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05/30 (金)更新

特定技能「介護」は5年後どうなる?在留資格の選択肢と現実的な進路とは

特定技能「介護」で日本に就労している外国人にとって、「5年後はどうなるのか?」という疑問は避けて通れないテーマです。

 

特定技能1号の在留期間は最長5年と定められており、その先の進路については

 

「帰国しなければならないのか」

 

「別の在留資格に移行できるのか」

 

といった不安を抱えている方も多いはずです。

 

結論から言えば、5年後の進路には複数の選択肢があります。

 

 たとえば、在留資格「介護」への変更、介護福祉士の資格取得、特定技能2号への移行(将来の制度改正含む)、さらには配偶者ビザなどの別在留資格への切り替えなどが挙げられます。

 

本記事では、特定技能「介護」の5年後に起こりうる進路の選択肢と、それぞれの条件・現実的な可能性・支援制度の活用法までを網羅的に解説します。

 

 将来的に長く日本で働き続けたい方、介護業界に定着を目指す方は、「今から何を準備すべきか」の参考にぜひご活用ください。

5年後に帰国するケースとその理由

特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人が日本で働ける期間は、原則として最長5年間と法律で定められています。

 

そのため、「5年が過ぎたら必ず帰国しなければならないのか?」という疑問は、制度の本質に関わる重要な問題です。

 

実際には、他の在留資格に移行することができない、もしくはしない場合、多くの人が5年の在留期間満了とともに帰国するという選択を取っています。

 

このセクションでは、帰国に至る一般的な流れ、主な理由、そして将来的に再来日を目指すための注意点について詳しく解説します。

在留期間満了による帰国の流れ

特定技能1号の在留期間は「1年、6か月、4か月ごとに更新可能」で、通算5年間が上限です。

 この5年間が経過すると、原則としてそのままの資格では在留を継続できません

【帰国までの流れ(一般的なパターン)】

  1. 最終更新分の在留期間が終了

     

  2. 受け入れ機関または本人が更新手続き不可と認識

     

  3. 帰国準備を開始(数週間〜1か月前から)

     

  4. 雇用契約終了 → 帰国費用は原則企業負担

     

  5. 在留カード返納 → 出国

特定技能制度では、5年が経過した時点で自動的に「在留不許可」になるわけではありませんが、更新が認められないため、実質的に帰国せざるを得ないケースがほとんどです。

帰国する主な理由と背景(就労制限・更新不可)

5年後に帰国する主な理由は、大きく以下の3つに分類されます。

① 特定技能1号は「期間限定の制度」であるため

  • 特定技能1号は「一時的な人材確保」を目的とした制度

     

  • 在留期間の上限が制度設計上明確に定められており、原則として延長不可

② 特定技能2号が介護分野に存在しないため

  • 現時点(2024年時点)で、介護分野は特定技能2号の対象外

     

  • 建設や製造などの業種では移行可能だが、介護は対象外のため自動継続ができない

③ 他の在留資格に切り替える条件を満たしていないため

  • 介護福祉士の資格を取得していない

     

  • 日本語能力が不十分

     

  • 結婚や企業内異動などの条件がない

これらの理由により、更新の道が閉ざされ、帰国という選択をせざるを得ない現実があります。

再来日を目指す場合のルートや注意点

「帰国後、また日本で働きたい」と考える方も多いですが、再来日には一定の条件と手続きが必要です。

【再来日の主な方法】

  • 介護福祉士の資格を取得し、「在留資格・介護」で再来日する

     

  • 他の特定技能分野(特定技能2号対象)に技能を活かして申請する

     

  • 日本人との結婚などにより配偶者ビザを取得する

【注意点】

  • 一度帰国した後、すぐに再入国できるとは限らない

     

  • 在留資格の要件を一から満たす必要がある

     

  • 前回の在留状況(就労態度、ルール順守)が再審査に影響する場合がある

たとえば、帰国後に母国で介護福祉士の国家資格相当を取得し、再び「介護ビザ」で来日するパターンは、制度的に認められています。
また、今後制度改正があれば、介護分野が特定技能2号の対象となる可能性もあるため、日本政府の動向に注目しておくことも大切です。

▷5年後に帰国するケースも「次のステップ」を見据えることが重要

特定技能「介護」で働く外国人の多くが、5年後に制度上の制限によって帰国する現実を迎えます。
しかし、これで終わりではありません。
スキルや経験を積んで再来日を目指す、あるいは新たな在留資格を取得して帰国を回避する道も存在します。

  • 特定技能1号は5年で満了する制度である

     

  • 介護分野では特定技能2号への移行が現時点でできない

     

  • 他の在留資格や国家資格取得を目指せば継続就労も可能

今のうちから選択肢を理解し、「5年後に備えたキャリア設計」をしておくことが何より大切です。
たとえ帰国を選ぶ場合でも、それは次のステージへの準備期間と捉えましょう。

在留資格「介護」への変更による永続的な就労

特定技能「介護」で働く外国人の多くが直面するのが、「このまま日本で働き続けられるのか」という不安です。

 

特定技能1号では最長5年間しか在留できないため、長期的な就労や定住を希望する方にとっては明確な制限となります。

 

こうした中で注目されているのが、「在留資格『介護』への変更」です。

 

この資格を取得すれば、在留期間に制限がなく、更新すれば半永久的に日本での就労が可能となります。

 

さらに、将来的な永住申請や家族帯同も視野に入るため、日本での安定した生活を築くうえで非常に有利な在留資格です。

 

このセクションでは、在留資格「介護」と特定技能との違い、資格取得の条件、そして移行のための具体的なステップについて詳しく解説します。

在留資格「介護」とは?特定技能との違い

在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を持つ外国人が日本で介護業務を行うための在留資格です。

この資格の特徴は、以下のとおりです。

  • 在留期間に上限がない(更新により長期滞在が可能)

     

  • 在留資格に基づく就労が可能(資格に対応する業務であれば制限なし)

     

  • 家族(配偶者・子)の帯同が認められる

     

  • 永住権や帰化申請の要件にも対応しやすい

一方、特定技能1号「介護」は以下のような制限があります。

  • 在留期間は通算5年まで

     

  • 従事できる業務が限定される(訪問介護不可※2025年より一部解禁予定)

     

  • 家族の帯同不可

     

  • 永住申請には向かない

     

つまり、長く日本で安定して働きたい方には、在留資格「介護」の方が圧倒的に有利だということが分かります。

在留資格「介護」を取得する条件と方法

在留資格「介護」を得るためには、日本の介護福祉士国家資格を取得することが絶対条件です。

そのためには、以下のいずれかのルートを通る必要があります。

【取得のための3つのルート】

介護福祉士養成施設を卒業する(留学生向け)

  • 養成施設(専門学校・大学等)を2年以上通学し、修了試験に合格

     

  • 国家試験の受験免除で登録可能

実務経験ルート(特定技能・技能実習からの移行が主)

  • 介護職種で3年以上の実務経験+実務者研修修了

     

  • 国家試験を受験・合格 → 資格登録 → 在留資格「介護」に変更申請

EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者ルート

  • フィリピン、インドネシア、ベトナム出身者が対象

     

  • 特定の国家枠により受け入れ → 試験合格で資格取得

一般的には、②の実務経験ルートが最も多く利用されており、特定技能や技能実習で来日した方がステップアップする王道となっています。

特定技能から「介護」へ移行するためのステップ

特定技能「介護」から在留資格「介護」へ移行するには、以下のようなステップを踏みます。

【移行の流れ】

  1. 特定技能「介護」として就労を開始(最長5年間)

     

  2. 就労3年+実務者研修の修了(並行受講可)

     

  3. 介護福祉士国家試験を受験・合格

     

  4. 資格登録を行う

     

  5. 在留資格「介護」へ変更申請 → 承認されれば無期限更新が可能に

この流れを実現するためには、在留期間内に介護福祉士の受験資格を得るための準備が必要です。
そのため、特定技能での就労が始まった段階から、実務者研修を並行して受講し、早期に試験合格を目指すのが理想的です。

【注意点】

  • 国家試験は日本語で実施されるため、JLPT(日本語能力試験)N2以上の読解力が推奨

     

  • 実務者研修は通学・通信があり、就労と両立できるプログラムを選ぶことが重要

     

この移行が成功すれば、介護分野での長期安定就労が現実のものとなります。

▷「介護ビザ」への移行で将来が開ける

在留資格「介護」は、日本で安定して長く働きたい外国人介護士にとって最も有力な在留資格です。
特定技能「介護」からのステップアップを視野に入れることで、収入面・雇用安定性・家族帯同・永住資格への道が大きく開けます。

  • 特定技能の5年間を最大限に活用し、実務経験と研修を積む

     

  • 国家資格である介護福祉士の取得を目指す

     

  • 合格後は在留資格「介護」に切り替え、長期就労へ

「将来も日本で働きたい」「家族と一緒に暮らしたい」と考える方にとって、早めの準備と計画的な行動が未来を変える鍵となります。

こちらの記事もどうぞ▶ 今さら聞けない!特定技能介護とは何か?資格条件や仕事内容をやさしく説明

介護福祉士の資格を取得して働き続ける

特定技能「介護」での在留期間は最長5年。

 

「もっと日本で長く働きたい」「キャリアアップして安定した働き方を実現したい」と考える外国人労働者にとって、介護福祉士の資格取得は大きな転機になります。

 

介護福祉士は、日本で唯一の介護分野の国家資格であり、この資格を取得すれば、在留資格「介護」への変更が可能となり、在留期間の制限なく日本で働き続けることができます。

 

さらに、給与や待遇の向上、キャリアアップ、家族の帯同、永住申請の選択肢が広がるなど、多くのメリットがあります。

 

このセクションでは、介護福祉士の資格の概要から、実際の取得方法、取得後の働き方や在留資格の変化まで、具体的に解説します。

介護福祉士とは?国家資格の概要

介護福祉士とは、高齢者や障害者に対する専門的な介護サービスを提供するための国家資格です。

日本国内では介護職の中でもっとも高い専門性を持ち、介護現場の中核を担う存在とされています。

【主な業務内容】

  • 利用者の身体介助(食事、入浴、排泄など)

     

  • 生活支援や日常の相談対応

     

  • 介護記録の作成やケアプランの実施支援

     

  • 初任者・実務者など他スタッフへの指導

【資格の位置づけ】

  • 国家資格(厚生労働省管轄)

     

  • 介護業界での昇進・役職への登用に有利

     

  • 外国人が取得すると「在留資格・介護」に切り替え可能

つまり、介護福祉士は日本の介護業界において“正規職員として長期就労を希望する外国人”にとって最も重要な資格といえます。

資格取得までのステップと条件(実務経験・試験)

外国人が介護福祉士の資格を取得する方法は複数ありますが、特定技能「介護」から目指す場合、最も一般的なのが「実務経験ルート」です。

【実務経験ルートのステップ】

  1. 特定技能や技能実習などで介護職として3年以上の実務経験を積む

     

  2. 実務者研修(450時間)を修了する(同時進行も可能)

     

  3. 毎年1月に行われる介護福祉士国家試験を受験・合格

     

  4. 資格登録を行い、「介護福祉士」として認定される

【受験資格の主な条件】

  • 日本での実務経験3年以上(原則、フルタイム換算)

     

  • 実務者研修の修了が必須(免除なし)

     

  • JLPT(日本語能力試験)N2相当の語学力が望ましい(試験は日本語で実施)

【試験内容】

  • 人間と社会

     

  • 介護の基本

     

  • 医療的ケア

     

  • 発達と老化の理解

     

  • 総合問題 など

試験合格率は約70%前後で、決して簡単ではありませんが、事前準備をしっかり行えば十分に合格が狙えるレベルです。

資格取得後の在留資格・就労状況の変化

介護福祉士の資格を取得すると、「在留資格・介護」への変更申請が可能になります。

この資格の最大の特徴は、在留期間の制限がなくなることです。

【資格取得後の主な変化】

  • 在留資格 – 「特定技能」→「介護」へ変更

     

  • 在留期間 – 最長5年→更新により実質無期限に在留可能

     

  • 家族帯同 – 不可→配偶者や子どもの帯同が可能に

     

  • 雇用条件 – 正社員契約・昇進・役職登用の道が開ける

     

  • 永住申請 – 在留資格「介護」で一定期間(5年)を過ごせば永住権申請も視野に

このように、介護福祉士になることで、外国人としての働き方が“期間限定の労働者”から“日本社会の一員”へと大きく変わるのです。

また、給与面でも資格手当が支給されることが多く、収入アップにも直結します。

「生活基盤を安定させたい」「家族と一緒に暮らしたい」「将来日本で定住したい」という方には、まさに理想的なステップです。

▷資格取得で未来を変える。介護福祉士は“長期就労”への鍵

介護福祉士の資格は、特定技能「介護」で働く外国人が日本で長く、安定して働き続けるための最も現実的かつ確実なルートです。

  • 国家資格を取得することで、在留資格「介護」へ切り替え可能

     

  • 無期限の就労、家族帯同、永住申請など、生活の幅が一気に広がる

     

  • キャリアアップや給与アップにも直結する

5年の在留期限を迎える前に、資格取得に向けた準備(実務者研修・語学学習)を早めに始めておくことが非常に重要です。

「このまま日本で働きたい」「もっと安定した未来を手に入れたい」——その想いを形にする第一歩として、介護福祉士という道を、今から選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

5年後に向けた支援制度の活用法

特定技能「介護」で働く外国人にとって、「5年後にどうするか」は避けて通れないテーマです。

 

在留期間が限られている以上、制度上の制約に備えたキャリア設計や資格取得、在留資格変更の準備が必要になります。

 

そこで注目されるのが、外国人向けの支援制度の活用です。

 

出入国在留管理庁が認可する「登録支援機関」や、自治体・企業が実施するキャリアサポート制度など、外国人が日本で安定して働き続けるための支援体制が整いつつあります。

 

このセクションでは、5年後に向けて活用できる支援制度の種類や内容、そして支援機関と連携することで得られるメリットについて解説します。

外国人支援機関のサポート内容と利用方法

「登録支援機関」とは、特定技能1号の外国人を受け入れる企業が、支援業務を委託できる民間団体や法人のことです。

出入国在留管理庁によって制度化されており、2024年現在、全国で約6,000機関以上が登録されています。

【主な支援内容】

  • 入国・在留手続きのサポート(住居、銀行口座、保険加入など)

     

  • 日本語学習や生活指導

     

  • 職場トラブル・相談対応(通訳サポート含む)

     

  • 介護福祉士取得に向けた情報提供や学習支援

     

  • 在留資格の変更・更新の案内

【利用方法】

  • 特定技能で就労する企業が「支援計画の作成」と「支援業務の実施」を義務付けられている

     

  • 自社で対応できない場合、登録支援機関と契約し、支援業務を委託

     

  • 外国人本人からも相談・連絡可能(多言語対応の機関も多い)

外国語での相談窓口がある機関や、介護福祉士試験対策講座を提供するところも存在しており、進路選択や資格取得に向けた頼れるパートナーとなります。

就労継続支援・キャリア相談などの制度紹介

登録支援機関以外にも、地方自治体やNPO法人、業界団体が運営する外国人向けの就労・キャリア支援制度があります。

【活用できる支援制度の例】

  • ハローワークによる外国人専門窓口(就職・転職相談、日本語学習の情報提供)

     

  • 自治体の多文化共生センター(生活相談、通訳支援、在留資格相談)

     

  • 業界団体(介護福祉士会など)による無料講習会・資格取得講座

     

  • 特定技能外国人のためのキャリアアッププログラム(厚労省事業)

これらの制度を通じて、介護福祉士の受験準備や、日本語学習支援、転職・再就職支援を受けられることもあります。

また、非営利団体が提供する奨学金制度や受験料補助プログラムなどもあり、経済的に厳しい状況でも継続的なキャリア形成が可能です。

支援機関との連携が5年後の選択肢に与える影響

支援機関と早期に連携しておくことは、5年後の進路選択において大きな意味を持ちます。

【主なメリット】

  • 自分に合った資格取得ルートを早期に提案してもらえる

     

  • 日本語能力試験や介護福祉士試験のサポートが受けられる

     

  • 離職時の転職支援や雇用継続のアドバイスが得られる

     

  • 在留資格変更の可否や申請準備に関する指導を受けられる

     

  • 各種補助制度(助成金、奨学金、研修)の紹介が受けられる

一例として、ある登録支援機関では、介護福祉士の国家試験対策を無料で実施し、合格者の9割以上が在留資格「介護」へスムーズに移行しています。

つまり、“制度の知識と支援の活用”が5年後の可能性を広げる鍵になります。

▷支援制度を使えば「5年の壁」は超えられる

特定技能「介護」の在留期間は最大5年という制限がありますが、支援制度を有効に活用すれば、より長く日本で働き続ける道が見えてきます。

  • 登録支援機関は生活・就労・資格取得のあらゆる面をサポートしてくれる存在

     

  • 自治体やNPOが提供するキャリア支援・日本語講座・奨学金制度も活用価値が高い

     

  • 支援機関との早期連携が、将来の進路の選択肢を広げる鍵となる

「支援制度をうまく使える人が、次のステップに進める」
この考えを持って、今からできる準備を一歩ずつ始めていきましょう。

今後、特定技能制度の5年制限が撤廃される可能性は?

現在、特定技能1号で日本に就労している外国人は、最長5年間の在留期間という明確な制限のもとで働いています。

 

「5年を超えて日本で働きたい」「仕事も生活も安定してきたのに帰国しなければならないのか?」という声が現場から多く聞かれるなか、政府による制度見直しの動きや、在留期間の“無期限化”の可能性に注目が集まっています。

 

このセクションでは、制度見直しが進められている背景、介護分野への影響、そして5年制限の撤廃に備えて今できる準備について詳しく解説します。

制度見直しの背景と議論の状況

そもそも、特定技能1号の「5年間」という制限は、外国人労働者を“短期的な即戦力”と位置づけた制度設計によるものです。
しかし近年、以下のような要因により制度見直しの議論が加速しています。

  • 介護・建設・農業など深刻な人手不足が解消されていない

     

  • 受け入れ企業側の声:「定着人材が育っても帰国しなければならないのは非効率」

     

  • 当初想定していた技能実習からの移行人数が伸び悩んでいる

特に2023年〜2024年にかけては、政府の有識者会議や法務省・出入国在留管理庁によって「特定技能制度の恒久化」が話題に上がり、“5年で帰国させるのではなく、中長期的に活用すべき”という方針転換の空気が広がりつつあります。

介護分野への特定技能2号追加の検討状況

2023年には、特定技能2号の対象業種が11分野に拡大されましたが、介護分野は未だ対象外です。
その理由は主に以下のとおりです。

  • 介護分野には既に「介護福祉士」取得による在留資格「介護」が存在

     

  • 国は、技能を高めた人材は資格取得によって定着を図るべきという立場

     

  • 特定技能2号による“代替ルート”を設けると、介護福祉士取得の動機が弱まる懸念

とはいえ、現場からは「資格取得が難しい人にも長期就労の道を」「試験に合格できない=帰国は厳しすぎる」という声が続出しています。
これを受けて、一部の議員や団体からは、介護分野への2号追加、または特定技能1号の延長措置を提案する動きも出始めています。

無期限化に向けて知っておくべきこと

仮に特定技能制度の「5年制限が撤廃」または「実質的に延長可能になる」としても、即座にすべての分野・すべての人に適用されるとは限りません。

そのため、今の段階から準備すべきことは以下の通りです。

① 制度改正に関する最新情報を定期的に確認する

  • 出入国在留管理庁、厚生労働省、法務省の公式サイト

     

  • 自治体や登録支援機関からの通達

② 現行制度でできる対策を同時に進める

  • 介護福祉士の資格取得を目指す(在留資格「介護」へ移行可能)

     

  • 日本語能力を高め、転職や資格試験の選択肢を広げる

     

  • 支援機関と連携して、長期プランを組み立てる

     

③ 法改正の対象とならないケースにも備えておく

  • たとえば、今後制度が緩和されたとしても「試験合格者に限る」「過去に在留違反がない者のみ」などの条件がつく可能性があるため、日々の行動記録や勤怠管理を適正にしておくことも重要です。

▷制度は変わる。そのとき動けるように“今”を整える

特定技能制度の「5年制限」は、今や見直しの議論が進みつつあるトピックです。
特に人手不足の深刻な分野では、制度の恒久化や緩和、特定技能2号の対象拡大が現実味を帯びています。

  • 制度が変わったときに「条件に合わない」とならないよう、今から準備をしておくことが重要

     

  • 資格取得、日本語能力、支援制度の活用など、現行制度でできることを進めながら情報に敏感になる

     

  • 将来の選択肢を広げることが「5年後の不安」を「希望」に変える第一歩

未来は未定ですが、準備をしている人だけが変化をチャンスにできます。
特定技能で働くあなたの“その先”の可能性を、自分の手で広げていきましょう。

実際の5年後はどうなる?経験者の声と現場の実態

制度上では、特定技能「介護」は最長5年間しか日本に滞在できない在留資格とされています。

 

しかし、5年という時間を実際に日本で過ごした技能者たちは、その期限をどう迎え、どのような決断を下しているのでしょうか。

 

また、雇用側にとっても「せっかく育った人材が帰国しなければならない」現実は、採用・教育の観点から大きな課題です。

 

本人の希望と制度の制限、現場のニーズのギャップが浮き彫りになるなか、実際の5年後がどうなるのかを可視化することは、これから来日する人にとって重要な指針になります。

 

このセクションでは、介護現場で5年間働いた外国人技能者の体験談、雇用側の視点、そして本人が選んだ進路と現実のギャップを紹介し、特定技能制度の“今”を伝えます。

介護現場で5年働いた技能者の実例と体験談

「帰国前は、同僚も利用者さんも泣いてくれました。でも、私には資格も家族もいないから、帰るしかありませんでした。」
(フィリピン出身・女性・30歳

特定技能1号で来日し、埼玉県の介護施設で5年間勤務したMさんは、利用者との信頼関係を築きながら、全くの未経験から介護のプロへと成長しました。

しかし、介護福祉士の国家試験には数回挑戦したものの不合格。結果として、在留資格「介護」への移行ができず、5年満了で帰国することになりました。

一方で、別のケースでは――

「4年目から実務者研修を受けて、5年目で国家試験に合格。支援機関がずっとサポートしてくれたおかげです。」
(ベトナム出身・男性・28歳)

このように、早い段階から支援機関と連携し、計画的に準備を進めた人は資格を取得し、日本に残る道を掴んでいます。

差がついたのは、情報・準備・支援環境の3点

つまり「5年後にどうなるか」は、制度だけでなく“本人と周囲の行動次第”でも大きく変わるのです。

雇用側の視点:5年後の継続雇用の可否と課題

「ようやく仕事を任せられるようになった頃に“帰国”が決まるのは、正直つらいですね。」
(介護施設管理者・東京都)

多くの施設では、外国人スタッフを受け入れてから半年〜1年は指導や習慣のすり合わせに時間がかかります。

しかし3年目以降は日本語能力も上がり、利用者対応・記録作業なども問題なく行えるようになる人材も多く、「戦力化された頃に在留期限が来てしまう」というジレンマが生まれています。

【雇用側の課題】

  • 5年ごとに採用・教育コストがリセットされる

     

  • 資格取得支援を行っても試験に落ちる可能性がある

     

  • 配属後の戦力維持が不安定になりやすい

     

  • 慣れた人が突然いなくなると、利用者対応にも支障

こうした背景から、施設側も「資格取得を前提にした育成計画」や「支援機関との連携による継続雇用戦略」を構築する動きが増えています。

中には、介護福祉士試験対策を法人内で実施する施設も登場しており、制度の枠を超えた“育てて残す”取り組みが少しずつ広がりつつあります。

本人が選ぶ進路と現実的な選択肢のギャップ

特定技能で来日した外国人の多くが、当初は「5年間働いたら帰国」という前提で来日します。

しかし、現場での経験を重ねる中で、次のような気持ちの変化が起こるケースが少なくありません。

  • 「日本の生活に慣れてきて、帰りたくなくなった」

     

  • 「家族を日本に呼びたいと思った」

     

  • 「母国よりも日本の方が仕事も給料も安定している」

このように、気持ちは“残りたい”方向に傾いていくにもかかわらず、現実には以下のようなギャップが立ちはだかります。

【主なギャップ】

  • 資格取得に必要な語学力や学習時間の確保が難しい

     

  • 支援が不十分な職場だと、どこに相談すればよいかすらわからない

     

  • 在留資格変更の制度が複雑で、個人では手続きが困難

     

  • 雇用先が移行に協力的でない場合、更新の道が断たれる

制度は用意されていても、情報・支援・本人の準備の不足が“5年で帰るしかない”という現実を生んでいるのです。

▷5年後は、準備と支援で“変えられる未来”になる

制度上、特定技能「介護」は5年で一区切りですが、実際の5年後は一人ひとり全く異なる結末を迎えています。

  • 準備をして資格を取った人は、日本に残りキャリアを積む

     

  • 何も知らず支援もなく過ごした人は、帰国を余儀なくされる

     

  • 雇用主と連携し、支援制度を活用した人ほど残れる可能性が高い

5年後に「どうなるか」ではなく、「どうしたいかを今から考え、動くこと」が未来を決めます。
情報と支援を味方にすれば、特定技能の5年間は“通過点”に変わります。
あなたの5年後が、望むかたちで訪れるよう、一歩先を見据えた行動を、今から始めましょう。

特定技能「介護」の5年後を見据えて今できる準備

特定技能「介護」で働く外国人にとって、5年間という在留期間は明確な“区切り”です。

 

しかし、制度を正しく理解し、必要な準備を行うことで、その先の進路は大きく広がります。

 

5年後の選択肢には、以下のようなものがあります。

  • 介護福祉士の資格を取得し、「在留資格・介護」に変更する

     

  • 他の在留資格(配偶者ビザ、技術・人文知識・国際業務など)へ切り替える

     

  • 制度改正により、特定技能2号や無期限就労の対象となる可能性に備える

そして、どの道を選ぶとしても共通して大切なのは、以下の3点です。

  1. 早めの情報収集
    → 制度改正や支援制度の最新情報を常にチェックする
  2. 計画的な資格取得の準備
    → 実務経験・研修・試験勉強を5年間の中でどう組み込むかがカギ
  3. 支援機関・雇用主との連携
    → 一人で悩まず、制度に詳しい支援先とつながることが長期就労の第一歩

 

日本で長く働き続けたいと考えるなら、「5年間働いてから考える」では遅く、「5年後に向けて今から準備する」ことが成功への道です。

 

制度は変わるかもしれません。

 

しかし、変化を待つのではなく、自分から動いて選択肢を増やす人が“残れる人”になります。

 

あなたの5年後が、より良い未来に続くために――

 

今できることを、今すぐ始めていきましょう。

 

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