外国人雇用についてまるっと解説外国人雇用のための情報サイト

05/08 (木)更新

特定技能1号から2号へ転換するには?試験・申請書類・期間のすべて

企業が外国人材の長期雇用を見据えるうえで注目されているのが、「特定技能2号」への移行です。

 

特定技能1号は原則として最長5年間の在留が可能な一方、2号では在留期間の更新が認められ、家族帯同や永住への道も開けるため、キャリアアップを目指す外国人にとっても大きな転機となります。

 

しかし、制度の複雑さや分野ごとの条件の違い、企業側の準備不足が壁となり、移行がスムーズに進んでいない現場も少なくありません。

 

本記事では、特定技能1号と2号の制度比較から、移行の流れ・申請書類・受け入れ企業が今から整えておくべき準備まで、実務レベルでわかりやすく解説します。

 

「2号に転換したいけど、まず何をすれば?」という疑問を解決したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

特定技能制度の概要と導入背景

少子高齢化が進む日本において、深刻な人手不足はもはや避けられない課題となっています。

 

とくに建設や介護、外食などの現場では慢性的な労働力不足が続いており、その解決策として注目されているのが「特定技能制度」です。

 

この制度は、外国人材を即戦力として受け入れるために設けられた新たな在留資格で、2019年の導入以来、企業と外国人の双方にとって重要な制度として機能しています。

 

ここでは、まず特定技能制度の基本と導入の背景を解説し、制度の全体像をわかりやすく把握できるように整理します。

 

制度理解の第一歩として、ぜひ押さえておきたい内容です。

特定技能制度とは何か?

特定技能制度とは、2019年4月に導入された外国人のための在留資格の一つで、日本国内の深刻な人手不足に対応するために創設されました。

この制度では、一定の専門性や技能を有し、即戦力として働ける外国人が、特定の分野で就労できるようになります。

制度は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2段階に分かれており、1号では現場作業を中心とする14分野での就労が認められ、在留期間は最長5年。

一方で、より高度な技能を求められる2号では、在留期間の更新が可能で、家族帯同や永住の申請も視野に入ります。

特定技能制度の大きな特徴は、外国人に対して就労機会を広げると同時に、日本の中小企業が直面している労働力不足を補う制度として設計されている点です。

従来の技能実習制度よりも実践的で、より柔軟な受け入れが可能となっています。

また、外国人労働者の生活面でのサポートを目的とした「登録支援機関」制度も併せて導入されており、受け入れ企業がすべてのサポートを担わずとも、外部機関と連携して支援体制を整えることができる仕組みになっています。

制度の基本を理解することが第一歩

特定技能制度は、日本の社会課題である労働力不足に対応するための制度として、今後ますます重要性を増していきます。
制度の仕組みや特徴を正しく理解することで、外国人材の活用と円滑な受け入れの第一歩を踏み出すことができるでしょう。
次のセクションでは、特定技能1号と2号の具体的な違いについて掘り下げていきます。

特定技能1号と2号は何が違う?制度の4つの重要ポイントを比較解説

外国人材の受け入れ制度として注目されている「特定技能制度」には、「1号」と「2号」という2つの区分があります。

 

しかし、その違いを正確に理解している企業担当者や求職者は意外と少ないのが現状です。

この2つの在留資格は、在留可能な期間、永住の可能性、家族の帯同可否、求められる技能水準といった点で大きな違いがあります。

 

この記事では、特定技能1号と2号の具体的な違いをわかりやすく解説し、どちらの制度が自社や本人に適しているのかを見極めるための参考情報をお届けします。

在留できる期間に違いがある

特定技能1号は、最長5年間の在留が可能ですが、更新には条件があり、その期間を超えて滞在することは原則できません。

一方、特定技能2号は在留期間の更新に制限がなく、事実上の長期在留が可能です。

この違いにより、将来設計やキャリア形成にも大きく影響します。

永住権の取得に大きく関わる

特定技能1号では、永住権の取得は原則困難とされています。

しかし、特定技能2号になると、在留実績や条件を満たせば永住申請の対象となる可能性が出てきます。

長期にわたって日本で生活したい外国人にとっては重要な選択ポイントです。

家族を呼べるかどうかの違い

特定技能1号では家族の帯同は基本的に認められていませんが、特定技能2号では家族の帯同が可能になります。

これは外国人材にとって日本での生活の安定性や満足度を大きく左右する要素であり、受け入れ企業にとっても定着率に関わる重要な違いです。

求められる技能レベルが異なる

1号は基礎的な日本語能力と実務技能を証明できれば取得可能で、比較的間口が広い一方、2号では高度な熟練技能が求められます。

2号への移行には、特定技能2号試験に合格する必要があり、技能水準の高さがハードルとなります。

 

特定技能1号と2号は、制度の根本的な役割から運用条件まで、さまざまな点で異なります。
特に在留期間、家族帯同、永住権、技能水準という4つのポイントは、企業にとっても外国人本人にとっても重要な判断材料です。
自社に必要な人材がどちらの制度に適しているのかを見極めることが、安定した雇用と長期的な戦力確保につながります。

より詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ

🔗 これを読めば大丈夫!特定技能1号の制度全体と取得条件を完全解説
🔗 企業も必見!特定技能2号取得に向けた人材育成と支援のポイント

特定技能2号の拡大と対象分野

2023年に行われた法改正により、特定技能2号の対象分野が大幅に拡大されました。

 

これまで「建設」と「造船・舶用工業」に限定されていた就労分野が、今後は12分野すべてへの拡大を視野に入れた制度改革が進められています。

 

外国人材の長期的雇用と人手不足解消を同時に狙うこの拡大は、企業側にも大きな影響を与える内容となっています。

特定技能2号の対象分野

現在、特定技能2号での就労が可能な分野は以下のとおりです。

  • 建設業

  • 造船・舶用工業

そして、今後拡大が予定されている分野には以下の10分野が含まれています。

  • 農業

  • 漁業

  • 飲食料品製造業

  • 外食業

  • 介護

  • ビルクリーニング

  • 素形材産業

  • 産業機械製造業

  • 電気・電子情報関連産業

  • 自動車整備

これにより、特定技能1号の対象だった全12分野で、2号への移行が可能となる見込みです。

分野拡大の背景と目的

この制度変更の背景には、以下のような目的があります。

  • 慢性的な人手不足の解消 – 労働力確保が困難な業界が、外国人材を長期的に雇用しやすくなる

  • 優秀な外国人材の定着促進 – 家族帯同や永住申請の道が開かれることで、働く側にとっても魅力が増す

  • 雇用の安定化 – 特定技能2号により、外国人材を長期的な戦力として育成・活用できるように

政府としても、技能実習からのスムーズな移行先として特定技能2号を位置づけ、制度設計の見直しを進めています。

特定技能2号の分野拡大は、日本の将来的な労働力確保に向けた重要な政策転換の一つです。
対象分野の広がりによって、より多くの企業が長期的な外国人雇用の道を選べるようになり、外国人材にとっても生活の安定とキャリア形成のチャンスが広がります。
企業側としては、早めに制度の最新情報を把握し、受け入れ体制の見直しを進めることが求められます。

特定技能1号から2号への移行方法

特定技能1号で就労している外国人材にとって、「特定技能2号」への移行は日本での長期的な就労を目指すうえでの重要なステップです。

 

2号に移行することで在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も可能となるなど、生活の安定性が大きく向上します。

 

ここでは、1号から2号へ移行するために必要な要件と、実際の手続きの流れについてわかりやすく解説します。

移行のための要件

特定技能1号から2号へ移行するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 対象分野での実務経験を一定期間積んでいること(目安:2年以上)

  • 特定技能2号の技能評価試験に合格していること

  • 日本語能力試験は不要(特定技能2号では要件に含まれていない)

  • 引き続き2号対象分野で雇用されることが見込まれている

なお、2号が認められているのは2024年時点で「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみです。ただし今後は分野拡大が予定されており、対象者は増える見込みです。

在留資格変更の手続き

移行にあたっては、以下のような在留資格変更手続きを行います。

  1. 雇用先企業との新たな契約締結  - 雇用条件が明示されている契約書の作成が必要

  2. 必要書類の準備  - 企業側:雇用契約書、支援体制の書類、業務内容証明書など  - 外国人側:在留カード、パスポート、2号試験合格証明書、履歴書など

  3. 入国管理局への在留資格変更申請  - 地方出入国在留管理局にて申請。審査には通常1~3か月程度かかります

  4. 許可が下り次第、2号としての就労開始が可能  - 許可後、新たな在留カードが発行されます

注意点として、審査中の期間は「就労不可」になる場合があるため、スケジュール調整や生活費の確保なども重要です。

特定技能1号から2号への移行は、外国人本人にとって生活の安定、企業にとっては長期雇用による戦力化を実現できる大きなチャンスです。
ただし、試験合格や手続き準備など事前にクリアすべきハードルも多いため、早めの情報収集と段取りが成功の鍵となります。
制度の最新情報をチェックし、企業と外国人材が協力してスムーズな移行を目指しましょう。

特定技能2号取得のメリットと注意点

特定技能2号は、外国人が日本で長期的に働くための重要な在留資格です。

 

特定技能1号と比べて制度上の制限が大幅に緩和されており、本人にとっては生活の安定、企業にとっては戦力の定着という大きなメリットがあります。

 

しかしその一方で、制度的な違いや注意すべき点も存在します。この章では、特定技能2号のメリットと注意点を整理して解説します。

在留期間と永住権の取得可能性

特定技能2号の最大のメリットのひとつが「在留期間の上限がないこと」です。

特定技能1号では在留できる期間は最長5年に制限されていますが、2号は更新を繰り返すことで無期限での滞在が可能となります。

さらに、永住権の申請対象にもなれるというのは大きな魅力です。

一定期間の就労実績や納税状況を満たせば、将来的に日本での定住も現実的に視野に入ってきます。

企業側の支援義務の違い

特定技能1号では企業に対し、外国人材への生活支援が義務づけられています(例:住居の確保、相談対応、日本語学習機会の提供など)。

一方で、特定技能2号に移行すると企業側の支援義務は免除されます。

これは外国人本人が「高度な技能を持ち、日本の生活にも自立して対応できる」とみなされるためです。

しかし、支援が不要になるからといって、雇用管理を怠ると離職やトラブルの原因になる可能性もあるため、2号取得後も丁寧なコミュニケーション体制は維持することが理想的です。

特定技能2号の取得は、外国人材にとっては日本での長期定着を実現する大きな一歩であり、企業にとっても安定的な雇用体制を築く好機となります。
一方で、支援義務がなくなることで、受け入れ側の姿勢が問われる場面もあるため、制度の本質を正しく理解したうえで活用することが重要です。
長期的な人材戦略の一環として、2号の活用を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。

制度に振り回されない!受け入れ企業が“今から準備すべき”実務リスト

特定技能2号の対象分野拡大に伴い、多くの企業が今後の人材戦略を見直すタイミングに差し掛かっています。

 

しかし、「制度変更を待ってから考える」では遅く、受け入れ企業が今から準備すべきことは数多く存在します。

 

この章では、今後の採用や制度運用に向けて、企業が具体的に取り組むべき実務を“リスト形式”で整理し、制度に振り回されず安定した外国人雇用を継続するためのヒントを提供します。

2号試験対策サポートの整備

特定技能2号を取得するためには、分野ごとの技能試験に合格する必要があります。

企業としては、従業員が試験に挑戦できるように学習環境の整備や試験日程の情報提供、受験費用の補助など、計画的な支援が求められます。

一例としては以下のような対応が有効です。

  • 日本語または母国語での試験ガイドの配布

  • 模擬試験の実施や外部講師との連携

  • 試験会場までの交通支援や勤務調整 など

事前に「試験に向けた社内マニュアル」を用意しておくことで、複数名の社員に対応する際にもスムーズな運用が可能になります。

書類・計画書・支援体制の「チェックリスト」

特定技能1号から2号への移行には、申請書類や契約書の見直し、支援体制の再整備など、細かな実務対応が多数発生します。特に初めて2号の雇用を行う企業は、以下のようなチェックポイントを意識して準備を進めましょう。

  • 就業条件の見直し(契約内容、勤務時間、待遇など)

  • 支援体制が不要になることに備えた雇用管理マニュアルの整備

  • 建設特定技能受入計画の更新または提出

  • 登録支援機関との連携内容の確認

  • 必要書類リストの管理・提出期限の明確化

事前に「移行チェックリスト」を作成し、担当者間で共有しておくことで、申請漏れや準備不足を防ぐことができます。

特定技能制度は、改正や運用ルールの変化が定期的に発生する制度です。だからこそ、受け入れ企業は“後手対応”ではなく“先手の備え”を意識する必要があります。
今から試験サポートや書類・体制の整備に着手しておくことで、特定技能2号へのスムーズな移行が可能となり、長期的な人材確保にもつながります。
制度に振り回されない体制づくり、今こそ始めてみましょう。

まとめ|特定技能2号への理解と対応が、企業の安定採用を支えるカギ

特定技能2号の拡大は、外国人材の長期的な就労を可能にし、企業にとっても即戦力を安定的に確保できる大きなチャンスです。

 

しかしその一方で、制度の違いや移行の要件、書類準備、支援体制など、対応すべき実務は多岐にわたります。

 

「なんとなく制度を知っている」では対応しきれず、制度への理解を深め、戦略的に準備することが重要です。

 

1号から2号への移行をスムーズに進めるためにも、定期的な情報のアップデートと、社内体制の整備を怠らないようにしましょう。

 

特定技能制度を「ただの制度」で終わらせず、「人材定着の強力な武器」として最大限に活用していくことが、今後の企業の競争力を高める鍵となるでしょう。

 

ジャンル別記事

アクセスランキング

まだデータがありません。

  • 監修弁護士

外国人雇用のお悩み・ご検討中の方はお問い合わせください!