11/28 (金)更新
在留資格・就労ビザが取れないのはなぜ?不許可になる理由と正しい対処法を徹底解説
「在留資格が取れない」「就労ビザが下りない」と悩む外国人や受け入れ企業は少なくありません。
書類を整えて申請したのに不許可になってしまう場合、その原因は単なる書類ミスではなく、仕事内容と在留資格の不一致や要件の誤解、企業側の体制不備など、複数の要因が絡んでいることが多いのです。
特に近年は、外国人労働者の増加に伴い審査基準が厳格化しており、学歴や職務内容、企業の経営状況まで細かくチェックされます。
そのため、「他の人は同じ職種でビザが取れたのに自分は不許可だった」といったケースも珍しくありません。
この記事では、在留資格・就労ビザが取れない主な理由と、不許可を防ぐための具体的な対策をわかりやすく解説します。
外国人本人だけでなく、採用・受け入れを行う企業担当者も知っておくべきポイントを整理しているため、「なぜ取れないのか」から「どうすれば取れるのか」までを体系的に理解できる内容になっています。
審査に通らなかった理由を正しく知り、次の申請で確実に許可を得るための第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
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就労ビザ(在留資格)とは

外国人が日本で働くためには、就労目的に合った「在留資格」を取得する必要があります。
一般的に”就労ビザ”と呼ばれるものは、実際には「在留資格」の一種であり、仕事の内容や雇用形態によって認められる活動範囲が異なります。
まずは、その仕組みと基本条件を整理して理解しておきましょう。
就労ビザと在留資格の関係
「就労ビザ」と「在留資格」は、似ているようで意味が異なります。
就労ビザは「外国人が日本で働くための資格全般」を指す俗称であり、法律上は”在留資格”という名称が正式です。
在留資格は29種類あり、そのうち仕事を目的としたものが「就労系在留資格」と呼ばれます。
たとえば以下のようなものがあります。
| 在留資格の種類 | 主な活動内容 |
|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 専門的・事務的な仕事(エンジニア、通訳、デザイナーなど) |
| 経営・管理 | 会社経営や事業運営に関わる活動 |
| 技能 | 調理師・職人などの専門技能職 |
| 特定技能 | 人手不足分野での実務職(介護、建設、製造など) |
| 高度専門職 | 学歴・年収・実績などが高い専門人材向けの資格 |
つまり、同じ「働く」という目的でも、職種によって適用される在留資格が違うということです。
この仕組みを誤解していると、就労ビザの申請時に「活動内容が合わない」と判断され、不許可になるリスクが高まります。
主な就労ビザの種類と活動内容
就労ビザ(在留資格)には、次のようなカテゴリーがあります。
- 「技術・人文知識・国際業務」:最も一般的。
大学卒や専門卒が企業で事務・企画・IT関連業務を行う場合に該当。
「技能」:調理師や職人など、特定の技能・実務経験が重視される職種。
「経営・管理」:外国人が会社を設立したり、経営に携わるケース。
「特定技能」:人手不足の分野(介護・外食・製造業など)で働くための制度。
「高度専門職」:学歴・年収・研究実績などが高い高度人材に適用。
これらの違いを理解し、自身の職務内容に合った資格を選ぶことが最初のステップです。
「どの資格で申請すべきか」を誤ると、それだけで不許可の原因になります。
取得・更新に必要な基本条件(学歴・実務経験・雇用契約など)
就労ビザを取得するには、主に以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 学歴・実務経験が要件を満たしていること
例:技術・人文知識・国際業務の場合 → 大卒または10年以上の実務経験が必要。
- 仕事内容が在留資格の活動内容に該当していること
専門職としての知識を要する職務(翻訳、設計、開発、企画など)であることが条件。
- 雇用契約が適正であること
給与・勤務時間・社会保険加入状況が日本人と同等であることが求められます。
これらが整っていないと、「形式上は採用でも、実際は単純労働」と判断される場合があり、不許可の要因になります。
まとめ|就労ビザの理解が不許可回避の第一歩
就労ビザは、「どの在留資格で申請するか」を正しく理解することが最初のポイントです。
学歴・職務内容・契約条件のいずれかが要件に合っていなければ、どれほど書類を揃えても許可は下りません。
特に、仕事内容と在留資格の不一致は最も多い不許可要因のひとつです。
まずは自分の業務内容がどの資格に該当するのかを確認し、条件を満たした上で正しい在留資格を選ぶことが、就労ビザ取得の確実な第一歩です。
就労ビザ・在留資格が取れない主な理由

では、実際にどんなケースで就労ビザ(在留資格)が取れないのかを具体的に見ていきましょう。
不許可になる原因は1つではなく、本人・企業・書類・制度理解の4方向から生じるのが特徴です。
学歴・専攻と仕事内容が一致していない
就労ビザ審査で最も多い不許可理由の一つが、「学んだ内容と仕事の内容が一致していない」ことです。
たとえば、大学で経済学を学んだ人がデザイン業務を行う、理系専攻者が営業職に就く、といったケースでは、「専門性を生かした活動」と認められず、在留資格要件を満たしていないと判断されることがあります。
解決策としては、職務内容の説明書や職務分掌表を提出し、「学んだ知識が業務に活かされている」ことを具体的に示すことが重要です。
仕事内容が在留資格の活動内容に該当していない
就労ビザは、「単純労働を目的とした活動を原則禁止」としています。
そのため、実際の業務がレジ打ちや清掃、工場ライン作業などの単純作業に偏っている場合、「技術・人文知識・国際業務」の範囲外と判断されることがあります。
この場合、もし人手不足分野の業務であれば、特定技能ビザや技能ビザへの切り替えを検討するのが現実的です。
提出書類の不備・内容の不整合
申請書類に記載漏れや不一致があると、それだけで不許可の可能性が高まります。
よくあるミスは次の通りです。
- 職務内容の説明が不十分
- 在職証明・雇用契約書に記載不備がある
- 翻訳文の誤りや印鑑の押し忘れ
審査官は「書類の一貫性」を重視しているため、提出前のダブルチェックが欠かせません。
受け入れ企業の経営状況や契約条件に問題がある
企業側の体制が整っていないことも、申請不許可の要因になります。
たとえば、以下のような場合です。
- 納税証明書の未提出・赤字経営で信用が低い
- 給与が同職種の日本人より極端に低い
- 社会保険や雇用契約が未整備
入管庁は「外国人を安定して雇用できる企業かどうか」を重視するため、企業の信用力(コンプライアンス体制・経営健全性)も重要な審査項目です。
滞在履歴や法令違反など、在留状況が悪い場合
過去に以下のような違反やトラブルがある場合、審査で不許可となるリスクがあります。
- アルバイト時間の超過(留学生28時間ルール違反など)
- 税金未納・保険未加入
- 以前の在留中に不法就労・資格外活動
在留資格は「法令を守る姿勢」が評価される制度です。
過去の違反がある場合は、反省・改善の意思を示す文書(反省書・再発防止策)を添付することで、再申請時にプラス評価を得られる可能性があります。
まとめ|不許可の原因は”ズレ”と”整合性不足”
就労ビザが取れない理由の多くは、「学歴・仕事内容・資格のズレ」や「書類の整合性不足」によるものです。
本人側の要件だけでなく、企業側の雇用条件や説明資料も審査対象になるため、双方の整合性を取ることが不許可回避のカギです。
「なぜ取れないのか」を正しく理解し、原因を一つずつ解消していくことで、再申請の成功率は大きく上がります。
不許可事例から見る注意点

就労ビザや在留資格の申請は、書類を提出すれば必ず許可されるわけではありません。
むしろ、わずかな不一致や説明不足によって不許可となるケースが増えています。
ここでは、実際に不許可となった代表的な事例をもとに、審査で注意すべきポイントを整理します。
専門学校・大学で学んだ内容と職務内容が違うケース
もっとも多い不許可事例が「学んだ内容と仕事内容の不一致」です。
たとえば、デザイン専攻の留学生が営業職で申請したり、経済学を学んだ人が建築関係の仕事を行うといったケースです。
入管庁は、「学習した専門知識を活かした業務」であるかどうかを厳格に確認します。
したがって、
- 「大学で学んだ内容が今の仕事にどう関係しているか」
- 「専門性をどのように活かしているか」
を、職務内容説明書などで明確に説明することが重要です。
対策ポイント:
職務記述書(Job Description)を作成し、業務内容を具体的に記載することで、専門分野との関連性を客観的に示すと審査が通りやすくなります。
職務内容が「技術・人文知識・国際業務」に当てはまらないケース
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、“専門性”のあるホワイトカラー業務が対象です。
しかし実際には、販売員・清掃・工場作業などの「単純労働」に分類される業務を行っている場合、在留資格の範囲外と判断されて不許可になります。
たとえば、外国人スタッフが「通訳」として申請したものの、実際は接客や商品陳列が主な業務だったケースでは、「実態が資格内容と一致していない」とみなされるのが典型例です。
対策ポイント:
職務分担を明確にし、「専門知識を必要とする部分」が業務の中心であることを資料で説明しましょう。
単純作業が一部含まれる場合でも、主業務が専門職であることを強調することが有効です。
提出資料と実態が異なっていたケース
提出した書類の内容と、実際の業務・契約内容が食い違うと、信頼性が大きく損なわれます。
たとえば、
- 契約書では「システム開発」と記載されているのに、実際は事務補助業務
- 給与額が実態より高く記載されていた
- 申請書類と求人票の業務内容が異なる
といったケースでは、虚偽申請と判断され、不許可どころか再申請の際に不利になります。
対策ポイント:
在留資格申請は「整合性のある書類」が基本です。
申請書、雇用契約書、求人票、職務説明書など、すべての文書を照らし合わせて矛盾がないか確認しましょう。
受入企業の体制不備が原因となったケース
企業側の体制が不十分なために、外国人本人の申請が不許可になることもあります。
たとえば、
- 社会保険に未加入
- 納税証明書を提出していない
- 給与が同業他社より低い
- 会社の経営状態が悪化している
これらは、「安定した雇用環境ではない」と判断される要因です。
特に赤字決算が続いている企業や、雇用契約の管理が曖昧な場合は、審査でマイナス評価となります。
対策ポイント:
企業側は、労働条件・社会保険・雇用契約の適正化を徹底し、「外国人を法令に基づいて雇用できる環境」を整備することが求められます。
まとめ|不許可の背景は”実態とのズレ”
不許可となるケースの多くは、「申請内容と実態のズレ」にあります。
書類の整合性、学歴・業務の一致、企業体制の信頼性――これら3つを揃えることが重要です。
入管は形式よりも実態を重視するため、「実際に何をしているのか」「どういう知識を活かしているのか」を具体的に説明できるかが審査の分かれ目です。
不許可事例を知ることは、同じ失敗を防ぐ最善の対策です。
不許可になった場合の対処法

申請が不許可になったとしても、適切な手順を踏めば再申請で許可されるケースも多くあります。
まずは焦らず、原因を正確に分析し、必要な改善を行うことが重要です。
不許可通知書を確認し、理由を正確に把握する
不許可通知書には、入管がどの要件を満たしていないと判断したのかが明記されています。
まずはその内容を読み取り、どの項目でマイナス評価を受けたのかを把握しましょう。
たとえば、
- 職務内容の専門性が不足
- 学歴・実務経験が要件外
- 企業の雇用体制が不十分
といった具体的な指摘が多いです。
対応の第一歩は「理由の特定」です。
ここを曖昧にしたまま再申請しても、結果は変わりません。
再申請が可能かどうかを判断する
不許可になった場合でも、一定の条件を満たせば再申請は可能です。
ただし、同じ内容のまま再申請しても認められないため、指摘内容を踏まえて改善した上で、再提出する必要があります。
たとえば、学歴・職務の関連性を説明する資料を追加したり、企業体制を整えた後に再申請することで、許可されるケースは多く見られます。
要件を満たしているか再確認し、書類を修正して再申請する
再申請時には、単に書類を出し直すのではなく、要件を再チェックし、修正・補足を行うことが大切です。
- 学歴・実務経験の証明
- 職務内容の具体化
- 給与・雇用条件の是正
- 書類の不備・翻訳ミスの修正
入管庁が重視する「合理的な説明」ができるよう、専門家の確認を受けるのも有効です。
在留資格の見直し(特定技能・特定活動などへの切り替え)
申請内容が「技術・人文知識・国際業務」に該当しない場合は、他の在留資格を検討するのも選択肢です。
たとえば、技能実務を伴う場合は「特定技能」、日本での活動の幅を広げたい場合は「特定活動」など、仕事内容や雇用形態に応じて適した資格を選ぶことで、許可の可能性が高まります。
まとめ|「不許可=終わり」ではない。
分析と改善が再申請成功の鍵
就労ビザや在留資格の不許可は、原因を正確に把握し、改善すれば十分に挽回可能です。
焦って再提出するのではなく、
- 不許可理由の分析
- 必要な書類や条件の修正
- 他の在留資格の検討
を段階的に進めることで、次の申請で許可を得られる可能性が高まります。
重要なのは、「不許可の理由を放置しないこと」。
一度の失敗を教訓に、正確な知識と準備で次の申請を成功へつなげましょう。
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不許可を防ぐために企業が注意すべきポイント

就労ビザや在留資格の審査では、外国人本人の条件だけでなく、受け入れ企業側の管理体制や雇用環境も厳しくチェックされます。
採用時に条件を満たしていても、書類や契約内容に不備があれば不許可となるケースも少なくありません。
ここでは、企業が実務上どのような点に注意すべきかを詳しく解説します。
採用前に学歴・業務内容の一致を確認
ビザ審査の最初のチェックポイントは、学歴や専攻分野と職務内容の一致です。
たとえば、外国人が経済学を専攻していた場合、「財務・経営企画・営業企画」などの業務は適合しますが、工場ライン作業や接客業務は不一致と判断されます。
採用前に、
- 学歴・専攻と職務内容が一致しているか
- 専門知識を活かせる職種であるか
を確認しておくことで、申請時のトラブルを防げます。
企業の採用担当者が「どの在留資格で雇うか」を理解していないことが、不許可の最大原因です。
業務内容と在留資格の整合性を常にチェック
雇用後も、実際の仕事内容が申請時と変わっていないかを継続的に確認する必要があります。
特に、部署異動や業務変更があった場合に、申請時と異なる職務内容になっていると「資格外活動」と見なされるおそれがあります。
例として、
- 通訳として採用 → 実際は販売員が中心
- ITエンジニアとして申請 → 実際はヘルプデスク業務
こうしたズレが発生すると、在留資格更新時に不許可のリスクが高まります。
定期的な職務確認と職務記録の保管が、企業に求められるコンプライアンス対応です。
労働条件・雇用契約書を適正に整備する
雇用契約書に記載された給与・勤務時間・業務内容が、実態と一致しているかも重要です。
審査では、「日本人と同等以上の報酬が支払われているか」「法令に基づいた労働条件であるか」が判断基準となります。
契約書を整備する際は、
- 社会保険・雇用保険の加入
- 残業代・休日手当の明記
- 試用期間中の給与減額など不当な条件の有無
を必ず確認しておきましょう。
これらの整備が不十分な場合、「不適正な雇用契約」と判断される可能性があります。
外国人社員の労働時間・活動制限を管理する
留学生や家族滞在者など、就労時間に制限がある在留資格を持つ人を雇用する場合は、特に注意が必要です。
「資格外活動許可」で働ける時間は週28時間までと定められており、これを超えると資格外活動違反となります。
違反が発覚すると、外国人本人だけでなく雇用主も罰則を受けるおそれがあります。
そのため、企業は勤怠データやシフト表を用い、法定時間内での勤務を確実に管理する体制を整えることが不可欠です。
信頼できる支援機関・行政書士に依頼する
外国人雇用に関する法令は複雑で、ケースごとに判断が分かれます。
そのため、専門家と連携することが最も効果的なリスク回避策です。
行政書士や登録支援機関に依頼すれば、
- 最適な在留資格の選定
- 書類作成・翻訳の精度向上
- 不許可時の再申請サポート
など、申請の成功率を大幅に高められます。
「自社で対応できる範囲」と「専門家に任せるべき範囲」を明確に分けることが、安定した外国人雇用につながります。
まとめ|企業の体制が「不許可」か「許可」かを分ける
就労ビザの審査では、本人の能力だけでなく企業の信頼性も評価されるのが現実です。
採用前の確認・業務内容の一貫性・労働条件の適正化・法令遵守体制――これらが整っていれば、不許可リスクは大幅に減ります。
企業が誠実な体制を整えることこそが、外国人社員の安心した就労とビザの安定につながります。
在留資格が取りにくい背景と制度的な難易度

近年、在留資格の審査が厳しくなっているのは、外国人労働者数の増加と制度の多様化が背景にあります。
単なる”外国人受け入れ拡大”ではなく、「適正な就労管理」と「専門性の確保」が国の重点方針となっているのです。
専門性・実務経験を重視する審査基準
就労ビザの審査は、「専門的知識・技能を持つこと」が前提です。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」ビザでは、大学卒業または10年以上の実務経験が必要とされています。
一方、単純労働を目的とした就労は原則として認められません。
このため、専門性を説明できない職務内容は不許可の対象となります。
政府は”量より質”を重視する方向に移行しており、外国人の受け入れにもより高い専門性が求められています。
企業側に求められるコンプライアンス体制
在留資格制度の厳格化により、企業の法令遵守(コンプライアンス)がこれまで以上に重要視されています。
労働基準法・社会保険・労働安全衛生法などの違反履歴がある企業は、入管審査で「信頼性が低い」と判断されることがあります。
また、技能実習制度の不正が問題視された影響で、受け入れ企業には
- 適切な雇用契約の締結
- 外国人社員への説明責任
- 苦情対応体制の整備
などが求められるようになりました。
企業体制の整備は、就労ビザの審査にも直結する要素となっているのです。
高度人材・特定技能との比較による審査の厳格化
「特定技能」や「高度専門職」など、他の在留資格制度が整備されたことで、就労ビザ審査の基準も細分化・厳格化が進みました。
特に、
- 「技術・人文知識・国際業務」では専門職としての説明責任が強化
- 「特定技能」では分野ごとの試験・技能評価制度が導入
- 「高度専門職」では年収・学歴などの高い基準が設定
これにより、一般的な就労ビザでの許可ハードルが実質的に上がっているのが現状です。
まとめ|「量の拡大」から「質の選別」へ
在留資格の審査は、かつての「外国人労働者の受け入れ」から「専門性と信頼性のある人材の選別」へと移行しています。
そのため、企業には単なる採用だけでなく、コンプライアンスを備えた雇用体制の構築が求められます。
制度の変化を正しく理解し、国の方針に沿った雇用・管理を行うことが許可獲得の近道です。
在留資格を確実に取得するための実務ポイント

在留資格の申請は、単に書類を提出するだけではなく、「一貫性」「正確性」「根拠の明確さ」が求められる手続きです。
不許可になる多くのケースでは、必要な要件を満たしていないというよりも、「説明不足」や「書類の整合性の欠如」が原因です。
ここでは、就労ビザや在留資格を確実に取得するために、企業・外国人本人が実務で押さえるべきポイントを整理します。
審査官の視点を意識したチェックと準備を行うことで、許可の可能性を大きく高めることができます。
書類作成時に押さえるべきチェックリスト
在留資格申請において、最も重要なのは「書類の整合性と証明力」です。
どんなに条件を満たしていても、提出書類に矛盾や説明不足があると不許可になるリスクがあります。
以下のチェックリストをもとに、書類の一貫性を確認しましょう。
【在留資格申請チェックリスト】
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 職務内容の明確化 | 実際の業務内容と在留資格の活動内容が一致しているか |
| ② 契約書・求人票の整合性 | 給与・勤務時間・職種の記載に矛盾がないか |
| ③ 学歴・経歴証明書 | 申請書記載内容と卒業証書・職務経歴書が一致しているか |
| ④ 企業情報 | 登記簿謄本・納税証明書などの基本資料を最新に更新しているか |
| ⑤ 翻訳・署名 | 翻訳誤り・押印漏れ・日付不備などがないか |
さらに、申請理由書では「なぜこの人を雇うのか」「どのように専門知識を活かすのか」を具体的に説明することが求められます。
形式的な記載ではなく、企業の採用意図と外国人の専門性をリンクさせる文章構成が効果的です。
企業・本人双方での事前確認体制の構築
在留資格申請の成功には、企業と外国人本人の連携が欠かせません。
片方だけが準備を進めると、記載内容の不一致や説明不足が起こりやすくなります。
たとえば、以下のような連携が理想です。
- 企業側の確認事項
・業務内容の説明資料を本人に共有
・雇用契約書の内容を事前に確認
・在留資格の種類・活動範囲を理解しておく
- 本人側の確認事項
・学歴・職歴の証明資料を正確に提出
・過去の在留履歴に不備がないか確認
・申請書の内容を自分でも理解しておく
両者が同じ情報を把握していれば、「企業が説明した内容と本人の申請内容が違う」といった不整合を防げます。
申請前の15分ミーティングを行うだけでも、誤解や記載ミスを防ぐ効果があります。
行政書士や専門家への相談タイミング
在留資格の手続きは、法令改正や運用ルールの変更が頻繁に行われるため、専門知識のある行政書士への相談が有効です。
特に以下のようなケースでは、早めに専門家へ依頼することをおすすめします。
- 不許可になった理由が不明確で再申請に不安がある
- 職務内容と在留資格の適合性が判断しづらい
- 新設法人や小規模事業者での採用
- 特定技能・特定活動など他資格への切り替えを検討している
行政書士は入管庁とのやり取りに慣れており、書類の表現や添付資料の構成を「審査官の視点」で最適化できます。
また、企業・本人双方に必要な情報整理をサポートすることで、不許可リスクを最小化できる点も大きなメリットです。
まとめ|準備と整合性が「確実な許可」への近道
在留資格を確実に取得するためには、事前準備・書類の整合性・専門家との連携の3つが欠かせません。
とくに審査では「どれだけ誠実に、合理的に説明できているか」が重視されます。
- 書類は正確で矛盾がないか
- 業務内容と資格要件が一致しているか
- 企業・本人が情報共有できているか
これらを確認しながら申請を行うことで、許可の可能性は大幅に高まります。
不許可リスクを恐れるよりも、「根拠ある申請書類」を用意する姿勢が最も重要です。
企業と外国人本人が同じ方向を向いて準備すれば、在留資格取得は決して難しいものではありません。
まとめ|「なぜ取れないか」を理解すれば、在留資格は必ず取れる

在留資格や就労ビザの不許可は、偶然ではなく明確な理由がある結果です。
多くのケースでは、学歴と職務の不一致・書類の不備・企業体制の不整備など、確認と準備で防げる問題に起因しています。
特に近年は、外国人雇用の増加に伴って審査が厳格化しており、形式的な書類よりも「実態の整合性」と「説明責任」が重視されています。
そのため、企業と外国人本人が協力して次の3点を意識することが、許可への近道です。
- 要件を正確に理解し、在留資格に合った業務内容で申請する
- 書類内容を企業・本人双方で整合させ、誤記や矛盾をなくす
- 必要に応じて行政書士など専門家のサポートを受ける
就労ビザ申請は「手続き」ではなく「信頼の証明」です。
入管が求めるのは”形式的な条件”よりも、”日本で適正に働ける環境が整っているか”という実態です。
不許可理由を正しく理解し、誠実な書類作成と体制整備を進めれば、在留資格の取得は十分に実現できます。
「なぜ取れないのか」を分析し、「どうすれば取れるか」を準備する――それが次の許可への確実な一歩です。
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