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07/09 (金)更新

コロナウイルスと外国人労働者の関係性 日本の経済の行方は

2019年末から2021年現在にかけて世界はコロナウイルスの脅威に脅かされています。

このコロナウイルスの影響により、日本に在留している外国人労働者は、日本人より厳しい状況に立たされています。
言葉の壁や、在留資格の事情などの要因により、コロナ禍の中で生活に困窮している外国人は非常に多くなっているのです。

今回は、コロナウイルスによる外国人労働者の窮状や、その影響で引き起こる日本の社会問題について説明していきます。

コロナウイルスの感染拡大の影響

新型コロナウイルス感染症拡大により、世界中が甚大な影響を受けています。

日本をはじめ世界的に、国際的な人の移動はほぼ停止状態となっており、日本国内では緊急事態宣言が発表されるなど、従来とは異なる状況が生じています。

これまで日本政府は景気拡大のもと、外国人労働者への需要拡大に力を入れ、近年は国内外国人の労働者数は増加していましたが、その状況はコロナウイルスにより一変しました。

国内生産量の低下

特に製造業・建設業においては、生産量を減らしたり、工事の見送りなども行っているため、もともと抱えていた従業員全員に仕事を振ることが困難になっています。

一部の企業においては、経営上の業績が悪化しているため、人員を解雇する決断をせざるを得ない状況にあります。

そして、この流れで外国人の技能実習生が解雇され始めています。

通常であれば、雇うことができなくなった技能実習生は、監理団体が同じ業種の企業を紹介・斡旋しています。

ですが、当該業種の各企業が業績悪化に陥っているため、技能実習生が働ける場所が全体駅に激減しているのです。

また現在施行されている技能実習制度の内容では、技能実習生が当初在留資格を得る為に申請していた職種と、異なる職種の業界へ移ることは認められていません。

なので、どれだけ他の業種で人手を求めていたとしても、そちらに移る事が出来ないのです。

実習生が母国に帰れない

上記で説明したように、永住者や定住者以外の外国人労働者は、入国する際に取得している在留資格によって就労可能な業務が限られています。

そのため日本で仕事を失ってしまうと、コロナ禍の現状で、すぐに新たな仕事に就くことは難しく、収入源を確保を確保する事は非常に難しいのです。

また日本での就労を諦めて帰国しようにも、海外との往来はコロナウイルスによって制限されたままなので身動きが取れない状況が続きます。

一度仕事を失った後は、在留資格が滞在期間(90日間)に変更になってしまいます。

ただ本来であれば、離職してから90日以内に日本を出ていかなければ「不法滞在」になってしまうのですが、出入国在留管理庁が出した対策により、帰国便の状況が分からない場合、在留資格を延長することも可能です。

政府の対応

上記のように外国人労働者の中にはコロナの影響により、これまでの生活基盤を失い、生活が困窮している者もいます。

政府は、そのような外国人労働者を支援するため、生活支援の策を打ち出しています。

例えば、1人あたり一律10万円が給付される「特別定額給付金」や、雇用維持のため休業などの措置を取った事業者に支給される「雇用調整助成金」などは、外国人労働者も日本人労働者と同じく適用の対象となっています。

また、実習の継続が困難となった技能実習生等に対しては、特別措置として異業種への転職を認め、最大1年「特定活動」の在留資格を与えるとの措置を検討しています。

緊急小口資金等の特例貸付

3月18日に発表された「緊急小口資金等の特例貸付」は、生活資金が困窮している外国人を対象に、貸付けを行う内容であり、貸付上限額を20万円と2倍に引き上げたうえで、その対象を低所得世帯から感染拡大の影響で減収となった世帯まで広げた措置です。

この制度は在留外国人を対象としているが、地域によっては、『在留中に返済できること』『永住者や定住者』に限定するなどの条件が付されている所もあります。

これは永住者、定住者、難民認定を受けた外国人に限定されており、在留期間に制限のある留学生や技能実習生などは対象外となっています。

外国人の休業補償・休業手当

労働基準法により、仮に外国人労働者がコロナウイルスに感染した場合もしっかりと休業補償や休業手当を受け取る事が可能です。

休業補償とは

休業補償とは、『労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡』の場合において、療養中の従業員に対して平均賃金の6割以上の補償を行うというものです。

新型コロナウイルスの流行とは関係なく、業務上の病気や怪我が理由で休業する従業員には、必ず通常の給与の6割以上を支払わなければいけません。

休業手当とは

休業手当とは、働ける状態にも関わらず、会社都合で労働者を休ませる場合、平均賃金の6割以上の補償を行うというものです。

この手当が会社から支払われなかった場合、労働者は国に直接、以下の「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を申請できます。

外国人労働者の来日が困難な事で引き起る問題

コロナウイルスの影響で外国人観光客の来日が不可能になり、観光業の経営が危機にさらされていることはニュースでもよく取り上げられているのでご存知の方は多いと思います。

しかし観光だけでなく、技能実習生などの外国人労働者の来日もできなくなっているのです。

去年末まで技能実習生は41万人ほど入国して、就労していました。

いまや外国人の技能実習生は、日本の産業を支える存在となりつつあったのです。

ただこのコロナの影響で実習生として来日している、主な技能実習派遣国の6ヶ国のうち5ヶ国が、現在入国拒否となっています。

コロナ流行前の2019年は毎月1万人から2万人の実習生が来日していました。

来日できない状況がこのまま半年間続けば約10万人、1年間続けば約20万人の実習生が来日できなくなってしまいます。

日本産業の人手不足が深刻化

日本では少子高齢化の影響で、子供の数が減る一方、高齢化が進み2015年の時点では国民の4人に1人が高齢者という超高齢化社会という状況です。

高齢者の割合が増えることによって、労働人口が減少し人手不足の原因となっています。

また、日本以外にもスウェーデンやイギリスなどの高齢社会の国はありますが、その中でも日本は、他国にない異常な早さで高齢化が進んだことも原因の一つです。

この日本の超高齢化社会による人手不足を解消の為の鍵となっていたのが、「外国人労働者」の存在だったのです。

若く優秀な海外の人材を採用する事で、日本で不足していた労働力の補填を行っていました。

外国人の労働者達が大きな歯車となって、日本経済を支えてくれていたのです。

税収悪化による社会制度の崩壊

元来日本の社会保障制度は年齢層が若い世代が多くの税金を納めて、自分達よりも上の高齢の世代を支える体系にありました。

この税金の循環により、高齢者は定年後も年金により生活し、医療費の負担額も1割と安定的な暮らしを行っていく事が出来ました。

しかし少子高齢化により、若者が納める税金に比べて、支える高齢者の数があまりにも増えてしまったので、この社会保障制度が崩れつつあります。

ここで日本に来ている外国人労働者達の出番になります。

外国人労働者達は日本で働いた分だけ、他の日本人労働者と同じように日本に税金を納めるので、少子高齢化により不足していた税収の補填が外国人達によって賄えます。

このように日本の社会保障制度は外国人労働者の増加により、支えられている部分がありました。

ですがこのコロナの影響により、外国人労働者達の入国が出来ないので必然的に労働人口が減ると共に、日本が得られる税収も少なくなるのです。

今後の外国人の受け入れ

外国人労働者達が日本にどれほど重要な存在なのかを上記で説明してきましたが、コロナが収束した後の外国人労働者の受け入れはどうなるのでしょうか?

今後の展開や可能性のをいくつか挙げていきます。

外国人を受け入れる業界が変わる

これまで外国人を積極的に受け入れていた業界の受け入れ方が大きくかわっていく事が予測されます。

日本の「衣・食・住」を支える一部の製造業や建設業、農業等の生活の基盤を支える産業ではこれからも外国人の受け入れ拡大が見込めます。

特に建設業に関しては、2025年に控えている大阪万博がありますので、その需要に対応する為に建設業に従事する外国人労働者の受け入れが大幅に拡大する見込みになります。

ただ飲食業や宿泊業・一部の製造業に関してはコロナ禍が回復した後でも、当分受け入れを拡大する事は難しいかと思います。

採用フローのオンライン化

コロナ禍になってから採用をする為に対面で行っていた作業は全てオンラインを通したものに変わりました。

またIT化の煽りにより、履歴書でのPRよりも、動画やビデオでのPRへと手法は変わっていきました。

ただ自社にオンラインの設備が整っていなかったとしても、人材会社や登録支援機関・監理団体を通して人材を採用する場合は仲介業者が設備を用意してくれてるので、設備を心配する事なく安心して採用活動を進める事が出来ます。

現状の技能実習受け入れ国からの入国が止まる

現在の技能の受け入れ国は「インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、中国、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、モンゴル、ラオス」になっています。

この中でもいくつかの国からの受け入れは、当分止まってしまう事が予測されます。

いくつかの国では感染が深刻化しており、流行前の状態まで回復するのに時間がかかる所も多くあります。

なので人材を日本に送るという環境に戻れなくなる可能性があるのです。

ベトナムからの入国が止まる可能性

ベトナムは日本への技能実習生と特定技能の派遣数が年間約20万人と、派遣国の中でもダントツ1位の人数を送り出しています。

このベトナム人の20万人という数は技能実習派遣数の全体の50%以上を占めているのです。

次いで中国が全体の19%の年間約8万人ほどを日本に送り出しています。

現在日本の産業はどこも人手不足に陥ていますので、この技能実習生の存在が欠かせないものへとなっています。

ただこのコロナの影響により、ベトナムからの技能実習生の送り出しが激減する可能性があるのです。

今後の経済発展状況が一変する可能性があるからです。

グリーンゾーン・レッドゾーンについて

今後世界がグリーンゾーン国とレッドゾーン国に分かれるという話があります。

「グリーンゾーン国」とはコロナ禍の影響をあまり受けておらず、経済発展をし続けれる国の事です。

「レッドゾーン国」とはコロナ禍の影響により、経済に大打撃を受けてしまう国の事をいいます。

ベトナムはコロナの影響が少なく、限りなくグリーンゾーンに近い存在になるでしょう。

つまり、他の国がコロナで没落している間に高度成長を遂げて豊かになり、日本に出稼ぎにいかなくてもよくなるのです。

今後グリーンゾーンに日本が入れるか入れないかが非常に重要な境目となります。

もし仮にグリーンゾーンに入ったとしても、同じグリーンゾーン国であるベトナムが急速に豊かになれば日本はベトナム人の人材を得られなくなるので経済的な危機にあたります。

今後どのような流れになったとしても、日本は自分達が築き上げてきた立場をしっかりと理解して、他国の情勢とバランスを把握出来るようにアンテナを張る必要があります。

まとめ

今回はコロナの影響による、日本と外国人労働者の関係性について説明をしました。

このコロナの影響は、ただ単に経済状況を悪化させるだけでなく、今後の世界の未来さえ脅かす存在なのです。

このコロナの影響によって今までの世界のパワーバランスが崩れる恐れは大いにあります。

今後日本は、自国と世界の情勢を的確に見極めて、臨機応変に対応していかなければなりません。

まだコロナが収まっていない現状ではこれからの経済は、どのような動きになるのか誰にも分からないでしょう。

ただ「日本」と「外国」の協力関係はこれからも続かせていき、進展させていかなければなりません。

このコロナ禍を少しでも早く脱却し、「日本人」「外国人」がお互い歩みより、共に暮らしていける社会を築く事が、今後の日本の未来にとって非常に重要な事であると思います。

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