
09/03 (水)更新
外国人を正社員で雇用するのは難しい?企業が知るべき要件・課題・成功のポイント
グローバル人材のニーズが高まる中、「外国人を正社員として採用したいがハードルが高そう」「制度が複雑で進め方がわからない」と感じる企業担当者も少なくありません。
実際に、在留資格の要件や業務内容との整合性、労務管理の面など、多くの課題が存在します。
しかし、それらの要件や手続きを正しく理解し、段階的な受け入れ体制を整備することで、外国人を戦力として迎え入れることは十分可能です。
本記事では、外国人正社員雇用の基本要件から、直面しがちな壁とその乗り越え方、企業側のメリットや職場づくりのポイントまでを網羅的に解説します。
正社員雇用を検討中の企業様は、制度の理解と現実的な対応策を通じて、グローバル採用の第一歩を踏み出すきっかけにしてください。
外国人採用・マッチングのご相談はこちらから
外国人を正社員として雇用する基本要件とは?
少子高齢化が進む日本において、外国人労働者の採用は多くの企業にとって重要な人材確保の手段となっています。
とりわけ、即戦力としての活躍を期待して外国人を正社員として雇用したいと考える企業も増加傾向にあります。
しかし、雇用には一定の法的条件や実務的な要件をクリアする必要があるのが現実です。
このセクションでは、外国人を正社員として迎え入れるために企業が理解しておくべき3つの基本要件をわかりやすく解説します。
就労可能な在留資格があるかどうか
外国人を正社員として雇用する際、最も重要な前提は「就労可能な在留資格を持っているか」という点です。
観光ビザ(短期滞在)や留学ビザなどでは、原則として正社員としての就労は認められていません。
企業が雇用対象とするべきなのは、以下のような就労可能な在留資格を有する外国人です。
- 技術・人文知識・国際業務
- 技能
- 高度専門職
- 企業内転勤
- 特定活動(46号など就労可能なもの)
- 特定技能
また、外国人本人がすでに日本に在住していても、就労可能なビザであるとは限らないため、在留カードの確認が不可欠です。
採用前には、必ず「就労制限の有無」と「在留期限」を確認しましょう。
在留資格に適した業務内容を用意できるか
たとえ外国人が就労可能な在留資格を持っていたとしても、その内容が実際に従事する予定の職務と合致していなければ、法的に就労はできません。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人は、主に以下のような業務に就くことが求められます。
- システム開発、機械設計などの技術系
- 経理・人事・マーケティングなどの事務系
- 翻訳・通訳・語学指導などの国際業務系
反対に、単純作業や肉体労働(工場ライン作業、接客、清掃など)には従事できません。
このミスマッチがあった場合、雇用後に不法就労助長罪に問われるリスクもあるため注意が必要です。
採用前には、職務内容を明確に記述した雇用契約書や職務説明書を用意し、在留資格との適合性を慎重に確認しましょう。
正社員としての雇用形態・待遇の要件とは?
外国人を正社員として採用するには、日本人と同等以上の待遇を保証する必要があります。
在留資格の審査時にも、この点は非常に重要視されます。
求められる主な条件は以下のとおりです。
- 雇用契約期間が無期であること(正社員扱い)
- 労働時間・休日・福利厚生などが日本人社員と同等であること
- 報酬(給与)が日本人の同様の職務と比較して同等以上であること
特に給与面は、月額20万円以上が最低ラインとされるケースが多く、明確に記載された雇用契約書が必要です。
企業規模が小さい場合や新設法人の場合は、「継続的な雇用の見込み」や「経営の安定性」を証明する資料も求められます。
雇用の際には、雇用契約書・会社案内・事業計画書・損益計画書なども添付して申請する準備が必要です。
◎基本要件の確認が、外国人正社員雇用の第一歩
外国人を正社員として雇用するには、「就労可能な在留資格」「業務内容との適合性」「適切な雇用形態と待遇」の3点が揃っていることが前提です。
これらをクリアしてはじめて、外国人の正社員雇用が法的にも現実的にも可能となります。
制度の複雑さに不安を感じる企業も多いですが、正しい理解と準備があれば、外国人材の力を最大限に活かす雇用体制の構築が可能です。
なぜ「外国人の正社員雇用は難しい」と言われるのか?
外国人を正社員として雇用したいと考える企業や事業者は増えていますが、「手続きが複雑」「雇用が難しい」といった声も多く聞かれます。
実際には何が障壁になっているのでしょうか。
ここでは、外国人正社員の雇用に関して直面しやすい課題と、その背景にある制度上の要素について解説します。
在留資格と実際の業務が一致しないリスク
外国人を雇用する際、最も注意すべき点のひとつが「在留資格と業務内容のミスマッチ」です。
在留資格は、働ける業種や職種が明確に定められており、それに合致しない仕事を任せることは、たとえ善意であっても不法就労と見なされてしまう可能性があります。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用した場合、専門的な知識を活かすオフィスワークが前提です。
にもかかわらず、実務で単純作業や現場作業を中心に任せてしまうと、「在留資格違反」と判断され、外国人本人のみならず企業側も処罰の対象になることがあります。
このリスクを避けるためには、採用前に業務内容と在留資格の整合性を細かく確認し、雇用契約書にも具体的に明記することが重要です。
また、在留資格の取得・更新時には、職務内容を裏付ける書類の提出が求められるため、職務分掌や業務マニュアルなども整備しておくと安心です。
日本企業側の受け入れ体制の整備不足
外国人を正社員として迎えるには、社内の受け入れ体制も鍵となります。
文化や価値観、コミュニケーションスタイルの違いに対応できないまま雇用を進めてしまうと、現場での摩擦や孤立を生む原因となりかねません。
とくに、中小企業や個人事業主では、多言語対応・外国人向けの労務管理ノウハウが不足していることが多く、せっかく採用しても早期離職に繋がってしまうケースもあります。
雇用後のトラブルを避けるためには、事前に以下のような体制整備が必要です。
- 日本語レベルに応じた業務指示の工夫
- 多文化共生を意識した職場づくり
- 外国人雇用に対応した社会保険や給与処理の確認
- サポート担当者(バディ制度など)の設置
また、厚生労働省や自治体が提供している**「外国人雇用マニュアル」**や研修プログラムの活用も有効です。
採用から入社までにかかる手続きの煩雑さ
外国人の正社員雇用には、採用後の在留資格手続きや行政への申請が複雑であることも、敬遠されがちな理由の一つです。
特に「新たに海外から人材を招く場合」や「アルバイトから正社員に切り替える場合」には、以下のような手続きが発生します。
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 雇用契約書や会社概要の作成
- 活動内容の説明資料(職務内容や勤務場所の明示)
- 入国管理局への届出、更新手続き
こうした作業には、専門的な知識と書類作成能力が求められるため、慣れないうちは負担が大きく、手続きミスがあると不許可になるリスクもあります。
このような背景から、企業によっては行政書士や社会保険労務士にサポートを依頼するケースも少なくありません。
特に、複数名の外国人を継続的に採用・雇用していく予定がある企業は、制度設計段階から外部専門家の助言を得ておくことが現実的な対応といえるでしょう。
◎難しさの背景を理解し、準備を整えれば外国人雇用は現実的な選択肢になる
外国人を正社員として雇用する際の難しさは、制度の複雑さ・社内体制の未整備・手続きの煩雑さなど、複数の要因が絡み合っています。
しかし、これらは事前に正しい知識と準備をもって対応すれば、十分に乗り越えられる課題でもあります。
とくに現在は、少子高齢化による人手不足を背景に、外国人材の活用が不可欠な時代に入っています。
だからこそ、制度理解を深め、外国人が安心して働ける環境を整備することが、企業の持続的成長に直結する一手となるでしょう。
準備不足が「難しい」という印象に繋がっているだけで、整備次第で十分にチャンスは広がっています。
外国人を正社員で採用するうえで企業が直面するハードル
外国人材を正社員として採用することは、企業にとって新しい可能性を拓く一方で、企業・外国人本人にとっては数多くの壁を乗り越える必要があります。
特にビザ制度や外国人人材の日本語レベルの問題など採用までの道のりは、決して平坦とはいえません。
ここでは、外国人を正社員で採用するうえで直面する主なハードルについて、制度面・スキル面・情報環境の観点から詳しく見ていきます。
ビザの種類と制限
外国人が日本で正社員として働くには、在留資格(ビザ)に基づいた就労が可能な職種かどうかで採用できるかが決まります。
しかし、日本の就労ビザは細かく分類されており、それぞれのビザで認められる職務内容は限定的です。
一例として、「技術・人文知識・国際業務」のビザは、エンジニアや通訳、企画職などのホワイトカラー業務に限定されており、飲食業や販売業などの単純労働には適用されません。
逆に「技能」ビザは特定の調理師や職人などに限られ、「特定技能」も分野ごとに要件が決まっています。
さらに、ビザ取得や更新には、企業の継続性や給与水準、業務内容の整合性といった審査要素が伴い、外国人自身が能力や経験を持っていても、制度上の制限によって採用できるチャンスが狭まるケースがあります。
日本語能力・文化適応力の不足
日本で正社員として採用するには、ある程度の日本語能力、自社がどれくらいのレベルを求めているか、それを満たせているかも重要です。
特に顧客対応や社内コミュニケーションを要する職種では、ビジネスレベルの日本語力(JLPT N2以上)が求められることが一般的です。
加えて、文化的な違いによって孤立しやすかったり、せっかく採用しても馴染めずに貴重な働き手が離職してしまうリスクも見られます。
企業が十分な教育やサポート体制を整えていない場合、外国人を採用すること自体も難しくなります。
転職や就職活動に関する情報格差
企業、外国人人材の双方ともに情報の行き来が不十分なために、正社員登用までの設計が難しくなりがちです。
たとえば、日本語のみの求人票や専門用語の多い募集要項は、求職者に仕事内容・評価基準・処遇が伝わりにくく、応募・内定承諾までの歩留まりが低下します。
さらに、就労ビザ区分や在留期限の情報を早期に共有できていないと、選考~入社のスケジュールが合わず採用機会を逃すことがあります。
また、人材紹介会社・エージェントの多言語対応が限定的なケースでは、面談内容や条件提示の解像度が下がり、ミスマッチにつながりやすくなります。
外国人を正社員で雇用する企業側のメリット
少子高齢化によって日本の労働力人口は年々減少しています。
こうした中、多くの企業が注目しているのが外国人労働者の正社員雇用です。
一時的な人手不足解消にとどまらず、将来を見据えた戦略的な人材確保として、外国人正社員を迎える動きが加速しています。
このセクションでは、企業側の視点から外国人を正社員として雇用することで得られる主なメリットをわかりやすく整理します。
若く優秀な人材を確保できる
日本では少子化の影響で若年層の採用が年々難しくなっています。
一方、海外では高い学歴やスキルを持つ若者が多く、グローバルな視点でのキャリア形成を望む人材も少なくありません。
そのため、外国人を正社員として採用することで若くて意欲の高い人材を獲得するチャンスが広がります。
特にエンジニア、IT、設計、マーケティングなどの分野では、外国人が持つ専門性や発想力が企業の競争力強化に直結します。
また、長期雇用を前提とする正社員として迎えることで、アルバイトや短期雇用では得られない安定した戦力として育成しやすくなる点も大きなメリットです。
グローバル展開への対応力が強化される
海外展開を視野に入れている企業にとって、外国人正社員の存在は非常に心強いものになります。
たとえば以下のような場面で力を発揮します。
- 現地の言語や文化を活かしたマーケティング戦略の立案
- 海外拠点との円滑なコミュニケーション
- 多国籍チームでのプロジェクト推進
特にアジア・アフリカ・欧米圏など、国際市場の多様性に対応するには、多様な背景を持つ人材の視点が必要不可欠です。
外国人社員が加わることで、国内にいながらにして「社内の国際化」が進み、グローバル対応力が強化されます。
社内に多様な価値観が生まれる
外国人を正社員として受け入れることにより、社内の価値観や視点が大きく広がります。
文化・宗教・言語などの違いを理解し、尊重し合う環境が生まれることで、組織全体に柔軟性と創造性が育まれるのです。
一例として、以下のような変化が挙げられます。
- 多様性を前提としたチームビルディングが進む
- 問題解決やアイデア発想において、新たな視点が得られる
- 固定観念にとらわれないフラットな職場文化が生まれる
こうした社内変革は、従業員満足度の向上や定着率の改善にもつながり、企業全体の成長を後押しします。
◎外国人正社員の採用は「未来への投資」
外国人を正社員として採用することは、単なる人手不足の補完策ではなく、企業の持続的成長を実現するための重要な経営判断です。
若く優秀な人材の確保、グローバル化への対応、社内の多様性促進といった効果は、今後の市場競争において大きなアドバンテージとなります。
制度面や文化面での受け入れ体制の整備は必要ですが、それを上回るメリットがあるからこそ、今、多くの企業が積極的に外国人正社員の採用に踏み出しています。
未来の人材戦略の一環として、外国人正社員の雇用を検討してみてはいかがでしょうか。
外国人採用・マッチングのご相談はこちらから
外国人正社員雇用における主な課題と注意点
外国人を正社員として迎え入れることは、企業の多様性向上や人材不足解消に繋がる一方で、一定のリスクや留意すべき課題も伴います。
採用をスムーズに行うには、在留資格の適合性、文化的配慮、制度整備など、受け入れ側が主体的に取り組む姿勢が欠かせません。
ここでは、企業が直面しやすい主な課題と、注意すべきポイントを解説します。
職種と在留資格の不一致リスク
外国人の雇用において最も頻繁に問題となるのが、「在留資格と実際の業務内容が一致していない」ケースです。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用したにもかかわらず、単純作業や現場作業に従事させると、資格違反に該当します。
このような場合、企業だけでなく本人にも不利益が及び、最悪の場合は退去強制の対象となる可能性があります。
事前に業務内容と在留資格の要件を照らし合わせておくことが非常に重要です。特に中小企業では、明確な職務記述書(ジョブディスクリプション)を準備し、それを入管提出書類に反映させる必要があります。
文化・宗教・習慣への配慮が求められる
国籍によって文化・宗教・生活習慣は異なり、日本の職場文化に馴染むまでに時間を要することがあります。
たとえば、宗教的理由で決まった時間に礼拝が必要な社員、特定の食事制限がある社員など、配慮が必要なケースも少なくありません。
また、日本特有の上下関係や曖昧な指示・報連相の文化が、外国人社員にとってはストレスや混乱を招くこともあります。
こうした問題に対応するためには、多文化共生を意識した教育プログラムの整備や、社内での相談体制の構築が有効です。
長期定着のための社内制度整備が必要
せっかく採用した外国人社員が、数年以内に離職してしまうのは大きな損失です。
定着率向上には、キャリアパスの提示や評価制度の透明性、育成プランの導入など、制度面の整備が鍵を握ります。
加えて、日本語能力の向上支援や、異文化理解を促進するワークショップなども、離職率の低下に寄与します。
特に新卒採用や未経験人材の受け入れでは、長期的視点での教育・定着支援が求められるでしょう。
◎企業としての受け入れ体制が鍵を握る
外国人を正社員として雇用するには、在留資格との適合性、文化・宗教への理解、社内制度の整備など、多方面にわたる配慮が必要です。
表面的な採用条件を満たしていても、定着や活躍まで視野に入れると、企業側の受け入れ体制の成熟度が問われます。
持続可能な雇用関係を築くためにも、制度・風土・教育の3本柱をしっかり整備していくことが成功の鍵となるでしょう。
外国人正社員雇用の流れと必要手続き
外国人を正社員として雇用するには、企業側が法律に則って複数のステップを踏む必要があります。
採用前の準備から採用後の対応まで、慎重に手続きを進めることが、トラブルの回避や定着率向上にもつながります。
このセクションでは、外国人を正社員として迎えるまでの主な流れと、それぞれの手続きについて解説します。
在留資格の確認と取得
まず最初に確認すべきなのが、外国人が保有している在留資格が、採用予定の職務に適しているかどうかです。
就労可能な資格を持っていない場合は、在留資格の変更手続きが必要となります。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格であれば、翻訳・通訳、経理、ITエンジニアなどのホワイトカラー職が対象です。
一方、単純労働を目的とした在留資格は存在しません。そのため、職務内容との整合性がないと、在留資格の取得や変更が許可されない可能性があります。
求人・選考・内定
在留資格を確認したら、次は通常の採用活動と同様に求人・面接・内定の流れを進めます。
この際に注意すべきは、職務内容や就労場所、待遇などの条件を文書で明示し、在留資格に即した説明ができる状態にしておくことです。
また、採用時に内定通知書と一緒に、雇用契約書(または内定承諾書)を準備し、就業条件を書面で明確化することがトラブル防止につながります。
入管への在留資格変更・更新手続き
外国人が現在持っている在留資格と雇用予定の職種が一致しない場合、「在留資格変更許可申請」が必要になります。
すでに正社員雇用で適切な在留資格を持っている場合でも、入管には「所属機関等に関する届出」などの提出義務があるため、採用が決まった段階での届出・申請は必須です。
加えて、在留期限が近い場合には、更新申請も併せて行う必要があります。
入管手続きには数週間〜数ヶ月かかることもあるため、計画的に進めることが重要です。
雇用開始後の届出・研修制度の整備
正式に雇用を開始した後は、労働基準法や社会保険制度に基づき、労働保険(労災・雇用保険)・社会保険・税務署への各種届出を行う必要があります。
さらに、外国人社員の早期定着を図るために、企業内での研修制度や業務マニュアルの整備、多文化理解を促進する体制構築も重要です。
特に初めて外国人を正社員として雇用する企業は、「就労ビザに関する法令順守の徹底」と「社内の受け入れ体制の整備」が成否を分ける要素となります。
◎手続きの確実な実行が雇用成功のカギ
外国人を正社員として雇用するには、在留資格の確認・取得から雇用契約・入管対応・社会保険届出まで、一連の手続きを正確に行う必要があります。
特に、在留資格と職務内容の整合性を持たせることは、ビザ取得・更新の観点でも極めて重要です。
また、雇用後のフォローとして社内研修や制度整備を行うことで、外国人社員の定着率やパフォーマンスが大きく向上します。
人手不足解消や多様性のある組織づくりを進める上でも、制度理解と丁寧な対応が企業にとっての成長戦略となるでしょう。
外国人正社員を活躍させる職場環境とは?
日本企業で外国人を正社員として雇用する動きは年々増加していますが、単に採用するだけでは真の戦力とはなりません。
外国人社員が自分の力を存分に発揮できる環境を整えることこそが、企業の成長にも直結します。
文化や価値観が異なるからこそ、日本人社員とは異なる視点や発想で組織に貢献できる存在となる可能性を秘めています。
このセクションでは、外国人正社員が定着し、能力を最大限に発揮できる職場環境づくりのポイントを解説します。
多文化共生の理解と教育
外国人社員が安心して働くためには、企業全体が多文化共生に対する理解を深めることが重要です。
日本人社員にとって当たり前の価値観や慣習が、外国人社員にとっては全く異なる場合も少なくありません。
そのため、以下のような取り組みが有効です。
- 多文化研修の実施(宗教や文化、コミュニケーションスタイルの違いを理解)
- ダイバーシティを推進する社内ルールやポリシーの策定
- 差別・偏見を防止するための啓発活動
たとえば、宗教上の理由で特定の食事を避ける社員がいる場合、社食の配慮や会食時の選択肢提示が求められます。
無意識の差別や誤解を減らすことが、職場の安心感や信頼構築につながるのです。
社内コミュニケーションの促進策
外国人社員との円滑なコミュニケーションを実現するには、言語面の壁を乗り越える工夫が必要です。
一例として以下のような施策が効果的です。
- 社内公用語を一部英語に切り替える、または併記する
- やさしい日本語(簡潔で明瞭な日本語)を全社で導入する
- チャットツールや翻訳アプリの活用
- 定期的な1on1面談やフィードバックの場の設定
これにより、外国人社員が日常的に感じている不安や孤立感を軽減でき、主体的な意見発信や行動が生まれやすくなります。
また、日本人社員も異文化に触れることで視野が広がり、組織全体の柔軟性や創造性も高まります。
キャリアパス設計と評価制度の明確化
外国人正社員が長く働きたいと思える職場には、公平で明確なキャリアの道筋と評価制度が整っています。
以下のような要素が特に重要です。
- 昇進や役職に国籍の壁を設けない
- 成果に基づいた評価指標の透明化
- 能力や意欲に応じてジョブローテーションやリーダー育成プログラムを提供
- ビザ更新や永住申請に配慮した長期雇用への支援体制
多くの外国人は「日本でキャリアを築きたい」という強い意志を持っていますが、評価や昇進の機会が限定されていると感じると離職に繋がるリスクが高まります。
だからこそ、日本人と同じ基準で成長を実感できる制度設計が欠かせません。
◎共に成長できる環境づくりがカギ
外国人正社員が安心して働き、実力を発揮するには、単なる受け入れではなく“共に育つ”姿勢が企業側に求められます。
多文化共生への理解、コミュニケーション環境の整備、そして明確なキャリア設計が揃って初めて、多様性は企業の力へと変わっていきます。
これからの時代、日本企業にとって「外国人が活躍できる職場環境」は競争力そのもの。
グローバルな視点での人材戦略を考えるうえで、今こそ本気の職場改革が必要です。
正社員雇用が難しい場合の代替策・段階的な雇用プラン
外国人をいきなり正社員として雇用するのは、在留資格や制度的な制限から難しいケースも少なくありません。
しかし、それは即ち「外国人材を活用できない」という意味ではありません。
段階的なステップを踏むことで、企業と外国人の双方にとって安心・安定した雇用関係を築くことが可能です。
このセクションでは、正社員登用が難しい場合の代替策や現実的なアプローチをご紹介します。
留学生アルバイトやインターンからの育成
最初のステップとして有効なのが、留学生のアルバイトやインターンとしての受け入れです。
日本に在留している留学生は、「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間までのアルバイトが可能です。
この制度を活用することで、企業側は実際の業務を通して外国人材の能力や適性を把握できます。
また、インターンシップという形で一定期間の実務経験を提供するのも有効です。事前に業務適性を確認できるため、入社後の正社員登用へのハードルが下がります。
さらに、企業文化や職場環境にも慣れてもらえるので、入社後のミスマッチも防げます。
契約社員・派遣社員からの登用
いきなり正社員雇用ではなく、契約社員や派遣社員として雇用し、ステップを踏んで登用していく方法もあります。
これは日本人の採用でもよくある手法であり、外国人の場合も同様に有効です。
最初は1年または2年の有期雇用契約で採用し、その間に能力・人柄・適応性などを評価。
その後、問題なければ正社員へ登用する流れを取ることで、リスクを最小限に抑えながら優秀な人材を確保できます。
また、派遣社員として受け入れる場合は、受入企業と派遣元企業の間で在留資格に関する適切な管理が必要となります。
法的責任の所在や雇用主義義務が変わってくるため、注意が必要ですが、段階的登用の手段としては有効です。
在留資格の変更や新設制度の活用
正社員雇用が難しい理由の多くは「在留資格との整合性が取れない」ことに起因します。
この点を克服する手段として、在留資格の変更申請や、国が用意する新設制度の活用が重要です。
たとえば、留学生が卒業後に「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更を申請することで、専門職としての就労が可能になります。
これにより、初めはアルバイトでも将来的に正社員として雇用できる道が開けます。
さらに、特定技能制度や高度専門職制度など、政府が推進する新たな受入枠を利用することで、より柔軟な雇用が可能になります。
これらの制度は、一定の条件を満たせば家族帯同や在留期間の優遇も受けられるため、企業にとっても長期的な雇用が視野に入るメリットがあります。
◎段階的な雇用で現実的に外国人正社員を育てる
外国人をいきなり正社員として雇用するのは難しい場合もありますが、段階を踏んだ雇用戦略を取ることで、着実な戦力化が可能です。
- 留学生アルバイトやインターンで早期に関係性を築く
- 契約社員や派遣社員で実績を積んでから正社員登用へ
- 在留資格の変更や制度の活用で法的な障壁をクリアする
こうしたステップを踏むことで、外国人材の能力を引き出しつつ、企業側も無理のない形で雇用の最適化を図ることができます。
未来の戦力となる人材を段階的に育てていくという視点で、長期的な採用戦略を描いていきましょう。
外国人を正社員で雇用するには「要件の理解」と「段階的な整備」がカギ
外国人の正社員雇用は、単に人材を採用する以上に、法的要件や文化面での配慮、継続的な制度整備が求められます。
特に在留資格との整合性、待遇の公平性、日本語能力の支援といったポイントは、雇用の可否だけでなく定着率や活躍にも直結するため、慎重な準備が必要です。
一方で、制度を正しく理解し、多様性を受け入れる職場環境を整えられれば、外国人正社員は企業にとって大きな価値となります。
人手不足の解消や国際展開の足がかりとしての効果も期待できるでしょう。
もし正社員としての雇用が難しい段階であっても、アルバイトやインターンからの育成、契約社員・派遣社員としての段階的採用、助成金や制度の活用といったアプローチを活用すれば、現実的な雇用への道筋を描くことが可能です。
適切な準備・手続き・配慮をもって取り組むことが、成功の鍵になります。
制度を正しく理解し、社内の体制も整備しながら、外国人材の力を企業成長に活かしていきましょう。
外国人採用・マッチングのご相談はこちらから
関連記事一覧
SELECT人気記事一覧
まだデータがありません。