
07/16 (水)更新
在留資格の更新はオンラインで可能?最新の申請手順と注意点を解説
外国人が日本での生活を継続するうえで避けて通れないのが「在留資格の更新」です。
これまで多くの人が入管窓口で長時間待たされ、書類不備で何度も足を運ぶといった手間を感じてきたのではないでしょうか。
しかし2024年以降、在留資格の更新や変更手続きがオンラインで完結できる仕組みが本格的に整備され、利便性が大きく向上しています。
この記事では、在留資格のオンライン申請の概要から、対象ビザの種類、手続きの流れ、よくある注意点までを網羅的に解説します。
外国人本人はもちろん、企業の総務担当者や支援機関にも役立つ情報をお届けしますので、「オンライン化で何が変わるのか?」という視点でぜひ参考にしてください。
在留資格のオンライン申請とは
外国人の在留資格手続きといえば、これまでは「入管へ行って書類提出」が当たり前でした。
しかし最近では、在留資格の更新や変更手続きがオンラインで完結できる時代になりつつあります。
わざわざ窓口に行かなくても済む便利さに加え、企業の管理コストや本人の負担も軽減されるため、導入する企業・個人が増加中です。
この記事では、在留資格のオンライン申請とは何か?どんな手続きが対象なのか?をわかりやすく解説します。
最新の制度変更や、注意点もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
そもそも在留資格とは何か?
日本に中長期で滞在する外国人には、在留目的に応じた「在留資格」が必要です。
たとえば、就労のための「技術・人文知識・国際業務」、配偶者としての「日本人の配偶者等」、留学の「留学ビザ」などがあり、それぞれで認められる活動内容が異なります。
この在留資格は有効期限があり、更新や変更のたびに手続きが必要です。
以前はこの手続きは原則として入管窓口での対面申請が必須でしたが、近年はデジタル化の推進により「オンライン申請」が選択肢として拡大されています。
関連記事▷ 在留資格の全29種類を完全解説!取得条件や申請・更新・変更手続きもこれを見れば大丈夫
オンライン申請が可能な手続きの種類
法務省入国管理局では、2022年ごろから段階的に在留資格に関する手続きの電子化を進めており、現在は以下のような申請がオンラインで対応可能です。
- 在留期間の更新申請
- 在留資格変更許可申請
- 永住許可申請
- 資格外活動許可申請
- 再入国許可申請
- 在留カードの再交付申請(一部のみ)
対象となる在留資格の種類や申請者の属性(本人か代理人か)によって、申請できる範囲には制限があるため、事前に対象可否を確認することが重要です。
オンラインと書面申請の違いとは
オンライン申請の最大のメリットは、入管窓口に行かずに手続きできる手軽さにあります。
24時間いつでも申請が可能で、通勤時間帯を避けて作業できる点も魅力です。
また、書類の一部はPDF等のデータで提出可能なため、コピーや印刷の手間も削減できます。
一方で、デジタル機器の操作や必要なアカウントの取得など、一定のITリテラシーが求められます。
また、ミスがあった場合は差し戻し処理が必要になり、対応に時間がかかることもあります。
2024年以降の電子申請制度の概要
2024年以降、入管庁は「外国人在留支援センター(FRESC)」などと連携し、オンライン申請の一層の普及を目指す方針を示しています。
たとえば、企業担当者が従業員のビザ更新をオンライン上で一括管理できるシステムの導入や、マイナンバーとの連携による本人確認の自動化など、利便性の向上が続々と図られています。
また、外国人本人が自身のスマートフォンやPCから申請できるインターフェースの改善も進められており、手続きのハードルが徐々に下がっている状況です。
◆在留資格の手続きは“オンライン時代”へ
在留資格の申請は、これまで時間と手間のかかる業務のひとつでしたが、オンライン化によって手続きのスピードと柔軟性が格段に向上しています。
書面申請との違いや電子化の注意点を把握することで、無駄なく・スムーズに更新作業を進めることができます。
企業にとっても、ビザ関連業務の負担軽減や更新漏れのリスク回避が実現できるため、今後は「デジタル対応」そのものが信頼性の指標となるでしょう。
これから在留資格の更新・変更を控える方は、オンライン申請という選択肢を積極的に活用する準備を進めておくことをおすすめします。
オンライン申請に対応している在留資格の種類
在留資格のオンライン申請は利便性が高まる一方で、「どの在留資格に対応しているのか?」「自分のビザでも使えるのか?」と疑問を持つ方も少なくありません。
オンライン化はすべての申請に適用されているわけではないため、対象となる在留資格や手続きの範囲を正確に把握することが重要です。
ここでは、オンライン申請が可能な在留資格の種類と、具体的な対応範囲について解説します。
在留期間更新の対象となるビザの一覧
現在、オンラインで在留期間の更新が可能なビザ(在留資格)は主に以下の通りです。
- 技術・人文知識・国際業務(いわゆる「技人国ビザ」)
- 経営・管理
- 高度専門職1号・2号
- 企業内転勤
- 留学
- 家族滞在
- 永住者の配偶者等
- 特定技能1号・2号(一部対応)
これらの在留資格では、定められた在留期間(1年・3年・5年など)の満了前に更新申請を行う必要があります。
更新対象者本人または企業担当者が出入国在留管理庁の「在留申請オンラインシステム」を利用して申請を行います。
なお、技能実習や短期滞在など一部の資格では、引き続き窓口申請が必要な場合があります。
資格変更手続きにもオンラインで対応できる?
はい、在留資格の変更申請(例:留学→技人国、家族滞在→就労系ビザなど)もオンライン対応が進んでいます。
ただし、変更の難易度や審査内容の複雑さから、以下のような点に注意が必要です。
- オンラインでも事前に本人確認書類や在籍証明など多くの資料が必要
- 就労資格系への変更では業務内容の適合性が厳しく見られる
- 一部の在留資格はオンライン非対応のため、対象範囲の確認が不可欠
とくに企業側が申請支援をする際は、誤った資格での申請や不備による差し戻しを避けるため、申請前の相談が推奨されます。
家族滞在や永住申請もオンライン化の対象か
家族滞在ビザの更新や変更申請についてもオンライン化されています。
本人申請・代理申請ともに可能で、必要書類を電子ファイルで提出できます。
家族構成の変化や子どもの成長に伴う申請では、申請者の立場に応じた証明書類の提出が求められるため、最新の要件確認が重要です。
一方で永住許可申請も2024年より一部オンライン対応となりました。
ただし、
- 経歴や納税状況など提出資料が多い
- 日本語力や社会適応の証明が求められる
- 入管側からの追加資料要請が高確率である
といった背景から、行政書士を通じた専門的な対応が依然として主流です。
◆自分のビザがオンライン対象か、まずは確認から始めよう
在留資格ごとにオンライン対応の可否や申請範囲が異なるため、「自分のビザでオンライン申請ができるのか?」を知ることが第一歩です。
とくに企業の採用担当者や外国人従業員を抱える事業者は、対応資格や手続きの流れを正確に把握し、スムーズな申請を支援できる体制づくりが求められます。
今後さらにオンライン化は進んでいくと考えられるため、早めに制度に慣れておくことが、業務効率と在留手続きの成功に直結するでしょう。
在留資格のオンライン申請の流れと必要書類
在留資格の更新や変更をオンラインで行えるようになったことで、窓口に出向く手間が省け、外国人本人にも企業担当者にも大きな利便性がもたらされています。
ですが、オンライン申請には必要な事前準備や書類の扱い方に特有のルールがあり、知らずに進めるとエラーや差し戻しの原因となります。
ここでは、在留資格のオンライン申請をスムーズに進めるために、申請の基本的な流れと必要書類、そして注意点をわかりやすく解説します。
申請前の準備|必要機材・アカウント作成方法
オンライン申請を行うには、事前に以下の準備が必要です。
- パソコン(Windows)とインターネット接続
- ICカードリーダー(在留カード読み取り用)
- JPKI(公的個人認証)対応の電子証明書(マイナンバーカードなど)
- 「在留申請オンラインシステム」へのアカウント登録
アカウント登録では、申請者の氏名や在留カード番号、メールアドレスなどを入力し、仮登録後に本登録用のリンクが送信されます。
企業が代理申請を行う場合には、法務省への事前届出が必要になるため、時間に余裕を持って準備しましょう。
ログインから書類提出までの具体的なステップ
- ログイン
- 登録済みのメールアドレスとパスワードを使ってログイン。
- 申請内容の選択
- 「在留期間更新」や「資格変更」など手続き種別を選択。
- 申請フォームの入力
- 氏名・住所・職業・勤務先・在留カード番号などを入力。
- 必要書類のアップロード
- スキャンまたはPDF化した各種証明書を添付。
- 電子署名と提出
- 電子証明書を利用して本人確認と署名処理を行い、送信ボタンで申請完了。
送信後、申請内容は入管のシステムに登録され、審査の進捗はマイページ上で確認できます。
アップロードする書類の注意点
オンライン申請では書類の「形式」と「中身」に注意が必要です。
- PDF形式またはJPEGなどの画像ファイル
- 解像度は200~300dpi以上を推奨
- 文字や印影が読み取りやすいよう明瞭にスキャン
- 書類の上下反転やページ順の乱れは審査の遅延につながるため要注意
また、改ざんや加工が疑われるデータは不受理となる可能性があるため、スキャン時は原本に忠実なデータで提出しましょう。
電子署名や本人確認の方法
オンライン申請には、「本人性の証明」が不可欠です。
主に以下の2つの方法があります。
- マイナンバーカードを使った電子署名(公的個人認証サービス)
- 在留カード+ICカードリーダーを使った電子認証
これにより、第三者によるなりすまし申請や虚偽提出の防止が図られています。
申請時には、ICカードリーダーでマイナンバーや在留カードを読み取ることで電子署名が完了します。
申請後の審査中にも、本人確認のための連絡があることがあるため、メール受信設定や登録情報の正確性も忘れずにチェックしておきましょう。
◆オンライン申請の成功は準備と正確さがカギ
在留資格のオンライン申請は非常に便利な制度ですが、アカウント登録・書類の電子化・署名・本人確認など多くのステップがあり、事前準備の有無で申請のスムーズさが大きく変わります。
とくに企業が申請を支援する場合は、誤提出や不備による差し戻しを防ぐ体制が重要です。
申請の正確さが審査期間の短縮にもつながるため、丁寧な準備を心がけてオンライン申請を活用していきましょう。
在留カードのオンライン手続きはできる?
在留資格のオンライン申請が広がるなか、「在留カードの更新や交付もオンラインでできるのか?」という疑問を持つ方も少なくありません。
実際、オンラインで対応できる手続きと、従来どおり対面が求められる手続きには明確な違いがあります。
ここでは、在留カードに関するオンライン対応の可否や流れ、写真提出の注意点まで、実務に役立つ情報を解説します。
在留カード更新と申請の違い
まず押さえておきたいのが、「在留カードの更新」と「在留カードの申請」の違いです。
- 在留カードの更新は、在留期間の更新や在留資格の変更に伴う自動更新のことを指します。これは、在留資格手続きと一体で処理されるため、オンラインでの申請が可能です。
- 一方で、在留カードの再交付申請(紛失・破損・ICチップの不具合など)は、原則として窓口での申請が必要です。例外的に一部手続きに限り郵送対応もありますが、オンライン化には至っていません。
つまり、「在留資格更新の延長と同時にカードが更新されるケース」はオンライン申請の対象ですが、「カード単体の再発行」はオンラインには対応していない点に注意が必要です。
カード受け取りまでの流れ
オンラインで在留資格の更新申請を行った場合、カードの交付も完全に非対面で完結するわけではありません。
- オンラインで申請し、審査完了の通知を受け取る
- 入管からのメールまたはマイページで「結果通知書」を確認
- 通知に従い、入国管理局の指定日時に在留カードを受け取りに行く
本人確認や指紋照合が必要なため、カード自体の受け取りは必ず本人が入管に出向く必要があります。
企業が代理でオンライン申請を行った場合でも、在留カードの受け取りは本人限定であり、ここだけはオンラインでは済ませられない点に注意が必要です。
写真のデータ提出ルールと注意点
オンライン申請では、証明写真の提出もデータ形式で行います。
主なルールは以下のとおりです。
- JPEG形式(推奨サイズ:縦4cm×横3cm)
- ファイルサイズ – 2MB以下
- 背景は無地(白・青など)、影なし
- 顔の大きさ・角度が適切で、正面を向いていること
- 撮影日から3か月以内のもの
特に注意したいのは、「スマホの自撮り」や「背景に影や物が写っている写真」は不受理となるケースがあることです。
また、帽子やマスク、眼鏡の反射にも注意しましょう。形式上通っても、顔認証時にエラーとなることがあり、再提出を求められることもあります。
◆在留カード手続きは一部のみオンライン化対応中
在留カードに関する手続きのオンライン化は進んでいるものの、現時点では一部に限られ、受け取りなどは対面が必要です。
とくに本人確認を伴うカード交付は、最終的には本人の来庁が必須となるため、スケジュール調整を含めた事前準備が求められます。
オンラインでの申請手順や写真のルールをしっかり理解することで、スムーズな更新手続きが可能になります。
少しでも手続きの手間や待ち時間を減らしたい方は、オンライン申請の活用を前向きに検討するとよいでしょう。
関連記事▷ 在留カードって何?の疑問を3分で解決!更新・再発行もバッチリ
オンライン申請のメリットと注意点
在留資格の更新や変更がオンラインで可能となり、多くの外国人や受け入れ企業がその利便性に注目しています。
とはいえ、すべてがスムーズに進むわけではなく、オンライン申請にはメリットだけでなくリスクも存在します。
ここでは、オンライン申請を活用するうえで知っておきたい具体的な利点と注意点を整理し、スムーズな申請につなげるためのポイントを紹介します。
窓口に行かずに手続きできる手軽さ
オンライン申請最大のメリットは、出入国在留管理庁の窓口に出向く必要がないことです。
- 全国どこからでも申請可能
- 通勤・通学の合間に申請作業ができる
- 入管での待ち時間がゼロ
- 混雑を避け、時間や交通費を節約できる
特に地方在住者やフルタイム就労中の外国人にとっては、役所まで行く負担がなくなることは大きな恩恵といえるでしょう。
企業側も、担当者の負担軽減や管理コストの削減につながります。
申請ミスやデータ不備による差し戻しのリスク
一方で、操作ミスや書類不備による差し戻しはオンラインならではの落とし穴です。
- 申請画面での誤入力(例:生年月日や在留資格名など)
- PDFや画像データの不備(サイズ、形式)
- 必要書類の抜け・書類の内容不備
紙での提出なら窓口でその場で指摘されることも、オンラインでは審査まで進んでから差し戻されるため、結果的に時間がかかることもあります。
特に多いのが、顔写真の背景・画質エラーや、電子署名が抜けていたといった形式的な不備です。事前にチェックリストを活用するなど、慎重な準備が必須です。
不具合発生時の問い合わせ対応と補完措置
オンライン申請では、システムトラブルやサーバーエラーに直面することもあります。
たとえば
- ログインできない
- 途中で入力が消える
- 提出完了画面が表示されない
このような場合は、「電子申請システム利用者サポートデスク」に連絡することになりますが、即時対応されないケースもあり、緊急性の高い手続きには不安が残ります。
また、エラーによって期限内に申請が完了しなかった場合、申告すれば柔軟に受け付けてもらえる場合があるため、エビデンス(スクリーンショットやエラーメッセージ)を残しておくことが重要です。
◆便利なオンライン申請、活用には“慎重さ”もセットで
オンライン申請は非常に便利な制度ですが、その一方で「ミスによる遅延」や「トラブル時の対応力」が求められます。
手軽にできる=簡単ではないということを意識し、丁寧な準備と手順確認が必要不可欠です。
しっかりとポイントを押さえれば、窓口に行かずスムーズに申請が完了する非常に有用な手段です。
今後の主流となるオンライン申請制度を、安心して使いこなすための第一歩として役立ててください。
オンライン申請ができる人・できない人
在留資格のオンライン申請は年々利便性が向上しており、多くの外国人や企業が活用を始めています。
しかし、すべての申請が誰にでも適用できるわけではありません。
手続きの種類や立場によって、オンラインでの対応可否が異なるため、自分が対象かどうかを事前に確認することが非常に重要です。
ここでは、オンライン申請ができる人・できない人の条件や違いについて具体的に解説していきます。
申請者本人ができるケース
まず、オンライン申請が可能な「本人申請」の条件から確認しましょう。
- 申請者本人が日本に滞在中で、在留カードを保有している
- 利用者情報登録(電子申請アカウント)を済ませている
- マイナンバーカードを所持し、電子署名・本人確認が可能である
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」や「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人が、在留期間更新や所属先変更などの手続きを行う場合、オンライン申請の対象となります。
一方、外国にいる状態での新規申請(在留資格認定証明書交付申請など)は対象外です。
企業や行政書士が代理申請する場合の条件
外国人本人に代わって、企業担当者や行政書士が代理申請を行うケースもあります。
ただし、この場合もいくつかの条件が設けられています。
- 申請人本人から委任を受けた正式な代理人であること
- 所属機関(受入企業)が出入国在留管理庁に事前届出済みであること
- 行政書士の場合は、申請取次資格を持ち、オンライン申請の事業者登録が完了していること
企業担当者による代理申請は、就労ビザ更新や資格外活動許可申請などで広く活用されています。
特に多くの外国人社員を雇用している企業にとっては、一括管理がしやすくなるというメリットがあります。
入管に行かざるを得ない例外的なケースとは
オンラインでの申請ができない、または控えるべきケースもいくつか存在します。
- 在留資格認定証明書交付申請(新規の入国申請)
- 在留資格の初回申請や特殊な在留資格(外交、公用、特定活動など)
- 日本に住所がない申請者
- マイナンバーカードを持っていないため電子署名ができない場合
また、システムの不具合や書類データの不備が多い場合、結局入管窓口で再提出を求められるケースもあります。
特に、初めて申請する人やマイナンバーカード未取得者は、書面申請の方が確実なこともあるため注意が必要です。
◆オンライン申請の対象を正しく見極めよう
オンライン申請は非常に便利な制度ですが、すべての人・すべての申請で使えるわけではありません。
自分の在留資格や申請内容、提出方法に応じて、オンライン申請が可能かどうかを事前に確認することが大切です。
特に企業や支援者が代理で手続きを行う場合は、登録の有無や必要書類の整備状況も影響するため、制度を正しく理解し、計画的に進めましょう。
正しい選択が、スムーズな申請と在留手続きの成功につながります。
企業が外国人従業員の申請を支援するには
在留資格の更新や変更は、外国人従業員にとって非常に重要なライフラインです。
しかしその申請作業には手間も時間もかかり、申請ミスや期日忘れが企業の信頼や雇用維持に大きな影響を与える可能性があります。
特に就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)を持つ人材を多く雇用する企業にとって、法令遵守と支援体制の整備はもはや必須の課題です。
このセクションでは、企業がどのようにして外国人従業員の申請を支援できるのかを、実務レベルの観点から具体的に解説します。
申請支援の体制整備と担当者の役割
外国人従業員の在留資格更新にあたり、企業としてまずすべきは内部体制の整備です。
人事部門や総務担当者が中心となって、以下のような支援体制を構築しましょう。
- ビザ管理台帳の作成と更新(在留期間、申請予定日、更新期日などの管理)
- 在留資格の種別ごとの支援マニュアルの整備
- マイナンバーや電子申請アカウントの運用支援
- 入管に提出する雇用契約書や在職証明書などの準備サポート
とくに外国人本人が制度や手続きに不慣れな場合、担当者が「通訳兼アドバイザー」としての役割を果たすことが多くなるため、丁寧な説明とフォローアップが重要になります。
就労ビザ・技人国ビザの更新での企業責任
外国人従業員が「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持っている場合、雇用する企業にも一定の責任があります。
更新時に提出される書類の多くは企業側が作成・提供するため、以下の点での対応が必要です。
- 雇用契約書の再発行
- 給与明細や納税証明の提供
- 会社の登記簿謄本、決算報告書など、経営状況を示す書類の提出
加えて、企業は雇用対策法に基づき「外国人雇用状況の届出」を行う義務もあり、これを怠ると罰則や改善命令の対象となる可能性もあります。
つまり、在留資格の更新は単に「個人の問題」ではなく、企業の管理体制が問われる問題でもあるのです。
更新忘れ防止のための社内スケジュール管理
在留資格の失効を防ぐためには、更新スケジュールの見える化と共有が重要です。
具体的には以下のような施策が効果的です。
- 人事管理システムやカレンダーアプリで更新期限を一括管理
- 更新3か月前・1か月前・1週間前にリマインド通知を設定
- 定期的なチェックミーティングを設ける
また、新入社員の在留期限を採用時点で登録する仕組みを整えることで、更新漏れのリスクを根本から減らすことが可能になります。
これらの管理を怠ると、万が一失効した場合には従業員本人だけでなく、企業の雇用責任にも波及する恐れがあります。
◆企業の支援が外国人雇用の信頼を築く
外国人従業員の在留資格申請を支援することは、雇用継続と法令遵守の両面で極めて重要な企業の責任です。
申請支援体制の整備・情報の一元管理・更新スケジュールの可視化といった地道な取り組みが、外国人材との信頼関係を築き、定着率を高める鍵となります。
今後、オンライン申請がさらに拡充されることで企業側の関与はより高度化する可能性があるため、今からの準備と社内意識の醸成が不可欠です。
適切な支援体制が整えば、外国人従業員にとっても企業にとっても、よりスムーズな在留資格運用が実現できるでしょう。
今後の入管行政とオンライン申請の未来
在留資格のオンライン申請が一部解禁されたことで、入管手続きは着実にデジタル化へと進んでいます。
特に企業が外国人材を受け入れる上で、手続きの効率化や透明性の向上は大きなメリットとなるでしょう。
しかし現状では、すべての申請がオンラインで完結できるわけではなく、制度上の課題も残されています。
このセクションでは、今後の入管行政がどのように進化するのか、マイナンバーとの連携やAIの活用など、未来の可能性と残された課題をわかりやすく解説します。
マイナンバー連携やAI活用の可能性
今後の行政手続きにおいて、マイナンバー制度のさらなる連携が鍵となります。
たとえば以下のような展開が期待されています。
- 申請書類とマイナンバー情報の紐付けによる審査の簡素化
- 就労状況や納税情報の自動参照による不正防止
- AIによる書類チェック・自動入力補助によって、誤記や不備の削減が可能に
これにより、企業担当者や外国人本人の負担軽減と、入管審査の迅速化が期待できるでしょう。
現在は手動入力やアップロード作業が中心ですが、将来的には申請プロセスの多くが自動化される見通しです。
すべての手続きがオンライン完結になる日は来るのか?
2024年時点では、オンライン申請できる在留資格や手続きには制限があり、完全オンライン化にはまだ時間がかかるのが実情です。
しかし、以下のような流れが進んでいます。
- 在留期間更新・資格変更・一部永住申請の電子申請対応
- 在留カードの情報更新も段階的にオンラインへ移行
- 入管庁が目指す「行政手続きのデジタル原則化」
現段階では「本人確認」「原本提出」「印鑑押印」などアナログな要素が根強く残っていますが、法改正や省令の見直しが進めば、近い将来、すべての手続きがオンラインで完結できる時代が現実になる可能性もあります。
外国人材受け入れ体制とデジタル化の課題
入管行政のオンライン化が進む一方で、制度整備と現場のデジタル対応力のギャップも課題として浮かび上がっています。
- 中小企業や地方企業では、ITスキルや設備が不足していることも
- 外国人材本人が日本語やITに不慣れな場合、誤申請のリスクが高まる
- 法令理解や更新管理を担当する人材育成が追いついていない現状
そのため、今後は単なる「手続きのオンライン化」だけでなく、利用者目線でのサポート体制や、行政・企業・個人をつなぐインフラの整備が不可欠です。
特に教育機関や行政書士の果たす役割もより重要になるでしょう。
◆入管行政の未来は“利便性”と“信頼性”の両立へ
在留資格に関するオンライン申請の普及は、単なる申請手続きの簡略化にとどまらず、外国人材が安心して日本で働き暮らせる環境づくりにもつながります。
マイナンバー連携やAI活用による自動化が進めば、申請の精度とスピードは飛躍的に向上するでしょう。
ただし、すべての手続きがオンラインで完結する未来を実現するには、企業・行政・外国人本人の三者が共に制度を理解し、デジタル環境に対応できることが前提です。
この“移行期”を乗り越えることが、日本社会全体の国際化と持続可能な人材受け入れ体制の鍵となるはずです。
まとめ|在留資格更新は“オンライン対応”で変わる外国人支援のこれから
在留資格の更新や変更手続きは、これまで煩雑な書類準備と入管への来庁が必要でしたが、オンライン申請の普及によりその風景は大きく変わろうとしています。
対応可能なビザ種別も徐々に拡大しており、企業・本人の負担軽減や、業務効率化に貢献する制度として注目されています。
もちろん、オンライン申請には「すべてが簡単に済むわけではない」側面もあります。
書類の不備による差し戻しや、本人確認の方法、システム障害時の対応など、注意すべきポイントも多く存在します。
とくに企業が外国人従業員を支援する立場であれば、適切な社内体制や申請スケジュールの把握が今後ますます重要になるでしょう。
将来的には、マイナンバーとの連携やAIによる入力補助といったより高度な電子行政の導入も進むと予想されます。
そのため、今のうちにオンライン手続きの基本を理解し、確実に運用できるよう準備しておくことが、外国人材との信頼関係や企業の信頼性にも直結するはずです。
制度の理解とデジタル活用の両立こそが、これからの“外国人材活用”の鍵を握る要素です。
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