
06/17 (火)更新
英語が話せる特定技能外国人を雇用・採用するための制度解説と国別の英語力比較
特定技能ビザ(Specified Skilled Worker)は、日本で働きたい外国人と、人手不足に悩む企業の双方にとって、いまや欠かせない在留資格制度となっています。
日本の労働人口は年々減少しており、とくに人手不足が深刻とされる12の業種では、2019年4月から外国人の労働者受け入れが可能になりました。
「喉から手が出るほど人手が欲しい」という企業も少なくありません。
そんな中、英語が話せる外国人材のニーズも高まりを見せています。
一方で、特定技能制度は制度自体がやや複雑で、日本語で説明するのも簡単ではありません。これを英語で正確に伝えるとなると、採用担当者や支援機関、教育機関の皆さんにとって大きなハードルとなることもあるでしょう。
「特定技能って英語で何て言えばいい?」「Specified Skilled Workerの制度をどう説明すればいい?」
そんな疑問に応えるために、本記事では以下の情報を網羅しました。
特定技能制度の基本概要(英語表現を含む)
1号・2号の違いと対象職種
英語力が高い外国人が多い国の傾向と採用メリット
英語での雇用契約・制度説明に使える便利なフレーズ
特定技能外国人の雇用を検討している企業の人事担当者の方にとって、実務に直結する情報をわかりやすくまとめています。
この記事を読めば、制度の理解はもちろん、英語での説明やコミュニケーションにも自信を持って対応できるようになります。
それではさっそく、特定技能制度の全体像から確認していきましょう。
特定技能とは何か?英語での呼称について
外国人労働者の受け入れを拡大する目的で導入された「特定技能」制度は、国際人材の活躍を促進する在留資格として注目を集めています。
この制度は英語で「Specified Skilled Worker(SSW)」と呼ばれ、政府資料や国際対応書類でも頻繁に使われる表現です。
採用担当者や支援機関が外国人に制度を説明する場面も増えており、「特定技能制度を英語でどう伝えるか」は実務上の重要課題となっています。
このセクションでは、特定技能制度の定義・構成・背景、そして技能実習制度との違いをわかりやすく整理し、英語での正しい伝え方の土台をつくることを目的とします。
特定技能(Specified Skilled Worker)とは
「特定技能」は、一定の専門的知識や技能を持ち、即戦力として働ける外国人材を受け入れるために設けられた在留資格です。
英語では「Specified Skilled Worker(略称:SSW)」と呼ばれ、法務省や出入国在留管理庁の英文資料にもこの用語が使用されています。
この資格には、分野ごとに定められた技能試験や日本語試験の合格が原則必要で、制度的には技能実習とは異なり「労働力確保」が主な目的とされています。
英語で説明する場合の表現例
“The Specified Skilled Worker (SSW) visa is a residence status that allows foreign nationals with certain skills to work in Japan in designated industries.”
特定技能1号と2号の英語表記の違い
特定技能制度には「1号(i)」と「2号(ii)」の2種類があります。
英語では以下のように表現されます:
- 特定技能1号:Specified Skilled Worker (i)
- 特定技能2号:Specified Skilled Worker (ii)
両者の主な違いは以下のとおりです。
区分 | 主な対象 | 在留期間 | 家族帯同 | 永住可能性 |
1号 | 即戦力人材(初級〜中級) | 最長5年 | 不可 | なし |
2号 | 熟練技能を有する者 | 更新可・無期限 | 可能 | 永住申請も可能 |
説明文例(英語)
“There are two categories: SSW (i) for those with basic skills and SSW (ii) for highly skilled workers with supervisory ability.”
詳しくはこちらの記事もどうぞ▷ 特定技能ビザ|特定技能1号・2号の違いとは?採用メリットまで詳しく解説!
特定技能外国人が従事できる職種と分野
深刻な人手不足に対応するために創設された「特定技能」制度は、特に12の業種で即戦力となる外国人労働者の活躍を期待されています。
これらの分野は日常業務が多忙なうえ、継続的な人材確保が困難であることから、一定の技能水準と日本語力を持つ外国人材が活躍しやすい環境にあります。
ここでは、特定技能制度における12の対象分野と業務内容、そして各業界における人材ニーズの背景、さらには採用現場で英語対応が求められる場面について解説していきます。
対象となる12分野とその業務内容
現在、特定技能1号で従事可能とされている分野は以下の12業種に限定されています。
介護
ビルクリーニング
素形材産業
産業機械製造業
電気・電子情報関連産業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
これらの業種では、労働力不足が構造的に続いており、一定の試験(技能試験・日本語試験)に合格した外国人が即戦力として期待されています。
たとえば、介護では利用者の生活支援や施設でのサポート業務、農業では播種・収穫・選別といった現場作業が含まれます。
制度上は、受入れ企業が技能実習制度とは異なり、外国人を戦力として雇用する前提であるため、給与水準や労働環境も日本人と同等であることが求められます。
業界別の人手不足状況と採用ニーズ
多くの特定技能対象業界では、高齢化や若年層の業界離れ、地方の過疎化などが深刻な課題となっており、常に人手不足が問題となっています。
特に以下の業界は顕著です。
介護業界 – 日本の超高齢社会において、2040年には約69万人の人手が不足するとされており、外国人材への期待が高まっています。
建設業界 – インフラ老朽化への対応や災害復旧工事が増加する中、若手の確保が課題となり、熟練度の高い外国人労働者の採用が進んでいます。
農業・漁業 – 高齢化と後継者不足により、季節変動のある労働力として特定技能外国人の柔軟な配置が有効とされています。
このような業界では、現場で即座に働ける人材を求めており、単なる労働力ではなく“業務遂行能力”を持った人材としての外国人が歓迎されています。
採用現場での英語対応が求められる場面とは
採用現場で特定技能外国人と接する際、英語が共通言語として使われることも少なくありません。
とくに以下のような場面では、英語対応が必要になるケースがあります。
求人内容の説明 – 業務範囲・勤務時間・報酬体系などを英語で正確に説明する必要がある
面接時の質疑応答 – 日本語能力が初級の場合、英語での質問対応が必要
雇用契約書や支援計画の翻訳 – 法的文書を誤解なく伝えるための英語訳が求められる
国によって英語力の水準は異なりますが、たとえばフィリピン出身者は全体的に英語力が高く、コミュニケーションの面でも優位性があります。
また、英語対応できる企業は「外国人にとって働きやすい職場」としての評価が高まり、優秀な人材確保につながるケースもあります。
業種理解と英語対応が採用成功の鍵
特定技能外国人の雇用は、日本の人手不足を補う有効な手段であり、特に12の対象業種での活躍が見込まれています。
各分野ごとの業務内容と必要な技能レベルをしっかり把握した上で、外国人との円滑な意思疎通を実現するための英語対応力が、採用成功の鍵を握ります。
業界ごとの課題を把握し、文化的・言語的なサポート体制を整えることで、外国人材と企業の双方にとって有益な雇用関係が築けるでしょう。
特定技能外国人の採用・雇用契約の英語記載で注意すべき表現
特定技能外国人を雇用する際には、通常の日本人採用とは異なる法的要件や実務上の注意点が数多く存在します。
在留資格の条件、支援体制の整備、適正な雇用契約の締結など、コンプライアンス意識を持って制度を正しく活用することが不可欠です。
また、契約書や就業規則などを外国人本人に説明する場面では、英語での表現やニュアンスにも細心の注意を払う必要があります。
このセクションでは、特定技能外国人の採用を検討・実施する企業が押さえておくべき実務的な注意点を、法令順守・社内体制・書類手続き・英語対応の4つの観点から解説します。
契約書に記載すべき英語表現のポイント
英語で雇用契約書を作成する際には、曖昧な表現を避け、法的拘束力のある明確な文言を使うことが重要です。
特に以下の項目は、具体的かつ誤解の余地がないように記載することが求められます。
Job Description(業務内容)
⇒ “You will work in food processing, including sorting, packaging, and quality inspection.” のように詳細に記述。Working Hours and Days(就業時間と勤務日)
⇒ “Working hours are from 9:00 AM to 6:00 PM, with a 1-hour lunch break. You will work 5 days per week, from Monday to Friday.”Compensation and Overtime Pay(報酬と残業代)
⇒ “Monthly salary is 220,000 yen. Overtime will be compensated at a rate of 125% of your base hourly wage.”Contract Term(契約期間)
⇒ “The employment contract is for a period of one year, renewable upon mutual agreement.”
文法的な正しさだけでなく、文化的な受け取り方の違いを意識した文言選定が必要です。
雇用契約の英語記載で注意すべき表現
外国人に提示する雇用契約書や就業規則は、日本語と併記、もしくは英語のみで提供するケースが一般的です。
この際、以下のような表現は誤解やトラブルの原因になりやすいため、正確な翻訳と丁寧な説明が不可欠です。
日本語表現 | 英語訳(例) | 注意点 |
試用期間 | Probationary period | 期間・評価内容を明確に |
みなし残業 | Deemed overtime | 法的説明が必要、誤解を生む表現 |
業務命令による異動 | Transfer by company order | 地域・職種の変更有無を明示 |
即日解雇 | Immediate dismissal | 実際は不可、誤訳に注意 |
英語で表現する場合でも、日本の労働慣行と照らし合わせた説明を加えることが、信頼と定着につながります。
多言語対応時にありがちなトラブルとその対策
英語以外の言語との併記や、複数国籍の外国人を雇用する場合には、次のような多言語対応特有のリスクが生じます。
翻訳ミスによる契約条件の齟齬
⇒ 対策:原文(日本語または英語)を基準とする旨を契約書内で明記し、プロの翻訳者による確認を実施。口頭説明と文書内容が一致しない
⇒ 対策:契約書署名前に英語でブリーフィングを行い、理解度を確認。説明動画などの補助教材の活用も有効。文化的背景の違いによる誤解
⇒ 対策:社内で簡単な異文化理解セミナーを実施し、共通理解を図る。
言語だけでなく、文化・法制度・就労観の違いを踏まえた契約設計が、長期的な信頼関係につながります。
◆制度理解と配慮が採用後の信頼関係を築く
特定技能外国人の採用は、単なる労働力確保ではなく、異文化・異言語の人材と長く協働する前提での制度活用です。
労働条件の整合性や法令順守はもちろん、社内体制や書類対応の精度、そして英語での説明力までが採用の成否を分けます。
「制度を守ること=信頼を築くこと」。
その姿勢が、外国人にとっても企業にとっても「選ばれる雇用環境」につながっていきます。
採用前の準備段階から丁寧に向き合い、持続的な人材戦略として制度を活用していきましょう。
英語が話せる特定技能外国人を雇うメリット
特定技能制度の導入により、さまざまな分野で外国人材の採用が広がっていますが、その中でも「英語が話せる人材」の需要が急速に高まっています。
人手不足の解消にとどまらず、英語対応力を備えた特定技能外国人は、企業の国際競争力を高めるうえで非常に貴重な存在です。
観光業や接客業、製造・物流など、多くの業界において顧客対応・事業展開・社内文化にプラスの変化をもたらしています。
本章では、英語力を持つ外国人材を採用することで得られる主なメリットを、具体的な場面とともに紹介します。
顧客対応力が広がり、外国人観光客にも対応可能
インバウンド需要の回復とともに、英語対応ができる従業員の存在価値が再評価されています。観光地やホテル、飲食店、小売業などでは、英語が話せるスタッフがいれば、外国人観光客へのサービス品質が格段に向上します。
たとえば接客において、「Can I help you?」などの基本的な表現でも、顧客の安心感は大きく異なります。
また、英語での対応が可能なことでSNSなどでの評価も高まり、リピーターや口コミ拡散にもつながります。
地方の観光地では、多言語対応が「地域の魅力」そのものになることもあり、採用戦略の一環として重要です。
グローバル事業展開や海外拠点との連携に活用
製造業やIT業界では、海外との取引や現地拠点との連携が日常的に行われています。
英語が話せる外国人スタッフは、社内通訳や翻訳サポート、現地の文化理解の架け橋としても機能し、円滑なビジネス展開に貢献します。
特定技能人材は技能分野に特化しているため、現場の業務理解も深く、単なる言語のサポート以上の価値があります。
たとえばフィリピンやインドネシア出身の人材は英語力と職業技能を兼ね備えており、グローバルな人材として重宝されています。
これにより、単なる国内の人手不足対策を超え、国際的な事業戦略におけるキーパーソンとして期待されるケースも増加中です。
社内の国際感覚向上や多様性促進への影響
英語を使って会話する職場環境が生まれることで、日本人社員の国際感覚や多文化への理解も自然と育ちます。
また、多様な価値観を持つ人材が同じ職場で働くことで、柔軟性のある組織づくりにもつながります。
特定技能外国人との協働を通じて、日本人スタッフ自身の英語スキルが向上したり、異文化への抵抗感がなくなったという声も多く聞かれます。
このように、英語力を持つ外国人材の採用は、職場全体に前向きな変化をもたらすきっかけとなるのです。
英語力は「特定技能」に付加される大きな価値
特定技能外国人を雇用する目的は、単に業務をこなしてもらうことではなく、組織やサービスに新しい風を吹き込むことにもあります。
英語が話せる人材を採用することで、顧客満足度の向上、国際事業の拡大、社内の活性化など多方面にメリットが広がります。
とくにフィリピンやネパール、ベトナムなど、英語教育が普及している国からの採用は、即戦力としての期待も大きいでしょう。
企業が多様性を受け入れ、国際競争力を高めていくための第一歩として、英語力を備えた特定技能人材の活用は有効な戦略となります。
英語が話せる特定技能外国人を雇う際の注意点
英語が話せる特定技能人材は非常に魅力的な存在ですが、雇用する際には注意すべき点も多くあります。
語学力がある=即戦力とは限らず、求める業務内容や社内文化とのミスマッチがあれば、せっかくの人材もうまく機能しない可能性があります。
また、文化や価値観の違いが原因で、職場に摩擦が生じることも少なくありません。
本章では、英語対応可能な特定技能外国人を採用する前に確認しておくべきポイントを解説します。
本当に求める英語力があるかの確認方法
英語が話せると言っても、日常会話レベルとビジネス英語レベルでは大きな差があります。
採用時には「英語ができる」という自己申告だけに頼るのではなく、業務で必要なレベルの英語力があるかどうかを具体的に確認する必要があります。
たとえば、以下のような方法が有効です。
オンライン英語面接で実際に会話力をチェック
実際の業務場面を想定したロールプレイ
TOEICやIELTSなどのスコア提示を求める
重要なのは、業務に直結する英語力の有無を見極めること。
接客用の定型フレーズだけでなく、トラブル時の対応能力なども確認しておくと安心です。
文化・価値観の違いを理解し、衝突を防ぐ
特定技能外国人はさまざまな文化背景を持っています。
宗教観、労働観、礼儀作法、時間感覚など、日本人の常識とは異なる点も多いため、誤解やトラブルが発生する原因になりがちです。
たとえば
宗教的な理由で食べられないものがある
家族や地域の行事を優先する文化がある
「はい」と答えても必ずしも理解しているとは限らない
こうしたギャップに備えるには、事前のオリエンテーションや定期的な対話の場づくりが有効です。
日本側も「違いを前提にしたマネジメント」を意識することが、安定した雇用関係につながります。
言語だけでなく受け入れ体制全体の整備が必須
英語が話せる人材を迎えるには、会社側の受け入れ体制も整っていることが前提です。
言語の壁だけでなく、労働環境、生活サポート、相談窓口など、多面的な準備が必要になります。
たとえば
就業規則や業務マニュアルの英語翻訳
相談しやすい日本人担当者の配置
住居・生活支援、行政手続きの補助
定期的なメンタルケア面談の実施
言語が通じたとしても、「安心して働ける環境」がなければ離職のリスクは高まります。
中長期的に戦力として活躍してもらうためには、制度面・精神面の双方からのサポートが不可欠です。
語学力だけに頼らず「共に働く」ための準備を
英語が話せる=万能人材ではありません。
本当に必要な英語力を見極め、文化的背景に理解を示し、会社側の受け入れ体制を整えることが、安定した採用と職場定着のカギです。
特定技能外国人を雇用することは、企業にとっても大きな学びと成長の機会です。
「話せること」だけに注目せず、「一緒に働ける関係性」を築けるように、制度と心の両面で準備を整えていきましょう。
英語力が高い特定技能人材が多いアジアの国とは?アジア圏の英語力ランキングも紹介
英語が話せる特定技能外国人の雇用は、接客やサービス業をはじめ、多国籍な顧客対応や海外展開において非常に有利です。
では実際に、アジアで英語力が高い国とはどこでしょうか?
以下は、最新のEF EPI(English Proficiency Index)によるアジア圏の英語力ランキングです。
1位:シンガポール
2位:フィリピン
3位:マレーシア
4位:香港
5位:韓国
6位:インド
7位:ベトナム
8位:ネパール
9位:バングラデシュ
- 10位:中国
このように、英語を第2言語として広く活用しているシンガポール・フィリピン・マレーシアが上位にランクインしています。
ただし、特定技能制度における送り出し国としては、フィリピン・ベトナム・中国・ネパールなどが中心です。
本記事では、特定技能外国人の主な送り出し国の中で「英語が話せる人材が多い国」をピックアップし、その特徴や採用時のポイントをわかりやすくご紹介します。
フィリピン|高い英語力と実務経験が魅力
フィリピンは英語を公用語の一つとする国であり、世界的にも英語力が非常に高いアジア圏の代表格です。
学校教育や日常生活で英語を使用しており、発音も比較的聞き取りやすいと評判です。
また、介護や外食、宿泊業などの分野で実務経験を積んでいる人材が多く、英語力と業務スキルの両立が期待できる国です。英語でのコミュニケーションが必須となる職場では、非常に頼もしい存在です。
ベトナム|真面目さと伸びしろで注目
ベトナムは急速に英語教育が進んでおり、都市部を中心に若い世代の英語能力が年々向上しています。
発音や語彙の面では課題もありますが、まじめで勤勉な国民性が評価され、伸びしろに期待する企業が多くなっています。
特に製造業・建設業での採用が活発で、職業訓練校などで日本語と英語の両方を学ぶ人材も増加中です。
今後のグローバル人材として育成する価値の高い国といえるでしょう。
中国|語学以外のスキルにも期待
中国は国土が広いため、地域によって英語力にはばらつきがありますが、都市部の大学卒業者などは高い英語力を有する傾向があります。
加えて、ITやエンジニアリング、設計などの高度なスキルを持つ人材も多いのが特長です。
一部の特定技能分野では、技術力と合わせて日英中のトリリンガル対応が可能な人材も存在します。
英語力という点ではトップではないものの、業務スキルとの総合力で選ばれる国といえます。
ネパール|コミュニケーション力に強みあり
ネパールは観光業の影響で英語を使った接客経験がある人が多い国です。
TOEICやIELTSなどのスコアは他国に比べて平均的ですが、フレンドリーで対話に慣れている国民性が、実際の職場での適応力に直結しています。
介護や宿泊など、人と接する仕事で特に力を発揮する傾向があり、「英語力+人柄+柔軟性」の三拍子で評価されるケースが増えています。
英語力は国によって異なるが「目的に合う人材選び」が重要
アジア圏で英語力が高い国としては、フィリピンが頭一つ抜けており、実務経験と英語の両立も魅力です。
ベトナムやネパールは将来性と対人力に強みがあり、中国は英語+専門スキルという面で評価されています。
大切なのは、「英語ができること」そのものよりも、自社の業務にとってどのような英語力が必要なのかを明確にすることです。
英語力を軸にしつつ、職種との適合性、職場環境への順応性なども踏まえて、総合的な採用判断を行うことが成功の鍵です。
特定技能外国人が就労開始するまでの流れ
日本の深刻な人手不足を背景に、外国人材の受け入れを本格的に進めるため、2019年から「特定技能制度」が始まりました。
この制度では、特定の業種において一定のスキルや日本語能力を持つ外国人が、企業と雇用契約を結び日本で働くことが可能になります。
しかし、特定技能ビザの取得から実際に就労を開始するまでの流れは一様ではなく、海外から来日する外国人とすでに日本に在留している外国人とで、手続きや準備事項が異なります。
また、申請書類や試験の有無、登録支援機関のサポートの有無など、多くのポイントで注意が必要です。
ここでは、採用前の準備から入国・在留資格の取得、そして就労開始に至るまでの流れを、それぞれのパターンに分けてわかりやすく解説します。
海外から直接来日するパターンのステップ
海外から特定技能で日本に来る外国人の場合、以下のようなプロセスを経て就労が始まります。
技能試験・日本語試験の合格
まず、受け入れ対象12分野における技能試験と、日本語能力試験(通常はN4相当)の合格が必要です。これらは各国で定期的に実施されています。雇用企業の決定と雇用契約の締結
日本の企業が求人を出し、外国人本人が応募・選考を経て雇用契約を結びます。この段階で支援計画も策定されます。在留資格認定証明書の申請
企業または支援機関が出入国在留管理庁に申請を行い、許可されると「在留資格認定証明書(COE)」が交付されます。現地の日本大使館・領事館でビザ申請
COEを持って、現地の日本大使館で就労ビザ(特定技能)を申請します。来日・就労開始
ビザ取得後、日本に入国し、企業での就労がスタートします。来日時点で支援機関による生活支援や日本語研修が行われる場合もあります。
日本国内に既に在留している外国人のケース
すでに技能実習や留学など別の在留資格で日本にいる外国人が、特定技能に移行する場合の流れは一部簡略化されます。
技能試験・日本語試験の合格(一部免除あり)
技能実習2号を良好に修了していれば、試験は免除されるケースがあります。それ以外の在留資格からの移行では試験合格が原則必要です。雇用企業とのマッチングと契約
企業と雇用契約を締結します。このとき支援計画も策定され、登録支援機関の関与が求められる場合があります。在留資格変更の申請
地方出入国在留管理局にて、「特定技能1号」への在留資格変更申請を行います。手続き期間は2〜3か月程度です。在留資格変更の許可後に就労開始
許可が下りると在留カードが発行され、特定技能外国人として正式に就労を開始できます。
申請書類・試験・支援機関の関与などの概要
両パターンに共通して重要なのが、提出すべき書類の正確性と支援体制の整備です。
必要書類には以下が含まれます。
・雇用契約書
・支援計画書
・技能試験・日本語試験の合格証明書(該当する場合)
・申請書および誓約書類一式
・企業の財務書類や受入体制を示す資料登録支援機関の関与
中小企業や支援体制に不安のある企業は、登録支援機関のサポートを受けることで、生活支援や相談対応、定着支援を行えます。審査期間
在留資格変更または認定の審査には、通常2〜3か月ほどかかるため、早めの計画が重要です。
採用から就労までの全体像を把握しておこう
特定技能外国人の採用は、海外からの呼び寄せと国内在留者の移行でプロセスが異なるため、各ステップでの準備や書類対応を丁寧に進めることが成功のカギです。
特に中小企業にとっては、登録支援機関の力を借りながら、日本語指導や生活支援を行う体制整備も不可欠です。
採用前の段階で全体像を把握しておけば、スムーズな受け入れと外国人材の定着が実現できるでしょう。
特定技能制度を正しく理解し、英語でも伝えられる人事へ
外国人材の受け入れが進む中、企業の人事担当者には「日本語で制度を理解するだけでなく、それを英語でわかりやすく伝える力」が求められています。
とくに特定技能制度は要件が多く、外国人本人も不安を抱えがちなため、英語で丁寧に説明し、信頼関係を築くことが重要です。
また、支援機関や日本語教育機関との連携、生活サポートなどの場面でも、英語によるスムーズなやりとりが現場の実務を大きく左右します。
このセクションでは、特定技能制度を現場で的確に伝えるために役立つ英語表現や実践的なコミュニケーションのポイントを解説します。
現場で役立つ英語フレーズ例(制度説明・業務内容など)
採用面接、雇用契約、就労説明などの場面で使える、実務的な英語フレーズを以下に紹介します。
「特定技能制度とは」
“Specified Skilled Worker is a residence status that allows foreign nationals to work in specific industries facing labor shortages in Japan.”「あなたは技能試験と日本語試験に合格する必要があります」
“You need to pass both the skills test and the Japanese language test to apply.”「就労可能な分野は12種類あります」
“There are 12 sectors in which Specified Skilled Workers are allowed to work.”「業務内容は工場内の食品加工です」
“Your main task will be food processing at the factory.”「登録支援機関が生活のサポートを行います」
“A registered support organization will assist you in your daily life.”
このように、日本語で説明している内容をあらかじめ英語に置き換えて準備しておくことで、外国人材との信頼構築が円滑になります。
支援機関・教育機関との連携を英語でもスムーズに
特定技能制度では、支援機関や教育機関との連携も欠かせません。以下のようなやりとりを英語でできると、関係構築が円滑に進みます。
支援機関との連携時のフレーズ:
“Could you please provide the support plan in both Japanese and English?”
“Let’s coordinate the orientation schedule for the incoming workers.”日本語学校との連携:
“We’d like to confirm the language training progress of the candidates.”
“Are there any students preparing for the JLPT N4 exam?”
こうした表現を活用することで、英語圏の支援機関や教育機関とも確実な連携が取れ、外国人材の受け入れ体制が安定します。
外国人本人の理解を深めるコミュニケーション戦略
制度やルールを「説明したつもり」ではトラブルの元です。外国人本人の理解度を確認しながら丁寧に伝える姿勢が不可欠です。
確認の姿勢を示す表現:
“Did you understand the procedure so far?”
“If you have any questions, feel free to ask anytime.”日本独自の慣習に対する説明:
“In Japan, punctuality is very important in the workplace.”
“Seniority and hierarchy are often respected in Japanese companies.”
また、イラストや動画などを使って視覚的に説明したり、母語通訳を挟んだサポートを取り入れることも効果的です。
伝える力が制度理解と定着のカギ
特定技能制度を活用するうえで、制度を正しく理解するだけでなく、英語で伝えられる力を持つ人事担当者は、外国人材との橋渡し役として非常に重要な存在です。
制度の専門用語や業務内容を英語で説明できるよう準備しておけば、採用前後のミスコミュニケーションを減らし、企業と外国人双方にとって安心で円滑な雇用関係を築くことができます。
これからの時代、人事の英語力は企業の競争力にも直結するでしょう。
特定技能制度を正しく理解し、英語でも自信を持って伝えよう
特定技能制度(Specified Skilled Worker)は、日本の労働力不足を補う重要な在留資格制度であり、外国人材を受け入れる企業にとって実務的な知識と制度理解が欠かせません。
この記事では、特定技能1号と2号の違いや活動内容、対象産業分野と試験制度、受入れ機関と支援体制の役割まで、制度全体を網羅的に解説しました。
さらに、英語で制度を説明するために必要な用語・フレーズ・注意点も具体的に紹介しました。
特に企業担当者が重視すべきポイントは以下の通りです。
- 在留資格ごとの条件や期間、家族帯同の可否を理解すること
- 英語での契約説明や支援体制の説明に備えておくこと
- 技能試験・日本語試験に関する最新情報を把握しておくこと
- FAQに対応できる英語表現をあらかじめ準備すること
制度を活用するだけでなく、外国人本人に“安心感”と“理解”を与えることが、長期的な人材定着と相互信頼につながります。
特定技能制度は「制度対応力」と「言語対応力」の両方が試されるフェーズに入っています。
今後の国際採用環境において競争力を持ち続けるためにも、引き続き制度の動向を追い、企業としての対応力を高めていきましょう。
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