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05/30 (金)更新

外国人の在留資格「高度人材(高度専門職)」とは?ポイント制と申請手続きを徹底解説

近年、日本では外国人の高度人材(高度専門職)の受け入れが急速に進んでいます。

 

少子高齢化が進む中で、高度な専門知識やスキルを持つ外国人の力を活用することが、国家戦略の一環として位置づけられているからです。

 

この制度の中核をなすのが、「高度人材ポイント制」です。

 

学歴や職歴、年収、日本語能力などに応じてポイントを付与し、一定の点数を超えた外国人に対しては、在留資格「高度専門職」が認められ、通常の在留資格では得られないさまざまな優遇措置を受けられるようになります。

 

しかし、このポイント制は仕組みがやや複雑であり、申請のタイミングや必要書類など、企業側・外国人側ともに正しい理解が必要です。

 

本記事では、「高度専門職1号・2号の違い」から「ポイント制の計算方法」、「申請手続きと必要書類」、「企業側の受け入れ体制の整備」まで、制度の全体像と実務的な対応策をわかりやすく解説します。

 

外国人の採用を検討している企業の担当者の方や、申請を目指す外国人の方にとっても役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

高度人材とは?|高度専門職の種類と制度概要

日本の経済や研究分野において、即戦力となる優秀な外国人材の受け入れがますます重視されています。

 

なかでも「高度人材(高度専門職)」は、専門性や実績が評価される特別な在留資格制度であり、一般的な就労ビザとは異なる多数の優遇措置が用意されています。

 

このセクションでは、「高度人材」の定義や制度の構造、分類の違いなど、制度の基本的な仕組みを丁寧に解説します。

 

企業の採用担当者や外国人本人が「この制度に該当するかどうか」を見極めるうえで、重要な情報が満載です。

外国人「高度人材」とは?定義と対象となる人材

「高度人材」とは、日本の経済成長・イノベーション促進に寄与する外国人材を対象とした特別な在留資格のことです。

正式には「高度専門職」という在留資格で、日本政府が導入したポイント制により、その人物の学歴・職歴・年収・日本語能力などを数値化し、一定点数(原則70点以上)を獲得した人材にこの資格が付与されます。

対象となるのは以下のような外国人です。

  • 研究機関での高度な学術研究を行う人

     

  • IT企業などでの専門的な技術職に就く人

     

  • 経営管理や企業役員として活動する人 など

日本で長期的に活躍できる人材として永住権取得の優遇や家族帯同なども認められています。

「高度専門職1号」と「高度専門職2号」の違い

高度専門職には2つの種類があります。

  • 高度専門職1号(高度専門職1号イ・ロ・ハ)
    ポイント制度を用いて在留資格が認定される初期段階のステータスで、在留期間「5年」が付与され、優遇措置を受けながら就労可能です。

     

  • 高度専門職2号
    1号で3年以上継続して活動し、一定条件を満たした者が移行可能なステータス。こちらは在留期間の制限がなく、事実上「永住に近い滞在」が可能となります。配偶者や親の帯同、家事使用人の雇用なども緩和されます。

2号に移行することで、本人とその家族の生活の安定性も高まります。

高度専門職の3分類(研究・技術・経営)とは?

高度人材は大きく以下の3区分に分類されます。

  1. 高度学術研究活動(イ)
    大学や研究機関での教授・研究者など

     

  2. 高度専門・技術活動(ロ)
    理工系・IT系などの企業での専門職(エンジニア、設計、システム開発など)

     

  3. 高度経営・管理活動(ハ)
    企業の経営者、役員、管理職など経営層としての活動

この分類に応じて、必要な学歴や職歴、年収要件も異なり、ポイント制度の評価内容にも違いが出ます。

高度人材の受け入れが進められる背景と国家戦略

政府が高度人材を積極的に受け入れているのは、以下のような国家的課題と成長戦略に対応するためです。

  • 少子高齢化に伴う労働人口の減少

     

  • グローバル競争力の強化

     

  • 先端技術や研究開発分野への投資拡大

     

  • 外国人起業家の支援と地方創生の推進

これにより、「高度外国人材ポイント制制度」が導入され、世界中から優秀な人材を日本に呼び込むための制度設計が進められました。

たとえば、政府は「高度外国人材の永住許可を最短1年に短縮する」などの方針を打ち出しており、今後もこの分野の拡充が見込まれています。

 

高度人材制度は、日本で長期的に活躍したい外国人にとって非常に魅力的な在留資格であり、企業にとっても有能な人材を確保するうえで重要な採用ルートとなります。

制度の分類や優遇措置を正しく理解し、対象となる人材の見極めと適切な申請準備を行うことが、スムーズな在留資格取得と活躍の第一歩です。
次のセクションでは、ポイント制の具体的な内容と計算方法について解説していきます。

高度人材ポイント制とは?仕組みと計算方法

「高度人材」として日本で在留するには、ポイント制度による評価をクリアする必要があります。

 

これは、外国人の学歴・職歴・年収・日本語能力などのさまざまな要素を数値化し、合計70点以上を取得した者が「高度専門職」として認定される制度です。

 

特に80点以上の取得者には、永住許可要件の緩和などの強力な優遇措置が用意されており、多くの外国人がこのポイント制度の達成を目指しています。

 

ここでは、制度の背景や計算方法、加算条件まで詳しく解説します。

高度人材ポイント制度の概要と導入目的

高度人材ポイント制は、日本がグローバルな人材を獲得するために2012年に導入した仕組みです。

経済のグローバル化が進む中で、日本政府は「優秀な外国人材を早期に受け入れ、長期的に活躍してもらう」ことを目的にこの制度を整備しました。

この制度では、以下のような分野で活動する外国人を対象に、スコア化して評価を行います。

  • 研究・教育分野(大学・研究機関など)

     

  • 専門・技術分野(IT、設計、エンジニアリングなど)

     

  • 経営・管理分野(企業の役員、事業経営者など)

評価が70点以上の場合、「高度専門職1号」の在留資格を取得でき、複数の優遇措置が受けられるようになります。

ポイント制の計算方法(学歴・職歴・年収など)

評価は以下のような要素に基づいて点数が加算されます(※一例)

  • 学歴
    博士号:30点
    修士号:20点
    学士号:10点

     

  • 職歴
    10年以上:20点
    7年以上:15点
    5年以上:10点

     

  • 年収(技術分野などの場合)
    年収1,000万円以上:40点
    年収700万円以上:25点
    年収500万円以上:15点

     

  • 年齢
    29歳以下:15点
    30〜34歳:10点
    35〜39歳:5点

     

  • 日本語能力試験(JLPT)やN1・N2保有:最大15点加算

これらを組み合わせ、70点を超えれば在留資格取得可能となり、80点を超えれば永住権関連の優遇も期待できます。

特別加算の条件(日本語能力・卒業大学・雇用機関等)

基本スコアに加えて、特別な条件を満たすことで「加算点」を得られます。

以下は主な加算例です。

  • 日本語能力試験(JLPT)N1保有:15点加算

     

  • 日本語能力試験(JLPT)N2保有:10点加算

     

  • 日本の大学または大学院を卒業:10点加算

     

  • 日本企業での内定・雇用実績あり:10点加算

     

  • 特定の世界大学ランキング上位校を卒業:加点あり

加算条件を上手く活用することで、70点未満の人も加点により資格取得の可能性が高まります。

80点以上で得られる特典と永住許可要件の緩和

ポイント制度で80点以上を獲得した外国人は、さらなる優遇措置を受けることが可能です。

  • 永住許可の申請が「1年の在留歴」で可能(通常10年)

     

  • 親や家事使用人の帯同が許可される

     

  • 配偶者のフルタイム就労が可能

     

  • 入国・在留審査が優先される

     

  • 在留期間は「一律5年」付与

このため、80点以上を目指して戦略的に学歴や資格、日本語能力を準備する外国人も少なくありません。

 

高度人材ポイント制度は、外国人にとって日本でのキャリア形成に大きなチャンスをもたらす制度です。
自分の経歴・能力を数値化して評価を受けられるため、客観的に自分の立ち位置を把握することができます。

学歴や年収に加えて、日本語能力や大学歴などで加点が可能なため、総合的な戦略が必要です。
企業側もこの制度を理解し、優秀な外国人材を長期雇用できるよう、サポート体制の整備を進めていくことが求められます。

ポイント制によって受けられる優遇措置とは

外国人の在留資格「高度専門職」を取得すると、日本での生活や働き方において、数多くの優遇措置を受けることが可能になります。

 

これらの特典は、日本が高度人材の受け入れを積極的に進めている証拠でもあり、企業にとっても大きな魅力となっています。

 

ここでは、「高度専門職1号」と「高度専門職2号」それぞれに付与される優遇内容を整理し、配偶者の就労や親の帯同など家族関連の支援在留期間や審査の優遇措置について詳しく解説します。

「高度専門職1号」の優遇制度一覧

高度専門職1号の取得者は、以下のような多彩な優遇を受けられます。

  • 在留期間「5年」が一律で付与され、安定した日本滞在が可能に。

     

  • 在留資格の複合的な活動が認められるため、たとえば教育研究活動と事業経営を併用することも可能。

     

  • 永住権申請の条件が緩和され、1号での在留期間が1年または3年あれば申請できる(通常は10年が必要)。

     

  • 配偶者の就労が可能(通常の家族滞在ビザでは制限あり)。

     

  • 親の帯同が条件付きで許容(同居・扶養などの要件あり)。

     

  • 家事使用人の帯同も可能(一定年収以上での雇用が前提)。

     

  • 空港での入国審査や在留申請が優先的に処理される。

     

これらの措置により、高度人材本人だけでなく、その家族の生活の質や安定性も大きく向上します。

「高度専門職2号」になることで可能になること

高度専門職1号で3年以上在留実績がある場合、申請によって「高度専門職2号」への変更が可能になります。2号に移行することで得られる最大のメリットは、在留期間が無期限になることです。

また、活動内容にも柔軟性が加わり、次のような利点があります。

  • 在留資格の更新不要で日本に永続的に居住可能

     

  • 家族の帯同や就労の自由度がさらに拡大

     

  • 永住権の取得が事実上不要になるケースも

企業にとっても、長期的な雇用計画が立てやすくなり、安定した人材確保につながります。

外国人配偶者の就労、親や家事使用人の帯同も可能に

通常、在留資格「家族滞在」では配偶者の就労は制限されますが、高度専門職を持つ外国人の配偶者は、資格外活動許可を取らずに就労可能です。

さらに、以下のような家族支援が認められています。

  • 親の帯同が可能(日本人の配偶者ビザでは不可)。要件としては、妊娠中・子育て中のサポートや要介護状態であることなどが必要です。

     

  • 家事使用人(ヘルパー)を一緒に帯同させられる制度もあり、一定以上の年収を有する場合に限られます。

これらは生活支援や家庭の安定に大きく寄与し、外国人材の長期定着を促進する大きな要因となっています。

入国・在留審査の優先処理や在留期間「5年」の付与

「高度専門職」に該当すると、入国管理局の審査が迅速化されるという利点もあります。これは以下のような実務面でのメリットにつながります。

  • 在留資格認定証明書交付申請が最短10日程度で処理

     

  • 更新申請や資格変更の審査も優先枠で進む

     

  • 在留期間が最初から5年となり、短期ごとの更新ストレスから解放される

とくに企業側にとっては、入社時の手続きや配属スケジュールが組みやすくなるため、採用活動全体の効率化にも寄与します。

高度専門職の優遇措置は本人にも企業にも大きなメリット

高度人材ポイント制によって得られる優遇措置は、日本での生活の質や職業的自由度を格段に向上させるものです。
高度専門職1号では、活動の柔軟性と家族支援、高速審査などが得られ、さらに2号へ進めば無期限の在留と拡張された権利が手に入ります。

外国人本人にとっては魅力的なキャリア形成の土台となり、企業側にとっては長期戦力となる人材確保の強力な武器になるでしょう。
これらの優遇をうまく活用し、効果的な採用・定着支援につなげていくことが求められます。

高度人材の在留資格申請と更新方法

日本で働く外国人が「高度人材(高度専門職)」として活動するには、適切な在留資格の取得・更新手続きが不可欠です。

 

新規に高度専門職ビザを取得するケースだけでなく、すでに日本に在留している人が別の資格から変更する場合も増えています。

 

ここでは、高度専門職に関する申請の流れや変更・更新手続きのポイントをわかりやすく解説し、ポイント制との関係や必要書類の準備方法についても整理します。

新規に在留資格「高度専門職」を申請する流れ

日本にまだ在留していない外国人が、新たに高度専門職として来日する場合、「在留資格認定証明書」の交付申請を行うのが一般的な方法です。

この際、企業が代理人として申請を行い、以下のような書類を揃えます:

  • 高度専門職に該当する業務内容の説明書

     

  • 雇用契約書、職務内容の詳細資料

     

  • ポイント計算表(80点以上が目安)

     

  • 学歴証明、職歴証明、年収証明などの裏付け書類

認定証明書の交付後、本人は海外の日本大使館・領事館でビザ申請を行い、入国が許可されます。

他の在留資格(技術・人文知識など)からの変更方法

すでに日本で「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持っている外国人が、高度専門職へ変更したい場合は、在留資格変更許可申請を行います。

この変更は以下のようなケースで利用されます。

  • 経歴や年収の変化によって80点以上に達した場合

     

  • 同一企業内での職務変更により「高度性」が認められる場合

     

  • より長期的な滞在を視野に入れ、優遇措置を受けたい場合

この手続きでは、雇用継続の証明ポイント制度での適格性資料が審査対象となります。

高度専門職としての在留期間の更新手続き

在留期間が5年である高度専門職1号の場合、期限が近づくと更新申請を行う必要があります。

更新時の提出書類には以下が含まれます。

  • 在留期間更新許可申請書

     

  • パスポート・在留カードのコピー

     

  • 雇用契約書(継続雇用の証明)

     

  • 最新の納税証明・住民税納付状況

     

  • 引き続きポイント80点を満たしていることの確認書類

更新時に注意すべき点は、職務内容や年収などが変動していると再評価の対象になることです。

そのため、現在の勤務状況が高度人材としての水準に維持されているかを確認しておく必要があります。

ポイント制による変更と証明書類の準備

ポイント制の評価基準により、資格変更や更新の際には再評価が行われることがあります。

これに対応するため、以下のような証明書類の準備が重要です。

  • 学歴証明書(大学・大学院の卒業証明書)

     

  • 職歴証明書(前職の在籍証明書)

     

  • 年収に関する証明(源泉徴収票、課税証明書)

     

  • 日本語能力試験の合格証(加点対象)

また、特別加算を狙う場合は、「日本の大学卒業」「研究機関に勤務」などの条件を満たすこともアピール材料になります。

申請の種類に応じた正しい手続きを理解しよう

高度人材の在留資格取得には、新規申請・資格変更・在留更新のそれぞれに異なる手続きと要件があります。
とくにポイント制度が関与することで、提出すべき資料の質と正確性が審査結果に直結します。

新たに来日する外国人だけでなく、すでに在留している外国人や受け入れ企業にとっても、制度を正しく理解し、早めに準備を進めることが成功のカギとなります。
専門家のサポートも活用しながら、確実な手続きを心がけましょう。

外国人高度人材を採用する企業の準備と注意点

外国人の高度人材を採用することで、企業はグローバルな競争力を強化できます。

 

しかし、在留資格制度の特性や企業側に求められる受け入れ体制を十分に理解しておかないと、申請の不許可や離職につながるトラブルの原因になります。

 

ここでは、「高度専門職」の在留資格取得に向けて、企業側が事前に確認・整備すべきポイントを詳しく解説します。

 

また、話題のJ-Skip制度との違いや活用可能性にも触れていきます。

在留資格要件を満たす雇用内容かをチェック

高度人材の採用を検討する際は、まず「その雇用条件が在留資格要件に適合しているか」を確認する必要があります。

たとえば、「高度専門職1号(ロ)」に該当する外国人を採用する場合、職務内容が技術職・人文知識職・国際業務職などの専門性が高い分野に該当しなければなりません。

給与水準も重要で、年収300万円〜400万円以上が望ましい基準とされています。

この段階で要件に合致しない雇用内容だと、在留資格認定証明書の審査に通らない可能性が高くなります。

外国人向けの職場環境整備とサポート体制

外国人材の定着には、制度的な整備だけでなく、ソフト面の対応も不可欠です。

  • 多言語対応の社内資料や研修制度

     

  • 配偶者や家族の生活支援、住居探しのサポート

     

  • 日本文化やビジネスマナーへのフォロー体制

こうした体制が整っている企業ほど、優秀な外国人材から選ばれやすく、離職率も低い傾向にあります。採用後のフォローまで見据えた対応が求められます。

社会保険・年金・税務面での整備ポイント

外国人でも高度人材として日本に就労する場合は、基本的に社会保険・厚生年金への加入が必須です。企業は以下の義務を果たす必要があります。

  • 健康保険・年金の加入手続き

     

  • 源泉徴収票の発行

     

  • 税務署への給与支払報告書の提出

     

  • 在留カードのコピー保管(雇用管理責任)

特に、年金の適用除外制度(二国間協定がある国向け)については、本人にも丁寧に説明し、理解を得ることがトラブル防止に役立ちます。

J-Skip(特別高度人材制度)との違いと併用の可能性

2023年に導入された特別高度人材制度「J-Skip」は、特に優秀な外国人材をより早期に永住へ導くための新制度です。

従来の「高度専門職ポイント制度」と異なり、明確な学歴・年収要件が設けられており、申請の簡素化が特徴です。

主な違いは以下の通りです。

項目高度人材ポイント制J-Skip制度
要件総合評価で80点以上学歴と年収などの明確な基準
永住要件緩和1号で1年or3年最短1年で申請可能
優遇内容帯同・就労・更新緩和同様だが申請が簡便

企業はどちらの制度が採用予定人材に最適かを判断した上で、柔軟に制度を選び、必要に応じて両方を比較検討することが重要です。

制度理解と職場体制が成功の鍵

外国人高度人材の採用は、単にビザを取得させるだけで終わりではありません
在留資格の要件を正しく理解し、職場環境や法務・労務の整備を行うことが、長期的な定着と活躍につながります。

また、J-Skipなどの新制度を活用することで、より優秀な人材を呼び込みやすくなる可能性があります。
制度の併用や専門家の活用も視野に入れつつ、自社に最適な受け入れ体制を構築しましょう。

よくある質問(FAQ)で理解を深める

高度人材制度は、外国人の受け入れを促進する重要な政策ですが、具体的な要件や仕組みに不明点を抱える方も多いでしょう。

 

特に「永住できるの?」「家族も一緒に暮らせるの?」「どんな人が対象?」といった基本的な疑問は、企業担当者や外国人本人双方にとって極めて重要です。

 

ここでは、高度人材に関するよくある質問とその回答を通して、制度の理解をより深めていきます。

Q. 高度人材とはどのような外国人を指しますか?

高度人材とは、学歴・職歴・年収などの条件を総合的に評価して一定以上のポイントを取得した外国人労働者を指します。

対象職種は、高度な専門性を要する「学術研究」「技術・人文知識」「経営・管理」などで、通常の就労ビザよりも厳格な基準が設定されています。

具体的には、「博士号を持つエンジニア」「年収が800万円以上の研究者」「上場企業の役員として雇用される外国人」などが想定されます。

これらの人材は、日本において長期的に活躍できると評価されており、特別な優遇措置を受けることが可能です。

Q. ポイント制の最低基準点は?誰が決めるの?

高度人材制度では、70点以上で「高度専門職」としての申請資格が得られ、80点以上で永住許可要件の緩和などの特典が付与されます。

評価項目には、以下のような要素が含まれます。

  • 学歴(最大20点)

     

  • 職歴(最大20点)

     

  • 年収(最大40点)

     

  • 年齢、資格、日本語能力、卒業大学のランクなど(加算ポイント)

このポイント配分や基準点は、出入国在留管理庁(入管庁)が告示として定めるもので、制度の目的に応じて見直されることもあります。

企業や本人が独自に決められるものではないため、常に最新の制度情報に基づいて確認することが大切です。

Q. 高度人材になれば永住は簡単ですか?

永住が「簡単になる」というより、「要件が緩和される」と理解するのが正確です。

通常、永住許可を得るには日本に連続して10年以上在留し、5年以上の就労歴が必要ですが、高度専門職1号で活動し、80点以上を満たす場合は、最短1年または3年で永住申請が可能となります(審査通過を保証するものではありません)。

ただし、納税義務の履行や日本での素行が良好であること、安定した収入があることといった他の永住基準も満たす必要があります。

Q. 家族の帯同や子どもの就学支援はありますか?

はい。高度専門職に認定された外国人は、配偶者の就労が認められるほか、一定の条件下で両親や家事使用人の帯同も許可されるなど、家族に対する配慮が充実しています。

また、子どもがいる場合は日本国内の学校への入学も可能で、場合によっては地方自治体による支援(補助金や通訳の配置など)を受けられるケースもあります。

これにより、家族全体が日本での生活に馴染みやすくなり、長期的な定着に大きく寄与します。

  • 不安な点はFAQで早めに解消を

高度人材制度は、外国人本人だけでなく、採用する企業にも大きなメリットがあります。
しかし、「制度が複雑そう」「永住との関係がわかりにくい」といった疑問も多く、正確な理解と準備が成功の鍵です。

本記事で紹介したFAQを参考に、採用計画やキャリア設計に役立ててください。疑問が残る場合は、専門家や行政書士への相談を積極的に行うことをおすすめします。

成功事例から学ぶ!高度人材採用と定着の実態

高度人材制度は、優秀な外国人を長期的に日本で活躍させるための枠組みとして注目を集めています。

 

しかし、制度上の条件を満たすことと、実際に職場で定着し活躍することは別問題です。制度を活用する企業の多くが、「採用したがすぐに辞めてしまった」「言語や文化の壁を乗り越えられなかった」といった課題を抱えています。

 

そこで今回は、実際に高度人材を採用し、定着・活躍・永住につながった成功事例をもとに、どのような工夫や支援が成果につながるのかを紹介します。

ITエンジニアとして採用した外国人の定着事例

ある中堅IT企業では、東南アジア出身の大学院卒エンジニアを「高度専門職1号(技術)」として採用。

彼は、ポイント制で85点を取得しており、高度人材としての在留資格を得て来日しました。

最初の半年間は、言語や報連相の文化に苦労しながらも、ペアプログラミングや社内OJTを通じて適応

2年目からはプロジェクトリーダーとして若手社員を指導する立場にまで成長しました。現在は永住申請を準備中で、日本での生活も安定しています。

ポイント

・採用前にオンラインでの技術面接と日本語面接を実施
・入社後にビジネスマナーと社内文化を学ぶ研修を導入
・3ヶ月ごとの個別面談で進捗と不安を丁寧にヒアリング

企業が取り組んだ社内サポート体制の工夫

別の製造業の企業では、高度人材として技術系外国人を複数名受け入れました。うまくいった理由のひとつが、「外国人受け入れ専任チーム」の設置です。

このチームは、住居手配や行政手続きのサポート、日本語学習の支援、さらには社員間の交流イベントの企画運営まで担当。

これにより、外国人社員は「孤立しない」「困ったときに相談できる」環境を得られ、安心して働けるようになりました。

ポイント

・入社前からビザ手続き・住宅確保を企業側が主導
・日英バイリンガルの相談窓口を社内に設置
・食文化や宗教的習慣への理解を社内教育で共有

高度人材として活躍後、永住申請に至ったケース

中国出身のAI研究者は、日本の大学で博士号を取得し、その後国内IT企業に就職。年収や研究実績で高ポイントを獲得し、「高度専門職1号(研究)」で在留。

彼は3年間の実績と80点以上のポイントを保ち、永住申請を許可された初の外国人社員となりました。企業側も、彼の長期在留を見越してプロジェクト責任者のポジションを用意し、チームビルディングを支援しました。

ポイント

・永住を見据えたキャリア設計を企業と本人が協力して作成
・日本語研修だけでなくマネジメント研修も提供
・配偶者や子どもの生活も企業が生活サポート

定着と活躍には「制度×サポート」の両輪が必要

高度人材の採用は、単に条件を満たした人を雇えば成功するわけではありません
受け入れ企業がどれだけ彼らの生活・文化・キャリアに寄り添えるかが、定着と活躍の鍵になります。

成功事例に共通しているのは、採用前からの丁寧な準備、入社後のフォロー体制、長期的な育成視点です。
高度人材の制度を最大限に活かすために、制度理解と同じくらい現場での配慮が求められます。
企業としても、単なる雇用ではなく「共に未来を創るパートナー」としての姿勢が問われていると言えるでしょう。

まとめ|高度人材制度を活用して優秀な外国人を迎えるために

高度人材制度は、即戦力となる外国人を安定的に雇用したい企業にとって非常に有効な在留資格制度です。

 

ポイント制に基づいた客観的な評価により、制度の透明性と信頼性が保たれており、採用側・申請者双方にとってメリットの多い仕組みとなっています。

ポイント制を理解し、対象となる人材を見極めよう

高度人材制度では、学歴・職歴・年収・日本語力などの要素で得点が加算されるため、条件を満たすかどうかを事前にしっかりチェックすることが大切です。

特に、80点以上で永住申請要件の緩和などの優遇措置を受けられるため、戦略的な人材採用にも直結します。

企業と外国人双方にメリットのある制度を活用

「高度専門職1号」では複合的な在留活動が可能であり、「2号」になれば在留期間の制限がなくなり家族帯同や永住にもつながるなど、外国人本人のキャリア形成にも寄与します。

企業側も長期的な戦力として活用できるため、双方にとって大きな利点がある制度です。

専門家と連携し、スムーズな申請と採用を実現

制度の要件や申請プロセスには専門的な知識が求められる場面もあります。

行政書士や登録支援機関といった専門家のサポートを受けることで、ミスを防ぎ、確実かつ効率的に申請を進めることが可能です。

企業の人事担当者にとっても大きな安心材料となるでしょう。

高度人材制度は、グローバル化する社会の中で、日本が優秀な外国人を受け入れるための鍵となる仕組みです。

ポイント制の活用と現場でのサポートを両立させることで、より強固な人材基盤を築いていきましょう。

 

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