
07/04 (金)更新
外国人の「指定書」とは?特定活動・特定技能での見方や再発行まで徹底解説
外国人材を採用する際に必ず確認しておきたいのが「指定書」です。
これは、外国人の在留資格の活動内容や条件が記載された非常に重要な書類であり、企業側が正しく読み取れていないと、不法就労やビザ違反といった重大なリスクにつながる可能性もあります。
特に「特定活動」や「特定技能」などのビザでは、一人ひとりの在留条件が異なるため、在留カードだけで判断せず、必ず指定書とのセットで確認することが求められます。
この記事では、「指定書とは何か?」という基本から、「どこにあるのか?」「どう見ればいいのか?」、さらには再発行の方法や採用時の注意点までを網羅的に解説します。
加えて、現場の採用担当者からのリアルな声も交え、実務で役立つ視点もお届けします。
外国人採用を検討している企業の方や人事担当者の方にとって、リスクを回避しながら安心して雇用を進めるための一助となれば幸いです。
指定書とは何か?基礎知識と発行の条件
外国人を採用する際、「在留カード」と並んで重要なのが「指定書」です。
この書類には、外国人が日本でどのような活動を行うことが許可されているか、細かい条件が記載されています。
とくに「特定活動」や「特定技能」などの在留資格においては、この指定書の内容こそが、実際にどの業務が許可されているかを見極める判断材料となります。
採用時に誤解が生じないよう、まずは指定書の基礎的な知識を押さえておきましょう。
外国人に「指定書」が発行されるケースとは
「指定書」とは、日本の入管局(出入国在留管理庁)が在留資格の許可時に発行する書類で、主にパスポートにホチキス留めされた状態で交付されます。
これはすべての外国人に発行されるわけではなく、在留資格の中でも活動内容が個別に定められているケース、たとえば「特定活動」「特定技能」「高度専門職」などの条件付きビザで交付されます。
また、企業が外国人を採用する場合、この指定書を確認せずに雇用してしまうと、就労不可の業務に従事させてしまう恐れがあります。
したがって、採用前の段階で必ず確認することが必須です。
「指定書」とは何が書かれている書類なのか
指定書には、主に次のような情報が記載されています。
- 在留資格の名称(例:「特定活動」「特定技能1号」など)
- 就労の可否と具体的な活動内容
- 雇用先企業や所属機関名
- 滞在期間や報酬の支払条件
- 特記事項(例:「報酬を受ける活動を除く」などの就労制限)
このように、在留カードでは確認できない詳細な就労条件が書かれているため、採用時や就業管理において重要な判断材料となります。
「在留資格」ごとに異なる指定書の役割
指定書の内容と役割は、在留資格の種類によって異なります。
- 特定活動(46号や就職活動など) – 就労可否や活動期間が個別に定められており、必ず指定書をチェックする必要があります。
- 特定技能 – 業務区分(例:外食業、建設業など)や受入企業が明記されており、変更があった場合には新たな指定書が交付されます。
- 高度専門職 – ポイント制度に基づく活動内容や報酬条件などが詳細に記載されており、雇用主と業務範囲の確認が重要です。
つまり、「在留カード」と「指定書」はセットで初めて、正しい在留資格の運用が確認できるというのがポイントです。
指定書は外国人雇用の基本資料
外国人材を雇用する際には、在留カードだけでなく「指定書」も必ず確認すべき重要書類です。
指定書は、活動内容や勤務先、就労可否などが個別に記載されており、採用後のトラブル防止に直結する判断材料になります。
とくに「特定活動」「特定技能」「高度専門職」など、柔軟な働き方が可能な在留資格ほど、指定書の内容が複雑になります。
採用の現場では「指定書の見方がわからない」といった声も聞かれますが、基本的な構成と在留資格ごとの特徴を知っておくことで、リスクを避けながら正しく活用することができます。
特定活動ビザにおける「指定書」の位置づけと見方
「特定活動ビザ」を持つ外国人を採用・管理する上で最も重要なのが「指定書」の確認です。
特定活動は、その名のとおり“特定された活動”にしか従事できない在留資格であり、その活動内容は個別の「指定書」に明記されています。
しかし、在留カードにはそこまで詳しく書かれていないため、パスポートに綴じられた「指定書」とのセットでの確認が不可欠です。
ここでは、特定活動46号や就職活動ビザなど、よく採用現場に登場する特定活動ビザと「指定書」の関係について、見方や読み取りポイントを解説します。
特定活動46号や就職活動ビザでの指定書の内容
「特定活動」の中でも代表的な例として、特定活動46号(本邦大学卒業者向け)や就職活動継続のビザ(告示外特定活動)があります。
これらはいずれも「就労可」のステータスを持つ可能性があり、企業としては人材確保の有力な手段となります。
たとえば、特定活動46号の指定書には以下のような情報が記載されています:
- 「本邦の大学を卒業した外国人が、一定の条件のもとで日本国内で就労できる」旨
- 「翻訳・営業・販売・企画などの業務に就労可能」
- 「報酬を受ける活動」として就労が認められているかどうか
一方、就職活動中のビザ(例:卒業後の1年間延長)では「報酬を受ける活動を除く」と明記されていることも多く、アルバイトすらできないケースがあるため、注意が必要です。
「在留カード」と指定書のセットで確認する方法
「特定活動」の在留資格が書かれているからといって、それだけで就労可能と判断してしまうのは危険です。
在留カードには「就労制限の有無」などが簡潔に記されていますが、実際にどんな活動が許されているかの詳細は、必ず「指定書」に記載されています。
確認のステップとしては以下のようになります。
- 在留カードの「資格外活動許可」欄をチェック
- パスポートに綴じられている指定書を見つける
- 指定書の中の「就労可否」や「活動内容」の記載を確認
- 企業名の明記や就労可能期間の確認も忘れずに
このように、両方の書類をセットで確認してはじめて、雇用判断ができるのです。
特定活動の指定書の見本と読み取り方
指定書の見本では、以下のようなフォーマットで記載されています(実例を挙げると理解しやすいです)。
- 活動の種類 – 本邦の大学等を卒業した者であって、一定の業務に従事する活動
- 報酬の有無 – 報酬を受ける活動を行うことができる
- 所属機関名 – 〇〇株式会社
- 有効期限 – 在留期間満了日まで有効
このように、指定書には雇用可能な業務範囲や就労期間の上限、所属企業名まで詳細に記載されていることが多く、内容を読み解くことが重要です。
採用時には、見本と照らし合わせながら読み取りを行うと、記載漏れや違反のリスクを回避できます。
「特定活動 指定書 見方」で混乱しないためのポイント
「特定活動 指定書 見方」というキーワードで検索されるほど、指定書の読み取りには戸惑いや誤解が多いのが現実です。
とくに以下のような混乱が起きやすいポイントを押さえておきましょう。
- 「報酬を受ける活動を除く」=アルバイトも不可。これは就職活動ビザでよく見られる記載。
- 企業名が書かれていない=就労先がまだ決まっていない状態。採用時は追加手続きが必要
- 指定書がない場合=紛失か、そもそも交付されていないケース。再発行の手続きが必要
こうしたポイントを見逃すと、不法就労に該当する恐れもあるため、慎重な確認が必要です。
社内でチェックフローやマニュアルを整備することで、混乱を未然に防げます。
特定活動の「指定書」は採用判断の核心資料
特定活動ビザでの外国人材採用において、「指定書」は在留カード以上に重要なチェックポイントです。
とくに特定活動46号や就職活動ビザなどでは、働ける内容が人によって異なるため、指定書の細かい記載を丁寧に読み解く必要があります。
誤った判断をしないためにも、在留カードと指定書を必ずセットで確認する体制を作り、社内共有のための見本やチェックリストも整備しておくと安心です。
適切な確認を通じて、企業と外国人材の双方にとって安心できる採用プロセスを実現しましょう。
特定技能ビザにおける「指定書」の確認ポイント
外国人材を特定技能ビザで雇用する際、絶対に見落としてはならないのが「指定書」の中身です。
この指定書には、その人がどの業種・業務で就労できるかが明記されており、在留カードの記載だけでは判断できない詳細情報が含まれています。
とくに業務区分の誤解によるトラブルや、ビザ更新時に新しい指定書が発行される場面も多く、採用担当者や現場責任者は正しい確認手順を理解しておくことが求められます。
ここでは、特定技能制度における指定書の読み取り方と、実務で押さえるべきポイントを具体的に解説します。
特定技能の「業務区分」と指定書の対応
特定技能ビザは、「外食業」「介護」「建設」「ビルクリーニング」など12の産業分野ごとに分類された“業務区分”に基づいて発給される在留資格です。
この業務区分は、指定書に明記されており、本人がどの分野で働けるかを示す唯一の公的証拠となります。
たとえば、ある外国人が「特定技能1号・外食業」で在留資格を取得していた場合、調理、接客、清掃などの飲食店業務には従事できますが、食品製造や工場作業などの「飲食料品製造業」には従事できません。
このような業務区分の違いを明確にするため、採用時には指定書に書かれている業種名と、自社の業務内容が一致しているかの照合が不可欠です。
また、指定書の記載は略称や省略語で表記されている場合もあるため、「外食業→E1」、「介護→C1」など制度で定められた区分コードと照らし合わせながら確認することが重要です。
特定技能 指定書はどんな情報を含むか
特定技能の指定書には、就労の可否や業務区分だけでなく、雇用主・就業場所・就労条件などが明記されているケースが一般的です。
主な記載内容には以下の項目が含まれます。
- 業務区分名(例:「外食業」)
- 就労可能な活動内容(例:「飲食店における接客および簡易な調理」など)
- 雇用主の名称および所在地
- 報酬を受ける活動が認められているか否か
- 在留資格の種別(特定技能1号・2号)
- 在留期限の記載
- 雇用契約の内容や所属機関名の明記(場合によっては)
こうした情報をしっかり読み取らないまま採用してしまうと、「業種外労働」や「契約外労働」に該当し、企業側が不法就労助長罪に問われるリスクもあります。
とくに人材紹介会社などを通じて採用する場合は、必ず指定書のコピーをもらい、上記内容の確認を怠らないようにしましょう。
特定技能ビザ更新や業務区分変更時の新しい指定書発行
特定技能ビザの更新や、異なる業務区分への転職を伴う就職変更が発生した場合には、新たな指定書の発行が必要になります。
このときに注意すべきポイントは以下の通りです。
- ビザの更新後に交付される新しい指定書には、新しい業務内容や雇用主情報が反映されている
- 旧指定書に記載された情報は無効となるため、最新の指定書を必ず確認すること
- 業務区分の変更(たとえば「外食業」→「宿泊業」)は、単なる転職ではなく在留資格変更許可申請が必要になる
また、本人が複数回目の更新を行っている場合や、技能実習から特定技能に移行した場合など、途中で内容が変わっている可能性もあるため、古い指定書を鵜呑みにせず、常に最新版の確認が原則です。
企業としては、ビザ更新のタイミングで「前と同じだろう」と思い込まず、在留カードとともに新しい指定書のコピーを提出してもらう仕組みを作ると安全です。
「指定書」はビザ更新や採用判断の必須資料
特定技能ビザにおいて、「指定書」は就労条件や業務範囲を判断する上で絶対に見逃せない資料です。
とくに業務区分が限定されている特定技能では、業種のミスマッチが違法雇用に直結するリスクを含んでいるため、採用時・更新時の確認は必須事項です。
指定書には業種・業務・報酬・所属企業といった重要な情報が細かく記載されており、在留カードとの照合によって初めて正確な雇用判断が可能になります。
今後のビザ更新や業務区分変更に備えて、社内の採用・人事部門が指定書の読み取りに慣れておくことが、安全な外国人雇用の第一歩です。
指定書はどこにある?確認方法と書類の保管場所
外国人を採用する際、「在留カードは見たけど、指定書は確認していない」というケースが意外と多く見られます。
しかし特定活動や特定技能など一部の在留資格では、在留カードだけでは労働内容の詳細を把握できず、「指定書」の確認が必要不可欠です。
この指定書がどこに保管されているのか、どのように確認すべきなのかを理解しておくことで、採用時のトラブルを防ぐことができます。
ここでは、採用現場でよくある疑問に答えながら、指定書の所在と確認のポイントをわかりやすく解説します。
在留カードだけでは足りない?指定書の所在とは
まず大前提として知っておきたいのが、在留カードに記載されている内容は「資格の種別」と「在留期間」などの基本情報に限られ、業務内容や就労先の詳細までは記載されていません。
とくに「特定活動」や「特定技能」などの在留資格は、就労内容に細かい制限が設けられており、その具体的な内容は「指定書」に記載される仕組みです。
つまり、在留カードだけで雇用条件を判断するのは不十分であり、必ず指定書も合わせて確認しなければなりません。
それにもかかわらず、採用担当者の中には「指定書の存在を知らなかった」「確認したことがない」という声もあり、誤った採用につながるリスクが潜んでいます。
指定書はパスポートのどこに綴じられている?
では、肝心の「指定書」はどこにあるのか。多くの場合、入国管理局から発行された「指定書」は、本人のパスポートにホチキス留めで綴じられています。
- パスポートのビザ欄の直後あたりに白黒の文書が綴じられていることが一般的
- A4サイズの書類を折りたたんで、右上または左上をホチキス留めしてある
- 書類の冒頭に「指定書」または「本邦における活動内容等の指定について」と記載されていることが多い
特定活動・特定技能などの在留資格を持つ外国人は、必ずこの書類を携行しており、企業側は採用時にこれをコピーさせてもらい、社内保管しておくことが望ましいです。
なお、本人がパスポートを紛失していたり、指定書を外してしまっている場合もあります。
その際は「再発行の必要があるか」「最新の指定書が発行されているか」を必ず確認してください。
採用前に確認すべき「外国人 指定書」のチェック項目
採用前に「在留カード+指定書」の両方を確認することが前提となりますが、指定書の中でとくに注目すべきチェックポイントは以下の通りです。
- 在留資格と業務区分の記載
→「外食業」「介護」「建設」など、本人が従事できる業種が記載されているかを確認 - 活動内容の具体的な説明
→「報酬を受ける活動を除く」「就労不可」などの制限文言がないか - 雇用先の名称や業務場所の記載
→会社名や所在地が明記されているか(とくに特定活動の場合) - 在留期限の一致
→在留カードと指定書の期限が一致しているかを確認 - 原本の有無と整合性
→コピーではなく、原本を必ず目視で確認し、改ざんや書き換えがされていないかを見る
企業側としては、これらの内容をチェックリスト化し、採用面談時に一緒に確認できる体制を整えておくことがリスク回避に繋がります。
「指定書の所在」は採用トラブルを防ぐ第一歩
「在留カードだけを確認して安心」は、外国人雇用の世界では大きな落とし穴になりかねません。
とくに特定活動や特定技能のビザは、就労範囲が厳格に定められており、実際の業務内容と一致しているかを示す指定書の確認が不可欠です。
指定書はパスポートに綴じられていることが多く、事前に確認してコピーを保管することが、トラブル回避と法令遵守につながります。
外国人採用を円滑に進めるためには、在留カードとセットで指定書の内容にも目を通す「採用フローの定着」が求められます。
企業側がしっかりと理解し、仕組みを整えておくことが、今後の安定した外国人雇用の鍵になるでしょう。
指定書の再発行はできる?手続きと注意点
外国人雇用の現場で、「指定書を紛失した」「どこにあるかわからない」といった相談は意外と多く寄せられます。
指定書は在留資格によっては就労範囲を明記する重要書類であり、採用・在留管理・更新手続きにおいても必要不可欠です。
もし紛失した場合、再発行は可能なのか、どのような手続きが必要かを把握しておくことは、雇用企業にとっても非常に重要です。
ここでは、指定書を紛失した際の対応から、再発行の具体的な流れ、再発行の対象ケースまで詳しく解説します。
指定書の紛失時に取るべき対応とは
指定書を紛失したことに気づいた場合、まず最初に確認すべきは「パスポートの中に綴じられていないか」「他の書類に紛れていないか」です。
特に本人が認識せずに、パスポートと一緒にホチキスで綴じられているケースもあります。
それでも見つからない場合、以下の手順で対応を進めましょう。
- 本人に状況を確認する
→いつ・どこで紛失したか、最後に見た場所などを確認 - 原則は再発行ではなく「閲覧・写し」の交付手続き
→指定書自体の「再発行」は制度上用意されていないが、出入国在留管理庁で内容確認・写し交付の手続きが可能 - 次の在留資格更新の際に、改めて新しい指定書が発行される
→更新時に提出される新しい活動計画等に基づき、新しい指定書が交付されるのが基本的な流れ
再発行手続きに必要な書類と窓口
指定書を失くしてしまった際には、再発行という形ではなく、「閲覧申請」または「在留資格証明書交付申請」などを通じて内容を確認する形が一般的です。
具体的には以下のような手続きをとります。
- 出入国在留管理庁(入管)への相談・申請
→地域の入管(出張所含む)で相談が可能 - 必要な書類例
– 本人の在留カード
– パスポート
– 雇用先との契約書(任意)
– 紛失届や状況説明書(あると望ましい)
また、特定活動や特定技能などで指定書の内容が業務内容に密接に関わる場合、雇用企業側が確認を求める申請(例:閲覧申請)も可能です。
手続きは地域ごとに多少の違いがあるため、該当する地方出入国在留管理局に事前に電話で確認するのが確実です。
「特定技能 指定書 再発行」はどんなケースが対象?
「再発行」という言葉からは、新しい指定書をそのまま再交付してもらえるイメージを持たれがちですが、実際には“単独での再発行”という制度は明確には用意されていません。
しかし、以下のようなケースでは、新しい指定書が発行されることがあります。
- 在留資格の更新時
→期間更新に合わせて新たな活動内容で指定書が交付される - 業務区分の変更があった場合
→たとえば「外食業」から「飲食料品製造業」などに変わる場合は、改めて申請し、新しい指定書が交付 - 所属機関変更(転職など)
→企業変更に伴って在留資格変更手続きが必要になり、その中で新たな指定書が交付される
つまり、本人のステータスや活動内容に変更がある際に、結果的に新しい指定書が交付されることがあり、それが実質的な「再発行」となります。
紛失時は「再発行」よりも「内容確認」が基本対応
指定書の紛失は焦ってしまいがちですが、「再発行」という制度は原則存在しないことをまず知っておくことが大切です。
その代わりに、内容の写しの交付や、在留資格更新時に新しい指定書を取得するという形で対応するのが実務上のルールです。
企業側としては、採用時にコピーを保管する習慣を徹底し、「原本を失くしても内容確認ができる体制」を整えておくことがリスク管理の第一歩です。
特定技能や特定活動の在留資格を扱ううえでは、指定書の扱いにも細心の注意を払うことが、法令順守と安定雇用への近道となるでしょう。
指定書を使った採用時の確認ポイント
外国人を採用する際、在留カードだけを確認して安心していませんか?
実は、特定活動ビザなどでは「指定書」こそが就労可能な範囲を具体的に示す重要な書類です。
指定書には、どんな活動が許可されているか、報酬を得てもよいかどうかなど、企業として絶対に確認すべき情報が細かく記載されています。
本章では、採用時に指定書で確認すべき主なポイントと、「報酬を受ける活動を除く」という文言があった場合の対応策、さらに企業名や職種などの読み取り方についてもわかりやすく解説します。
指定書に書かれた活動内容と就労範囲のチェック
特定活動ビザをはじめとする在留資格では、どのような活動が可能なのかが「指定書」に詳細に記載されています。
この活動内容を読み取らずに採用を進めてしまうと、「許可されていない業務に従事させてしまった」という不法就労のリスクにつながります。
たとえば、指定書に記載されている文言としては以下のようなものが代表例です。
- 「特定の企業での〇〇業務に従事することを許可する」
- 「就職活動を目的とする活動」
- 「報酬を受ける活動を除く」など
企業はこの活動内容が、自社で予定している業務内容と一致しているかを必ず照合し、一致しない場合は採用を見送るか、在留資格変更手続きが必要です。
指定書に「報酬を受ける活動を除く」とある場合の対応
とくに注意したいのが「報酬を受ける活動を除く」という記載があるケースです。
これは、アルバイトを含めた有償の労働が認められていないことを意味します。
この記載がある代表的な在留資格には以下のようなものがあります。
- 特定活動(46号)/就職活動中の外国人
- 短期滞在ビザ
- 留学ビザで資格外活動許可を取っていない場合
こうしたケースでは、たとえ本人が働きたいと希望していても、報酬が発生する就労はできません。
企業側がこの点を見落とすと、不法就労助長罪に問われる恐れがありますので、「報酬の有無」と「指定書の内容」は必ずリンクして確認するようにしましょう。
必要があれば、資格外活動許可の取得を促す、または在留資格の変更を提案するなどの対応が求められます。
在留資格 特定活動 指定書から企業情報を読み取る方法
特定活動46号など、特定の企業に限って活動が許可されているビザでは、指定書に「活動機関(勤務先)」の名称が記載されていることが多いです。
採用時にこの企業名を確認することで、「この外国人がどこで働く許可を得ているのか」が一目でわかります。
以下のような記載形式が見られます。
- 「活動機関名:株式会社○○」
- 「従事する業務:システムエンジニア業務」
- 「活動の場所:東京都○○区○○町○丁目○番地」
自社名と一致していない場合や、他社名が記載されている場合は、その外国人は他の会社での就労しか許可されていない可能性が高いため、注意が必要です。
また、最近ではPDF形式で交付される指定書もあるため、本人のスマートフォンやパソコンにデータとして保管されていることも少なくありません。
採用前には必ずコピーを提出してもらい、社内で確認・保管しておくと安心です。
「指定書チェック」は外国人採用の第一歩
外国人採用の現場において、在留カードだけでなく「指定書」を確認することは、適法な就労管理において不可欠なステップです。
とくに、特定活動や特定技能といったビザでは、指定書の記載内容により就労可能な範囲や企業が限定されている場合があり、確認を怠ると不法就労につながるリスクもあります。
企業としては、採用前に以下を必ずチェックしましょう。
- 活動内容が自社業務と合致しているか
- 報酬を受けられる活動かどうか
- 自社名や所在地が指定書に記載されているか
これらを丁寧に確認することで、トラブルを未然に防ぎ、安定した外国人雇用の第一歩を踏み出すことができます。
よくある質問とトラブル事例
「指定書が見つからない」「指定書って本当に必要?」そんな疑問を持つ採用担当者は少なくありません。
特に特定活動や特定技能などの在留資格では、指定書の有無や内容が、その外国人が適法に働けるかどうかを左右します。
しかし、現場では「指定書が見当たらない」「有効期限が切れていた」といったトラブルが意外と多く、企業側の確認不足が原因で不法就労のリスクを招くケースも。
このセクションでは、よくある質問を例に、指定書にまつわる代表的なトラブルとその対処法を解説します。採用や管理の現場で戸惑わないための実務的なヒントをお伝えします。
指定書が貼られていないことはある?
まずよくある質問として、「指定書が見当たらないけれど、持っていないの?」という疑問があります。
実際、パスポートに指定書が「貼られていない」ケースは存在します。
指定書が貼られない理由としては、以下のようなケースが挙げられます。
- 入国時にパスポートに綴じられず、別紙で渡されたが紛失した
- 在留資格更新の際に、デジタルデータ形式(PDF)で提供された
- 特定技能の一部ケースでは、在留カードへの記載のみで補完されていることも
また、受入企業によっては、本人任せにして確認しないまま就労を開始させてしまい、あとから「指定書がなかった」と問題になることも。
必ず、パスポート・在留カード・PDFなどのあらゆる媒体を確認し、指定書の有無を把握することが重要です。
特定活動 指定書が「ない」ときの対応策
特定活動ビザにおいて指定書がない場合、そのまま雇用を進めるのは極めて危険です。
なぜなら、特定活動の「内容」は在留カードに直接記載されておらず、指定書で初めてその中身(就労の可否や活動機関など)がわかるからです。
指定書がない場合の対応策は以下の通り
- 本人に再確認する
「PDFで受け取っていないか」「別紙で保管していないか」を聞いてみましょう。 - 入管へ直接問い合わせる
本人が指定書を紛失した、またはもらっていないと主張する場合、最寄りの出入国在留管理局に企業側から確認することが可能です。 - 再発行手続きのサポートをする
紛失が確定している場合、本人が再発行申請を行う必要があります。
企業側が代理で行うことはできませんが、サポートする姿勢を見せることでスムーズに解決へ向かいます。
指定書の有効期限や変更時の取り扱い
指定書の記載内容には有効期限のような概念は明示されていませんが、在留資格の期間が変更・更新されると、新しい指定書が発行されます。
そのため、以下のような場合は必ず最新の指定書の内容を確認する必要があります。
- 在留期間更新後の初出勤時
- 転職や業務内容変更後の就労開始時
- 技能実習から特定活動や特定技能への移行時
注意点として、古い指定書を参考に業務を割り振ってしまうと、「以前はOKだったが、今の指定書ではNGになっている」可能性もあります。
特定活動46号などは活動内容が非常に限定されており、転職や企業変更時には新しい指定書が必須です。
最新の指定書を都度取得・確認することが、法的リスクを避ける基本となります。
指定書トラブルは“確認のひと手間”で防げる
指定書に関するトラブルの多くは、「確認不足」が原因です。
とくに特定活動ビザの場合、在留カードだけでは不十分で、指定書が就労の可否を決定づける重要書類となります。
- 指定書が貼られていない場合は、PDFや別紙での提供を確認
- 見つからないときは入管への確認と再発行の支援を
- 在留資格更新後は必ず最新の指定書を確認
このように、採用前・更新後・トラブル時の3つのタイミングで丁寧に確認することで、大きなリスクを未然に防ぐことができます。
今後、外国人採用をより安全かつ円滑に進めるためにも、「指定書の正しい扱い方」を企業として標準化しておくことが求められます。
現場の採用担当に聞いた「指定書チェック」のリアルな悩みと工夫
外国人採用において「指定書」の確認は必須ですが、実務の現場ではその扱いに苦労する声が絶えません。
「これで大丈夫?」「この項目は何を意味しているの?」といった悩みが採用現場に多く見られます。
特に、特定活動や特定技能のように在留カードだけでは判断できないケースでは、指定書の内容が適法就労を見極めるカギとなるからです。
本セクションでは、現場の採用担当者が実際に行っているチェック方法や、社内での運用を円滑にするための工夫を紹介します。
「自分たちの対応は十分か?」と不安に感じている企業の参考になる内容です。
求人面接で指定書をどう確認しているか
採用面接の場では、在留カードの提示を求める企業は多いものの、「指定書もセットで確認していますか?」と問うと、多くの担当者が「忘れていた」「確認の仕方がわからない」と答えます。
実際の現場では、以下のような工夫が行われています。
- 履歴書提出時に「在留カードと指定書の両方を持参」と事前案内
候補者にも説明しておくことで、当日スムーズに確認できる体制を構築。 - 面接時にその場でコピーを取り、上長または社内の法務担当と内容をダブルチェック
採用判断の前に、活動内容や在留期限、企業名の記載有無などを確認します。 - 書類の確認は“採用担当だけ”に任せず、複数人での目視確認を基本とする
1人の判断に頼らず、チームでのチェック体制を敷くことでヒューマンエラーを減らしています。
特に外国籍人材の採用が初めてという企業では、誰がどこまで確認すべきか曖昧になりがちです。そこで次に紹介するチェックリストが有効です。
「見方がわからない」とならないためのチェックリスト
指定書の記載内容は在留資格やビザの種類によって異なりますが、共通して確認すべきポイントは以下のような項目です。
指定書確認チェックリスト(例)
- □ 指定書があるか(PDF/紙/パスポート綴じ)
- □ 在留資格と一致した内容か(例:特定活動46号・特定技能1号など)
- □ 活動内容が「報酬を受ける活動を可」となっているか
- □ 活動機関(雇用企業)の名称が記載されているか
- □ 期限や活動条件に制限がないか
- □ 最新のものであるか(在留資格更新後に古いものを提示していないか)
このようなチェックリストを社内に配布し、採用担当や現場責任者に周知しておくことで、確認漏れを防止できます。
「見方がわからないから確認しない」ではなく、ツールを用いて標準化することがリスク管理の第一歩です。
社内共有のための指定書テンプレート化の工夫
複数人で確認し、採用後の管理にも活用するために、「指定書情報テンプレート」を独自に作成している企業も増えています。
このテンプレートは、採用決定後に担当者が以下のような情報を記入・社内共有するためのものです。
指定書テンプレート記入項目例
- 氏名/国籍
- 在留資格の種類と在留期間
- 指定書発行日/確認者名
- 活動機関名(企業名)/業務内容
- 報酬可否の記載有無
- 特記事項(条件、制限など)
これを人事管理システムやExcel台帳に登録しておけば、更新時期の把握や就労制限違反の防止にも役立ちます。
また、入社後に「社内で外国人スタッフの雇用状況を把握したい」という他部署からの問い合わせにも、迅速に対応できるようになります。
“なんとなく確認”から“見える化された管理”へ
採用現場では、「指定書の存在は知っているが、詳しい見方や運用方法が不明」というケースが少なくありません。
しかし、正確な確認と情報共有を怠ると、知らないうちに違法就労を招いてしまう可能性も。
- 面接時に指定書の提示を求めるフローを構築
- チェックリストやテンプレートで確認項目を標準化
- 社内全体で“指定書を読む文化”を根付かせること
このような工夫を取り入れることで、採用から雇用後の管理まで一貫した適正運用が可能になります。
指定書確認は、外国人採用を“成功”に導く第一歩。
「確認できる人」を増やし、「仕組みで守る」体制を今から築いていきましょう。
指定書を正しく理解し、外国人採用を円滑に
外国人材の受け入れが広がるなかで、「指定書」の理解と運用は企業にとって避けて通れない課題です。
特定活動や特定技能の在留資格においては、在留カード単体では判断しきれない就労可否の条件が、指定書に明確に記載されています。
にもかかわらず、多くの現場では「指定書を見落とす」「内容がわからない」というトラブルが起きがちです。
今回の記事では、指定書に関する基本知識から、特定活動・特定技能ごとの読み方、確認の方法や再発行対応、採用現場での実務的な工夫まで網羅しました。
企業が外国人材を円滑に受け入れるためには、以下の視点が不可欠です。
- 「指定書は就労条件を示す重要な書類である」という認識の共有
- 資格ごとの読み取り方を理解し、間違った採用を防ぐ体制づくり
- チェックリストやテンプレートなどで社内確認フローを明文化する工夫
「知らなかった」では済まされないのが、外国人雇用における法令順守の世界です。
正しく指定書を読み取り、制度を理解したうえでの採用・管理が、企業のリスクを回避し、外国人材との健全な雇用関係を築く鍵となります。
これから外国人の採用を進めたいと考えている企業や、すでに雇用しているが確認に不安がある現場の担当者は、ぜひ本記事を繰り返し読み返し、「指定書を読む力」と「確認する仕組み」を育てていきましょう。
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