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07/04 (金)更新

就労OK?NG?ワーキングホリデーの「指定書」の見方を徹底解説!

日本でワーキングホリデーを利用して滞在する外国人は、在留資格「特定活動」のもとで限られた条件下で就労が認められています。

 

しかしその就労の可否や条件は一律ではなく、「指定書」という書類に明記された内容によって異なります。


企業がこうした外国人を雇用する際、この指定書を確認せずに採用を進めると、不法就労助長罪に問われるリスクすら生じかねません。

 

この記事では、ワーキングホリデーにおける指定書の見方や取得方法、就労可否の判断基準、採用時の実務上の注意点、さらには実際のトラブル事例までを網羅的に解説します。

 

「就労OKかNGか」を確実に見極めるために、企業の人事・採用担当者はもちろん、現場で外国人スタッフと関わる方にとっても、知っておくべき情報を整理しました。

 

指定書の見落としが命取りになる前に、この記事で正しい知識を身につけましょう。

ワーキングホリデーとは?その目的と在留資格「特定活動」

ワーキングホリデーとは、若者が異文化を体験しながら一定期間その国に滞在し、働くことも可能とする国際交流制度です。

 

日本でも多くの国と協定を結んでおり、海外から来日する若者たちは「特定活動」という在留資格のもと、一定の条件付きで日本で働くことができます。

 

しかし、この在留資格の内容や制度の目的を正確に理解していないと、採用企業側にとっても大きなリスクにつながるおそれがあります。

 

まずは制度の全体像と「特定活動」という資格の意味をしっかり押さえておきましょう。

ワーキングホリデー制度の概要と参加可能な国

ワーキングホリデー制度は、日本と二国間で協定を結んでいる国の18歳から30歳(国により異なる)の若者を対象に、最長で1年間の滞在と就労を認める制度です。

主な目的は観光や異文化体験であり、あくまで「ホリデー(休暇)」を前提としたビザであることが特徴です。

日本が協定を結んでいる国には、オーストラリア、カナダ、フランス、韓国、ドイツ、イギリス、ニュージーランドなどがあり、2024年現在で26の国・地域が対象です。

この制度を利用して来日する外国人は、日本国内で一定の就労活動が可能となりますが、その範囲や条件は明確に規定されています。

企業が雇用する場合、制度の目的や対象者のビザ条件をよく理解しておくことが求められます。

「特定活動(ワーキングホリデー)」という在留資格の意味

ワーキングホリデーで来日した外国人は、「特定活動」と呼ばれる在留資格を持っています。

これは出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づいて付与される資格で、個別の活動内容に応じて入管が認めた内容に従って滞在・就労が可能になります。

「特定活動」と一口にいっても、その範囲は多岐にわたり、就職活動・インターンシップ・文化活動なども含まれます。

そのなかでワーキングホリデーに該当する場合は、「告示特定活動」の一種として認められており、指定書に就労可と記載されていればアルバイト等の就労が可能となります。

つまり、同じ「特定活動」でも内容はまったく異なることを、企業側は理解しておく必要があります。

滞在期間と主な活動内容の制限について

ワーキングホリデーの在留期間は原則1年間で、延長は認められていません(一部国では延長制度あり)。

期間中は観光、学習、日本文化の体験などが中心とされており、就労はあくまで補助的な手段として位置づけられています。

たとえばフルタイムの就労が長期間にわたって続くと、本来の制度目的から逸脱しているとみなされ、入管から指導を受けたり、更新・変更申請が認められない可能性があります。

また、風俗営業関連業務など、一部の職種は明確に就労禁止とされているため、採用する企業側でも事前に仕事内容との適合性を確認する必要があります。

◆ワーキングホリデー制度の正しい理解が企業と本人を守る鍵

ワーキングホリデーは、文化交流を目的とした制度でありながら就労も可能な柔軟な仕組みです。
しかし在留資格「特定活動」には細かな制限があるため、採用する側も正しい知識を持っておく必要があります。
制度の本質を理解し、「指定書」や「在留カード」を正しく確認することが、トラブルの未然防止につながります。
企業が安心して外国人材を受け入れるためには、法令遵守と制度理解が欠かせません。

指定書とは何か?ワーキングホリデーにおける重要性

企業が外国人を採用する際、在留カードの確認は当然のステップです。

 

しかし、ワーキングホリデーで来日している外国人の場合、「指定書」の確認も不可欠です。

 

この書類には、就労の可否や活動範囲など、在留資格に関する重要な情報が記載されており、企業側が見落とすことで重大なリスクにつながる可能性があります。

 

ここでは、指定書の役割と背景、在留カードとの違い、さらにワーキングホリデーで注意すべき記載項目について詳しく解説します。

指定書の役割と発行の背景

指定書とは、出入国在留管理庁が外国人の在留資格を指定するために発行する文書で、在留資格が「特定活動」となっている外国人に対して交付されます。

ワーキングホリデー制度も「特定活動46号」として扱われるため、来日した外国人には必ずこの指定書が発行されます。

この書類には「活動内容」や「就労の可否」などが記載されており、就労を認める範囲や条件が明示されています。

つまり、在留カードだけを見て就労可否を判断するのは不十分であり、指定書の確認が不可欠なのです。

在留カードと指定書の違いとは?

在留カードには在留資格の種類(例:「特定活動」)と在留期間などの基本情報が記載されていますが、活動の詳細や就労の可否といった重要情報は省略されています

一方、指定書には以下のような情報が明記されています。

  • 就労可・不可の明示

     

  • 活動内容(例:日本での観光・就労・学習など)

     

  • 指定された期間や条件

したがって、企業が採用判断を行う際は、在留カードと指定書をセットで確認することが実務上の常識と言えます。

ワーキングホリデーの指定書で注目すべき記載事項

ワーキングホリデーに関する指定書では、特に以下の点に注目する必要があります。

  • 「就労可」または「就労不可」の記載
    この表記があるかどうかで、企業は雇用の可否を判断できます。

     

  • 就労可能な範囲
    職種や時間に制限がある場合は明記されます。例えば「観光の補助的活動に限る」と記載されていれば、専門的な業務はできません。

     

  • 期間の明示
    滞在期間がいつまでか確認することで、契約期間の設定ミスを防げます。

これらを確認せずに雇用した場合、企業側が不法就労助長罪に問われるリスクすらあります。

◆「指定書」はワーホリ雇用の必須チェック項目

ワーキングホリデーで来日する外国人を雇用する際、在留カードだけで判断するのは非常に危険です。就労の可否を明示する「指定書」は、企業が採用判断を下す上で不可欠な書類です。
実務上は、在留カードと一緒に指定書を必ず提出してもらう運用を定着させることが、トラブル回避の第一歩となります。

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在留カードって何?の疑問を3分で解決!更新・再発行もバッチリ

指定書の確認・取得方法とサンプル解説

ワーキングホリデーの外国人を採用する際、指定書の有無と内容確認は法令遵守のうえでの必須事項です。

 

しかし、実際には「指定書ってどこでもらえるの?」「どこをチェックすればいい?」といった疑問を持つ企業担当者も少なくありません。

 

本章では、指定書の取得方法・見方・再発行までの流れを具体的に解説し、実務での不安を解消します。

指定書の入手方法と提出書類一覧

ワーキングホリデーで来日する外国人は、ビザ申請時に日本大使館(または領事館)を通じて「特定活動46号」の査証を取得します。

その後、日本入国時に空港の入国審査で、在留カードとあわせて「指定書」が発行・交付されます

企業側がこの指定書を確認するには、以下の流れを踏みましょう。

  • 雇用時の書類提出時に、指定書の提示を求める

     

  • コピーを保管し、内容を社内で確認・共有

     

  • 在留資格や活動範囲を確認し、就労可能かを判断

なお、本人が指定書を紛失しているケースもあるため、就労前に必ず原本またはコピーの提出を依頼するのがポイントです。

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特定活動46号とは?現場就労が可能な新しい在留資格をわかりやすく解説

就労可・不可が一目でわかる指定書の見方

指定書には、日本語で以下のような項目が記載されています。

  • 「本邦において行うことができる活動」
    → ここに「就労を認める」と明記されていれば就労可能。逆に「就労を認めない」とある場合、採用してはなりません。

     

  • 活動内容の具体的な記載
    → 例:「観光を主たる目的とし、その範囲内での就労を許可する」「週28時間以内での労働可」など。

     

  • 在留期限
    → 滞在期間の終了日も必ず確認を。契約期間と一致しているかの確認は重要です。

このように、在留カードだけでは見えない情報が指定書には明記されており、採用判断に直結する資料であることがわかります。

指定書が手元にない場合の対応方法と再発行

もし外国人本人が「指定書をなくしてしまった」「提出できない」といった状況であれば、企業は安易に雇用を進めてはいけません。対応方法は以下のとおりです。

  • まずは本人に再発行を依頼する
    → 最寄りの出入国在留管理局にて、在留資格を確認のうえ、再発行の申請が可能です。

     

  • 本人確認資料の一部として、在留カードの内容だけで判断しない
    → 指定書がない場合、「就労不可」の可能性も考慮する必要があります。

     

  • 再発行中でも採用を急がないことが望ましい
    → トラブル防止のため、指定書の再発行完了後に正式採用とする社内ルールを設けることが重要です。

◆就労可否の確認は「指定書」から。採用の前提条件にしよう

外国人採用において、在留カードだけで判断するのは危険です。
指定書の有無とその記載内容こそが、就労の可否を決定づける核心情報です。
特にワーキングホリデーでは、就労可能な範囲が制限される場合も多く、内容を確認せずに採用すると法的リスクに直結します。
企業側の採用フローに「指定書の確認」を明記し、必須書類として取り扱うことが、リスク回避と健全な雇用の第一歩となります。

企業側が確認すべき就労条件と採用時の注意点

ワーキングホリデーで来日している外国人を採用する際、企業側が見落としてはならないのが「就労条件の確認」です。

 

特定活動(ワーキングホリデー)の在留資格には就労可能な条件が明記された「指定書」があり、これを確認せずに雇用することで、知らず知らずのうちに法令違反に繋がるケースもあります。

 

本章では、企業が採用時に確認すべきポイントを明確にし、トラブルを防ぐための実践的な注意事項を解説します。

指定書の「就労可否」を見ずに採用してはいけない理由

在留カードだけを見て「特定活動=就労可能」と思い込むのは非常に危険です。

ワーキングホリデーの在留資格は「特定活動46号」に分類されますが、その中でも就労可否や条件は個別の「指定書」によって異なります

たとえば、以下のようなケースがあります。

  • 指定書に「就労を認める」と記載がある ⇒ 一定範囲での労働が可能

     

  • 指定書に「就労を認めない」 ⇒ 労働は全面的に禁止

     

  • 「観光を主たる目的とし、その範囲内で就労可」 ⇒ 長時間の勤務や正社員雇用は不適切

つまり、同じ在留資格でも、指定書の文言によって合法・違法が分かれるという点を企業は強く意識する必要があります。

指定書の確認を怠って雇用した場合、不法就労助長罪に問われる可能性もあるため注意が必要です。

在留カードとパスポートのチェックポイント

採用時に確認すべき書類は、「在留カード」だけではありません。

併せてパスポートと指定書の内容を総合的にチェックすることが重要です。

確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 在留カード

     

    • 「在留資格」が「特定活動」かどうか

       

    • 在留期限の確認(雇用期間との整合性)

       

  • パスポート

     

    • 入国スタンプや査証の有効性確認

       

    • 入国目的がワーキングホリデーであることの再確認

       

  • 指定書

     

    • 「就労を認める/認めない」の記載

       

    • 労働時間や就労内容に関する制限があるか

この3点を合わせて確認することで、雇用が適法かどうかを客観的に判断できます

就労できる範囲と時間の制限について

ワーキングホリデーの指定書には、就労可能な条件が明記されています。

多くの場合、「観光を主たる目的とし、その範囲での就労は認める」などの表現が使われますが、これはフルタイム雇用や長期契約がNGとなるケースもあることを意味します。

特に以下のような制限に注意してください。

  • 時間制限

     

    • 週28時間以内での労働に限る旨が記載されている場合もある

       

    • 深夜労働や長時間労働は禁止されていることが多い

       

  • 業種・職種の制限

     

    • 風俗営業などの職種は就労不可

       

    • 契約社員や正社員としての登用には適さないこともある

       

  • 目的外活動の禁止

     

    • 観光や文化交流が主目的であるため、労働中心の活動は避けるべき

これらを無視した採用は在留資格違反となる恐れがあるため、就業内容や時間に関しても、企業側の事前説明と同意取得が必須となります。

◆指定書と在留カードの「両方確認」がリスク回避の鍵

ワーキングホリデーの外国人を採用する場合、単に在留カードを見て判断するのではなく、「指定書」を含めた多角的な確認が企業の義務です。
特に、就労の可否・時間・内容の制限は指定書に明記されており、そこを見落とせば法的リスクを招きかねません。
採用時には就労可能条件を必ずチェックリスト化し、本人から書類を提出させる体制を整えることで、企業と本人双方の安心した雇用関係が築けます

ワーキングホリデーと社会保険・税金の扱い

ワーキングホリデーで来日した外国人を雇用する際に、企業が見落としがちなのが社会保険や税金に関する対応です。

 

特定活動(ワーキングホリデー)の在留資格であっても、労働時間や雇用形態によっては、保険加入義務や税金の課税対象となることがあります

 

ここでは、社会保険や雇用保険の加入基準、源泉徴収される所得税20.42%の仕組み、そして年金・健康保険の対象になるかどうかの判断基準まで、企業側が知っておくべき実務のポイントをわかりやすく解説します。

社会保険の加入条件と雇用保険の注意点

ワーキングホリデー中の外国人でも、雇用形態や勤務時間によっては社会保険の加入が必要になります。以下が主な条件です。

  • 厚生年金・健康保険

     

    • 週所定労働時間が20時間以上

       

    • 雇用期間が2カ月超見込まれる場合

       

    • 月収88,000円以上(おおむね)

       

    • 勤務先が常時5人以上雇用している事業所

       

  • 雇用保険

     

    • 週の所定労働時間が20時間以上

       

    • 31日以上継続して雇用される見込み

注意すべきは、ワーホリ滞在者は一時的な滞在者であるため、契約期間が短いと判断された場合は保険対象外とされることもあるという点です。

また、企業は「外国人だから保険適用外」と自己判断せず、個別の契約内容に応じた適切な判断と届け出が求められます。

所得税20.42%が課されるケースとは

ワーキングホリデーで来日した外国人は、原則として「非居住者」扱いとなり、所得税が20.42%源泉徴収されます。

これは通常の日本人労働者に対する税率より高いため、事前説明が不十分だとトラブルの原因になりがちです。

所得税20.42%が課税されるケースの例

  • 入国してから1年未満の非居住者

     

  • 年間滞在期間が183日未満

     

  • 一定の扶養控除や社会保険料控除が適用されない

企業としては、初期契約段階で「20.42%の源泉徴収が発生する可能性」を本人に説明し、納得の上で契約を進めることが重要です。

とくに長時間労働を予定している場合は、実質手取り額が減少するため、事前の情報共有が信頼構築の鍵になります。

参照 ▶ 国税庁|No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率

厚生年金や健康保険の対象外になる例と対応

以下のようなケースでは、厚生年金・健康保険の被保険者とならない可能性があります。

  • 滞在目的が就労中心ではなく、観光・文化交流が主目的

     

  • 雇用期間が2カ月未満と明記されている契約

     

  • 労働時間が週20時間未満

     

  • 「個人事業主」扱いでの契約(業務委託契約)

このような場合は、国民健康保険・国民年金の任意加入の案内を行うことが推奨されます。

ただし、本人が非居住者である場合、国民年金に加入できないケースもあります。

企業側としては、保険に関する対応について以下を徹底しましょう。

  • 在留資格に基づいた保険加入要否の判断

     

  • 契約前に保険加入の有無と税額のシミュレーション提示

     

  • 加入・未加入に関する本人署名付きの確認書の取得

適切な管理がなされていない場合、後日追徴課税や行政指導の対象となる恐れもあるため、早期に社内で確認フローを整備することが求められます。

◆就労可能でも社会保険・税金の知識が不可欠

ワーキングホリデーの在留資格を持つ外国人は、就労が可能な場合でも、保険・税金の取り扱いは特例的であることが多く、企業側の理解と適切な対応が不可欠です
非居住者として扱われるかどうかで税率が変わり、労働時間によっては社会保険の義務が発生するため、契約前の丁寧な確認と説明が重要です。

トラブルを避けるためには、書面化されたチェックリストや雇用ガイドラインの整備が有効です。
適切な対応ができれば、企業と外国人の双方にとって信頼性のある雇用関係が築けます。

ワーキングホリデーから就労ビザへの切り替えは可能?

ワーキングホリデーで日本に滞在中、「このまま日本で働き続けたい」と考える外国人も少なくありません。

 

そんなときに気になるのが就労ビザ(在留資格)の変更です。

 

結論から言えば、一定の条件を満たせば就労ビザへの切り替えは可能です。

 

ただし、審査には厳格な基準があり、適切な手続きと書類の準備が不可欠です。

 

ここでは、どんな人が変更できるのか、必要な申請書類、審査時の注意点まで詳しく解説していきます。

就労ビザに変更できる対象者と要件

ワーキングホリデーから就労ビザに切り替えるには、まず「就労ビザで認められた職種」での雇用が確定していることが前提です。

代表的な就労ビザの例と、それぞれに必要な条件は以下の通りです。

  • 技術・人文知識・国際業務ビザ

     

    • 大卒またはそれに準じる学歴

       

    • もしくは職務に関連する実務経験10年以上

       

    • 雇用先が日本国内にある企業であり、フルタイム雇用が見込まれていること

       

  • 技能ビザ

     

    • 調理師、建設技能者など、特定の技能職において実務経験10年以上

       

    • 雇用企業が安定した経営基盤を持っていること

       

  • 特定技能ビザ(1号・2号)

     

    • 分野ごとに決められた技能試験および日本語試験の合格

       

    • 登録支援機関または受入企業の支援体制の整備

要するに、ワーホリビザはあくまで文化交流・滞在が主目的の在留資格であるため、日本の就労制度に沿った専門性や企業の受け入れ体制が必要という点が審査では重視されます。

申請書類・必要手続きの流れ

就労ビザへの変更申請は、以下のようなステップで進められます。

  1. 雇用契約の締結

     

    • 就労ビザに該当する職種での正式な雇用契約書を準備

       

  2. 在留資格変更許可申請書の作成

     

    • 出入国在留管理庁の公式フォーマットに記入

       

  3. 必要書類の収集

     

    • 雇用先からの「雇用理由書

       

    • 会社の「登記事項証明書」「決算報告書」などの会社資料

       

    • 応募者本人の「卒業証明書」「職務経歴書

       

    • パスポート・在留カードの写し

       

  4. 入管への申請

     

    • 原則、現在の在留期間が切れる前に申請を行う

       

    • 審査期間は1〜2カ月程度

       

  5. 許可が下りれば、就労ビザへ変更完了

途中で在留期限が迫る場合は「特定活動ビザへの一時変更」も検討されますが、許可されるかどうかは入管の判断に委ねられます。

審査で注意されやすいポイントとは

就労ビザへの変更においては、入管の審査官が「この雇用と人材の組み合わせは妥当か」を慎重に見極めます。

以下のような点で否認されるケースが多いため、事前に確認が必要です。

  • 業務内容と学歴・職歴が一致していない

     

    • 例:英語講師を希望しているが、英語以外の専攻・実務経験もなし

       

  • 雇用企業の経営が不安定

     

    • 設立直後、売上が著しく少ない、代表者に不法就労歴がある場合など

       

  • 申請書類に不備や矛盾がある

     

    • 雇用理由書の記述が曖昧、職務内容が「単純労働」に近いなど

       

  • 日本語能力が不足している

     

    • 特に接客業や事務職などでは、日常会話レベル以上の日本語力が求められる

審査通過のカギは、「本人のスキルと業務内容の整合性」「企業の信頼性」「申請書類の一貫性と正確さ」です。

◆長期就労を目指すなら計画的な準備がカギ

ワーキングホリデーからの就労ビザ変更は、制度上は可能ですが、誰でも簡単に通るわけではありません
在留資格の切り替えには、明確なスキル・雇用の裏付け、そして企業の支援体制が必要です。

外国人本人にとっても、ワーホリ期間中から次のステップを見据えて行動しておくことが重要です。
企業側も「就労可」の確認だけでなく、今後長期雇用できるかどうかを見据えた採用判断が求められます。

確実なビザ変更を目指すなら、早めに専門家や行政書士への相談も検討しましょう。
準備次第で、ワーキングホリデーはキャリアの大きなチャンスに変わります。

外国人雇用における企業のリスクとコンプライアンス対応

外国人雇用は多様な人材を確保できる一方で、在留資格の確認ミスや法的手続きの漏れが重大なリスクを招くことがあります。

 

とくに企業側が「知らなかった」「確認しなかった」ことで発生する不法就労助長罪や監督官庁からの是正勧告は、企業の信用失墜にもつながりかねません。

 

ここでは、企業が押さえておくべき在留資格の確認手順、書類管理、社内ルールの整備など、リスク回避のためのコンプライアンス対応について詳しく解説します。

在留資格の誤認による不法就労助長罪のリスク

外国人が働くためには、適切な在留資格(ビザ)とその活動範囲が一致していなければなりません。

しかし、企業側が「就労可能」と誤認して雇用してしまった場合でも、不法就労助長罪が問われる可能性があります。

不法就労助長罪(入管法第73条の2)のポイント

  • 外国人本人が不法滞在・無許可で働いていた

     

  • 企業がその事実を知らなかったとしても、「確認義務違反」と見なされれば処罰対象

実際には、在留カードを確認しても活動制限の有無や「資格外活動許可」の有無まで見ない企業が多く、結果的に不法就労につながるケースが発生しています。

このようなリスクを避けるには、「就労可能な在留資格か?」「雇用予定業務が資格の範囲内か?」をしっかりチェックする体制が求められます。

外国人雇用管理台帳など法的義務の整備

厚生労働省は外国人を雇用する事業主に対し、「外国人雇用管理台帳の作成と保存」を義務づけています(出入国在留管理庁と連携)。

これは外国人労働者の以下の情報を管理するための台帳です。

管理台帳に記載すべき情報(一例)

  • 氏名・性別・国籍・生年月日

     

  • 在留資格・在留期間・在留カード番号

     

  • 雇用契約内容(業務内容・労働時間・賃金など)

     

  • 在留資格の有効期限や更新記録

この台帳を整備していない、または更新していない場合、立入調査で是正勧告を受けたり、雇用主責任が問われることもあります。

システムでの一元管理を導入する企業も増えており、労務管理と法令順守の両立が重要なポイントです。

指定書・在留資格の確認フローの社内ルール化

外国人を雇用する際、在留カードとともに「指定書」の確認も必須です。

指定書には「就労可否」や「活動制限」が明記されており、これを確認せずに雇用を進めることは大きなリスクです。

社内ルールで徹底すべき確認フローの一例

  1. 採用面接前にパスポートと在留カードの提示を依頼

     

  2. 在留カードと指定書の内容をダブルチェック

     

  3. 「就労不可」または「資格外活動許可あり」の場合、業務内容との整合性を確認

     

  4. 採用決定後は、外国人雇用管理台帳に記録

     

  5. 就労期間中も定期的に在留期限・更新状況を確認

こうした確認フローをマニュアル化・研修に取り入れておくことで、現場レベルでも一貫性ある対応が可能になります。

また、雇用契約書や入社書類に「就労資格確認済」のチェック欄を設けるのも、見落とし防止に有効です。

◆外国人雇用は「確認と記録」がリスク回避の鍵

外国人雇用を進める上で、企業が避けては通れないのが在留資格や就労条件の厳密な確認です。
「知らなかった」では済まされない不法就労助長リスクに備えるには、制度理解・社内体制・文書管理の3つの柱が欠かせません。

在留資格・指定書の確認フローを標準化し、外国人雇用管理台帳を整備することが、信頼される雇用環境づくりにつながります。
万一のトラブルを未然に防ぐためにも、今一度、自社の対応状況を見直してみましょう。

実務担当者の声に学ぶ、ワーホリ採用で本当にあったトラブルと解決策

ワーキングホリデー制度の拡大により、外国人採用の現場では短期雇用の需要が高まる一方で、「在留資格の見落としによる就労トラブル」も増えています。

 

採用時に「就労できる」と思っていた外国人が、実際には就労不可の指定を受けていた、あるいは在留期間を超えて働いていたといった事例が少なくありません。

 

ここでは、実際に現場で起きた失敗例と、企業が同じ過ちを繰り返さないためのチェックリストや雇用契約書の工夫について紹介します。

「就労不可」と知らずに採用してしまった失敗事例

ある飲食店チェーンでは、ワーホリ中の外国人を「就労可能」と思い込み、アルバイトとして採用しました。

しかし後日、労務監査で「指定書に就労不可と明記されていた」ことが発覚。結果として企業は不法就労助長の疑いで指導を受け、外国人本人は退職せざるを得なくなりました。

このケースでの原因は

  • 在留カードしか確認せず、指定書を見ていなかった

     

  • パートナー会社任せで、社内での就労資格確認が形骸化していた

     

  • 担当者が「特定活動=就労可能」と誤解していた

といったヒューマンエラーに起因するものでした。

ワーキングホリデーは就労できる資格であっても、すべてが「無条件で就労可」ではないため、指定書の「活動内容欄」に記載された制限を見逃してはいけません。

書類確認での見落としを防ぐ社内チェックリスト

このようなトラブルを未然に防ぐためには、採用前後における確認項目を明文化したチェックリストの整備が不可欠です。

実務担当者が実際に運用しているチェックリストには、以下のような項目があります:

採用前の確認項目

  • 在留カードを確認(氏名・在留資格・期限)

     

  • 指定書を確認(活動内容・就労可否の記載)

     

  • パスポートの入国スタンプ・ビザ有効期間の確認

     

  • 勤務予定の内容が在留資格に沿っているか確認

採用後の確認項目

  • 雇用契約書に在留資格と一致する業務内容を記載

     

  • 雇用期間が在留期限内かを確認

     

  • 月次で在留期限・在籍状況を再チェック

     

  • 労働条件通知書を2部作成し、本人にも保管義務を伝える

チェックリストは紙・Excel・クラウドツールなどで一元管理し、誰がどの時点で確認したかの履歴を残すことも重要です。

雇用契約書に盛り込むべき注意書きとテンプレート事例

就労可否の確認だけでなく、雇用契約書に明確な注意書きや免責条項を記載しておくことも、後々のトラブル回避に役立ちます。

以下は実際に使われている雇用契約書内の一文です。

<雇用契約書記載例>

「本契約の締結にあたり、被雇用者は自身の在留資格および就労可能範囲について正確に申告し、必要な書類を提出するものとする。採用後に当該在留資格により就労が許可されていないことが判明した場合、雇用契約は即時解除される場合があることに同意する。」

このように契約上に「在留資格の自己申告責任」や「確認書類の提出義務」を明記しておくことで、企業と外国人の双方が安心して雇用関係を築くことができます。

また、契約書とは別に「在留資格確認書」や「雇用資格証明書」などの様式も用意しておくと、労務監査や入管対応の場でも有効です。

◆失敗から学び、確実な確認体制を構築しよう

ワーキングホリデーの採用において最も多いトラブルは、「在留資格や指定書の確認不足」です。外国人本人の申告をうのみにせず、企業側で書類を確認し、チェックフローを標準化することが何より重要です。

過去の失敗事例から学び、雇用契約やチェックリストの整備を進めることが、企業にとっても外国人労働者にとっても安心・安全な採用につながります。
今後さらにグローバルな雇用が進むなかで、正しい理解と管理体制が企業の信頼構築に直結する時代です。

指定書を見ずに採用しない!企業と外国人双方の安心のために

ワーキングホリデーで来日する外国人を受け入れる際、在留カードだけで判断してしまうと重大なリスクを招きかねません。

 

「指定書」の確認は、就労可否を判断するうえで絶対に欠かせないステップです。

 

この記事では、以下の重要なポイントを解説してきました。

  • ワーキングホリデーの在留資格は「特定活動」であり、活動内容は個別の指定書に明記される

     

  • 指定書には「就労可」か「不可」か、または就労可能な範囲や時間に関する制限が具体的に記載されている

     

  • 指定書が手元にない場合は、出入国在留管理局での再発行も可能

     

  • 採用時には、在留カード・パスポート・指定書の3点確認が必須

     

  • 就労資格を誤って採用した場合、企業側が不法就労助長罪に問われるリスクもある

     

  • チェックリストや雇用契約書に在留資格確認のフローや免責条項を明記することで、予防策を講じられる

今後、外国人材の採用がさらに広がる中で、法令順守と安心・安全な労務管理体制の整備は企業の信頼性を左右します。

 

採用前に「指定書を確認する」という基本動作を、社内ルールとして定着させましょう。

 

ワーキングホリデーでの就労は一時的なものですが、そこに関わる企業の対応は永続的なブランド価値に影響を与える要素です。

 

「知らなかった」では済まされない現場だからこそ、正しい知識と確認体制が必要です。

 

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