01/05 (月)更新
外国人労働者と差別問題をわかりやすく解説|職場・待遇・法的対策まで
日本の労働現場では、外国人労働者の数が年々増加しています。
しかしその一方で、待遇格差・職場での偏見・文化的な孤立といった”見えにくい差別”が依然として存在しているのが現状です。
厚生労働省の調査でも、外国人労働者の約3割が「不当な扱いを受けた経験がある」と回答しており、差別は一部の業種にとどまらない社会的課題といえます。
この記事では、外国人労働者が直面する差別の実態から、法律上の禁止規定、企業・社会の取り組み、そして現場で実践できる改善策までをわかりやすく解説します。
「知らないうちに差別している」状態を防ぎ、公平な職場づくりを進めるための実務的ポイントを押さえていきましょう。
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外国人労働者が感じる差別・不公平な扱いとは

外国人労働者の増加に伴い、日本の職場では多様な文化や価値観が交わるようになりました。
しかしその一方で、賃金・契約内容・人間関係などにおける不平等や差別的な扱いが今なお根強く存在しています。
多くのケースでは、明確な悪意があるわけではなく、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)や制度上の歪みが背景にあります。
ここでは、外国人労働者が実際に感じやすい差別の種類と、その実態を具体的に解説します。
労働環境や待遇の不平等(契約・賃金・昇給)
外国人労働者が最も多く感じる不満が、「同じ仕事をしているのに待遇が違う」という問題です。
表面上は平等な契約に見えても、実際には次のような不公平が起こっています。
このような不平等は、法律違反にあたる場合もありますが、実際には「前例がない」「制度が整っていない」という理由で放置されることが少なくありません。
企業の制度設計そのものを見直すことが求められます。
暴力・暴言・無意識のハラスメント
差別には「制度的なもの」だけでなく、「人間関係の中で生じるもの」も存在します。
特に、暴言や無視、過度な叱責などのハラスメント行為は、当事者に深刻な精神的ダメージを与えます。
一例としては以下のようなケースが挙げられます。
2.外国人社員をあだ名で呼ぶ、または出身国をからかうような言動
3.宗教上の習慣(礼拝・断食など)を軽視する態度
4.通訳を通さず難しい指示を出し、理解できないことを理由に叱責する
さらに厄介なのは、これらの行為が「悪意のない冗談」や「文化の違いだから仕方ない」として扱われることです。
実際には、そうした無意識の言動こそが差別を助長しています。
企業には、ハラスメント対策や相談窓口の設置だけでなく、管理職・現場リーダーへの教育(アンコンシャス・バイアス研修など)が不可欠です。
言語や文化の違いから生じる孤立感
言語や文化の壁は、外国人労働者が職場で「自分だけ浮いている」と感じる原因になりやすい要素です。
これは差別のつもりがなくても、結果的に心理的な疎外感を与えることがあります。
- 会議で意見を言いにくい雰囲気:日本語の細かいニュアンスが理解しづらく、沈黙を「無関心」と誤解される。
- 社内イベントや雑談で孤立:日本人社員同士の会話に入れず、昼食や休憩時間も一人で過ごすケースが多い。
- 宗教や文化的背景の違い:祈りの時間を取れない、ベジタリアン対応がされないなど、環境面の配慮不足。
特に製造・建設など多国籍の職場では、「通訳がいない」「ルールが日本語だけ」という問題が頻発しています。
これを防ぐためには、社内掲示物・マニュアルの多言語化や、日本語教育のサポートが効果的です。
“悪意のない差別”を放置しない意識改革を
外国人労働者の差別問題は、明確な暴力や不当な契約だけではなく、小さな誤解や偏見の積み重ねから生まれます。
企業として大切なのは、「自分たちは差別していない」と思い込むのではなく、“相手がどう感じるか”の視点で行動を見直すことです。
教育・制度・意識の3つを整えることで、外国人も日本人も安心して働ける環境が生まれます。
差別のない職場は、企業の国際的な信頼と人材定着率を高める大きな資産になるのです。
法令上「国籍による差別」は禁止されている

日本の法律では、外国人労働者であっても日本人と同様の保護を受けることが明確に定められています。
つまり、国籍を理由とする差別的な扱いは法律違反にあたります。
ここでは、法令における禁止規定と企業が守るべきルールを具体的に確認します。
労働基準法における差別禁止規定
労働基準法第3条では、次のように明記されています。
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない。
この条文により、外国人だからという理由で待遇を下げることは明確に禁止されています。
また、雇用形態(正社員・契約社員・派遣など)を理由に、実質的に差別的な運用をすることも問題視されます。
さらに、外国人労働者も労働基準監督署への申告や、労働審判制度の利用が可能です。
つまり、日本人と同等の法的救済を受けられる立場にあるという点を、企業・労働者双方が理解しておく必要があります。
賃金・労働条件での不当な扱いの禁止
外国人労働者の賃金格差は、しばしば「能力差」や「日本語力」を理由に正当化されます。
しかし、労働内容や責任が同一であれば、報酬に差をつけることは”合理的理由のない差別”と見なされる可能性があります。
また、社会保険や労災保険の適用についても、国籍による除外は認められていません。
厚生年金や雇用保険も、勤務条件を満たせば外国人であっても加入義務が発生します。
企業がよく陥る違反例としては、以下のようなものがあります。
外国人だけ雇用契約書を英訳していない
契約更新の際に説明を省略する
有給休暇の取得を制限する
これらは「形式上の差別」として監督署から是正指導を受けることもあります。
企業側の指針と表現の注意点
採用活動や求人広告においても、「国籍を理由に応募制限を設けること」は違法です。
以下のような表現は特に注意が必要です。
- 「日本人限定」「外国人不可」などの記載
- 「日本語ネイティブレベル必須」など、業務に直接関係ない条件
- 「外国人は契約社員のみ」などの明示的制約
また、厚生労働省が公表している「外国人雇用管理指針」では、国籍・人種に基づく区別そのものを設けないことを企業に求めています。
人事評価や昇進制度においても、外国人・日本人の区別をなくし、職務・成果に基づいた評価基準を明示することが重要です。
法令理解は”差別防止の第一歩”
外国人労働者の雇用において、最も基本的かつ重要なのは、法令を正しく理解し遵守することです。
企業が法的リスクを回避するだけでなく、外国人社員からの信頼を得るためにも、労働基準法・労働契約法・最低賃金法などの基礎をしっかり押さえておく必要があります。
法令遵守を徹底する企業は、人材定着率が高く、国際的な信頼性も向上します。
法律を守ることは義務であると同時に、企業のブランド価値を高める戦略でもあるのです。
差別が生まれる背景と原因

外国人労働者への差別は、単なる個人の意識や性格の問題にとどまりません。
実際には、文化・言語・制度といった複数の構造的な要因が複雑に絡み合って生じています。
つまり、悪意のある差別よりも「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」や「制度上の不備」が、知らぬ間に差別的環境をつくり出しているのです。
ここでは、差別がどのような背景で生まれているのかを3つの視点から詳しく解説します。
文化・言語・慣習への無理解
外国人労働者と日本人の間で最も大きな壁となるのが、文化・言語・慣習の違いです。
これはコミュニケーションのすれ違いだけでなく、評価や信頼関係にも影響を及ぼします。
- 言葉の壁:日本語が十分に理解できないことを理由に、業務範囲が制限されたり、昇進対象外にされるケースがある。
- 文化的価値観の差:「報告・連絡・相談」や「空気を読む」といった日本特有の文化に馴染めず、誤解されやすい。
- 宗教や食習慣への無配慮:祈りの時間を取れない、食事会で宗教上食べられないものを強要される
などの事例も。
一例として、イスラム教徒の労働者が礼拝時間を確保できず、上司に注意を受けたという報告があります。
本人に悪気がなくても、宗教や文化を理解しないままのルール運用が”無意識の差別”につながることは少なくありません。
企業や同僚による偏見・固定観念
差別が生まれる二つ目の背景は、外国人に対する偏見やレッテル貼りです。
これは悪意のある差別というよりも、「こういう人たちだろう」という思い込みが原因で起こります。
- 「外国人=短期労働者」という固定観念:長期的に働きたい意思を持つ人でも、契約社員や派遣社員止まりにされる。
- 「日本語が不十分=能力が低い」とみなされる:成果よりも言語力で評価されることが多い。
- 「外国人はトラブルを起こす」という誤解:一部の事例が拡大解釈され、全体の印象を悪化させている。
こうした偏見は、職場全体の関係を悪化させるだけでなく、本人のモチベーション低下や離職にもつながります。
企業としては、全社員への多文化理解研修や公平な評価制度を導入することが有効です。
制度的・構造的な不平等要因
差別の根本には、制度や構造そのものが不平等を生み出している現実もあります。
とくに在留資格制度や雇用慣行が、意図せず格差を固定化しているケースが見られます。
- 在留資格の制限:特定技能・技能実習などの資格では職種が限定され、昇進や転職の自由がない。
- 下請け・派遣構造の中での責任の不明確化:賃金・労働条件の管理責任が分散し、不利益を被っても訴えにくい。
- 制度整備の遅れ:外国人向けの就業規則や安全教育が整っておらず、ルールを知らずに不利益を受けることがある。
このように、外国人労働者を取り巻く差別には「人の問題」だけでなく、「仕組みの問題」が存在します。
だからこそ、制度設計の見直しと法令遵守体制の強化が不可欠なのです。
差別の背景は”無理解と構造”にある
外国人労働者への差別は、意識的に排除する行為だけではなく、理解不足や制度の歪みが重なった結果として生まれる現象です。
企業や社会が本気で改善を目指すなら、「相手を変える」のではなく「自分たちの仕組みと意識を見直す」ことから始める必要があります。
文化・偏見・制度の3つの観点を見直すことこそが、真の多文化共生社会への第一歩となるのです。
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差別を減らすための企業・社会の取り組み

差別をなくすには、「法令遵守」だけでなく、職場の文化・制度・教育を一体的に整えることが重要です。
企業単位の取り組みだけでなく、社会全体での支援と意識改革が求められています。
ここでは、実際に効果を上げている代表的な3つの取り組みを紹介します。
社内ハラスメント対策と教育制度
差別防止の基本は、ハラスメント対策を制度化することです。
企業が明確なルールを設け、全社員が同じ意識で行動できる体制を築くことが欠かせません。
- 多言語対応のハラスメント研修:外国人社員も理解できる内容で実施。
- 管理職向けアンコンシャス・バイアス研修:無意識の偏見を認識し、適切に指導・評価するスキルを育成。
- 社内報告ルートの明確化:外国人でも安心して相談できるよう、匿名窓口や第三者機関を設置。
これらの施策によって、トラブルの早期発見・未然防止が可能になり、「差別をしない職場」から「差別が起きない職場」へと進化していきます。
相談窓口・支援体制の整備
差別を受けた外国人労働者が最も困るのは、「どこに相談すればよいか分からない」ことです。
そのため、相談・支援のアクセスを明確にすることが重要です。
- 社内外に複数の相談ルートを設置:企業の人事部だけでなく、行政機関(法務省人権相談・外国人労働者相談センター)やNPOとも連携。
- 外国語対応を徹底:英語・ベトナム語・中国語など、主要言語での相談を可能にする。
- 通報者の保護制度を整備:報復人事や不当解雇を防ぐため、内部通報制度を法的にサポート。
こうした仕組みが整っていれば、外国人社員が安心して声を上げられる風土が生まれ、早期対応による信頼関係の構築にもつながります。
多様性とインクルージョンを促進する文化づくり
最終的な目標は、差別をなくすことだけではなく、多様性を活かして組織を強くすることです。
多国籍な人材が共に活躍できる職場は、創造性・柔軟性・国際競争力の向上にもつながります。
- 異文化交流イベントの開催:社内で国際的な食事会や文化紹介を行い、相互理解を促進。
- 外国人社員をプロジェクトリーダーに登用:国籍を問わず挑戦できる機会を提供。
- ダイバーシティ推進を評価制度に組み込む:管理職の昇進条件に「多様性への配慮」を加える企業も増加中。
このような文化が根づくことで、社員全員が「違いを受け入れ、学び合う」姿勢を持ち、差別そのものが存在しない自然な共生環境が形成されていきます。
差別のない社会は”企業の意識改革”から始まる
外国人労働者への差別を本質的に減らすためには、教育・制度・文化の3軸を一体化したアプローチが不可欠です。
企業がリーダーシップを発揮し、公平な評価とオープンな対話の場を整えれば、社会全体にも良い影響が広がります。
多様性を受け入れることはコストではなく、企業の信頼・人材力・ブランド価値を高める最善の投資です。
差別のない社会を実現する第一歩は、職場の中から始まるのです。
差別問題を回避するための実務ポイント

外国人労働者を雇用する企業にとって、差別問題は「知らなかった」では済まされない重大なリスクです。
実際に法令違反や不適切な対応によって、企業の信用を失ったり、外国人採用全体に悪影響が及んだりするケースも少なくありません。
重要なのは、トラブルが起きてから対応するのではなく、事前に防ぐ仕組み=”予防型マネジメント”を徹底することです。
ここでは、現場で実践できる3つの具体的な対策を紹介します。
雇用契約書の明確化と多言語対応
まず基本となるのが、契約内容の明確化と多言語での情報提供です。
外国人労働者が日本語に不慣れな状態で契約を結ぶ場合、内容を理解しないまま署名してしまうリスクがあります。
後々「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、最初の段階で透明性を確保することが重要です。
実務的には、以下のような取り組みが有効です。
- 雇用契約書を多言語で用意する→英語・ベトナム語・ネパール語など、主要な在留国別に翻訳版を作成する。
- 契約前の説明を録音・署名で記録→内容理解を確認した証拠を残しておくことで、後のトラブルを防止。
- 勤務条件・休日・残業・社会保険を明記→曖昧な表現(例:「業務の都合により変更あり」など)は避ける。
特に技能実習生や特定技能外国人の場合、在留資格の更新審査で契約内容の不一致が発覚すると不許可になるリスクもあります。
したがって、法的にも理解面でも整合性の取れた契約書の作成が欠かせません。
定期的なアンケート・面談で不満を可視化
差別問題の多くは、「小さな不満」や「言いづらさ」を放置した結果、深刻化して発覚します。
特に外国人労働者の場合、文化的な遠慮や立場の弱さから、自分から声を上げることが難しい傾向があります。
企業としては、定期的なヒアリングを仕組み化して不満を早期に察知する体制を整えることが有効です。
具体的な実務アプローチは次の通りです。
- 年1〜2回の匿名アンケートを実施→職場環境・人間関係・待遇などについて、率直な意見を収集。
- 外国人社員との1on1面談を定期的に実施→上司ではなく、第三者的な人事担当者が行うことで本音を引き出しやすい。
- 結果を見える化し、改善策を公表する→「意見を聞くだけ」ではなく、「改善に反映された」ことを示すことが信頼構築につながる。
特に重要なのは、アンケート結果を「集めること」よりも、「どう改善に活かしたか」を明示することです。
透明なフィードバックサイクルをつくることで、外国人社員も自分の意見が尊重されていると感じられるようになります。
法令遵守のチェックリストとコンプライアンス教育
最後に、差別問題の予防には法令遵守(コンプライアンス)の徹底が不可欠です。
差別禁止に関連する法律は複数存在し、企業が意図せず違反してしまうケースもあります。
そこで、定期的に確認できるチェックリストと教育制度を設けることが効果的です。
主な確認ポイントは以下の通りです。
- 雇用管理に関する法令チェック
→労働基準法・職業安定法・労働契約法・労働施策総合推進法(パワハラ防止)などを定期的に確認。 - 人事評価・賃金設定のルール確認
→国籍や在留資格を理由に昇給・昇格の差を設けていないか点検。 - 外国人社員向けのコンプライアンス研修を実施
→日本の法制度・労働者の権利・相談先を多言語で周知する。 - 管理職への差別防止トレーニング
→無意識の偏見を排除するためのアンコンシャス・バイアス教育を導入。
これらを定期的に見直す「社内コンプライアンス・レビュー制度」として運用すれば、差別や不当な扱いの芽を早期に摘み取ることができます。
“事前対策”こそが最良のリスクマネジメント
外国人労働者の差別問題は、発生してから対応するよりも、日常のルールと仕組みの中で防ぐことが最も重要です。
契約内容を明確にし、意見を吸い上げ、法令遵守を定期的に確認することで、トラブルの大半は未然に防止できます。
特に今後、外国人労働者の雇用が拡大する中で、企業には「採用する責任」だけでなく「安心して働ける環境を維持する責任」が求められます。
差別のない職場づくりは、企業の信頼を守る最強のリスクマネジメントであり、同時に社会的な価値を高める第一歩なのです。
まとめ|差別のない職場づくりが企業の未来を強くする

外国人労働者の受け入れが進む中で、職場における「差別」や「不平等な扱い」は、もはや一部の問題ではなくすべての企業が向き合うべき経営課題となっています。
差別は、本人の尊厳を傷つけるだけでなく、職場の雰囲気を悪化させ、離職率の上昇や企業イメージの低下を招くリスクがあります。
一方で、文化や言語の違いを理解し、多様な人材が安心して働ける環境を整えた企業は、生産性・創造性・国際的信頼のすべてで高い成果を上げています。
つまり、差別をなくすことは「人権の問題」であると同時に、「経営戦略の要」でもあるのです。
この記事で紹介した内容を整理すると、差別防止のために企業が実践すべきポイントは次の3つに集約されます。
- 制度面の整備:雇用契約書の明確化、多言語対応、法令遵守チェックを徹底する。
文化面の育成:社員教育・アンコンシャスバイアス研修・インクルージョン文化を根づかせる。
環境面の改善:相談体制・面談・アンケートなどで不満や問題を早期に可視化する。
これらを継続的に実施することで、外国人労働者が「自分の努力が正当に評価される」と感じられる職場が実現します。
差別を防ぐことは、単なるトラブル回避ではなく、人と企業が共に成長するための”投資”です。
今後、日本が真に多文化共生社会として発展していくためには、企業一社一社の意識改革と具体的な行動が欠かせません。
「国籍を超えて、誰もが尊重される職場」こそ、未来の日本を支える新しいスタンダードなのです。
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