れました。

この企業のように、単なる労働力としてではなく「一緒に成長する仲間」として迎える姿勢が成功のカギとなっています。

ベトナム人材が定着した理由と職場環境の工夫

人材の定着には、賃金や福利厚生だけでなく、「働きやすさ」「居場所があること」が重要です。

実際の事例では、次のような取り組みが定着につながったと報告されています。

  • ベトナムの祝日に合わせた社内イベントの開催(テト祭りなど) 
  • 月に1回の個別面談によるフォロー体制の構築 
  • 配属先の日本人社員にベトナム文化を伝える社内勉強会の実施

こうした異文化理解を深める社内風土づくりが、ベトナム人材に「長く働きたい」と思わせる要素になっています。

特に、現地出身の先輩社員が後輩の相談役として機能するようになると、自然と定着率も向上する傾向にあります。

文化ギャップを乗り越えたコミュニケーション術

文化や価値観の違いからくるコミュニケーションの行き違いは、外国人材採用でよくある課題です。

しかし、それを乗り越えるための工夫を継続している企業は多く存在します。

たとえばある企業では、以下のような仕組みを導入しています。

  • 朝礼や業務報告をシンプルな日本語に変換して実施 
  • 翻訳アプリや画像マニュアルを活用した業務指示 
  • 毎日の業務終了後に「よくできた点」を共有しモチベーションを維持

褒める文化を意識して取り入れることで、ベトナム人材の自信ややる気につながる場面も多くあります。

また、間違いを指摘する際も、否定的ではなく「次こうすれば大丈夫」という建設的な言い回しにすることで、職場全体の信頼関係が育まれていきます。

▽成功事例から学ぶベトナム人材受け入れのヒント

ベトナム人の特定技能人材を迎える企業が成功している背景には、制度を正しく理解することに加えて、「人としての尊重」と「異文化への敬意」が根底にあります。

採用時からの丁寧なフォロー、社内の教育体制、文化理解を深める取り組みなど、どれも特別なことではありませんが、継続的な実践が鍵です。

これから外国人材を受け入れようと考える企業にとって、これらの事例は非常に参考になるはずです。
「人材確保」の先にある「共に働く喜び」を実感できる環境づくりを目指してみてはいかがでしょうか。

まとめ|ベトナム人材を受け入れる成功のカギ

特定技能制度を通じてベトナム人材を受け入れる際には、ただ制度を知るだけではなく、実務レベルでの準備と配慮が成功を左右します。

 

以下は、本記事で押さえておきたいポイントです。

✅ 主なポイント整理

  • 受け入れの現状把握
    ベトナムが特定技能の主要な送り出し国である理由、技能実習からの流れ、二国間協定の枠組みなどを理解しておくことが重要。 
  • 送り出し機関の選定・制度特徴
    登録送り出し機関を正しく選ぶこと、違法ブローカーのリスクを回避すること、正規ルートを通じた申請手順を踏むことが大切。 
  • 分野別の活躍と試験・語学要件
    介護・外食・建設などでの就業傾向、日本語や技能試験の合格状況を把握し、自社で求めるスキルとの整合性を取る。 
  • 企業側の注意点と支援体制
    文化・宗教・習慣への配慮、日本語教育や生活支援体制の整備、離職防止のための初期説明や信頼関係の構築が不可欠。 
  • 教育・試験環境と費用の実態
    CBT試験や日本語試験のアクセス、教育機関の取り組み、誰がどこまで費用を負担するかを事前に把握しておくこと。 
  • 成功事例から学ぶ“現場の工夫”
    中小企業での採用・定着の工夫、文化ギャップを乗り越えるコミュニケーション術など、実際の運用で成果を出している企業の実践例を参考にすること。

🔑 成功のためのアクションプラン

  1. 社内で制度理解を共有する
    担当者だけでなく、人事や現場リーダーも制度内容・送り出し機関・支援体制を共有しておく。 
  2. 送り出し機関・登録支援機関とのパートナーシップを強める
    信頼できるルートを選び、手続きの透明性を確保。 
  3. 試験・日本語教育の計画を早めに立て、費用負担を明確にする
    ベトナム国内での試験機会や語学教育の有無を確認し、必要なサポートを検討する。 
  4. 生活支援・支援計画の整備
    住居、相談窓口、文化・宗教・習慣への配慮など、働く環境を整えて“定着”を目指す。 
  5. 継続的なフォローとコミュニケーション
    定期的な面談や現場での声かけ、文化交流などを通じて、人材が安心して働き続けられる環境をつくる。

ベトナム人材の受け入れは、適切な制度理解と準備+人間相互の信頼が土台となります。

 

これらを踏まえて対応すれば、特定技能制度がもたらす人材確保のメリットを十分に享受できるはずです。

 

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