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12/23 (火)更新

留学生のアルバイトはどこまでOK?働ける条件・時間・注意点を徹底解説

日本では多くの外国人留学生が学業と並行してアルバイトを行い、生活費や学費を支えています。

コンビニや飲食店、物流・介護業など、幅広い業界で外国人留学生の存在は欠かせないものになっていますが、一方で「週に何時間まで働けるのか」「資格外活動許可は必要か」など、働くためのルールを正しく理解していないケースも少なくありません。

アルバイト中の法令違反や、雇用主側の管理ミスによるトラブルは、留学生本人の在留資格に影響を与える重大な問題になることもあります。

そのため、働く側・雇う側の双方が正しい知識を持ち、制度に沿った形で就労を行うことが求められます。

この記事では、留学生が日本でアルバイトをする際の条件・手続き・注意点をわかりやすく解説します。

さらに、特定技能や就職につながるキャリア形成の視点も交え、安心して働ける環境づくりのヒントを紹介します。

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留学生がアルバイトできる条件とルール

日本でアルバイトを希望する留学生は、「在留資格」や「労働制限」などの法律上のルールを正しく理解する必要があります。

これらを知らずに働くと、不法就労に該当する可能性もあるため注意が必要です。

ここでは、留学生が合法的にアルバイトを行うための基本条件とルールを整理します。

在留資格「留学」とは?就労が制限される理由

留学生が日本に滞在する際の在留資格は「留学」です。

この資格は学業を目的とした滞在を前提としており、就労(アルバイト)は本来許可されていません。

ただし、一定の条件下で「資格外活動許可」を取得すれば、学業の妨げにならない範囲でのアルバイトが認められます。

このため、アルバイトが本業のようになってしまうと「在留資格の目的から逸脱」と見なされ、最悪の場合は在留資格の取り消しにつながるリスクがあります。

資格外活動許可が必要になる仕組み

留学生が働くためには、必ず「資格外活動許可」を得なければなりません。

これは、出入国在留管理庁(入管)から”勉強以外の活動をしてよい”と認められる特別な許可です。

申請方法には2種類あり、

  • 包括許可:アルバイト全般を対象に一度の申請で許可される
  • 個別許可:特定の企業や活動ごとに個別に許可を受ける

多くの留学生は包括許可を取得しています。

許可を得ずに働くと不法就労となり、本人だけでなく雇用主も罰せられる可能性があります。

許可なしで働いた場合の違法リスクと罰則

資格外活動許可を取らずに働いた場合、入管法違反(不法就労)に該当します。

これにより、次のような厳しい処罰を受ける可能性があります。

  • 留学生本人:退去強制処分、在留資格の取り消し、再入国禁止
  • 雇用主:3年以下の懲役または300万円以下の罰金

「少しの時間だけ」「友人の紹介で」など、軽い気持ちで働いても違法行為に変わりはありません。

アルバイト開始前に、必ず在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に記載があるか確認しましょう。

週28時間ルールと長期休暇中の上限(週40時間)

留学生が働ける時間には明確な上限があります。

  • 通常の学期中:週28時間以内
  • 夏休み・春休みなどの長期休暇中:週40時間以内

この制限を超えると、資格外活動許可を持っていても違法となります。

特に複数のバイトを掛け持ちしている場合、全ての勤務時間を合計して28時間以内に収める必要があります。

ルールを守ることが信頼と安心の第一歩

留学生が日本で安心して働くためには、「在留資格」と「資格外活動許可」を正しく理解することが欠かせません。

週28時間ルールを守り、就労が学業の妨げにならないようバランスを取ることが重要です。

違法就労は自分の将来だけでなく、受け入れ企業の信用にも関わる問題です。

ルールを守ることで、安心して働きながら日本での学びと経験を充実させることができます。

資格外活動許可の申請方法と必要書類

資格外活動許可を取得すれば、留学生は合法的にアルバイトができるようになります。

ここでは、申請の流れや必要書類、注意点を詳しく見ていきます。

包括許可と個別許可の違い

資格外活動許可には大きく分けて包括許可個別許可の2種類があります。

区分内容主な対象者有効期間
包括許可学業に支障のない範囲での一般的なアルバイトを一括で許可大多数の留学生在留期間満了日まで
個別許可特定の職種や企業で働く場合に限定許可される研究・インターン・特別活動を行う学生など活動期間に応じて設定

多くの留学生は「包括許可」を取得しますが、大学が紹介するインターンシップや特定分野で働く場合は「個別許可」が必要になることもあります。

資格外活動許可の申請に必要な書類一覧

申請には、次のような書類が必要です。

  • 申請書(資格外活動許可申請書)
  • 在留カード(原本)およびパスポート
  • 在学証明書
  • 時間割や履修証明書(学業への支障がないことを確認するため)
  • 雇用先の概要書(個別許可の場合)

申請は、地方出入国在留管理局に直接提出します。

審査期間は通常2〜3週間程度です。

許可の有効期間と更新手続き

資格外活動許可の有効期間は、在留期間と同じです。

したがって、在留期間を更新する際には、資格外活動許可も同時に更新申請する必要があります。

許可証は在留カードの裏面に記載されるため、更新後も忘れずに確認しましょう。

留学生本人と雇用主が守るべき届出・管理義務

資格外活動許可を持っていても、留学生本人と雇用主の双方に遵守義務があります。

  • 留学生側:勤務時間の管理、在留カードの携帯、許可内容の把握
  • 雇用主側:在留カード・資格外活動許可の確認、勤務時間の管理、ハローワークへの届出

特に企業側が不法就労助長罪に問われるケースもあるため、雇用前の在留資格確認は必須です。

適切な申請と管理で安心して働ける環境を

資格外活動許可は、留学生にとって「日本で働くための鍵」となる制度です。

正しい手続きとルールの理解により、留学生は安心して働きながら学びを続けることができ、雇用主も法的リスクを回避できます

申請から更新までを確実に行い、学業・就労の両立を実現しましょう。

留学生に人気のアルバイト職種と実際の時給相場

留学生が日本でアルバイトを探す際、働きやすさ・採用されやすさ・柔軟なシフトが重視されます。

特に日本語レベルが初級〜中級の段階でも挑戦できる仕事は人気が高く、地域や職種によって時給にも大きな差があります。

ここでは、実際に留学生に選ばれているアルバイトの特徴と、時給の相場を詳しく見ていきましょう。

飲食・コンビニ・物流などの人気業種

留学生のアルバイトで最も多いのは、飲食業界・小売業(コンビニ)・物流関連(倉庫・仕分け)です。

これらの職種は、未経験でも始めやすく、短時間勤務にも対応している点が人気の理由です。

  • 飲食業(レストラン・ファストフード・居酒屋など)
    → 日本語を使う機会が多く、接客スキルを磨ける。チームワークが重視されるため、語学力アップにもつながる。
  • コンビニ・小売業
    → 全国各地で求人が多く、外国人スタッフも多い。夜勤のシフトは時給が高い傾向にある。
  • 物流・倉庫・清掃業務
    → 会話よりも作業中心で、日本語が苦手な人でも働きやすい。安定した時間帯での勤務が可能。

また、介護施設やホテル・観光業も外国人留学生の活躍が増えつつあります。

特に人手不足が深刻な分野では、語学学習を支援する環境も整備されてきています。

求められるスキルや日本語レベル

アルバイト先によって求められる日本語レベルは異なりますが、日常会話レベル(N3程度)があれば、多くの仕事に応募できます。

接客業や観光業ではN2以上の会話力が望まれ、正確な言葉遣いや文化理解が重要になります。

また、近年は外国人留学生にも以下のスキルが求められる傾向があります。

  • レジ操作・POSシステムの基本理解
  • 衛生管理や食品取り扱いの知識
  • 時間管理とチームワーク
  • 最低限のビジネスマナーや挨拶の習慣

日本語だけでなく、真面目さ・責任感・協調性が高く評価されるため、これらの姿勢が信頼につながります。

エリア別・業種別の平均時給の目安

エリアや職種によって、時給には大きな差があります。

以下は、2025年現在の目安です。

エリア平均時給(一般職)飲食・販売系物流・製造系深夜勤務
東京・神奈川・千葉・埼玉約1,150〜1,300円1,100〜1,250円1,200円前後1,350〜1,600円
名古屋・大阪・京都約1,050〜1,200円1,000〜1,150円1,100円前後1,300〜1,500円
地方都市・郊外約950〜1,100円900〜1,050円1,000円前後1,200〜1,400円

深夜勤務(22時〜翌5時)は25%割増のため、生活費を重視する留学生には人気があります。

ただし、学業とのバランスを崩さないよう注意が必要です。

働きやすさとスキルアップを両立する職場選びを

留学生にとってアルバイトは、生活費を支えるだけでなく、日本語力や文化理解を深める貴重な機会です。

給与やシフトの条件だけでなく、学業との両立が可能か・職場のサポート体制があるかも重要な判断基準となります。

自分に合った職種を選び、無理のない範囲で働くことが、留学生活をより豊かにしてくれるでしょう。

留学生を雇用する企業・店舗側の注意点

近年、外国人留学生をアルバイトとして採用する企業・店舗は増えています。

しかし、採用にあたっては法令遵守と適正な労務管理が不可欠です。

留学生の在留資格や労働時間の確認を怠ると、企業側が罰則を受けるリスクもあります。

ここでは、雇用主側が特に注意すべきポイントを整理します。

在留カードと資格外活動許可の確認

留学生を雇用する際は、必ず在留カードを確認し、「資格外活動許可」があるかをチェックします。

カード裏面に「資格外活動許可:許可(原則週28時間以内)」と記載されていれば、アルバイトが可能です。

記載がない場合は、本人に申請を促す必要があります。

また、雇用主は勤務シフトを管理し、週28時間を超えないように記録を残す義務があります。

複数店舗を掛け持ちしている場合は、全勤務時間を合計して確認しなければなりません。

労働条件通知書や雇用契約書の交付義務

留学生も労働基準法の適用を受けるため、労働条件通知書や雇用契約書の交付が必須です。

仕事内容、時給、労働時間、休憩、支払日などを明記し、本人が理解できる言語(日本語または英語など)で説明することが望まれます。

また、最低賃金・社会保険・労災保険などの適用も日本人従業員と同様です。

「外国人だから安く雇える」という誤った認識は、企業の信用失墜につながります。

違法雇用が発覚した場合の罰則とリスク

もし留学生が資格外活動許可を持たずに働いていた場合、雇用主は不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われます。

罰則は以下のとおりです。

  • 3年以下の懲役または300万円以下の罰金
  • 企業名の公表、行政指導・営業停止処分などの社会的信用失墜

さらに、悪質な場合には外国人本人が退去処分となり、企業側も入管の監視対象になる可能性があります。

ハローワークへの届出・管理体制の整備

外国人を雇用した場合、ハローワーク(公共職業安定所)への届出義務があります。

これは「外国人雇用状況の届出」と呼ばれ、雇用開始・終了の際に必ず提出する必要があります。

届出内容は、

  • 氏名・在留資格・在留期間
  • 勤務開始日・終了日
  • 事業所情報など。

違反すると最大30万円の罰金が科されることもあります。

法令遵守が留学生採用の信頼を築く

留学生を雇用する際は、「人手不足の補充」だけでなく、多文化共生の一環として受け入れる姿勢が大切です。

在留資格や労働条件をきちんと確認し、安心して働ける環境を整えることで、企業も長期的な信頼関係を築けます。

適正な雇用管理は、留学生にとっても企業にとっても、持続的な成長を支える基盤となるでしょう。

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留学生がアルバイトをする際の注意点とトラブル防止策

日本でのアルバイトは貴重な経験になりますが、ルールの理解不足や職場トラブルによってトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。

特に外国人留学生の場合、言語の壁や制度の違いから誤解が生じやすく、慎重な対応が求められます。

ここでは、留学生が安心して働くために押さえておくべき注意点と、よくあるトラブルの防止策を紹介します。

学業と仕事の両立の重要性

留学生の本分は「学業」です。

アルバイトは生活を支える手段のひとつですが、働きすぎて授業に出られなくなったり、成績が下がったりすることは避けなければなりません。

入管法では「学業に支障のない範囲」での就労が原則とされており、週28時間を超える労働は違法になります。

また、大学や日本語学校の中には出席率が一定以下になると在留資格更新が難しくなるケースもあります。

学業を優先する姿勢を崩さず、仕事と勉強のバランスを取ることが、安定した留学生活の第一歩です。

労働条件・残業・支払いの確認ポイント

アルバイトを始める前に、労働条件通知書や雇用契約書を必ず受け取ることが重要です。

そこには勤務時間・時給・休憩時間・残業の有無・支払い日などが明記されています。

これを確認しないまま働くと、賃金未払い・サービス残業・不当解雇などのトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

チェックすべきポイントとしては以下の通りです。

  • 時給が最低賃金を下回っていないか
  • 支払い日は明確か(月1回以上の支払いが義務)
  • 交通費や残業代の扱いがどうなっているか
  • 有給や休憩時間が適切に与えられているか

もし不明点があれば、労働基準監督署や外国人労働者向け相談窓口に相談しましょう。

ブラックバイト・仲介業者トラブルの回避法

一部の悪質な事業者や仲介業者は、外国人留学生を安い労働力として不当に扱うことがあります。

たとえば「資格外活動許可がないまま働かせる」「長時間労働を強制する」「給料を支払わない」などが典型的です。

これを避けるためには次のような対策が効果的です。

  • 在留カードや資格外活動許可を確認してくれる正規の職場を選ぶ
  • SNSや口コミサイトで評判を調べる
  • 紹介料を請求するブローカー的な仲介業者を避ける
  • 仕事を変える場合も、学校や友人など信頼できる人を通す

また、万が一トラブルに巻き込まれた場合は、外国人総合相談センター(Immigration Services Agency Support Center)などの公的窓口に相談することが推奨されます。

働く前に「確認」と「相談」を忘れずに

留学生が安全に働くためには、「契約内容の確認」「時間管理」「違法行為を避ける意識」が不可欠です。

少しでもおかしいと感じたら、ひとりで抱え込まず相談機関を頼りましょう。

学業を軸に、安心して働ける環境を整えることが、充実した留学生活への近道です。

日本でのアルバイト経験を将来につなげるために

アルバイトは単なる生活費の手段ではなく、将来のキャリア形成や社会経験の第一歩にもなります。

日本の企業文化に触れ、仕事の基本姿勢を学ぶことで、就職活動や今後の在留にも良い影響を与えることができます。

ここでは、アルバイトをキャリアにつなげるための考え方を紹介します。

アルバイトを通じて得られるスキルと人脈

留学生がアルバイトで得られる最大の成果は、日本社会での実践的なスキル人とのつながりです。

一例として、以下のような力が身につきます。

  • 敬語やビジネスマナーなど、職場での日本語運用力
  • チームで働くコミュニケーションスキル
  • 責任感や時間管理能力
  • 日本の職場文化・労働倫理の理解

また、同僚や上司との関係を築くことで、将来の就職活動の推薦や紹介につながるケースも少なくありません。

就職活動やキャリア形成に活かす方法

アルバイトでの経験は、履歴書や面接でアピールできる貴重な材料になります。

たとえば、「接客で学んだ日本語力」「困難を乗り越えたエピソード」などを具体的に話すことで、企業は実践的な対応力を高く評価します。

さらに、働いた業界の知識を活かし、特定技能ビザや在留資格『技術・人文知識・国際業務』へのステップアップを目指すことも可能です。

単なるアルバイト経験に留めず、将来のキャリア戦略として活用する姿勢が大切です。

日本で働き続けたい留学生が知っておくべき在留資格変更の流れ

留学期間終了後も日本で働きたい場合は、在留資格の変更手続きが必要になります。

主なルートは以下の通りです。

現在の資格変更後の資格主な要件
留学特定技能技能評価試験・日本語能力試験(N4以上)合格
留学技術・人文知識・国際業務大学・専門学校卒業+就職先の専門性が一致
留学経営・管理日本で起業・投資する計画書の提出

特に「特定技能」への移行は、介護・外食・宿泊など留学生が多い業界で活躍できる道として注目されています。

アルバイト経験を”未来のキャリア”へ変える視点を

アルバイトは、単にお金を稼ぐだけでなく、日本社会で学び、成長するチャンスでもあります。

学業と両立しながら働く中で得た経験は、将来の就職やキャリア形成に確実に役立つはずです。

目的意識を持って働くことで、留学生活をより有意義なものに変え、“働く”を”学びの一部”にできる留学生へと成長できるでしょう。

まとめ|留学生が安心して働くために知っておきたいポイント

日本でアルバイトをする留学生にとって、「正しいルールの理解」と「自分を守る意識」が何より大切です。

在留資格「留学」はあくまで学業が中心であり、働くためには資格外活動許可が必須。

加えて、週28時間以内(長期休暇中は40時間)という上限を守らなければなりません。

これらを知らずに働くと、本人だけでなく雇用主も法律違反に問われるリスクがあります。

アルバイト先を選ぶ際は、労働条件通知書・時給・勤務時間の明確さを確認し、ブラックバイトや違法仲介業者を避けることが重要です。

万が一トラブルに巻き込まれた場合も、労働基準監督署や外国人相談窓口に早めに相談すれば、問題を最小限に抑えられます。

さらに、アルバイト経験は単なる収入手段ではなく、日本語力・ビジネスマナー・人間関係のスキルを磨く貴重な機会でもあります。

これらの経験を、将来のキャリア形成や在留資格変更(特定技能・技人国など)に活かすことも可能です。

つまり、留学生にとってアルバイトは「働く」だけでなく、日本社会で学び・成長するステップ

ルールを守りながら、自分の未来につながる働き方を意識することで、留学生活をより実りあるものにしていきましょう。

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