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05/08 (木)更新

技能実習と特定技能の違いとは?移行するために知っておきたい制度と手続き

日本で働く外国人にとって、「技能実習」と「特定技能」は大きな就労制度の柱です。

中でも、技能実習制度で経験を積んだ方が「特定技能」へと進む道は、今や多くの外国人にとって現実的なキャリアステップとなっています。

しかし、

「制度の違いがよく分からない」

「移行するには何が必要?」

「自分にできるのか不安」

といった悩みや疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。

制度の複雑さや、正しい情報の少なさが、不安や混乱を生む原因となっているのが実情です。

本記事では、「技能実習制度」と「特定技能制度」の基本的な違いから、移行の具体的な条件や手続き、成功事例、そして安心してキャリアを描くための情報収集の方法まで、わかりやすく丁寧に解説します。

制度を正しく理解することで、自分に合った働き方や進路を安心して選ぶことができます。将来の選択肢を広げるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

技能実習制度とは?

日本には、外国人が働きながら技術や知識を学び、それを母国の発展に活かすことを目的とした「技能実習制度」があります。

この制度は1993年に創設され、特にアジア諸国から多くの若者が日本に渡り、現場での実践を通じてスキルを身につけています。

ここでは、制度の目的や仕組み、実際の仕事内容、メリット・デメリット、そして現在の課題までをわかりやすく整理してご紹介します。

技能実習制度の目的と特徴

技能実習制度の主な目的は、「日本で習得した技能を母国に持ち帰り、その国の経済発展に貢献すること」です。

つまり、労働力の確保ではなく、国際協力や人材育成の側面が強調されています。

この制度の特徴は、あくまでも「学びの場」として位置づけられている点です。

実習生は、企業での就労を通じて技術を学びながら、3〜5年間を日本で過ごすことになります。

技能実習生の仕事内容と分野

技能実習の対象となる分野は、厚生労働省・法務省によって定められており、主に以下のような職種が含まれます。

  • 建設
  • 農業・漁業
  • 食品製造
  • 機械・金属加工
  • 介護
  • 繊維・衣服関係 など

実習生は、企業が指定した作業に従事しながら、その業界で必要な技能・知識を段階的に習得していきます。

配属される職種によって、求められる作業内容や安全管理、言語スキルなども異なります。

技能実習制度の期間とステージ

技能実習制度は、3つのステージに分かれています。

  1. 技能実習1号(1年目)基礎的な知識と技能の習得期間
  2. 技能実習2号(2〜3年目)より実践的な技能の習熟を目的とする
  3. 技能実習3号(4〜5年目)優良な実習実績がある場合に限り延長可能

制度の進行に伴って求められる能力も高くなり、3号に進むには企業側の条件も厳しく設定されています。

また、多くの実習生は2号修了時に「特定技能1号」への移行を検討するケースが増えています。

技能実習制度のメリットとデメリット

【メリット】

  • 日本の現場で実践的な技術が学べる
  • 滞在期間中に日本語能力や社会経験が向上する
  • 帰国後、母国での就職や起業に有利になる

【デメリット】

  • 転職ができない(原則として同一企業に継続勤務)
  • 実習という名目でありながら、労働者としての権利が不明確な面がある
  • 一部の悪質な受け入れ企業による人権侵害や劣悪な環境が社会問題になっている

制度の理念と実際の現場にギャップがあるという声もあり、制度運用の見直しが求められています。

技能実習制度の問題と改善点

技能実習制度は長年にわたり多くの成果を上げてきましたが、近年では以下のような問題点が指摘されています。

  • 実習生に対する長時間労働や低賃金、ハラスメント
  • 技能の習得というより、単純労働者として扱われているケース
  • 言語の壁や相談窓口の不足による孤立とトラブルの増加

これらの問題を受け、日本政府は制度の改善に着手しており、監理団体の指導強化や企業評価制度の導入、受け入れ機関の認定厳格化などが進められています。

また、将来的には技能実習制度そのものを見直し、より実効性の高い制度への移行も検討されています。

技能実習制度は、本来「学びと成長」を目的とした国際協力の制度です。
制度を正しく理解し、適切な環境で経験を積めば、確かな技術と知識を身につけることができます。
ただし、現場での課題や制約もあるため、制度の仕組みと現実のギャップを理解したうえで、自分のキャリアにどう活かすかを考えることが大切です。

特定技能制度とは?

特定技能制度とは、日本で深刻化する人手不足に対応するために、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が働けるよう設けられた在留資格です。

2019年にスタートした比較的新しい制度で、技能実習制度とは異なり、即戦力として働くことを前提とした就労ビザとなっています。

特定技能には「1号」と「2号」があり、それぞれ条件や就労内容、在留期間に違いがあります。

  • 特定技能1号主に12の産業分野(介護、建設、農業、宿泊業など)で、一定の技能試験と日本語試験に合格した人が対象。最大5年間の在留が可能です。
  • 特定技能2号特に高度な技能を持つ人材が対象。建設業や造船業などの分野に限られますが、在留期間の制限がなく、家族の帯同も可能です。

この制度は、技能実習からの移行も想定されており、すでに日本で働いた経験がある外国人にとって、キャリアアップの選択肢として注目されています。

受け入れ企業にとっても、長期的な人材確保や現場の安定化につながる制度です。

より詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。

👉 これを読めば大丈夫!特定技能1号の制度全体と取得条件を完全解説
👉 企業も必見!特定技能2号取得に向けた人材育成と支援のポイント

技能実習から特定技能への移行

日本で働く外国人の多くが、まずは技能実習生として来日し、実務経験を積んでいます。

そして最近では、技能実習で得た知識やスキルを活かして「特定技能」に移行し、より安定した働き方や長期的なキャリアを目指す人が増えています。

このセクションでは、技能実習から特定技能へ移行するための具体的な条件や手続き、メリット、注意点、そして成功のヒントまでをまとめてご紹介します。

移行のための手続きと必要条件

技能実習から特定技能1号へ移行するには、以下の2つの条件のうちいずれかを満たす必要があります:

  1. 技能実習2号を良好に修了していること
  2. 特定技能の技能試験と日本語試験に合格していること

特に1番目の「技能実習2号修了者」は、技能・日本語試験の免除対象となるため、スムーズに移行しやすいとされています。

ただし、修了が「良好」と認められるためには、実習成績・勤務態度・在留状況などが適正である必要があります。

移行手続きとしては、在留資格変更許可申請を出入国在留管理局に提出します。

必要書類には雇用契約書、修了証明書、企業情報、申請書類などがあり、提出ミスがないよう十分な確認が求められます。

技能実習から特定技能へのメリット

技能実習から特定技能へ移行することには、多くのメリットがあります。

  • 転職が可能になる(業種内に限る)
  • 最長5年間の就労が認められる
  • 技能実習よりも待遇や賃金が向上しやすい
  • ステップアップとして、特定技能2号や永住も視野に入る

とくに、働く自由度とキャリアの可能性が広がる点は大きな魅力です。

技能実習では転職できませんが、特定技能では同一分野内での転職が許可されており、自分に合った職場を見つけるチャンスが生まれます。

移行に伴う注意点とリスク

移行に際しては、以下のような注意点があります。

  • 手続きの不備による不許可リスク
  • 特定技能としての雇用条件が技能実習と異なること
  • 就職先企業が支援体制を整えていない可能性がある
  • 移行後も日本語や技能レベルの継続的な努力が必要

また、移行後は技能実習のような監理団体によるサポートがなくなるため、自分で情報を集めたり、相談機関を活用したりする姿勢も重要です。

成功事例から学ぶ移行のポイント

【事例】
ベトナム出身のTさんは、食品製造業で3年間技能実習を行い、その後、同じ会社で特定技能として採用されました。
技能実習中から日本語の勉強を続け、職場でも責任ある仕事を任されていたことが評価され、移行がスムーズに進んだとのことです。

このように、日頃の仕事ぶりと日本語能力、企業との信頼関係が大きく影響することがわかります。

移行を考えるなら、技能実習中から準備を始めることが成功への近道です。

移行前に考慮すべきキャリアプラン

特定技能への移行はゴールではなく、次のキャリアのスタート地点です。

そのため、事前に以下のような視点で将来を考えることが大切です。

  • 日本で長く働きたいのか、いずれ帰国して活かしたいのか
  • 特定技能2号や永住を目指す意志があるか
  • 技能をさらに高めるための学習や資格取得の計画
  • 自分の生活基盤(住居・家族・収入)をどう安定させるか

働く目的や将来の方向性が明確になることで、移行先の選び方や努力の内容も変わってきます。

自分の人生にとって何がベストかを考えることが、制度を活用するうえでの大きな武器になります。

技能実習から特定技能への移行は、多くの技能実習生にとって実現可能な選択肢です。
しっかりと制度を理解し、条件を満たし、準備を整えることで、より自由で安定した働き方へのステップアップが可能になります。
自分の努力次第で未来は変えられます。大切なのは、情報を正しく知り、早めに行動することです。

特定技能と技能実習はどう違う?制度の違いを比較

技能実習制度と特定技能制度は、どちらも外国人が日本で働くための仕組みですが、その目的や在留条件、働き方には明確な違いがあります。

これらを混同してしまうと、せっかくのキャリアチャンスを見逃してしまう可能性も。

そこで、制度の違いをわかりやすく整理した比較表をご用意しました。

自分に合った制度を選ぶためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

技能実習と特定技能の比較表

比較項目

技能実習制度

特定技能制度

制度の目的

技能移転による国際貢献(開発途上国支援)

即戦力人材の受け入れによる人手不足対策

受け入れ人数

企業規模・職種ごとに制限あり(団体管理中心)

分野ごとに国が設定した上限人数に基づく

受け入れ方法

監理団体を通じた受け入れが主流(送り出し機関経由)

企業が直接雇用、または登録支援機関を通じて採用可能

就労範囲

実習計画に基づく限定的な作業

分野内であれば幅広い実務が可能

在留期間

最大5年(1号:1年、2号:2年、3号:2年 ※条件付き)

1号:最大5年/2号:制限なし・更新可能

転職の可否

原則不可(同一企業での継続が前提)

同一分野内であれば転職可能

家族の帯同

原則不可

1号:不可/2号:配偶者・子どもの帯同が可能

この表からわかるように、技能実習制度は「学ぶこと」を前提とした制度であるのに対し、特定技能制度は「働くこと」が主目的です。

どちらが優れているというよりも、目的や将来の希望に応じて選ぶべき制度が異なるということです。

たとえば「母国に帰って技術を活かしたい人」には技能実習が、「長く日本で働きたい人」には特定技能が向いているかもしれません。
制度の違いを正しく理解することが、安心して進路を考える第一歩です。

制度ごとのサポートと情報収集の方法

技能実習と特定技能、どちらの制度を選ぶにしても、重要なのは「自分で制度を理解し、必要な情報を正しく得ること」です。

制度は複雑で、時には変更もあるため、信頼できる情報にアクセスし、適切な支援を受けることが将来の安心につながります。

ここでは、制度別の支援体制、情報収集の方法まで、不安なく制度を活用するための手段を紹介します。

技能実習制度に関する公的サポート

技能実習制度は、外国人が安心して実習に取り組めるよう、監理団体が間に入り、受け入れ企業と実習生を支援します。

主な役割は以下の通りです。

  • 受け入れ計画の作成と進捗管理
  • 実習内容や生活環境のチェック
  • 実習生への生活指導や相談対応

また、外国人技能実習機構(OTIT)が制度全体の監督を行っており、不正がないかチェックし、実習生からの相談も受け付けています。

特定技能制度に関する支援体制

特定技能制度では、1号で働く外国人を受け入れる企業に、生活支援の義務があります。

内容は次の通りです。

  • 空港からの送迎、住居の確保支援
  • 生活オリエンテーションの実施
  • 日本語学習の支援
  • 相談・苦情対応体制の整備

こうした支援は、企業が直接行うか、登録支援機関に委託して行うことができます。

支援が適切に実施されていない場合は、出入国在留管理庁に指摘され、制度利用の継続が難しくなることもあります。

信頼できる情報源の見つけ方

情報収集で大切なのは、「正しく、最新で、信頼できる情報を得ること」です。

制度に関する噂やSNSの投稿など、不確かな情報に頼ると、誤解や失敗の元になります。

信頼できる主な情報源は以下の通りです。

  • 出入国在留管理庁(入管)公式サイト
  • 法務省、厚生労働省の制度ページ
  • 外国人技能実習機構(OTIT)
  • 各自治体の外国人支援センター
  • 日本語・多言語対応の行政書士事務所やNPO法人

公式情報は更新されるため、定期的にチェックする習慣が大切です。

相談窓口の利用方法とその効果

日本には、外国人特定技能実習生向けの相談窓口が多く設けられています。

制度に関することだけでなく、生活や仕事の悩みも相談可能です。

代表的な窓口

  • 外国人在留支援センター(FRESC)
  • 外国人総合相談センター(出入国在留管理庁)
  • 自治体の国際交流協会や市役所の外国人支援窓口

これらの機関では、多言語対応が進んでおり、言葉に不安がある人でも相談しやすい環境が整っています。

ひとりで悩まず、気軽に相談することが問題解決の近道です。

オンラインリソースを活用する方法

最近では、特定技能や技能実習に関する情報を発信するオンラインツールや教材も充実しています。

  • YouTubeでの日本語・技能学習動画
  • eラーニング教材(技能試験・日本語試験対策)
  • LINEやFacebookの公式情報チャンネル
  • 政府や登録支援機関のオンライン説明会

特に動画やSNSを使った情報提供は、視覚的で理解しやすく、忙しい中でも効率よく学べるのが魅力です。

制度の理解と情報収集は、将来の不安を減らし、より良い選択をするための土台になります。
技能実習・特定技能どちらの制度にも、支援制度や相談窓口が存在しており、それらを上手に活用すれば、困ったときも安心して対応できます。
信頼できる情報にアクセスし、自分に合った道を選ぶための準備を始めましょう。

まとめ:制度を正しく知ることが、未来の選択を変える

技能実習と特定技能は、いずれも日本で働く外国人技能実習生にとって大きな可能性をもたらす制度です。

しかし、その目的・仕組み・在留条件・支援体制には明確な違いがあり、適切に理解していなければ、誤った選択や不必要な不安を招いてしまうこともあります。

本記事では、両制度の違いをはじめ、技能実習から特定技能へ移行するための手順やメリット、注意点、支援情報までを網羅的にご紹介しました。

大切なのは、与えられた制度にただ従うのではなく、「自分の目的に合った制度を選び、正しい情報をもとに前へ進むこと」です。

将来をどう描きたいか、日本でどのように働き、どんな生活を送りたいか、その答えは人それぞれですが、制度への理解と行動の積み重ねが、必ずその選択を支えてくれるはずです。

不安があっても大丈夫。

今日知った情報が、あなたの未来を変える一歩になります。


自分の力を信じて、一歩ずつ進んでいきましょう。

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