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07/25 (金)更新

特定技能から就労ビザへ!変更できる人・できない人の違いとは?

特定技能ビザで日本に在留している外国人の中には、「もっと安定したビザで働きたい」「家族を呼びたい」「将来的には永住を目指したい」といった希望を抱く方も多くいます。

 

そんな中で注目されているのが、特定技能から「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国ビザ)」などの就労ビザへの変更です。

 

しかしこの切り替えは誰でもできるわけではなく、学歴や職務内容、日本語力などの条件が厳格に問われるため、正しい知識と戦略が必要です。

 

さらに、手続きに必要な書類や企業側の支援体制にも注意が求められます。

 

この記事では、特定技能ビザと就労ビザの違い、変更に必要な条件や手続き、許可が出やすいケース、そして企業が取るべきサポート戦略まで、2025年時点の最新情報をもとに徹底解説します。

 

「変更できる人・できない人」の明確な違いを把握し、スムーズなビザ変更を実現するための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

 

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特定技能ビザと就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の違いとは

特定技能ビザから就労ビザ(技人国)へ切り替えを検討する際に、まず押さえておきたいのが「そもそも何が違うのか」という基本的な理解です。

 

どちらも「働けるビザ」であることに違いはありませんが、在留期間の更新条件や永住・家族帯同の可否など、外国人にとって大きな影響を与えるポイントで違いがあります。

 

ここでは「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の制度的な違いを比較しながら、それぞれのメリット・デメリット、そして将来的なキャリアにどのように影響するかを解説します。

そもそも「就労ビザ」とは何か

就労ビザとは、日本で就労が認められる在留資格の総称です。

その中でも「技術・人文知識・国際業務」はホワイトカラー系の職種(例:営業、経理、翻訳、エンジニアなど)に従事する人材に対して発行される在留資格であり、専門的知識や学歴が問われます。

一方で特定技能は、日本の人手不足産業を支えるために設けられた制度で、単純作業や技能実習と近い分野に属する職種が対象となります。

つまり、ビザの前提となる「仕事の種類」や「求められるスキルレベル」に大きな差があるのです。

特定技能ビザとの在留期間や更新要件の違い

在留期間にも大きな違いがあります。

  • 特定技能1号ビザ:最大で5年間までしか在留できず、更新も1年・6か月・4か月ごとと細かく設定されます。原則、在留期間を満了すれば帰国が求められます。 
  • 技術・人文知識・国際業務ビザ:在留期間の上限が設けられておらず、最長5年の更新が可能。継続的に雇用される限り、実質的には無期限の在留が可能です。

また、特定技能は原則「一職場・一業種」固定ですが、就労ビザは職務内容が一致していれば転職も比較的柔軟に認められるという特徴があります。

家族帯同・転職・永住申請における差異

  • 家族帯同
    特定技能1号では家族の帯同は原則不可です。これに対して、技人国ビザでは配偶者・子どもの帯同が可能であり、生活の安定や将来の計画において大きなメリットになります。 
  • 転職の柔軟性
    特定技能は基本的に受け入れ先と職種が限定されており、他業種への転職は不可です。就労ビザは職務内容が一致すれば転職が可能であり、より自由度の高いキャリア形成ができます。 
  • 永住権申請との関係
    特定技能は永住申請の対象として不利であり、就労ビザ(技人国)は長期的な在留実績としてカウントされるケースが多いため、永住を目指す人にとっては明確なアドバンテージがあります。

どちらがキャリア形成に有利か?

将来の展望を考えると、「技術・人文知識・国際業務」ビザの方がキャリア形成に有利です。

  • 専門性のある職種でスキルを積める 
  • 長期在留や家族との生活が可能 
  • 将来的な永住・転職も視野に入れられる

一方で、特定技能は技能実習からの延長や即戦力人材の採用には向いているものの、「期間限定で働くための制度」として位置づけられており、将来的な選択肢は限定的です。

◇就労ビザへの切り替えは“長期戦略”の一歩

特定技能と就労ビザには、在留期間・家族帯同・キャリアの自由度など多くの違いがあります。
特に、長く日本で働きたい・暮らしたいと考えている外国人にとって、「技術・人文知識・国際業務」ビザへの切り替えは重要なステップです。

受け入れる企業側もこの違いを正しく理解し、本人のスキルや業務内容を見極めたうえで適切な支援と管理体制を整えることが不可欠です。
ビザの選択が、本人にも企業にも大きな影響を及ぼすからこそ、制度への理解を深めておきましょう。

関連記事:【初心者向け】特定活動ビザの全貌をわかりやすく解説!46種類一覧付き

 

特定技能ビザから就労ビザに変更できる条件とは

特定技能ビザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)への変更は可能ですが、すべての人が認められるわけではありません。

 

この切り替えには、一定の学歴や専門性、業務内容との適合性など、明確な条件が定められています。

 

本章では、変更の可否を左右するポイントを「学歴・職務内容・日本語力・雇用形態」の4つに分けて、どのような場合に切り替えが可能かを具体的に解説します。

学歴・専門性に関する条件(大学・専門学校卒業等)

技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには、大学や専門学校で学んだ内容と、従事する業務との関連性が求められます。

  • 大学卒業(学士以上) – 専攻内容と職務内容が一致していることが原則。 
  • 専門学校卒業(専門士) – 2年以上の履修が条件。かつ、日本国内の認可校である必要があります。

たとえば、経営学を学んだ人が営業職やマーケティング職に就く場合は比較的通りやすいですが、全く無関係な職種(例:経営学→工場ライン作業)だと許可されにくくなります。

職務内容と「技人国ビザ」の適合性

もうひとつの大きなポイントは、従事する職務が「技人国ビザ」に該当する内容かどうかです。

以下のようなホワイトカラー職種で、専門的知識を必要とするものが対象です。

  • 技術系(システムエンジニア、設計技術者など) 
  • 人文知識系(企画、広報、総務など) 
  • 国際業務系(通訳・翻訳、貿易事務など)

たとえば、飲食店のホールスタッフから「店舗マネジメント職」や「経営企画」に転換する場合、業務内容の棲み分けと説明資料が重要となります。

日本語力や職務経験はどの程度求められる?

技術・人文知識・国際業務ビザ自体には、日本語能力の絶対条件は明記されていません。

ただし、実務上は以下のような要素が審査の加点・信頼性判断材料として扱われます。

  • 日本語能力試験(JLPT)N2以上が望ましい 
  • 職務経験が1〜2年以上あると評価されやすい 
  • ビジネスレベルのコミュニケーション能力があること

現職の評価書や上司の推薦書、実務のスキル一覧などを準備しておくと、より審査がスムーズになります。

転職・同一企業内でのポジション変更で切り替える場合

変更申請は「転職」でも「同一企業内の職種変更」でも可能ですが、それぞれのケースで注意点が異なります。

  • 同一企業内の切り替え – 人事異動により「企画部門」「経理部門」などに配属される場合、業務内容の説明がしやすく、許可されやすい傾向があります。 
  • 転職して切り替える場合 – 転職先の企業が適切な雇用契約を準備し、「技人国ビザに該当する業務内容」であることを証明できれば、切り替えは可能です。

いずれにしても、業務内容の明確化と、企業側の受け入れ体制の整備が重要となります。

◇切り替え成功のカギは「学歴+業務内容の整合性」

特定技能ビザから就労ビザへの変更には、学歴・職務内容・日本語力など、複数の審査要素が絡みます。
特に「専攻分野と業務の一致」「職務内容の専門性」「企業の受け入れ体制」の3つがそろっていれば、許可の可能性は大きく高まります。

外国人本人と受け入れ企業の双方が、ビザの要件を正しく理解し、計画的な準備と情報共有を行うことが、スムーズなビザ変更の第一歩です。

変更申請に必要な書類と申請手続きの流れ

特定技能ビザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)への変更には、慎重な準備と正確な書類提出が求められます。

 

審査のポイントとなるのは、「雇用契約の整合性」「学歴・職歴の証明」「企業体制の信頼性」です。

 

本章では、必要な書類の一覧と手続きの流れを、カテゴリー別の注意点も含めてわかりやすく解説します。

雇用契約書や業務内容を示す資料

まず最も重要なのが、雇用契約書と業務内容説明書です。

就労ビザに該当する職務であることを証明するため、以下のような書類が求められます。

  • 雇用契約書(報酬・就業時間・業務内容などを明記) 
  • 職務内容説明書(業務の具体的な内容とその専門性を記述) 
  • 会社案内・業務フロー図・職場写真などの補足資料

特に、実際の業務が「技術・人文知識・国際業務」ビザの対象であることを立証できなければ、不許可となるケースも多いため要注意です。

学歴・職務経歴を証明する書類

就労ビザの許可には、学歴や職歴が職務と一致しているかどうかが審査対象になります。提出が必要な主な書類は以下の通りです。

  • 卒業証明書(大学・専門学校など)※原本または公的な翻訳付コピー 
  • 成績証明書(可能であれば) 
  • 履歴書または職務経歴書 
  • 過去の就業証明書・在職証明書(あれば)

たとえば、「経済学部卒で経理職に就く」などのように、専攻分野と業務内容が連動していることが大きな判断材料になります。

企業のカテゴリー区分と求められる添付書類

企業が提出する書類は、「カテゴリー1〜4」の区分に応じて異なります
これは、企業の規模や上場有無、納税状況などにより分類され、カテゴリーが高いほど提出書類が少なく、審査も円滑になる傾向にあります。

  • カテゴリー1(上場企業等) – 決算書類不要、基本書類のみ 
  • カテゴリー2(大企業等) – 直近の決算書類などが必要 
  • カテゴリー3(中小企業) – 納税証明書、労働保険関連資料など多め 
  • カテゴリー4(新設法人等) – 信用情報や事業計画書が必要になることも

企業の信頼性が低いと判断されると、どんなに個人の要件が整っていても不許可となる可能性があるため、法人側の準備も重要です。

申請から許可までのスケジュールと注意点

ビザの変更申請は、入国管理局への在留資格変更許可申請を通じて行います。

一般的な流れは次の通りです。

  1. 書類一式の準備(雇用主と外国人双方) 
  2. 最寄りの出入国在留管理局へ提出 
  3. 申請受付→審査(約1〜2か月) 
  4. 結果通知→許可が下り次第、在留カードが更新される

注意点としては、

  • 現在のビザが有効であるうちに申請すること 
  • 審査中も引き続き就労できるが、変更内容によっては制限がある 
  • 不許可の場合の理由を明示してもらい、再申請に備える

また、申請書類に不備があると審査が止まり、結果通知までに3か月以上かかることもあります

◇「条件の証明」と「企業の信頼性」が審査突破のカギ

特定技能から就労ビザへの変更は、単に職種を変える手続きではなく、学歴・経験・雇用契約の整合性を総合的に審査するプロセスです。
そのため、個人の準備だけでなく、企業側の体制整備と正確な書類提出が求められます。

変更を成功させるためには「必要書類の網羅性」「適切な職務説明」「カテゴリーに応じた企業情報」の3点がカギです。
申請前に行政書士などの専門家に相談するのも、有効な手段となるでしょう。

変更申請が認められやすい事例・分野とは

特定技能ビザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)への変更は、原則として職務内容と学歴・専門性がマッチしていることが前提です。

 

とはいえ、実際には業界ごとの傾向や、事例に基づいた判断基準が存在しており、比較的認められやすい業界・転換ルートが見えてきます。

 

本章では、許可されやすい典型例や、移行しやすい分野、補完方法について具体的に解説します。

外食業界・観光業からの転換例

外食業界や観光業で特定技能として就労していた外国人が、同じ企業や関連業務において接客・運営業務を担当するケースでは、変更申請が認められやすい傾向があります。

具体例

  • 特定技能として厨房勤務→店舗マネジメントに移行し「国際業務」ビザへ変更 
  • ホテルの清掃スタッフ→外国人観光客対応を担う部署へ転属し「人文知識」ビザに移行

このように、「単純労働」から「管理・調整・企画・翻訳などの業務」へとステップアップする動きが認められやすい事例です。

製造業・IT業務における高度化人材への移行

製造業であっても、特定技能から以下のように技術ビザに近い職種へと移行するパターンでは審査が通りやすくなります。

  • 製造ラインでの作業経験+機械工学の学位 → 生産技術やCADオペレータ業務へ 
  • ITサポート要員として就労+情報系の専門学校卒 → システムエンジニア、開発補助職への移行

重要なのは、単なる「現場作業者」から、技術的な知識や論理的判断が求められる業務に関与しているかどうかです。

技能実習・特定技能からのキャリアアップ成功事例

もともと技能実習生として来日し、その後特定技能ビザに切り替えた外国人が、数年の就労経験を経てキャリアアップとして就労ビザへ変更するケースも増えています。

成功事例

  • 実習生→特定技能(介護)→介護福祉士取得後に介護ビザへ 
  • 実習生→特定技能(建設)→建築系専門学校卒業+施工管理補助で技術ビザへ

このように、実務と資格の両輪で成長した場合には、申請が通る可能性が高まります

「実務研修」で補完できるケースも

学歴がやや不足している場合でも、企業内で実施される「実務研修」や、資格取得支援制度が評価され、就労ビザへつながる例もあります。

たとえば

  • 職務に関連する研修を受講し、内容・時間数が記録されている 
  • 業界団体の民間資格や、日本語教育研修を受けている

これらは「職務の専門性を補完する材料」として、申請時のアピール要素になります。申請書類の添付で、研修計画や実施証明書を提出することが推奨されます。

◇現場経験+知識の積み重ねが申請成功のカギ

特定技能からの就労ビザ変更は、「業種の壁」を乗り越えるというよりも、「業務内容の深化・高度化」を実証できるかどうかがカギです。
外食・観光・製造・ITなどの分野では、すでに数多くの成功事例が生まれており、実務経験と職務内容の整合性が取れていれば変更は十分可能です。

企業としては、早い段階から研修制度やキャリアパスを用意しておくことで、申請成功の確率を高められます。
外国人本人のやる気と企業のサポートが合致すれば、「特定技能」は単なる短期労働者ではなく、戦力となる中長期雇用の第一歩になるでしょう。

 

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変更後の注意点|随時届出・労務管理・雇用形態

特定技能から就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)へ変更できたからといって、それで終わりではありません。

 

むしろ変更後こそ、企業と本人の双方に労務管理や届出義務、適正な雇用運用が求められます。

 

本章では、見落としがちな変更後の注意点を整理し、トラブルを未然に防ぐためのポイントを解説します。

特定技能の随時届出は忘れずに

特定技能から別の在留資格に変更した場合、元の受入れ機関(雇用元企業)は「随時届出」を出入国在留管理庁に提出する義務があります。

  • 対象 – 在留資格変更をもって、特定技能としての雇用契約が終了した場合 
  • 提出先 – 地域の入管(出入国在留管理局) 
  • 提出期限 – 変更日から14日以内

この手続きが遅れると、企業側に指導や改善命令が出される可能性があるため、必ず速やかに行いましょう。

雇用条件の整合性(職務内容の逸脱に注意)

ビザ変更後の「就労内容」が、申請時に提出した書類と実際に異なる場合、在留資格取消のリスクがあります。

特に注意すべき点は以下の通りです。

  • 職務内容の逸脱(例:システムエンジニアとして申請したのに事務作業が主) 
  • 勤務地・部署の変更が頻繁にある 
  • 副業や別部門での作業に従事している

これらはすべて、「虚偽申請」とみなされる可能性があるため、入管の審査で認められた職務内容と実態を一致させることが必須です。

変更後も転職・更新が難しくなるケースとは?

「就労ビザ=安定」ではありません。変更後の在留資格も、更新や転職時に厳格な審査があります。

  • 業務内容の専門性が認められない 
  • 企業の経営状況が悪化している 
  • 本人の勤怠状況や日本語能力が著しく不十分

このような場合、ビザ更新が不許可になったり、転職後に在留資格変更が認められないケースもあります

企業としては、変更後も日本語学習支援や職場定着のサポートを継続する姿勢が重要です。

外国人本人にも丁寧な説明と管理が必要

就労ビザに変更したからといって、本人が制度や手続きの全容を理解しているとは限りません。

以下のような点は、企業が適切に説明・記録しておく必要があります。

  • 今後の在留資格更新に必要な書類やスケジュール 
  • 届出や報告義務の内容(入管・市区町村など) 
  • 労働条件や福利厚生制度の変更点

特に、転職希望や家庭の事情でビザの見直しが必要になったときに備えて、相談しやすい環境作りが大切です。

◇変更後こそ「適正運用」が企業の責任に

特定技能から就労ビザへの変更は、外国人にとっても企業にとっても新たなステージの始まりです。
しかしその後の雇用管理、労務トラブル防止、届出義務の遂行ができていなければ、在留資格取消や更新不許可のリスクが高まります。

企業としては、以下の3点を徹底することが求められます。

  • 随時届出などの手続きの履行 
  • 職務内容の明確化と逸脱防止 
  • 外国人との継続的なコミュニケーションと支援体制

これらを実践することで、外国人材のキャリアを守りながら、企業としての信頼性・持続性も高めることができるでしょう。

特定技能から就労ビザへの変更でよくある質問

特定技能から技術・人文知識・国際業務(いわゆる「技人国」)ビザへの変更を検討する際、企業・本人ともに多くの疑問を抱えるのが現実です。

 

制度上の誤解や、申請中の対応、万が一の不許可時の行動方針など、押さえておきたいポイントは少なくありません。

 

ここでは、現場でよくある質問とその解説をQ&A形式で紹介します。

Q. 特定技能は就労ビザではないの?

  1. 広義には「就労可能な在留資格」ですが、「技人国」とは区別されます。

「就労ビザ」という言葉は制度上の正式名称ではなく、働くことが可能な在留資格の総称です。

その中で「特定技能」は、特定14分野に限定して就労が認められる在留資格であり、単純労働に近い業務でも就業できるのが特徴です。

一方、「技術・人文知識・国際業務」は、大卒・専門卒レベルの知識やスキルを活かすホワイトカラー系の職種に限定されています。

つまり、働けるという点ではどちらも就労資格ですが、役割や条件は明確に異なるという認識が必要です。

Q. 技人国ビザへの変更に失敗する理由とは?

  1. 多くの場合、「職務内容が非該当」「学歴や経験が足りない」ことが原因です。

ビザ変更で不許可となる典型的なパターンには、以下のようなものがあります。

  • 実際の業務が「単純労働」に近く、技人国の職務要件に当てはまらない 
  • 本人の学歴や職務経歴が審査基準に達していない 
  • 雇用契約書の内容と実際の業務が一致していない 
  • 企業の規模や経営状況が安定していない

こうした点は、申請前に必ず行政書士や専門家に確認しておくことが成功のカギです。

Q. 変更申請中も働き続けられる?

  1. 「就労継続可能な在留資格」がある場合は、変更許可が出るまで働き続けることが可能です。

例えば、特定技能ビザがまだ有効期限内で、現在の契約内容と業務内容に変更がない場合、そのまま就業を続けながら変更結果を待つことができます。

ただし、もし業務内容がすでに「技人国」用に変わっている場合は注意が必要です。

変更許可が出る前に業務内容が逸脱していると、違反扱いになるおそれもあるため、実際の業務はあくまで現在のビザに合った内容で運用することが重要です。

Q. 不許可になった場合の対応策はある?

  1. 再申請・理由書の提出・在留期限の延長など、状況に応じた対応が可能です。

不許可となった場合はまず、出入国在留管理局で不許可理由の開示を受けることが最優先です。
そのうえで、次のような対応策があります。

  • 不備書類の修正・追加による再申請 
  • 企業側の支援体制や職務内容の見直し 
  • 在留期限が迫っている場合、「短期滞在」や「特定活動」への切り替え申請

また、本人だけで悩まず、専門家や登録支援機関と連携することで適切な対応がしやすくなります。

◇「よくある誤解」と「制度の本質」を理解することが第一歩

特定技能から就労ビザへの変更を目指す際には、手続き以上に“制度の理解”と“実態との整合性”が問われます。
誤解しがちな制度区分や、申請中の注意点、不許可時のリカバリーなどを正しく把握しておくことで、不要なトラブルや不安を回避することが可能です。

企業側にとっても、外国人材の将来設計に寄り添う姿勢が信頼構築につながります。
ひとつひとつの不安や疑問に丁寧に向き合いながら、確実なビザ変更と安定した雇用を目指しましょう。

企業が特定技能人材を高度人材として育成する戦略とは

特定技能ビザで採用した外国人材を、単なる労働力としてではなく“将来の戦力”として捉える企業が増えています。

 

とくに人手不足が深刻化する業界では、特定技能人材を「技術・人文知識・国際業務ビザ」へ移行させる取り組みが注目されています。

 

このセクションでは、企業が高度人材として育成していくために意識すべきポイントやメリットを紹介します。

職務内容を整理し「技人国ビザ」要件に近づける方法

就労ビザへの変更を視野に入れた職務設計が、育成の第一歩です。

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、学術的・専門的素養が求められる業務(例:経理・設計・通訳・開発など)に就くことが前提です。

そのため、以下のような職務整理が重要になります。

  • 特定技能で担っている作業と、今後想定される専門業務を明確に分ける 
  • 「単純労働に近い業務」を徐々に削減し、企画・管理・設計業務などにシフトさせる 
  • 就業規則や雇用契約書に、職務内容・ポジション変更の意図と計画を明示しておく

こうした工夫により、変更申請時に「職務適合性」の説明がしやすくなり、許可の可能性を高めることができます。

研修・資格取得・実務支援によるキャリア支援

ビザ変更で求められる条件を満たすには、社内教育とスキルアップの支援が不可欠です。

たとえば:

  • 業務に関連する日本語資格(JLPT N2以上など)の取得支援 
  • 職種別の民間資格や国家資格(例:MOS、基本情報技術者、日商簿記など)の受験補助 
  • OJTや座学研修による専門知識の補完 
  • 上長による定期的な職務評価・目標設定ミーティング

これにより、外国人材は自らのキャリアパスをイメージしやすくなり、長期雇用へのモチベーションも向上します。

外国人の将来設計を企業が支援することのメリット

企業が積極的にキャリア支援を行うことで、次のような利点が得られます。

  • 人材の定着率が高まる(離職防止) 
  • 企業の育成実績が在留資格審査でプラスに評価される可能性がある 
  • ブランディング効果が生まれ、採用面でも有利になる 
  • 文化的・制度的な配慮がなされた企業として、外国人材に「選ばれる存在」となる

また、こうした育成戦略は単に「技人国ビザ変更」の成功だけでなく、中長期的な戦力確保や組織多様性の向上にも直結します。

◇「採用」から「育成」へシフトする時代へ

特定技能人材は、ただの即戦力ではなく、未来の高度人材候補です。
企業が彼らの成長に関心を持ち、職務設計・研修・ビザ戦略を総合的に支援することは、長期的な経営資産の構築に直結します。
今後は、単なる労働者確保ではなく、「外国人材育成企業としての姿勢」が、企業価値に大きな影響を及ぼす時代になるでしょう。

まとめ|「変更できるかどうか」は事前準備と職務設計で決まる

特定技能ビザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)への変更は、条件を満たしていれば十分に可能です

 

特に重要なのは以下の3点です。

  • 学歴・職務内容の適合性 – 専門性があり、単純労働に該当しないこと 
  • 企業の支援体制 – 職務設計や研修、実務経験の蓄積 
  • 丁寧な書類作成と申請計画 – 在留資格ごとのルールに沿った対応が必要

また、変更後も在留資格の随時届出や職務内容の管理など企業側の責任も拡大します

 

だからこそ、単にビザの切り替えを目指すのではなく、中長期的なキャリア育成と定着支援を見据えた取り組みが求められます。

 

「変更できる人・できない人」その違いを分けるのは、準備と支援の差です。

 

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