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11/21 (金)更新

外国人介護士の給料はいくら?在留資格別・地域別・昇給の実態を徹底解説

近年、介護業界では人手不足が深刻化し、外国人介護士の採用が急速に拡大しています。

特に「特定技能」や「EPA(経済連携協定)」を通じて来日する外国人材は、今や日本の介護現場を支える重要な存在となっています。

しかし、働く上で最も関心が高いのが「給料はどれくらいなのか?」という点です。

一口に「外国人介護士」といっても、在留資格の種類によって給与水準や待遇、昇給制度が大きく異なります。

また、都市部と地方では賃金差があり、施設の種類や夜勤の有無などによっても収入は変動します。

さらに、2025年以降は「同一労働・同一賃金」の原則強化や「処遇改善加算」の拡充により、外国人介護士の待遇も見直されつつあります。

この記事では、在留資格別の給与相場から地域差・手取り額の実際、昇給の仕組み、将来的な課題までを徹底解説

外国人介護士として働きたい方、あるいは受け入れを検討する介護施設の担当者に向けて、「現場のリアルな給与事情」と「今後の展望」をわかりやすく紹介します。

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外国人介護士が働くための在留資格と特徴

外国人が日本の介護現場で働くには、在留資格の種類によって仕事内容や在留期間、給与水準が大きく異なります。

それぞれの資格制度には目的や受け入れ条件があり、企業側が適切に理解しておくことが外国人雇用の第一歩です。

ここでは、主要な4つの在留資格(技能実習・特定技能・EPA・介護)を中心に、その特徴を整理します。

技能実習・特定技能・EPA・介護ビザの違い

技能実習は「人材育成」を目的とした制度で、最長5年間の就労が可能ですが、基本的に転職や職種変更は認められません。

一方、特定技能は即戦力としての就労を目的としており、業務範囲が広く、待遇も日本人と同等以上であることが義務づけられています。

EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者は国家試験合格を目指す制度で、合格すれば「介護ビザ」に移行し長期就労が可能です。

介護ビザは日本国内で資格を取得した外国人が対象で、永住を視野に入れたキャリア形成が可能です。

各在留資格で従事できる業務範囲と在留期間

  • 技能実習:日常生活支援や身体介護の補助が中心で、期間は最大5年。
  • 特定技能:食事介助・排泄介助などの直接介護業務を含み、最長5年(特定技能2号で延長可)。
  • EPA:試験合格で介護福祉士として無期限在留が可能。
  • 介護ビザ:国家資格取得済みの外国人が対象で、長期雇用・転職が自由。

このように、長期的な雇用やキャリア形成を望む場合は「特定技能」または「介護ビザ」への移行が重要といえます。

給与・待遇に影響する資格別ルール(同一労働同一賃金など)

特定技能や介護ビザでは「同一労働同一賃金」が適用され、日本人と同じ仕事をする場合、同等の賃金を支払う義務があります。

一方で、技能実習では制度上、賃金水準がやや低くなる傾向があり、処遇格差を生みにくくするための改善が求められています。

外国人介護士が働く基盤を理解することが採用成功の第一歩

外国人介護士の雇用を成功させるには、在留資格ごとの特徴と制約を正しく理解し、制度に合った雇用体制を整えることが不可欠です。

長期雇用を目指すなら特定技能や介護ビザの取得支援を行い、スキルアップ・資格取得をサポートすることで、外国人が安心して働ける職場環境を構築できるでしょう。

在留資格別に見る外国人介護士の給与相場

在留資格によって給与水準や待遇が異なるのが介護業界の現状です。

ここでは、技能実習・特定技能・EPA・介護ビザの4つの区分ごとに、実際の給与相場や特徴を具体的に見ていきます。

技能実習生の給与目安と設定ポイント

技能実習生の月給はおおよそ17万〜20万円前後が一般的です。

ただし、地域差や勤務形態によって差があり、実習制度の性質上、残業手当や夜勤手当が制限されるケースもあります。

最低賃金を下回らない設定が義務であり、労働基準監督署による監査も行われます。

特定技能介護職の給与相場(月収・年収・初任給)

特定技能介護職の平均月収は20万〜25万円前後、年収では300万〜350万円程度です。

日本人介護士と同等以上の報酬が原則であり、夜勤手当や資格手当などの追加支給もあります。

特定技能2号への移行で在留期間の制限がなくなるため、安定的な長期雇用につながる点が強みです。

EPA介護福祉士候補者・在留資格「介護」の平均給与

EPA候補者の段階では月給18万〜22万円程度が多く、国家試験に合格して介護福祉士になれば25万〜30万円前後まで昇給します。

在留資格「介護」を持つ外国人は正社員登用が一般的で、キャリアアップや昇給制度が整っている職場も増加中です。

日本人介護士との賃金差はある?法的基準を解説

介護分野では「同一労働同一賃金」の原則により、外国人と日本人の間で給与差を設けることは原則禁止です。

ただし、勤続年数・資格・職務内容の違いによって賃金差が生じる場合もあります。

企業は、適正な評価制度と賃金設計を整えることで、外国人介護士のモチベーション維持につながるでしょう。

資格ごとの待遇差を理解し、適正な報酬体系を

在留資格によって給与水準に差が出る背景には、それぞれの在留目的とスキル水準の違いがあります。

採用する側は、単なるコスト要員としてではなく、長期的な戦力として外国人介護士を育成・評価する姿勢が不可欠です。

正しい報酬設定が、結果的に離職防止と職場の安定につながります。

地域別・施設別に見る給与の違い

介護業界では、地域や施設の種類によって給与水準に大きな差が生じています。

特に外国人介護士の場合、勤務地や雇用形態によって生活水準や定着率に直結するため、採用前に実情を把握しておくことが重要です。

ここでは、都市部と地方、施設形態の違いに注目して詳しく見ていきます。

都市部(東京・大阪・愛知など)と地方の賃金格差

都市部では人材確保競争が激しく、平均月収23万〜27万円前後と比較的高水準です。

一方、地方では20万円前後が相場で、生活コストの低さが補填要素となるケースもあります。

ただし、地方では外国人介護士の採用数が増えており、寮の無償提供や通勤支援など非金銭的な待遇改善策が導入される傾向も見られます。

特別養護老人ホーム・デイサービスなど施設形態による給与差

施設形態によっても給与は異なります。

  • 特別養護老人ホーム:夜勤手当が充実しており、年収が高め(330万〜400万円)。
  • デイサービス:日勤中心で残業が少ないため、月給20万〜23万円程度。
  • 訪問介護:移動時間などの拘束が長く、歩合制を導入している場合も。

このように、勤務形態と労働時間のバランスが給与に影響しています。

中小介護施設が採用で苦戦する理由と改善策

中小施設は大手に比べて給与水準がやや低い傾向にあり、採用競争で苦戦しがちです。

しかし、外国人向けの教育体制・生活支援制度を整えることで定着率を高めている事例も増えています。

たとえば、日本語研修費の補助や資格取得支援を提供することで、給与以外の魅力で人材を確保する戦略が有効です。

地域・施設特性を踏まえた柔軟な採用戦略を

地域差・施設差を理解したうえで、給与以外の待遇改善(住環境・教育・キャリア支援)を組み合わせることが重要です。

外国人介護士が「働きやすい」と感じる職場を整備することが、採用難の時代を乗り越える最大のポイントとなります。

手取り額の目安と控除項目の実際

外国人介護士が実際に受け取る「手取り額」は、税金や社会保険料などの控除を差し引いた後の金額です。

見た目の給与と手取り額の差を正しく理解することが、雇用側・労働者双方にとってトラブルを防ぐ鍵となります。

税金・社会保険料・寮費などの主な控除内容

給与からは、主に以下の費用が差し引かれます。

  • 所得税・住民税
  • 健康保険・厚生年金・雇用保険
  • 寮費・光熱費(施設提供の場合)

これらの控除総額は月額2万〜4万円前後となり、手取り額が総支給額の約80〜85%程度になるのが一般的です。

実際の手取り額モデル(月給20万円台の場合)

たとえば月給22万円の場合、以下のようになります。

項目金額(目安)
総支給額220,000円
税金・保険料控除約30,000円
寮費・光熱費控除約10,000円
手取り額約180,000円

地方勤務で寮や食事が提供される場合は、生活コストを抑えつつ貯蓄が可能なケースもあります。

寮・食事提供など福利厚生の実態

多くの介護施設では、外国人向けに住居・食事・Wi-Fi環境などの生活サポートを整えています。

福利厚生の充実度は給与に直接換算できない部分であり、生活の安定=職場への定着率向上につながっています。

「手取り額」で生活の実態を把握しよう

外国人介護士の給与を評価する際は、総支給額ではなく手取り額で比較する視点が大切です。

企業側は、税・社会保険・寮費の説明を多言語で丁寧に行うことで、誤解や不信感を防ぎ、信頼関係を築くことができます。

給与アップにつながる要素とキャリアパス

外国人介護士が日本で安定的に働き続けるためには、給与アップの仕組みやキャリア形成の流れを理解することが不可欠です。

介護業界では、資格取得や勤務年数、夜勤手当などの要素によって収入が大きく変わります。ここでは、実際の昇給要因とキャリアアップの具体的な道筋を見ていきましょう。

夜勤手当・資格手当・シフト手当などの加算制度

介護職の給与を底上げする代表的な要素が、各種手当の加算制度です。

  • 夜勤手当:1回につき5,000〜8,000円前後。月に4〜6回勤務すると、年間20万円以上の差が出ることも。
  • 資格手当:介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士の取得で毎月3,000〜15,000円の加算。
  • シフト手当・通勤手当:変則勤務や遠距離通勤に応じた支給がある施設も増加。

これらを組み合わせることで、年収ベースで30〜50万円の上昇が見込めるケースもあります。

介護福祉士資格取得による昇給・正社員登用の可能性

外国人介護士が昇給・昇格を目指すうえで、介護福祉士資格の取得は最も重要なステップです。

介護福祉士を取得すると、時給換算で50〜100円の昇給が一般的で、月給では2〜3万円の増加が期待できます。

さらに、正社員登用やリーダー職への昇格など、キャリアパスの幅が広がる点も大きな魅力です。

また、特定技能やEPAから「介護」ビザへの変更が認められれば、在留資格の安定と長期就労も実現できます。

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長期勤務による年収推移(1〜5年目のモデルケース)

以下は、外国人介護士の年収モデル例です。

勤続年数目安月収年収モデル主な加算要素
1年目(技能実習)約20万円約240万円基本給+交通費
3年目(特定技能)約23万円約280万円夜勤・資格手当加算
5年目(介護福祉士)約27万円約330万円正社員登用+昇給手当

このように、スキルと資格の積み重ねが収入アップにつながる明確な仕組みが整いつつあります。

キャリア形成が収入と定着を支える鍵

外国人介護士の給与アップは、資格取得・勤務継続・評価制度の活用によって確実に実現可能です。

企業側も、昇給ルールを明確化し、外国人職員が将来を描けるキャリア支援体制を整えることで、離職防止とモチベーション維持につなげられます。

給与トラブルを防ぐために確認すべきポイント

外国人介護士の雇用現場では、言語の壁や制度理解の不足による給与トラブルが少なくありません。

給与や労働条件に関する誤解を防ぐためには、契約内容の明確化とサポート体制が欠かせません。

ここでは、トラブルの予防策を具体的に解説します。

雇用契約書・労働条件通知書のチェック項目

給与に関するトラブルの多くは、契約書内容の不明確さに起因します。確認すべき項目は以下の通りです。

  • 基本給・各種手当・控除項目の明記
  • 昇給・賞与の有無と算出条件
  • 勤務時間・休日・残業の取り扱い
  • 試用期間中の給与条件

これらを多言語で説明し、本人が理解した上で署名することが重要です。

翻訳ミス・説明不足によるトラブル事例

たとえば、「夜勤手当を含む給与」と「夜勤手当が別途支給される給与」を誤解したことで、支給額が想定より低く感じられるトラブルが起きることがあります。

また、説明が口頭中心の場合、通訳者を通じた確認不足が原因で不満が生じやすくなります。文書翻訳と併せて、入社前説明会での理解度確認を徹底しましょう。

トラブル防止のための労務管理・相談窓口

企業側は、労務担当者や外国人支援員を配置し、給与・保険・税金に関する質問を随時受け付ける体制を整えることが理想です。

また、外部機関として以下の相談窓口を活用できます。

  • 外国人労働者相談コーナー(厚生労働省)
  • 外国人在留支援センター(FRESC)
  • 特定技能協議会・監理団体

定期的な面談を設け、不満を溜め込ませない対話の場を持つことが、長期定着の第一歩です。

「説明・翻訳・相談」の3つで信頼を守る

給与トラブルを防ぐためには、

明確な契約書、多言語説明、相談窓口といった3本柱が欠かせません。

外国人介護士が安心して働ける職場を整えることが、企業の信頼と定着率を高める最善のリスク対策です。

外国人介護士の給与を巡る今後の課題と展望

日本の介護業界では外国人介護士が欠かせない存在となりつつありますが、給与水準の不均衡や制度的な課題は依然として残っています。

今後は、外国人が安心して働き、成長できる環境づくりが求められています。

ここでは、賃金格差の是正や処遇改善の方向性を中心に、今後の展望を整理します。

日本人との賃金格差をどう是正するか

現在、外国人介護士の給与は日本人とほぼ同等とされているものの、実態としてはわずかな格差が存在しています。

その背景には、以下の要因があります。

  • 資格・経験年数の違い
  • 言語能力による職務範囲の制限
  • 雇用形態(契約社員・派遣など)の違い

政府や自治体では、「同一労働同一賃金」の原則を徹底し、雇用条件を可視化する取り組みが進められています。

さらに、外国人にも昇給・評価基準を明示する制度設計を導入することで、公平な処遇を実現する動きが強まっています。

処遇改善加算の活用と賃上げの方向性

介護職員の給与改善を目的とした「処遇改善加算制度」は、外国人介護士にも適用可能です。

この加算を活用することで、以下の効果が期待できます。

  • 月給ベースで1〜3万円の給与アップ
  • ボーナス支給額の増加
  • 福利厚生(住宅手当・交通費など)の拡充

しかし課題は、施設によって加算活用の差が大きい点です。

行政と事業者が連携し、外国人職員への加算配分を明確化することが今後の焦点となります。

また、介護職全体の給与底上げによって、日本で働く魅力を高めることも重要です。

外国人介護士が「定着・成長できる」職場への転換

給与だけでなく、職場環境・キャリア支援の整備も定着率向上のカギを握ります。

  • 日本語教育やキャリア研修の充実
  • メンター制度・多文化交流の促進
  • 管理職・教育職へのステップアップ支援

これらの取り組みにより、外国人介護士が「一時的な労働力」ではなく、「長期的に貢献する人材」として育成される流れが加速しています。

給与改革は“人材定着”の基盤づくり

外国人介護士の給与改革は単なる賃上げではなく、人材を守り育てるための基盤整備です。

公平な賃金体系と働きやすい環境を整えることが、介護業界の持続的発展に直結します。

企業と行政の両輪による「待遇改善×教育支援」が、今後の介護人材確保のカギとなるでしょう。

外国人介護士が活躍できる未来へ ―「共に支える介護現場」を実現するために

今後の介護業界において求められるのは、外国人介護士を単なる労働力ではなく“仲間”として迎える姿勢です。

多文化が共存し、相互理解のもとで成長できる職場を築くことが、日本の介護現場の未来を左右します。

公平な評価制度とキャリア形成の支援体制

外国人介護士がモチベーションを維持するには、評価とキャリアの見える化が欠かせません。

  • 明確な昇給・昇格基準を設ける
  • 資格取得やリーダー職への道を開く
  • 外国人も管理職として登用する仕組みを導入

これにより、「努力すれば報われる職場」を実現でき、離職率の低下にもつながります。

外国人材を戦力化するための企業側マネジメント

企業には、外国人介護士を組織の一員として戦略的に活用するマネジメント力が求められます。

  • 日本語研修・文化教育の実施
  • 外国人スタッフの意見を反映するフィードバック制度
  • チームリーダー層への多文化マネジメント研修

こうした体制を整えることで、職員同士の信頼関係が深まり、現場の生産性やケア品質の向上にも寄与します。

グローバル人材が選ぶ「働きたい介護現場」とは

外国人が長く働きたいと感じる介護現場には、共通の特徴があります。

  • 文化・宗教への理解がある職場風土
  • 生活・就労サポートが整った安心環境
  • 努力を正当に評価してくれる人事制度

これらを兼ね備えた施設こそ、国内外の優秀な人材が集まる「選ばれる職場」となるのです。

共に支え、共に育つ介護現場へ

外国人介護士が真に活躍できる未来を実現するには、共生を超えた“共創”の発想が必要です。

給与や待遇の整備に加え、価値観を尊重し合える職場文化を築くことが、介護業界の未来を明るく照らします。

日本社会がこの変化を受け入れ、外国人と共に歩む体制を整えることで、介護の現場はより温かく、持続的な成長の場へと進化していくでしょう。

まとめ|外国人介護士の「働きがい」と「待遇改善」が介護業界の未来をつくる

日本の介護現場は、深刻な人手不足の中で外国人介護士の存在が欠かせないものとなっています。

しかし、給与水準や待遇の格差、キャリア形成の壁といった課題は依然として残されています。

今回の記事では、在留資格ごとの給与相場から地域差、昇給制度、さらには今後の展望までを網羅的に解説しました。

そこから見えてくるのは、外国人介護士を「単なる労働力」ではなく、共に現場を支える仲間として育成・評価していく重要性です。

特定技能制度や処遇改善加算など、政府の支援策は着実に整いつつあります。加えて企業が以下の3点を実践することで、外国人介護士の定着と活躍が現実的になります。

  • 公平な賃金体系と評価制度の整備
  • 日本語・文化教育や生活支援の強化
  • 長期的なキャリアアップを見据えた人材育成方針

外国人介護士が安心して働ける環境を整えることは、結果的に介護サービス全体の質向上と業界の持続的成長につながります。

これからの介護業界は「安く雇う時代」から「共に育ち、支え合う時代」へ――。

多様な人材が誇りを持って働ける介護現場こそが、日本の未来を支える礎となるでしょう。

 

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